04 | 2025/05 | 06 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | ||||
4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 |
18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 |
25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 |
コーネリアはユーフェミアとその騎士とをセシルに任せ、ロイドについてくるように言ってギルフォードを従え部屋を出た。
「義兄上はなんと仰っている?」
「シュナイゼル殿下はですねー。コーネリア殿下が合流した後はコーネリア殿下の指示に従うようにーっと仰ってましたよー」
「‥‥ユフィの名前返上の件については?」
「う~ん。それについては殿下も参っているみたいですねー。『直接皇帝に話を通されてしまっては白紙に戻す事も出来ない』って蒼い顔してましたー」
そう言うロイド自身は全然顔色を変えたりしていないので、信憑性に欠けるものはあるが、コーネリアは「そうか‥‥」と頷いた。
「コーネリア殿下はゼロが宣言した『合衆国』をどうされるおつもりですかー?」
「独立国など認めない。ゼロを抑えて廃止させるか『行政特区』にまで引きずり落としてくれる」
ギッと宙を睨みすえて、コーネリアはそう宣言した。
「‥‥それー、やめておいた方が良いですよー?」
「貴様。姫様に意見する気か?」
「ですがねー、ギルフォード卿?日本人達は今回の件で、『行政特区』が持つ欠点を数多く見つけてしまってますよねー。成功しませんって」
「ならば『合衆国日本』など潰すまでだな」
「ですからー。それをしたら、ユーフェミア殿下の宣言しようとした『行政特区』まで否定する事になりますよー?」
ロイドの言葉はあくまでものんびりとしていて、その実内容は辛辣だった。
「‥‥ならばアスプルンド伯はどうせよ、というつもりか?」
「まずは騎士団との講和、ですかねー?あちらは既に独立宣言しちゃってますから、今後はテロリストとしてじゃなくて一国として扱う必要があるかなーって」
意見を求められたロイドはそう言ってへらりと笑う。
「馬鹿なッ!黒の騎士団のこの暴挙と共にこれまでの事まで不問にしろとでも言うつもりか?」
「ですがねー。『行政特区』としてとはいえ、『日本』を認めるような発言を皇族の立場でしちゃってますからねー。まずは話し合いしないとまずくないですかねー?」
コーネリアとギルフォードはロイドの言葉が正しい事を認めてしまい押し黙る。
「それに、ほらー。黒の騎士団とゼロに呼びかけておいて、やってきたら騙まし討ち~って件も残ってますしー。謝罪も必要なんじゃないですかー?」
続けるロイドの言葉はそれもまた正論だった。
確かに、騙まし討ちがまかり通ると思われたままではこの先、ブリタニアとしての外交全体に大きな影響を及ぼしかねない。
それはエリアの総督としては見過ごしてはならない事だとコーネリアは「くッ」と喉を鳴らす。
「‥‥それは貴様の意見か?それとも義兄上の?」
「シュナイゼル殿下は何も仰って無かったですよー。ユーフェミア殿下の名前返上の件が相当堪えてらしたみたいでしたしー」
ロイドは腐れ縁というべき学友を思って嘆息する。
基本的に弟妹に優しい兄なシュナイゼルは、弟妹に降りかかる災いの報せには弱いのだ。
クロヴィス殿下暗殺の時には顔を見る機会はなかったが、やっぱり蒼い顔をしていただろうとロイドは思っている。
「‥‥しかしッ。ゼロが義弟クロヴィスを暗殺しているのは事実。それまで不問にせよと言うつもりか?」
そして目の前にいるコーネリアもまた、弟妹には優しい姉であり、仇をなす者には当然厳しくなるのだ。
「それはー。交渉で何とかするしかないんだと思いますけどー?こちらにだって報復しようとして周囲巻き込んだ弱みがありますしー?」
コーネリアの考える案はことごとくユーフェミアのおこないによってロイドに却下されまくる。
厄介な事だとは思っていたコーネリアだったが、事ここに至ってその度合いがかなり重いのだとの実感を伴った。
「くッ‥‥しかし。講和ともなるとわたしの一存では決められない。‥‥義兄上にも相談し、場合によっては皇帝へも話を通す必要が生じよう‥‥」
「大変ですねー。殿下でしたら、ユーフェミア様の『特区宣言』が危ないものだと理解されておいでだったはずですよー?何故許可を?」
ロイドに問われて、コーネリアは己の甘さを呪う。
確かに穴は色々とあるとは思っていたし、ダールトンにも早急に詰めるようには言っていた。
だが、まさか開始の日に、宣言すら出来ずに終わるとはコーネリアにすら予想できない事だったのだ。
もしも総督として許可をしなければ、コーネリアは「副総督であるユーフェミアを罰しなければならない」と言う心理が働いたのも事実だが。
「一度皇族として宣言して希望を持たせ、すぐに撤回するなんて人心を惑わすにも程がある」との非難を受けさせるには忍びないとも思ったかもしれない。
しかし、「或いはその方がマシだったのではないか」とコーネリアは今更ながらに思うのだった。
「‥‥どうするにしろ、ゼロにはそれなりの罰を受けてもらうぞ」
コーネリアの宣言には自嘲の色が混じっていた。
───────────
作成 2008.06.27
アップ 2008.07.22
───────────
「おれを撃て」【15】「アヴァロン」にて、コーネリア+ギルフォード+ロイド。
援護射撃しまくるプリン伯爵がいる.....。
まぁ、この流れだとこんな会話もありかなぁと思いまして。
でもネリ様が意外に頑なになってます、やっぱり姉ですねぇ?
ロイドの言葉を認めながらも何とか打開策がないかと模索してるっぽいです。