04 | 2025/05 | 06 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | ||||
4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 |
18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 |
25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 |
※「反撃の烽火」の続きです。
「なんだ、あれはッ」
ギルフォードの驚く声が響く。
内心で、悪態を付きまくっていたが、それは何とか表には出さない。
『どこかへ飛んで行く前は黒の騎士団を攻撃しておりましたな』
配下の誰かが、わかりきった事を平然と口にする。
「くッ‥‥。総員、態勢を立て直せ。たった一機に怯むなッ」
とは言ったモノの、ギルフォードとて、先程、アレが黒の騎士団に対し、どれほど圧倒的だったかを見ているのだ。
コーネリアとの連絡が取れない事に焦燥を覚えながらも、ギルフォードは一人、ブリタニア軍の指揮に追われているのだ。
『見えた見えた見えた見えた‥‥‥‥』
メカオレンジが歓喜の声を上げながら、ブリタニア軍のナイトメアの攻撃を避け、確実にその数を減らして行っている。
オープンチャンネルが何故か開きっ放しなので、その呟きは戦場に丸聞こえだった。
『攻撃ムダ!当たらず!このジェレミア・ゴットバルトには!!』
『ちぃッ、オレンジの分際でッ』
ブリタニアのナイトメアの一つから、そんな声が広がった。
メカオレンジに続いていた騎士団は、それを耳にした途端、固まり、いつでも逃げられるように、どころか一部は既に回避行動に出ている者もいる。
『おおおぉぉぉぉ、お願いデス!死んでいただけマスか?!』
そう言うなり、スラッシュハーケンがそのナイトメアを直撃し、パイロットは脱出する暇もなくあの世へと逃げ落ちた。
騎士団は、絶対に「オレンジ」とは言わないでおこう、と改めて心に誓う。
一方、その光景を目の当たりにしたブリタニア軍将兵は、恐慌状態に陥った。
みな、それぞれ、「オレンジ」とか「オレンジ卿」とか「オレンジの分際で」とか一度は言った事のある者ばかりだったからだ。
逃げ腰、及び腰になってしまっては、ギルフォードの奮戦も指揮もフルに発揮出来はしなかったのだ。
こうして、ブリタニア軍は敗走した。
「ガウェインと紅蓮弐式が租界に近づく」の報を騎士団幹部が受けたのは、ブリタニア軍が政庁の一部を残して租界から撤退してしまった後だった。
ギルフォードは敗走後に知った唯一の主コーネリア重体を知り、二重の衝撃を受けていたとか。
騎士団はそんな報告と共に、コーネリアに負傷させたのがゼロだと知らされ困惑気味だった。
それならそうと知らせておいてくれれば、もっと違った攻め方だって出来たかも知れないのに、と「怪物」が来るまでの劣勢を苦く振りかえる。
それから。
未だに「怪物」から降りてこない「オレンジ」が気になって仕方がないのか、ちらり、‥‥ちらり、と「怪物」に視線が流れたりしていた。
「突然背後から襲ってきたらどうしよう‥‥」誰の目もがそう語っていた。
相次いで着地した紅蓮弐式とガウェインは、どちらもが膝をつく形で停止した。
先にハッチが開いたのは紅蓮弐式だった。
「すみません、手を貸してくださいッ」
顔を出すなりのカレンの言葉に、わけが判らずざわつく。
「手を貸せってなんのだよ」
「枢木スザクを捕らえました」
その名前に、四聖剣は藤堂を振り返り、頷くのを見て卜部が紅蓮弐式に近づいた。
「とりあえず、意識ありませんけど、起きたら暴れますから、速攻殴って落としといてください」
カレンの言葉には遠慮と言うものが欠落していた。
しかし有無を言わせぬ勢いと迫力があり、卜部は「あぁ」と頷いて、枢木スザクの身柄を預かった。
預けた途端、カレンは先に紅蓮から飛び降り、ガウェインの元へと走り寄った。
