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※「光と闇の想い」の続きです。
洞窟の前に、白い機体を持つ白兜と、黒い機体を持つガウェインを見つけて、カレンは赤い機体の紅蓮弐式を降り立たせた。
どちらにも人が乗っている気配はなく、カレンもまた紅蓮弐式から降りた。
状況からしてスザクとC.C.は洞窟の中だろうと、カレンもまた洞窟に入っていった。
何故こんなところに?と疑問に思う程、大きな扉の前で、スザクとC.C.が何事か言い合いをしているのを、物陰に隠れながら進んでいたカレンは見つけた。
聞こえないその内容や、険悪な雰囲気よりも、カレンは扉の向こうが気になり、身を隠しながら側面を移動した。
その小さな扉を見つけたのは偶然だった。
もしかしたら大きな扉の向こう側へ行けるかも知れないと、カレンは好奇心の赴くままに、その扉を開けて中に入った。
再び小さな扉から出たカレンは、まだ言い合いを続ける二人に、そっと近づいていく。
「奴はッ!ゼロは間違っているんだッ!」
「何を基準にして間違っていると?‥まさか、貴様が決めた、等とは言うまいな?」
厳しいスザクの声と、苦笑を含んだC.C.のそれ。
余裕があるのはC.C.に見えるが、武器を手にしているのは、スザクだけだ。
「法に背いてるじゃないか。何もかも間違ってるのがわからないのか?存在自体がッ!彼が生きている事がッ!」
スザクの主張をC.C.は鼻で笑い飛ばした。
「確か、‥‥貴様の主張は、『結果だけでなく、過程も大事』だったか?『間違った過程で得られた結果には意味がない』とか言っていたな?」
「そうだ。だからゼロは!」
「まぁ、わたしの話にも付き合ってもらおうか?というより、聞きたいものだな?『何処までが過程で、何処からが結果』だと思っているのか、をな」
「『何処までが過程で、何処からが結果』?‥‥なんだそれは」
枢木スザクが眉を顰める。
近くまで寄っていたカレンもまた首を傾げた。
「例えば、日本解放。大抵のイレブンと呼ばれるかつての日本人達にとってはそれこそが『結果』だと言うだろう。その為に努力するのが『過程』か?」
C.C.の言葉にカレンは頷いた。
まさにカレン達はその為にこそ、頑張っているのだ、是非とも「日本解放」をこそ結果にしたいのだと。
「だけどその為にテロなんて、間違ってるッ!体制を変えて行けば良いじゃないか」
「貴様のように名誉になって軍に入って?普通はまず二等兵止まりだなぁ?」
「‥‥何が言いたい?」
「ゼロが。クロヴィスの本隊を叩いたお陰で、貴様は白兜に乗る事が出来た。『結果』、准尉に昇格?‥‥これは『間違った過程』で得たモノだと思うが?」
C.C.は笑い、「テロは間違っているのだろう?」と付け加える。
確かにそうだ、とカレンは思う。
間違った過程だと言う、テロがあったお陰で結果的にスザクは白兜に乗る事になったのだろう。
そして、軍の昇進とは所詮そんなモノなのだ。
他者との戦が全てで、戦に出て相手をたくさん殺してこそ昇進もするのだろう。
「それはゼロがッ!」
「はいはい。自分を肯定する為に、ゼロを悪者に仕立てたいわけだ」
「違うッ!」
「ナリタはどうだ?ゼロと黒の騎士団が勝ちそうになった『過程』があるから、『結果』、お前は出動したよなぁ?コーネリアに恩を売る事も出来た?」
しかもこの時、上からの命令を待っていたのではなく、下から上をせっつき、尚且つ、知り合いであるという情にまで訴えているのだ。
ユーフェミアに対して「ユフィ」と声なき声で呼んで見せる事で、ユーフェミアから出動を勝ち得た。
「ゼロはッ!正義の味方を名乗りながら、民間人まで巻き込んだんだぞ」
「『結果』だろう?その『過程』は?先に攻撃を仕掛けたのはブリタニアだ。それともブリタニアが仕掛けるのは正しくて、反撃するのは間違ってるとでも?」
