★弥生様へのリクエスト作品★
(ルルで双子で黒の騎士団/ルル≠ゼロ)
「それで?何の用だ?」
幹部会議室にルルーシュを通したゼロは、同席を希望する幹部達に渋々ながらも許可を出していた。
扇、カレン、玉城、杉山、井上、吉田、南、ディートハルト、ラクシャータ、藤堂、仙波、卜部、千葉、朝比奈。
それにゼロとルルーシュが加わって、会議室には現在16名が座っていた。
ちなみにゼロとルルーシュは隣同士の椅子に座り向かい合って膝を突き合わさんばかりの体勢である。
それを会議机と椅子はそのままにやられているので、反対側に座った玉城や吉田達には細部までは見えていない。
「何って。‥‥‥‥ゼロに会いに来たんだが?」
「だから、何故わざわざ会いに来る?ここはゲットーで、ブリタニア人にとっては危険な場所なんだぞ?」
不機嫌な声を出すゼロの仮面を、ルルーシュは正面から見返し、一歩も譲らぬ構えを見せる。
幹部達にしてみれば、ゼロを恐れる様子もみせずに言い返し睨む少年には驚くばかりである。
「‥‥ゼロ。少し、良いだろうか?」
そこへそんな声をかけて割り込んだのは藤堂で、ゼロとルルーシュが藤堂を振り返る。
ルルーシュの表情に驚きが浮かび、目を見開くに至って、藤堂は確信し、ゼロは嘆息した。
「‥‥だから『来るな』と言ったのに‥‥」
そう呟いたゼロの声は小さすぎてルルーシュにしか届かなかった。
「‥‥‥‥‥‥なんだ?藤堂」
声をかけておきながら続きを言わない藤堂に、ゼロが訝しげな声を掛ける。
「あ、いや。‥‥その。君はその少年の事を知っているようだったが‥‥。出来れば紹介をして欲しいのだが」
藤堂は何故か言い淀んだ後、ゼロにそう提案し、カレンを見てから「君も知っているようだったな?」と声を掛ける。
ゼロは仮面の下で、ルルーシュは無表情を貼りつけた表情の内面で、藤堂の言葉に驚く。
「あ、えっと。すみません。わたしの通う学園のクラスメイト、です。後、わたしは生徒会にも所属しているんですけど、彼は副会長でして‥‥」
謝ってから、そう説明し、カレンは大きく頭を下げてから「ホントすみません、つけられていたみたいなのに気付きませんでした!」と再度謝罪する。
「カレン。今回は不問にする。今後気をつけてくれれば良い。そう気にするな」
そんなカレンにゼロは優しい言葉を掛ける、が声音は別段変わらないので感極まっているのはカレンだけだったりする。
「さて。‥‥あぁ、彼は『厳島の奇跡』として有名だから知っていると思うが、藤堂鏡志朗だ」
藤堂は「少年を紹介しろ」と言ったのだが、ゼロが取った行動は、少年に藤堂を紹介する事だったので、「あれ?」と首を傾げる者多数。
「知ってる。忠誠を誓うという四聖剣を率いて黒の騎士団に合流したのだろう?確か本人は処刑されるところを騎士団に助けられていたな」
「あぁ。四聖剣が救出を依頼してきた事も有ってな。第一お前は当時から『厳島の奇跡』には興味が有っただろう?」
「まぁ、当時の日本としては奇跡としか言いようのない戦略や戦術を用いた将だからな」
ゼロとルルーシュはそのまま「厳島の奇跡」談義に花を咲かせ始め、藤堂を含めた幹部達は唖然とする。
「ちょ‥‥っと待ってくれ、ゼロ。それにそっちの少年も‥‥えーと名前なんだっけ?」
卜部がなんとか割り込む。
「‥‥ルルーシュ・ランペルージ。アッシュフォード学園で生徒会副会長をしている事は、さっき、カレンが言ったな?」
「あぁ。あ、おれは卜部な。じゃあ‥‥ルルーシュ君は、ゼロとどんな関係なんだ?んでもって藤堂中佐の事良く知ってるみたいだけど‥‥なんで?」
