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ピルルルルー
受信音が鳴り、ゼロが携帯を取り出す。
「表だ。暫く黙っていてくれ」
ゼロは言い、手を伸ばしてから通話ボタンを押した。
『ルルルルルルルル~~。今どどどどこにいいいいるんだぁあ~~』
裏返りまくった声がスピーカーにしているわけでもないのに、藤堂の耳にも入って来た。
「‥‥リヴァルか。‥‥人の鼓膜を破る気か?少しはトーンを落としてくれ」
『あれは一体、どーいうことだよ、ルルーシュ。何で担任が、担任が勝手にお前達が転校したなんて言うんだぞ~~。どーなってるんだ?』
「やむを得ない事情が‥‥」
『なんだよ、それは。ミレイ会長も留守だし、なんだってこんなタイミングで居なくなるんだ?スザクも来ないし、カレンさんも休みだし‥‥』
「本国に戻るんだ。‥‥ていうより戻されると言うか‥‥とにかくもう時間がないんだ。会長にはすまないと謝っておいてくれないか」
『なんだよ、それは。おれには一言もないってのか~?』
「悪いなリヴァル。出来るだけ早くケリをつけて、また戻れるように努力はするつもりだ」
『‥‥ルル、いつから知っていたんだ?いつから黙ってた?』
「一昨日、だ。‥‥おれもいきなりの話だったから、ナナリーの説得と、心の準備だけで手一杯だったんだ‥‥。すまないなリヴァル」
『ぅ‥‥。そ、それなら、仕方がないけど‥‥。その、他のみんなには‥‥』
「会長には連絡を入れるよ。‥‥他は落ち着いてから、連絡しようと思う。‥‥だから」
『わーった。なら、おれは納得したし、戻ってくるの待ってるからさ。ちゃんと連絡してやれよ。‥‥あ、おれにもまた連絡くれ』
「わかった。‥‥じゃあな、リヴァル」
結局ゼロは腕を伸ばしたまま会話をしていて、藤堂は相手の声まで拾う羽目になった。
ゼロは通話を切ってから、溜息を吐き、藤堂を見る。
「‥‥もう一本、電話を入れる」
と断ってからコールする。
「会長、おれです」
ゼロの声に、藤堂は相手がミレイ・アッシュフォード、つまり騎士団に来ている人物である事に気づいた。
「いえ、経過報告をと思いまして‥‥。キョウトとは話がつきました。三日後、黒の騎士団を護衛につけてくれるそうです。合流の手はずを」
今度は相手の声は聞こえてこず、藤堂は黙ってゼロの言葉を聞いているだけだ。
「‥‥そうですか。流石ですね、仕事が早い。ではまた連絡を入れます」
既に合流を果たしている事に、彼等を褒めたのか、騎士団を褒めたのか、それとも桐原の行動を褒めたのか。
「‥‥リヴァルからならおれも連絡を貰いましたよ、先程。‥‥でも、仕方が無いですし‥‥お小言なら後で幾らでも。では会長、頼みます」
通話を切るとゼロは再び溜息を吐いた。
「‥‥ゼロとは別に、行動をおこしているルルーシュ・ランペルージを演じているのか?」
「そうだ。ミレイとロイドには悪いが‥‥」
「それで良いのか?騎士にとまで望んでいたのならば、希望が断たれれば後を追うかも知れないのだろう?」
「ミレイも、ロイドも‥‥おれを裏切らないだろう‥‥そう思っている一方で、裏切られるかも知れないと恐れているおれが存在している」
「‥‥それは、‥‥おれや、紅月に対しても、か?」
「カレンは‥‥ゼロにはついてくるだろうが、ルルーシュの事は嫌っているからな。バレれば離れていくだろう。‥‥お前は‥‥」
カレンがルルーシュを嫌っていると聞いて驚いた藤堂だったが、藤堂自身への評価が気になってスルーする。
「お前は一度口にした事は、違えないだろうとは思っている。‥‥だが‥‥」
言い淀んだゼロは、フッと自嘲気味に笑う。
「これではトラウマだな。信じても、いや、信じた先から裏切られていく‥‥。望んだものはおれの手からすり抜けていく‥‥」
それは、信じた相手の裏切りが有ったからであり、その事が深くゼロの心に傷を作っているのだ。
「では何度でも誓おう。おれは君を。ゼロを、ルルーシュを、裏切らない。傍にいて支えたいと思う」
藤堂は真摯な表情で告げる。
「‥‥すまないな。疑り深くて」
「構わない。‥‥だが、君の騎士にと願っている三人に、君の死に絶望させないであげてくれ。彼等だけにでも真実を」
「カレンはおれの正体をまだ知らないからな。‥‥時間はないが‥‥考えておこう。‥‥ありがとう、藤堂」
ゼロは、苦笑でカレンを評し、それから思案気に応じてから、照れたのかソッポを向いて礼を言った。
「‥‥そういえば、何故、おれには話してくれているのだ?」
「誰か一人くらいは知っておいて欲しい、と思ったせいだろう。藤堂には四聖剣の説得を頼むつもりだったしな。どうやら必要なくなったようだが」
「あまりいじめないでやってくれ。奴等は奴等なりに懸命だ」
藤堂は悔しそうにしていた四聖剣を思い出して庇う。
「知っている。‥‥あれらはお前から離れないだろう?離す気もないしな」