それもそうだ、とカレンは再び頷いた。
「ブリタニアが仕掛けなければ、ゼロもあんな手は打たなかっただろう。それと。第一ゼロは街への避難勧告を軍がしている事を知っていた」
「‥‥え?」
「つまり、軍に従っていれば、街は無人だったはず。この時の死者は軍が『過程』を間違えたのか、これこそが正しい『過程』だったのか。どちらかの『結果』だぞ?」
C.C.の声に容赦はない。
「なッ!それは違うッ!彼等を死に追いやったのはッ!ゼロや黒の騎士団だッ!!」
「正しい『過程』で得られた『結果』には文句は言わず、受け入れるんじゃなかったのか?‥‥。やれやれ。話す価値もないか。とりあえず殴り倒しておくか?」
呆れたC.C.の声に従ったカレンが、スザクに振り返る隙すら与えず、殴って昏倒させた。
「‥‥C.C.。こいつはどうするの?」
「後腐れないように、ここで始末すれば話は簡単なんだろうが‥‥。わたしの独断でそんな事は出来ないからな。つれて戻るしかないな」
面倒そうにC.C.が言った。
「‥‥ねぇ。一つだけ教えてくれない?ゼロがここに来たのって、‥‥ナナリーちゃんの為?あちらに、ナナリーちゃんがいたわ。つまりゼロの正体って‥‥」
「一つと言いながら、二つになっているぞ。‥‥確かに、何故か守られているはずの学園から、浚われたナナリーを助ける為だな。‥‥無事なのだろうな?」
「ええ。今、連れてくるわ」
カレンはそう言うと踵を返した。
「浚われたナナリーを助ける為」と言い切ったC.C.の言葉に、カレンの抱いていた疑惑の全てが氷解した今、その足取りは軽かった。
ナナリーはカレンが抱えた。
ナナリーの車椅子には気を失って簀巻きにされたスザクが乱暴に乗せられ、ガタガタの洞窟内をC.C.が押して移動していた。
出口付近で、入ってこようとするゼロと遭遇する。
「おい。とりあえずご注文どおり、ナナリーは助けておいたぞ。コレはおまけだ。そっちはどうなった?」
C.C.が相変わらずの高飛車な物言いで尋ねる。
「‥‥『オレンジ君』なら、租界に戻った。今頃は戦闘中のはずだ」
「‥‥‥おにい、さま?」
ナナリーのか細い声に、ゼロとC.C.の動きが止まる。
「やっぱりナナリーちゃんの事が気になって助けに入ろうとしてたのね?待っていれば良かったのに。ルルーシュ」
カレンが呆れた口調でそう言った事で、ゼロは「バレたのか‥‥」と思い、そっと息を吐いてから話しかけた。
「‥‥ナナリー、無事だったんだね?‥‥何処も、怪我とかしてないかい?」
「勿論ですわ。おにいさまが助けに来てくださるって、信じていましたから」
「‥‥そ、うか。‥‥その。‥ここは租界から少し離れていてね?戻るのに、ナイトメアに乗る必要があるんだけど‥少し窮屈な思いをさせてしまうんだ」
「おにいさまと一緒ならどんなところだって構いません」
「C.C.。先にナナリーを連れて上がっていてくれ」
「それは良いが。エナジーフィラーはもうないぞ?」
「予備がある。後で紅蓮で交換する。紅蓮の予備は?」
「あ‥‥持ってません。残り後15分程だったかと‥‥」
「なら何とかなる。白兜はここに捨て置く。あれのエナジーフィラーを取ってあるから、何とか持つだろう」
C.C.は頷くと、カレンからナナリーを受け取り、器用にガウェインの腕伝いにコックピットまで移動して行った。
了
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作成 2008.03.07
アップ 2008.03.19
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対決と救出 スザクv.s.C.C.。カレンにゼロバレ。
更に玉砕....無理なのか?
スザクv.sC.C.(+カレン)かな?
ゼロではなくC.C.が向かっただけで、一方的な断罪が.....
てかオレンジは何処~...