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※「説明Ⅰ」の続きです。
「他に質問は?」
和らいだ空気の中、カレンは幹部達を見回して尋ねる。
「‥‥カレンはゼロの正体を知っているのか?バリバリの敬語だったのが、さっきから、何気にタメ口なんだけど?」
カレンは「さっきも言われた事だったのに」と反省しながらも、頷いた。
「‥‥‥。そ、そうね。だってゼロの大切な人が学園の人だったでしょ?で、その人の事知ってるからわかったって言うか‥‥」
「「「教えろ。‥‥ラクシャータでも良いけど」」」
幹部達は揃ってカレンとラクシャータに詰め寄った。
「あらぁ?わたしは言う気はなくってよぉ。下手な事言って怒られるの嫌だものぉ。知ってると思うけどぉ、怒るとすッごく怖いからねぇ」
「ちょッ‥‥ラクシャータ!?怒られるって、‥‥ゼロに?」
説明しておくようにカレンに指示を出したのはゼロなのに、それで怒られるのかとカレンは驚いた。
「う~ん。そーねぇ。ゼロにもだけどぉ。ゼロの事がとぉっても大切な、ゼロの大切な人にだけは怒られたくないわねぇ」
しみじみと語るラクシャータの顔色はどこかしら悪い。
「え?ちょッ‥‥それって真面目に?」
人物像に当てはまらず、カレンは混乱する。
「もちろんよぉ。お互いに、お互いの事が大切で見ているだけならとぉっても微笑ましいのよねぇ。確かに。‥‥見ているだけならねぇ」
最後にポツリと付け足したラクシャータに、逸らされたその視線に幹部一同慌てる。
「「「「ら、らくしゃあた?」」」」
カレンもまた慌てた。
「ら、ラクシャータ。真偽はすっごく気になるんだけど、それ以上はストップ。ゼロの大切な人よりも先にゼロがキレるわ。今はまずいのよそれも」
仙波と千葉はカレンが止めた理由を正確に把握して、頷く。
メカオレンジがいる以上、ゼロの怒りがそのまま発動に繋がりかねないのだ。
「まずいってぇ?」
「禁句男よ。さっき会って来たんだけど、あれはゼロ至上ね。ゼロの事を悪く言っても、ゼロを怒らせても暴走するわよ」
「お、おい。敵になるんじゃなかったのか?」
「それは禁句を言った時だけ。実際さっきも暴走してたけど、一部屋滅茶苦茶にしてたわよ」
「あらぁ~。それは大変ねぇ。ゼロとゼロの大切な人に対する言動にはかぁなぁりぃ、気をつけた方が良いって事ねぇ」
「あなたもよ、ラクシャータ。ゼロの大切な人がラクシャータの言うとおりなら、ゼロは気付いてないわよ、確実に。暴露したなんて知られたら‥‥」
「ゼロってばぁ、まぁだ気づいてなかったのねぇ。昔から少し鈍いところがあるとは思っていたけどぉ。それとも大切な人の方が一枚上手なのかしらぁ?」
ラクシャータは顔色が少し悪い以外は変わらず、口調もいつもどおりのんびりとしたものだったが、カレンの口調は固い。
仙波と千葉はその「ゼロの大切な人」を藤堂が運んだ事を朝比奈からも聞いていたので、少し蒼褪めた。
幹部達は「ゼロは一体、どんな相手に引っかかってるんだ!?」と困惑を隠せない。
そこへ足取りの覚束ない様子でディートハルトがやってきた。
「なっ。ディートハルト、なんでここに?さっきからフラフラと。任せてたはずよね?」
目敏く見つけたカレンは、ディートハルトに抗議する。
「紅月君。頼みますから代わってくれませんか?‥‥わたしには‥‥あれ以上あの場所に留まるのは、無理です!」
全面降伏する勢いで、ディートハルトはカレンに縋る目を向けた。
さっきまで聞いていた話が話だっただけに、幹部達はディートハルトから少し距離を置く。
「ディートハルト‥‥。あんた、一体誰に何を言って誰を怒らせたのぉ?」
ラクシャータは呆れた様子でディートハルトを見る。
「わたしはッ!‥‥ゼロがジェレミア卿のところへ行った事と、ゼロの頭痛と耳鳴りが彼のせいだと言っただけですッ!」
「それは仕方ないわねぇ。どうせ、『オレンジの分際で、ゼロを苦しめているなんて』とかってぇ流れになったんでしょぉ?」
ラクシャータの言葉に、ディートハルトは目を見張ってラクシャータを凝視する。
「で、出だしは一言一句その通りですが、何故それをッ」
「お嬢ちゃん。ゼロがここに来てないのってぇ、てっきり会いに行ったんだと思ってたけどぉ?どぉこ行ってるのぉ?」
「‥‥枢木のところ、よ。閉じ込めて放置したって聞いたら、『まずはそちらか』って」
「あららぁ。知らないわよぉ。ゼロの大切な人から、敵と見做されたわねぇ、オレンジと枢木はぁ?」
「え!?どうして?」
「『まずは』って事はぁ。ゼロは大切な人のところへ行く予定だったってぇ事よねぇ。その予定がずらされたんだから当然でしょぉ」
ケラケラと笑うラクシャータの顔色はやっぱり少し悪く、最早笑うしかないとでも言う感じに見えた。
「‥‥‥‥そ、そんなに危険なのか?その、『ゼロの大切な人』とやらは‥‥」
千葉がなんとか声を絞り出すように疑問を口にする。
「‥‥‥‥‥‥それは、知らない方が幸せになれるわよぉ」
ラクシャータはさりげなく視線を逸らして遠い目をしながらポツリと呟いた。
「え、えーと。質問が終わりならわたしは‥‥『ゼロの大切な人』のところへ行くけど。‥‥勿論一緒に行きますよね?仙波さん、千葉さん」
キッとディートハルトを睨んでから、幹部を一瞥し、最後に仙波と千葉を顧みてカレンは言う。
藤堂からカレンと同行するように言われている二人には、是と答えるしかなく、揃って頷いたのだった。
了
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作成 2008.04.30
アップ 2008.07.25
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説明Ⅱ ラクシャータの説明。メンバー+1。
説明(Var.ラクシャータ)です。
なんというか、ラクシャータとカレンによる恐怖の植付け大作戦っぽくなってますが。
先入観持ちすぎで、実際にナナリーを見たら驚く事でしょう。
ディートハルトだけは先に姿みちゃってますけどね~。どちらがマシ?