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千葉が騎士団のアジトに辿り着いた時には、既に予定の時間を大幅に過ぎてしまっていた。
格納庫では出発の準備の為か、みなアチコチで忙しく動き回っている。
「千葉さ~ん。こっち、こっち~。遅いですよ~。急いで急いで」
目敏く見つけた朝比奈が、手を振りながら千葉を呼ぶ。
「すまない、遅くなった」
「みんな心配してたんですよ~。藤堂さんもとっても気にしてたしぃ」
言われて月下を振り仰ぐと、既に藤堂の隊長機はトレーラーに積み込まれた後だったらしく見当たらなかった。
二機の月下、仙波と卜部がトレーラーに積み込もうとしているところなのだろう、見上げる千葉に気づいて月下の片手が振られた。
「さ、おれ達の月下も積み込みましょう。藤堂さんは今は扇さんと話してるところだから報告は後、後」
「‥‥そうだな」
朝比奈の言葉に、肯いた千葉は己の月下に向かって駈け出した。
移動中、中佐から注意を受けたが、あまり厳しいものではなかった。
と、いうのも、リーダーであるところのゼロ本人から、「間に合わないので途中で合流する」との連絡が有ったからだそうだ。
その余波というわけでもないが、「あまり怒らないように」と中佐は扇さんに言われたらしい。
「すみません、以後気をつけます」
しかし、悪かった事は認めるし、反省もしているので、素直に詫びを入れる。
「けどさー、何かトラブル?結構時間かかったよね?」
「あぁ。‥‥『なごみ』が場所を移していて‥‥、少し迷った」
「ん?どこまで行って来たのだ?千葉‥‥」
訝しげに仙波大尉が訊ねる。
「‥‥租界の入り組んだ先の方。D3辺りです」
「げ。あのオヤジ、んなとこまで移動してたのか?‥‥にしては戻るの早くないか?途中で諦めた‥‥わけでもなさそうだし?」
卜部さんが驚きながらも、わたしが持っていた紙袋を指して首を傾げた。
「‥‥途中で良い案内に出会ったから‥‥」
わたしはそう応じてから、彼は予定に間に合ったのだろうか、と考えた。
一時間ならと言っていた彼に、倍以上の時間を費やさせてしまったのだ、和菓子一つでは割に合わなかっただろう。
「‥‥にしては浮かない顔だが。何か嫌な事でも有ったのか?千葉」
仙波大尉に問われて、わたしはゆっくりと首を振った。
「いえ‥‥、なんでもありません」
そう答えてから俯いたわたしは、そっと視線を交わす同僚に気づかなかった。
「扇、わたしだ」
『ゼロッ、今何処だ?そろそろ出発の時間なんだが』
「すまないが、わたしを待たずに出発してくれ。時間までに間に合いそうにない。途中で合流する」
『えッ‥‥。何か、有ったのか?』
「‥‥少し表でトラブルが生じただけだ。大した事じゃないが、時間を取られてしまった。‥‥すまないが頼む」
『‥‥わかった。合流って‥‥どの辺りになりそうなんだ?』
「そうだな。‥‥恐らくは現地付近になると思われる。‥‥合流の際にはC.C.に連絡を入れるから行き違いにはならないだろう」
『わかった。気をつけて来てくれ』
「そうしよう。では切るぞ」
ルルーシュは通話を切ると、深い溜息を吐いた。
帰りが殊の外遅くなって、ナナリーに心配をかけてしまった。
そのナナリーを宥めるのに更に時間を費やし、気付けばアジトでの合流が不可能な時間になってしまっていたのだ。
この時ふと、「この分では千葉もまた出発時間ギリギリだったんじゃないだろうか?」と心配になった。
まぁリーダーのゼロ自身が間に合わないのだからそんなに強く怒られる事はないだろうが、と思う事にしておく。
学園を出て、通りがかった車を拾い、ギアスを掛けて目的の場所まで送らせるのは造作もない事だ。
その間、C.C.と連絡を取って、少々先行した辺りで、車を降り、「ゼロ」になって騎士団の到着を待つ。
乗り捨てた車の運転手は、どこか適当な辺りまで走ってからギアスから覚めるだろう。
「ゼロ」
C.C.の声が聞こえ、顔を上げると、頭だけを指揮官用に変えた無頼が近づいてきていた。
「すまなかったな、C.C.」
「これきりにして欲しいな。‥‥とりあえず、ピザ三枚だぞ」
C.C.の言葉に、ゼロは仮面の下で顔を顰めたが、表に出しては頷いただけで留める。
とりあえず、移動が終わるまではと、ゼロを肩に乗せた無頼はC.C.の操縦で騎士団の隊列に戻って行った。
作戦は一応の成功を収めた。
ブリタニア軍の補給基地を叩き、出張って来た枢木スザクの乗る白兜をカレンの紅蓮弐式と零番隊が足止めした。
扇が率いる部隊がラクシャータが希望した物資の強奪をする中、残存兵力を藤堂以下他のメンバーが叩いたのだ。
ほぼ、ゼロの立てた計画通りに進行したと言って良いだろう、今回の作戦で。
ゼロの予想外の事が一つ起こっていた。
各人の能力までを計算に入れているゼロの予測に反して、千葉がミスを犯したのだ。
近くで行動していた四聖剣が、なんとかカバーしたから致命的な事態に繋がる事はなかったのだが、ミスはミスだった。
唯でさえ集合時間に遅れていて、叱責を受けていたというのに、重なる失態に、当の千葉だけでなく他の四聖剣もまた色を失くしていた。
敵のナイトメアフレームを追う四聖剣の月下‥‥。
それがふと別の景色と重なってしまい、千葉は月下の制御を乱してしまったのだ。
それに隙を見出した敵は反転して攻撃に移り、千葉の月下を弾き、そのまま逃走しようとしたところを、仙波と卜部の月下が回りこんで倒していた。
朝比奈は他の機体の背後に回って退路を断ち、戻った仙波と卜部と一緒になって殲滅したのだが。
ゼロの作戦では、そのまま追って行き、先で待ち伏せしている隊と連携して囲いつつ殲滅の後、更に前進して別の隊に合流するというものだった。
四聖剣が、留まって敵の一部隊を殲滅した余波は、待ち伏せ隊の不安を煽り、次の行動に移るタイミングを計る術を奪う。
それは別動隊を孤立させかねない可能性を含んでいた。
いち早い仙波の連絡により、ゼロと藤堂が咄嗟にそれぞれの隊へ連絡を入れた為、どちらも作戦通りに進行する事が出来、全体への影響は消えていた。
四聖剣もそのまま速度を増して、何とか別動隊への合流を果たす事が出来もした。
それでも藤堂も四聖剣もミスはミスだと認めていたし、不測の事態に弱いゼロもまた事の重大さを理解していた。
それが、アジトへの帰路、藤堂と四聖剣が乗るトレーラー内での会話を奪っていたのだ。
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作成 2008.02.11
アップ 2008.03.24
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Ⅱ.ばったり遭遇「千葉」編 【2】騎士団にて作戦準備~作戦終了。
【1】とは違って一転シリアス?
千葉+四聖剣がメイン。後、藤堂と。
ルルーシュが気になってミスをする千葉.....すっごくらしくないよね....(汗
何故こんな話にばかり....とは思いますね。