★弥生様へのリクエスト作品★
(ルルで双子で黒の騎士団/ルル≠ゼロ)
ルルーシュはここ数日、迷っていた。
教室でもいつも通り「眠っていないように見えて実は眠ってます」姿勢をとりながらも眠っていたわけではないし、生徒会室でもつい手が遅くなったりしていた。
「ルルちゃんは恋煩いかなあ?」
ミレイのからかいを含んだ声にルルーシュは視線をカレンからミレイに移す。
「なんですか?それは」
ルルーシュは呆れを声音に込めて聞き返した。
「何ってさっきからカレンばっかり目で追ってるでしょ~?だからカレンに惚れちゃったのかなぁ~って?」
にやにやとした笑みを浮かべながらミレイはルルーシュをからかう。
迷惑そうなカレンと驚きに声も出ないシャーリー、驚愕の叫びを上げるリヴァルを見回してからルルーシュは溜息を着いた。
「違いますよ、会長。考え事をしてただけです」
「カレン見ながら?」
「そうですね。違和感があるとつい原因を探したくなるんですよね」
切り返すルルーシュの言葉にカレンはドキッとして警戒し、ミレイは納得し、リヴァルとシャーリーは首を傾げた。
「会長、今日は人に会いに行こうと思うのでこれで引き上げます」
話をしている内に考えが纏まったのか、ルルーシュは立ち上がって暇の挨拶をした。
ルルーシュは足早に祖界を歩いていた。
このペースで歩いていれば目的地に着く頃にはきっと息が上がっているだろうと思うがペースを落とすわけには行かない。
後の事は後で考えようと決めて、ルルーシュは先を急いだ。
『何故ダメなんだ?』
そう聞いて来たのは一月くらい前だった。
「危険だから」と答えたけれど、納得してないのは明らかだった。
なのに以来他の話題しか口にしない。
大人しく引き下がるなんてありえないのに‥‥。
「ゼロ。考え事してるようだけど‥‥何か問題が?」
ゼロがあまりにも動かない事を心配した幹部達にせっつかれた扇がゼロに声をかけた。
「‥‥‥‥お前達には関係がない。プライベートだ」
ゼロは側に立つ扇とその後ろに集まる幹部達を見渡すと、首を振って答える。
「プライベートだってぇならこんな人の来るところで考えてんじゃねぇぞ。紛らわしいじゃねぇかよ」
玉城が喚く、がその直後、玉城は床に沈んでいた。
「ゼロッ!プライベートでも相談に乗ります。解決に繋がる事があるかも知れませんし!」
そう言い切る玉城を沈めた張本人のカレンに「いつ来たカレン!?」と幹部達は驚く。
確実に扇がゼロに話し掛けた時にはいなかったのだから、たいしたタイミングだったのだろう。
ゼロは沈んだ玉城からカレンに視線を移すように仮面を動かしたが、何かを言う前に「大変だッ!」と団員が駆け込んで来た。
「どうした!?」
反射的に扇が尋ねる。
「ブリタニアの学生が一人向かって来てますッ!」
「カレン、つけられたのか?」
タイミング的にそう思っても仕方がないだろう。
カレンもまた学生でブリタニアの学園に通っているのだ。
カレンは「まさかッ!?」と思って踵を返す。
ゼロも立ち上がり、無言のままカレンの後を追う。
「ぇ、ちょっ、‥‥ゼロ!?」
慌てた扇もまたゼロの後を追ったのだった。
「この近くのはずなのに‥‥」と、足早に前を歩いていたカレンを見失ったルルーシュはとうとう足を止めた。
膝に手をついて、荒い息を整える。
がらっと音がしたと思って顔を上げれば、騎士団の格好をした男が出てくるところを見て、「見つけた」と顔を綻ばせようとした。
しかし、出てくる団員が一人ではなく、わらわらと出てきて自分に向かって来るとなると話は別だった。
「見つかった‥‥と言うべきだな」とルルーシュは冷静に判断してまずは息を整えてしまおうとその場で団員達の出方を待つ事にした。
取り囲み、「何の用だ」とか「どうやってここを」とか口々に言う団員達に、ルルーシュは他人事ながら心配になる。
「‥‥外で騒いで困るのはそちらだと思いますけど」
そう言われた相手の取る方法は二通り。
その場で口封じをするか、内部に入れるか、だ。
黒の騎士団が正義の味方を名乗る以上学生相手に取れるのは後者しかないだろう。
ついでとばかりにダメ押しを入れる。
「ゼロに話がある」
「ちょっ‥‥なんだってあんたがッ!ゼロに話って何よッ!」
飛び出して来たカレンが凄い形相で喚いた。
「なるほど。違和感があると思っていたら、やっぱり病弱なのは偽りか。それにしても凄く活発そうだな、カレン」
ルルーシュは平然と切り返した。
「聞いてるのはこっちよ。なんだってあんたはここにいて、ゼロに話って何よッ!」
「ゼロに話があるから来たんじゃないか。話はゼロに直接話す」
憤るカレンは団員も幹部も近寄り難くなると思っているのに、と肩を竦めるだけで動じない相手に奇異の目を向ける。
しかし次の瞬間には更に驚く事が起こった。
「ここへは来るな、と言っておいたはずだぞッ!」
カツカツと足音高く、ゼロがアジトから出て来るなり、声を投げる。
団員達はゼロに道を明けるべく左右に分かれた。
ゼロの後ろには他の幹部が続いている。
「おれが大人しくそれに従わない事は知っているだろう?油断したゼロが悪いな」
「‥‥この場所は教えていなかったはずだが?」
「あぁ。だからカレンの後をつけた」
「へ?‥‥ちょっ。どうしてわたしが騎士団のメンバーだって事‥‥前から知ってたっていうの?」
「いや?設定が偽りかも知れないと思った時点で、では何故かと考えて当たりをつけただけだ」
憤るカレンにあくまでも平然としたルルーシュのやりとりに、幹部も団員もどうしたものかとゼロを見る。
ゼロは無言でルルーシュの側まで来ると、むんずと腕を掴んだ、勿論ルルーシュが痛くないように配慮されているが。
「とにかく、外でこれ以上騒ぐのはまずいから、中に入るぞ。お前達もだ」
そう言うと、ルルーシュの手を引いてゼロは先に立って歩き出した。
勿論、それが目的のルルーシュに拒む理由はなく、大人しくついていく。
残された幹部団員達は戸惑ってから何かしら知ってそうなカレンに視線を向ける。
しかし最初に動いた藤堂が、さっさとゼロに続いて中に入っていったので、四聖剣がそれに続き、残りもまたそれに倣った。
そうして、場はアジトの中へと移されたのだった。
2に続く
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作成 2008.07.17
アップ 2008.08.27
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