卜部はその行動が気になりはしたが、荷物を抱えた状態では動けないので、仕方なくそのまま紅蓮から下りる事にした。
「C.C.。状況は?」
カレンがゼロにではなく、C.C.に声を掛けたことに、その場にいる大半の者が驚いた。
『‥‥もう少し待ってろ。‥‥そうだな。彼女と、あちらの件を』
「あ、‥‥そうね。わかったわ」
カレンの納得した声にガウェインは再び沈黙する。
勿論、納得したのはカレン一人で、他の幹部も団員も首を傾げるばかりだ。
カレンがガウェインから視線を外して振り返ると、説明を求める無言の圧力に満ち満ちていた。
「えっと‥‥。わたしに判る範囲は後で説明します。でも質問が先です。政庁と仮の指揮所にしていた学園はどうなってますか?」
「軍は撤退した。政庁の一画に一部人が立て篭もっている状態だ。‥‥学園の方は‥‥白兜が動いた時に撤退を余儀なくされて、その後立ち入っていない」
頭や肩に包帯を巻いた藤堂が答えた。
カレンは政庁については無表情に聞いていたが、学園の話になると驚きの表情に変わった。
「冗談でしょ?‥‥何処までも祟る奴ね、枢木スザクはぁ!‥‥玉城ッ、あんたあの場所の警備任されてたんじゃなかったの!?」
「こっちの身が危ねってのに、ブリタニア人にまで構ってられっかよッ」
枢木のとばっちりで怒鳴られては堪らないと、玉城は怒鳴り返すのだが、カレンはその言葉にスーッと目を細めた。
「‥‥つまり、あんたのせいでゼロは戦線を離れなくてはならない状況に陥ったって事ね?後でキッチリなしつけてあげるわ、玉城」
冷ややかに、カレンは低い声で玉城に告げた。
それは普段、玉城をポンポンと怒鳴る姿を見慣れた幹部達に息を呑ませる程の迫力を有していた。
「‥‥それはどういう事だ?カレン」
杉山が問いかける。
「説明は後だって言ったはずです。‥‥ところで、あれは何故ここに止まってるんですか?中身まだ入ってるッポイですけど」
「あー‥‥、ゼロが説得して、半分味方、になってるらしい。‥‥ちなみに禁句は言うなよ。ゼロのつけた疑惑の名前だ」
納得はしていない杉山だったが、事情の知らない者に、いきなり禁句を口にされてとばっちりを喰らう気もなかったので、そこは大人しく答える。
「‥‥じゃあ放っといて良いですね。わたしはとりあえず学園に行ってきます。‥‥そうね、零番隊を連れて行きますけど、構いませんね?」
カレンは真っ直ぐに藤堂を見て尋ねる。
「あ、あぁ。‥‥しかし無事なのは半数だぞ?それに零番隊を動かすにはゼロの許可も」
藤堂の言葉を途中でカレンは「貰ってます、許可なら既に」と遮った。
「半数で十分。わたしの指示に従うし、他の隊が混ざると指揮系統が混乱するもの。ラクシャータ、紅蓮とガウェインのエナジーフィラーを交換して」
「いーけどぉ?一つ良いかしらぁ?何処まで行ってたのか知らないけどぉ。この時間じゃぁ、ここまで戻ってくるまでの残量なんて、ないと思ったのだけどぉ?」
進み出たラクシャータはこの期に及んでのんびりな姿勢を崩さない。
「それは、ゼロが白兜から接収しました。動けなくなった白兜は現地に置き去りにしてきましたけど」
「‥‥現地って?」
「‥‥‥‥‥神根島よ」
『おい、カレン。何時までそこで喋ってるつもりだ?お前が行って戻ってこないうちは』
「ごめんッ、C.C.。すぐ行くわ。零番隊、出動するわ。みんな騎乗して」
カレンもまた紅蓮弐式に戻り、エナジーフィラーの交換が終わるなり、零番隊を率いてその場を後にした。
残ったのはわけが判らないままの幹部と団員達で、彼等は呆然と零番隊を見送った後ガウェインに視線を移した。
了
───────────
作成 2008.03.06
アップ 2008.03.18
───────────
恐怖と勝敗、そして... 前半はブリタニア軍v.s.メカオレンジ、後半は騎士団。
再び玉砕。
前半はとりあえず、メカオレンジが活躍してるッポイけど、後半はほとんど出てこないし......(汗
置き場変えるかなぁ~、マジで。
ゼロがガウェインから降りてきたら再会の場面とか、やりとりとか出来る(かもしれない)けど....
そこまでいかないよぅ。