04 | 2025/05 | 06 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | ||||
4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 |
18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 |
25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 |
ルルーシュは、エルとして笑顔を見せながら、内心苦虫を噛み潰して桐原を睨むのを何とか堪えていた。
全く、碌な事を言わない。
確かに、相手が藤堂と仙波だと聞いて好奇心が疼いたのがいけなかったのだろうが。(というか「どいつもこいつもゼロに無断で」と思った為だが)
そんな思わせ振りな言い方をする桐原に乗ったのが間違いだったのだろう。
桐原から「ゼロに会う為に黒の騎士団に行ってみるのも一興だぞ」なんて言われたところで、会えるわけがないのだ。
しかも桐原や二人だけならばともかく、この姿を全団員に見せるとなると抵抗もかなりある。
「ゼロ、か‥‥」
桐原の「ゼロをどう思う?」という問いに、藤堂はそう呟いたきり思案に耽る。
「桐原公は如何様に思うておられるのですか?」
その間に仙波が逆に桐原に尋ねる。
それには藤堂も興味を覚えたのか、考えを中断したように、桐原に視線を向けた。
「わし、か?‥‥そうじゃな。‥‥わしは期待しておるよ。あやつがブリタニアを倒す日を、な。待ち望んでおると言えば良いか?」
「ゼロに、それが出来る、と桐原公は信じておられる、と?」
目を見張りながら、仙波は再度尋ねる。
「そう、さな。あやつがその気でおる限り、いずれその日が来ると思うておる。‥‥その為にも大事なものはきちんと守っていて欲しいと願ってもいる」
藤堂と仙波は顔を見合わせる。
「ゼロの、大事なもの‥‥?」
「左様。‥‥あやつがゼロになっておるのも、日本の為に戦っておるのも、全てはその大事なものの為。それが無くなれば、ゼロは唯の復讐鬼になるであろう」
「‥‥唯の、復讐鬼‥‥?」
少女が、驚いたのか、桐原の言葉を復唱する。
「どうした?エルや。‥‥話が怖かったか?」
案じるように桐原は少女に声を掛けるが、少女はゆっくりと首を横に振った。
「いいえ。ですが、大切なものを失ったとすれば全ては色褪せてしまうでしょう。‥‥もしもそれが奪われたとすれば復讐に動くのは自然だと思いますわ」
少女は儚げな外見には似合わず、はっきりと言い、「それのどこがいけないのでしょうか?」と首を傾げた。
桐原は笑う。
「いけなくはないぞ。唯、わしら日本人や騎士団にすれば、ゼロが復讐鬼になってしまい、指導者を失うのは痛手、という話じゃよ」
まだ納得しきれていない少女に向かい桐原は続ける。
「エルや。主はゼロと気が合いそうじゃな。どうじゃ?直接話をしてみれば為になるやも知れぬぞ」
少女は溜息を吐いた。
「おじい様。‥‥わたくしとてナイトメアに騎乗出来るようでしたら自ら騎士団を訪ねたかも知れません。‥‥ですが‥‥」
それだけ言うと、少女は口を閉ざしてしまった。
俯いて、藤堂と仙波に見えない角度で桐原を睨むが、それを承知で桐原は笑った。
「わしの使い、と言う事で、行ってみぬか?そこな藤堂と仙波が一緒ならば手を出す輩もいるまいよ?」
面白い事を思いついたとばかりに、桐原は話を進めたがった。
行ったとしても、ゼロには確実に会えないのを承知している桐原の、それは過ぎた悪ふざけである。
「‥‥おじい様‥‥」
困った風情で、少女は桐原を呼ぶが、桐原はただ笑うだけだ。
「わしからゼロに手紙を用意しよう。それを渡せばゼロとて無碍にはするまい」
そこまで桐原に言わせてしまえば、少女はともかく、藤堂と仙波に断る術はなかった。
あくまでも控えめに拒否していた少女をよそに、こうして、少女エルの騎士団訪問が決まってしまったのだった。
桐原は書状を渡すと言って少女を伴い一度、奥へと引っ込んだ。
「‥‥宜しかったのですか?藤堂中佐。彼女も、あまり乗り気ではなかった様子ですが」
「桐原公としては、内部調査のつもりなのかもしれない。あのような少女を使うのはどうかと思うが‥‥」
二人だけになったその部屋で、仙波と藤堂はそれでも声を低めて会話をする。
「桐原公の意思が変わらぬのならば、連れて行く事になるだろうな。‥‥その時は仙波、彼女から離れるな」
「承知いたしました、藤堂中佐」
桐原の遣いとはいえ、あの少女はブリタニア人で、或いは団員の反感を買いかねない事を二人は理解していた。
───────────
作成 2008.04.20
アップ 2008.07.24
───────────
Ⅳ.ばったり遭遇「桐原+α」編 【3】桐原の独壇場(好き勝手ともいう?)
ぅわぁ‥‥‥‥桐原ってば「その日」を見ずに逝ってしまったんですよねー本編orz。
ここを書く為にと、アップ前にと読み直しながら、ほろりと来てしまいましたよ。
お茶目な桐原公は結構気に入ってたので本当に残念でしたよ。
少女の名前、初めは普通に「ルル」だったのに、それだと即バレしそうだと思ったのが間違いですね。
じゃあ頭文字とってローマ字読み「エル」にしよーと何の気なしに決めちゃって......。
よくよく考えてみれば(そこまで考えないと気付かなかったのかと自己ツッコミいれつつも)
シュナ様のミドルネームじゃないか.....orz
そんなつもりは全然毛頭なかったんですけどねー‥‥^-^;;
あとがきになっていなさそうですが、てことで騎士団に乗り込み決定!です(ぇ