さらりとゼロは肯定していた。
「では何故。かなり憤っていたぞ」
藤堂は訝しげに顔を顰めて見せた。
「‥‥まぁ、当然だろうな。おれが‥‥。わたしが四聖剣の言葉を疑ったとでも取ったのだろう」
ゼロは、一人称が変わっていた事に、今更気づいたのか途中で言いなおす。
「おれを助ける、見返り、か?」
「そうだ。‥‥だが、わたしは嫌々従わせるつもりは微塵もない。四聖剣を藤堂から引き離すつもりも。だから再度訊ねた。‥‥仙波には悪い事をしたようだが」
「おれは奴を知っているからな。‥‥ゼロ、礼を言う。それと、あの時は試すような事を言ってすまなかった」
苦笑を洩らすゼロに、同じく苦笑を浮かべて藤堂は応じ、それから笑みを引っ込めてから詫びる。
「気にしていない。‥‥そうそう、四聖剣には、キョウトまでのルートについて話していたとでも言っておいてくれ。詳細はここに」
ゼロはそう言うと一枚のファイルを藤堂に差し出し、藤堂はそれを受け取った。
「一読後、質問がないようならば、出発までに四聖剣に指示を。ナイトメアフレームは月下四機とサザーランド一機を予定している」
「サザーランド?それは誰が乗るのだ?」
「‥‥その気が有るならロイドが乗るだろう。‥‥まぁ余程の事でもなければその気にはならないだろうが。ミレイと咲世子さんも乗れるはずだし」
ゼロは当然のようにスラスラと言ってしまうが、藤堂は驚く。
「‥‥咲世子と言う日本人については聞いていなかったが‥‥?」
「あぁ。咲世子さんにはナナリーの世話をしてもらっている。ナナリーが騎士にするかどうかを検討していると言っていた」
「ディートハルトのスパイモドキなのだろう?」
スパイモドキに大事な妹を預けるのか、と藤堂は驚きと訝しみを持って訊ねる。
「表向きは、な。‥‥だが、真実探られて痛い腹は報告していない。‥‥ランペルージの素性とか、はな。あれは他の侵入を防ぐ防波堤でもある」
「‥‥二重スパイと言うわけか?」
「そうなるな。流石にそうでもなければ、ディートハルトまで関わりがあるとは気づけまい。全く油断も隙もない連中が多すぎるからな」
ゼロはそう応じてから、再び人差し指を口元へ持って行った。
「失礼しま~す。藤堂さん、ラクシャータが月下の調整をしたいから呼んで来いって言ってます」
藤堂がゼロを見ると頷くので立ち上がって扉に向かう。
藤堂が扉を開けるのを見計らってゼロが声をかける。
「では藤堂、後は任せる」
「わかった。ゼロも気をつけてくれ」
藤堂はそう返すと扉を閉めて朝比奈と共に格納庫へと向かっていった。
一人になったゼロは、仮面を外すと再び携帯を取り出す。
暫く携帯を見つめた後、コールする。
『は~い。どなたですか~?』
「‥‥ロイド。今、何処だ?」
『ちょ、‥‥ちょっと待ってくださいね~、我が君』
珍しく慌てた声の後、移動しているらしい音が聞こえる。
『助かりました~。もう少し遅かったら仕事場に着く所でしたよ~。‥‥やっと声が聞けた~』
「‥‥泣いているのか?」
ルルーシュは驚いた様子で訊ねる。
『ずっと待っていたんですよ~、ぼくはー。貴方が亡くなったと、そう聞かされた時から。‥‥何度後を追おうと思った事か‥‥』
感極まって泣いている様子が電話越しでも察せられて、ルルーシュは居心地の悪い思いをする。
「‥‥それはおれを責めているのか?不甲斐無い相手を選んでしまったと?」
『違います、殿下。‥‥ただ、お守りできなかった我が身を情けなく思って‥‥』
とんでもないとばかりにロイドは慌てて否定する。
「‥‥ナナリーには会ったな?ならばおれの今の名前も分かっているな?」
『はい、ルルーシュ・ランペルージ、ですね?』
「‥‥‥‥。そうだ。数日中に訃報が耳に入るはずだと、事前に知らせておいてやる」
『なッ‥‥‥‥。一体ッ』
「知らずに聞かされれば後を追いかねないと言われたから、今の内に知らせておく。箱庭を出ただけでは、調査の手は緩まないだろうからな」
『そんな‥‥フリだけで諦めるような相手ではないことくらい、貴方ならお分かりのはず。‥‥まさか本当に』
「フリだけだ。‥‥精々盛大にニュースを騒がせてやる。そうすれば少しは諦めもつくだろう?」
ルルーシュは言って、計画を話し始めた。
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作成 2008.01.15
アップ 2008.02.24
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ナナリーin騎士団【5】ゼロの私室にて電話対応。
リヴァル手当たり次第か....こちらにも電話です。
その後ミレイに掛けるルルですがこの辺の時間の流れが合ってなさそうな...(汗
スザクの所業に傷心のルルが可哀想...。
もっとちゃんと慰めろ~藤堂!とか思っても、これが限界です;;