卜部は気圧されそうになりながらも問いを続ける。
「ブリタニアに土をつける男。それが奇跡ではなく、実力だと判れば興味が湧いて当然だと思うが?」
疑問形で応じたルルーシュに、きつい目を向けたカレンが割り込む。
「何故?ブリタニアにとって邪魔だから?」
そんなカレンに視線を移したルルーシュはおもむろに溜息を吐いた。
「カレン。お前、仮にも生徒会のメンバーなら話もう少し聞いておいた方が良いぞ。‥‥それが雑談だったとしても、な」
「‥‥どういう事よ、それは」
「生徒会のメンバーはみんな知っているって事さ。おれがブリタニアを嫌っているって事をな。ゼロ肯定派ってのも含めて、な」
「へ?‥‥だって、あなたあいつと‥‥」
「親友だと意見まで同じでなければならないか?主義主張も?個は認めないって?誰と交流が有ろうとおれはおれ、だろう?」
カレンの言葉を遮って畳みかけるようにルルーシュは言葉を連ねると、カレンは言われてみればと思いつつも頷いた。
「‥‥‥‥そ、そうね。‥‥なら、どうして?」
「いつか、旗揚げする事があれば、招きたいと思った事はあるな。ゼロが先に行動を起こしたから、その必要はなくなったけどな」
「んー肝心のゼロとの関係聞いてないよね」
朝比奈がゼロとルルーシュとを見比べながら尋ねる。
「‥‥ゼロの素性に関わる事だから、話す気はない、って言ったら?」
ルルーシュが真っ直ぐに朝比奈を見ながら言うと朝比奈はにっこり笑顔で笑って言った。
「そんなの通る訳ないじゃないかー。君も分かってるから聞いたんだろー?」
しかし朝比奈の笑顔は一瞬の内に消失した、ゼロから放たれる殺気によって。
「‥‥朝比奈。貴様、今、ルルーシュを馬鹿にしたな?」
それまで傍観に徹していた幹部達が、椅子を蹴倒すようにして立ち上がって壁まで下がる。
名指しされた朝比奈は椅子に座ったままで固まった。
「‥‥朝比奈。とりあえず詫びておけ」
やはり椅子に座ったままだった藤堂が声を掛ける。
我に返った朝比奈が、藤堂を見返し、頷かれて「ご、ごめんね、えっとルルーシュ君?悪気はなかったんだけど」と声を掛ける。
「別に。当然の言い分だと思いますし。なぁ?ゼロ」
ルルーシュはゼロから放たれている殺気に気づかないのか、平然とゼロに声をかけている。
すると、ゼロからの殺気は薄れ、息を詰めていた者達がほぅっと息を吐き出した。
「ルルーシュは今後、参謀として騎士団に参加する事になる。お前達は言動に注意する事だな」
「なッ、ちょっと待てよゼロ。今の話のどこにそんな事が出てた!?第一なんだよ学生が参謀って」
唐突なゼロの宣言に、案の定玉城が喰ってかかる。
「このアジトに来た以上、ルルーシュは引き下がらないだろうし、この中で一番頭が良いからに決まっているだろう?」
当然のようにゼロは「適材適所という言葉を知らんのか」と玉城に言い放つ。
「待て、ゼロ。紅月にも言える事だが、彼もまだ学生だ。学校の事も、家族の事もあるだろう?」
難色を示したのは藤堂で、ゼロに抗議する。
「カレンには何も言っていなかっただろう?藤堂。お前がルルーシュを戦場に置きたくないだけじゃないのか?」
ゼロはそう言っておかしそうに笑い、幹部達は驚きよりも何故か恐怖を感じて壁に張り付いたのだった。
3に続く
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作成 2008.08.14
アップ 2008.08.28
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