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藤堂はふと作業の手を止めて、窓の外に視線を向けた。
外は既に茜色に染まって暫く経っている。
俗に言う夕方だし、もう少しすれば、夕日が沈んで夜が来るだろう。
しかし今日はまだゼロが来ていない。
あの日以来、ゼロは言った通り、早い時には昼休憩が終わり午後の作業を始めて暫くくらいには着いていた。
遅い時にでも、空が茜色に染まり、夕日が地平線にかかる前にはやって来ていたのだ。
視線を室内に戻すと、朝比奈と扇がやって来るのが見えた。
「藤堂さん。ゼロ、まだ来ませんよ。どうしたんでしょうね」
朝比奈が声を落として尋ねる。
「‥‥わからん。‥‥日が沈むまで待って、それでも来なければ、連絡を入れてみた方が良いかもしれないな」
藤堂は難しい顔をして応じる。
ゼロならば、不測の事態が起きれば、連絡してくるくらいしそうなだけに、余計に不安になるのだろう。
「わかった。‥‥後一時間経ってまだ来ないようなら連絡してみる」
扇も真剣な表情で頷いた。
しかし、事はそれ程簡単な事ではなかったのだ。
結局ゼロは日が沈みきっても姿を現さず、時間になった為に連絡を入れてみた扇は繋がらないままコールを切る羽目になったのだ。
藤堂はゼロの私室を訪れ、ノックする。
いないかも知れないとも思ったが、暫く待った後、扉が開いてC.C.が顔を出した。
「どうした?藤堂。‥‥アイツならいないぞ?」
「知っている。まだ来ていない。‥‥連絡すら取れないのだが、‥‥連絡手段は有るだろうか?」
藤堂の言葉に目を細めたC.C.は、「なんだってわたしが‥‥」と言いながら取り出した携帯でコールを掛けた。
携帯を耳にあてたまま、C.C.は眉を寄せると、空いた片手で藤堂に待てと示すと、部屋に入って行った。
藤堂は扉にロックがかかる音を聞きながら、眉間に皺が寄るのを感じていた。
待つ事しばし、‥‥いやかなり。
出て来たC.C.は藤堂を無視して通り過ぎようとした。
「待て、C.C.。どこへ行く?」
慌てた藤堂が声を掛ける。
「どけ。‥‥あぁ。そう言えば、アイツの事を聞いていたか‥‥。そうだな、二日程来れない。表でトラブルだ」
足を止めて藤堂を振り返ったC.C.は、再び足早に歩き出した。
渋面を張り付けた藤堂が後を追う。
「待て。連絡がついたのならば、それをみんなに」
「本人は出なかった。‥‥だから言ったろう?トラブルだと。急いでいるのだ。ここは任せる」
言うなり、C.C.は走り出した。
納得していない藤堂は、少し遅れて後を追いかけた。
アジト内で走ったところを見た事のない、いつものんびりと構えているC.C.が走る姿に驚いた団員は茫然と少女を見送った。
しかし、その後をやはりアジト内で走ったところを見た事のない、どっしりと構えている事の多い藤堂が追いかけて行ったとなると話は別だった。
ゼロについて聞きに行っていた事を知っている朝比奈と扇は驚いたが、ゼロに関する事で何か有ったのだと悟り、即座に藤堂の後を追いかける。
朝比奈までついて行った事に更に驚いた残りの四聖剣が続く。
更に遅れて残りの幹部が続き、果ては平の団員までがわけもわからず後を追う始末だった。
ラクシャータは一人、遠目にそれをのんびりと見ていた。
しかし、平の団員は格納庫の入口で止まってしまう。
入口を出たすぐのところで、元扇グループだった幹部達(-扇)が立ち止まっていたからである。
元扇グループの幹部達もまた最初の角で四聖剣(-朝比奈)が止まっているのを見て立ち止ったのだが。
更に言えば、四聖剣の三人もまたまた、その先で朝比奈と扇が戸惑った様子で立ち呆けているのを目にして止まってしまったのだ。
「朝比奈。‥‥それに扇さんも。‥‥一体何が有ったんだ?」
いつまでも茫然と見ているわけにもいかず、暫くの後、気を取り直した千葉が二人に近づきながら声を出す。
その声にやっと気づいたのか、朝比奈と扇が驚いたように千葉を振り返る。
千葉の後ろに仙波と卜部が、更にその後ろに玉城や井上達が、ぞろぞろと顔を見せ始めていた事に、二人は驚いた。
「扇さん。みんなを戻さないと、騒ぎが大きくなったら見つからないとも限らないし」
「‥‥そ、そうだな。‥‥ここは、‥‥任せて良いかな?」
「はい‥‥。そっちは頼みます」
どちらもが引き攣った表情で言い合い、扇は四聖剣の横を通り過ぎながら、「お前等良いからアジト内に戻れ」と他の幹部と平団員に声をかけた。
最後に玉城が文句を言いながらもアジト内に消えると、その辺りはシンと静まり返った。
「それで?朝比奈。藤堂中佐は何処に?」
ゆっくりと朝比奈に近づいた仙波が、有無を言わさぬ迫力で訊ねる。
「‥‥そこの路地‥‥です。‥‥えーっと、立ち尽くしている、と言うか‥‥」
朝比奈は困惑気味に先程まで扇と一緒に見ていた路地を指し示しながら応じた。
「中佐はC.C.を追っていたはず。C.C.もそこに?」
千葉が訝しげな表情で更に問いかける。
「いや‥‥いたら、藤堂さんだって立ち尽くしてたりなんてしませんって」
朝比奈が首を振って応じた時、バタバタと駆け寄る足音が近づいて来て、団員が一人顔を出した。
「朝比奈さんッ。扇さんがすぐに戻ってくれって。‥‥ディートハルトさんが第二会議室に入ったって」
「げッ‥‥。こんな時にッ。‥‥藤堂さんッ、聞こえましたか~。大変ですから、戻りましょう」
小さな声で呻いた朝比奈は路地に向かって声を投げた。
「入ったのはディートハルトだけか?」
路地から出て来た藤堂が、団員に掛けた声は、かなり低かった。
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作成 2008.02.24
アップ 2008.02.28
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ひな祭り 【4】不明。騎士団にて(藤堂、朝比奈、扇、C.C.)
内容は....シリアスっぽいのにギャグ仕立て?
トラブル発生....てか普通に行事当日にまで進めないのか?
これで間に合うのかも凄く不安....(汗
しかも続けてゼロ(ルル)が出てこない.....。