★弥生様へのリクエスト作品★
(ルルで双子で黒の騎士団/ルル≠ゼロ)
「‥‥‥‥あ、あの、ゼロ?どうして藤堂さんがルルーシュをって思うのですか?会うのだって初めてなはずなのに」
ゼロの言葉に引っかかりを覚えたカレンが躊躇いがちに尋ねる。
「‥‥初めてではないと思うから言っている。過去にニアミスくらいしていたってわたしは驚かん」
ゼロはそう言って藤堂に仮面を向けると珍しくも藤堂は視線を逸らせた。
その動作を見た者の目には、ゼロの言葉を肯定しているようにしか見えない。
「‥‥‥‥藤堂中佐?本当に初対面ではないのですか?」
仙波がそんな藤堂に対して気遣わしげに問いかける。
「‥‥あぁ。以前。‥‥面識はある。また会えるとは思っていなかったが‥‥再会を嬉しく思う」
視線が集まり観念したのか、そう言ってからルルーシュに向けて笑みを見せた。
「‥‥おれも、ですね。処刑されると聞いた時は驚きましたから。無事で良かったです」
ルルーシュもまたそんな藤堂の笑みに誘われるように笑みを見せた。
「ぅ~ん?なぁ、ゼロ。お前が藤堂中佐の救出を承諾したのってもしかしてルルーシュ君の為だったりするのか?」
卜部がかなりの渋面を作りながらゼロに尋ねる。
「ふッ。半分はな。‥‥ルルーシュの事がなくても引き受けていたのは間違いないがな。その為の月下だ。‥‥そう言われるのは嫌か?」
「嫌って言うか納得したって言うか。今藤堂中佐が無事なんだから、文句はないかなぁ、おれは」
卜部はそう言うと同じ四聖剣を振り返って「どうよ?」と視線を向ける。
「同感。て事はもしかしてルルーシュ君がゼロに頼んでくれてたりしたのかな?」
「わたしにルルーシュの望みが判らないとでも言う気か、朝比奈?」
再び朝比奈に氷の言葉を投げるゼロに一同が固まる前にルルーシュが口を開く。
「その割には、『アジトには来るな』とか、『忙しくて戻れない』とかそんな事ばかり言われていた気がするんだが?」
「だがルルーシュ。ここはゲットーにあるからブリタニア人であるルルーシュが来るのは本当に危険なんだぞ」
首を傾げて問うルルーシュに、「あの」ゼロが少し慌てたように反論と言うか言い訳を口にする。
「だが、カレンは来ているよな?」
「カレンは身を守る事が出来るが君には無理だろう?途中で何かあったらどうする?」
カレンは自分を信じてくれているゼロの発言に感動し、確かにルルーシュだと無理よねぇと納得する。
「‥‥なら『忙しくて戻れない』と言うのは?」
「それはッ‥‥どこぞの愚か者が無駄遣いなんぞをしてくれるから、いらぬ作業が増えてだな‥‥」
ゼロは慌てながらも名指しにはしなかったと言う事に、幹部達は気づいた、一人を除いて。
「ッてめ、ゼロ!おれ様のせいだってのかよ、ぉい!!大体愚か者ってのはなんだよ!えぇ!?」
そしてその一人は、ゼロの折角の配慮を自ら台無しにしてしまう。
「ゼロ。君が大変なのは良くわかった。やはりおれも騎士団に入れて貰う。良いよな?」
「ちょっ‥‥妹はどうするのよ、あんた!あんたがここで捕まったりなんかしたら妹にだって迷惑かかるでしょうがっ!」
さらっと話を進めるルルーシュに、カレンが憤って口を挟む。
兄なのに、妹を放って危険な事をしようとするルルーシュに腹を立てたのだ。
「あの子には既に言ってある。『おれはゼロを助ける』ってな。今頃は会長がキョウトに連れて行っている頃だろう」
「会長が!?てかどうしてキョウトに?」
「キョウトの皇と桐原公はルルーシュ達の事を知っているからな。‥‥そうだろう?藤堂」
驚くカレンにゼロが平然と応じ、藤堂に振る。
「‥‥あぁ。それを君が知っている事の方が驚きだが、ゼロ。おれは、桐原公と旧知と聞いた時点でゼロはルルーシュ君ではないかと思ったくらいだ」
藤堂の今更の言葉に、四聖剣も他の幹部達も驚く。
「あながちハズレではないですよ、藤堂さん。‥‥桐原公はゼロがおれ達の関係者だと判ったからこそ仮面を取らない事を認めたのだから」
ルルーシュの言葉に、なんだか納得しかけた一同は同時に首を傾げてしまう。
「ちょ‥‥それってゼロの顔見ただけでルルーシュ達の関係者って判るって事?‥‥顔が似てる、とか?」
ルルーシュに一番馴染みのあるカレンが疑問を口にする。
「‥‥好きに解釈すれば良い。わたしは仮面を取らないし、ルルーシュとの関わりについて何かを言うつもりもない。それと、ルルーシュの入団は認めて貰うぞ」
「「ゼロッ!」」
藤堂とカレンの咎めるような呼びかけの声が重なる。
「ルルーシュの妹は既に移動済みだ。ルルーシュが学園に戻っても、誰もいないと言う事だな。いるのは‥‥白兜のデヴァイサーか?」
ゼロの言葉に藤堂とカレンはハッとする。
「ルルーシュ君。君はスザク君とは仲の良い友達だったはずだ。‥‥なのに何故ここに」
藤堂の言葉に、警戒の色を見せる幹部達をよそに、カレンが首を振って反論した。
「藤堂さん。ルルーシュは確かにスザクを親友だって言ってたけど、最近はゼロ批判をするスザクと意見が正反対だから対立してるわ」
「おれはスザクよりもゼロを取る。それだけです、藤堂さん。あいつはユーフェミア皇女殿下の騎士になった。道は完全に分かたれたんですよ」
溜息と共に吐き出された言葉は、どこまでも悲しく聞こえ、幹部達の警戒はやるせなさに変わった。
「嘆くな、ルルーシュ。あの愚かな偽りの騎士には落とし前はつけさせてやろう。‥‥それにわたしがいるだろう?」
ゼロはルルーシュの両手をしっかりと握り元気付けるように言う。
「うーん。なんだかゼロってルルーシュ君の為に動いているように聞こえるんだけども?」
卜部がそんな雰囲気に居た堪れなくなったのか、つい言葉を紡ぐ。
「‥‥わたしがゼロになったのは、『優しい世界を望む妹の願いを叶えたい』と言うルルーシュの願いを叶える為だ」
回りくどく言うゼロだが、ようするに卜部の言うとおりだといったようなもので。
「どうしてゼロが代わりに叶える為に行動を起こすんだ?」
「まぁルルーシュってのは学生だから無理だとしてもなぁ?」
「ホントに一体どんな関係なんだ?ゼロとルルーシュってのは」
そんな事をひそひそと囁きあう幹部達に、ゼロは溜息を吐いた。
「昔の話だ。わたしもルルーシュもまだ本国にいた頃。幼いルルーシュに『騎士になってやる』と約束した男がいただけの事」
「男って年でもなかっただろう?第一美化しすぎだ、それは」
ゼロの昔語りに、ルルーシュがツッコミを入れる。
「待て。騎士とは皇族にしかつかないのではなかったのか?」
「わたしが仕えても良いと思ったのは後にも先にもルルーシュ唯一人。皇族がどうのとかいう形式なんて知った事か」
言い捨てるゼロに「あぁ、ゼロならそういうだろうな」と納得してしまった。
4に続く
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作成 2008.08.22
アップ 2008.08.29
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