★零夜様へのリクエスト作品★
(ルルーシュ騎士(カレン、藤堂)話でスザク糾弾?)
「おめでとう、スザク」
ナナリー主催の騎士就任パーティの会場で、ルルーシュはスザクにそう言った。
「ありがとう、ルルーシュ」
スザクははにかみながら嬉しそうに応じた。
「‥‥これからは会えなくなるだろうけど、頑張れよ、スザク」
しかし、続けられたルルーシュのその言葉に、スザクの表情が笑顔のままで固まる。
「‥‥‥‥‥‥‥‥え?」
何故そんな事を言われるのか判らないと言った様子で訊ね返したスザクに、近くにいた生徒会メンバーが呆れた。
「『え?』じゃないだろー?スザクさんよぉ」
リヴァルが呆れ口調のままで言うが、スザクはやっぱりわかっていない様子で戸惑いを見せている。
「あー、リヴァル。そんな事をここで言うもんじゃないわよ。他の目も有る事だし?場所変えてからにしなさいね」
ミレイが人の目を憚ってこっそりと注意し、生徒会メンバーはそれに頷いた。
それでもやっぱり戸惑ったままのスザクにルルーシュは軽く溜息をついてから、身振りで移動するようにと伝え先に立って歩き出した。
ルルーシュに続き、スザクが、そしてリヴァルとカレンとニーナが続く。
近くにいなかったシャーリーを探し出したミレイは「シャーリー、ちょっとここ頼むわね~」と声をかけてから後を追った。
「さてっと、スザク。本当にわからないのか?おれの言った事」
結局会場を離れ、生徒会室に戻って来てから、ルルーシュはスザクにそう尋ねた。
「う、うん。どうしてもう会えないなんて‥‥」
「だってスザク君、ユーフェミア様の騎士になったのでしょう?」
戸惑いつつも頷くスザクに、ニーナが言う。
「うん、そうだよ」
「お前さ?それがどういう事なのか、わかってるよな?勿論」
今度はキッパリとスザクは頷くがそれに呆れたリヴァルが確認を入れる。
「うん、わかってるよ」
「悪いけど、わたしにはそうは思えないわ。本当に分かっているのなら、ルルーシュの言った事がわからないなんてはずないもの」
決意を込めて頷くスザクに、カレンは侮蔑の眼差しを向けつつも病弱設定の声音で評価した。
カレンはスザクの覚悟と自覚の無さを軽蔑し、親友との別れを覚悟するルルーシュの気持ちをわからないスザクに呆れたのだ。
皇族付きともなれば、一般人とそうそう会えないという事を、一般人のルルーシュが理解し、騎士になる当のスザクが理解していない事にみな呆れるのだ。
「あのさ。ナナちゃんがどういうつもりだったのかは置いとくとして、おれがこのパーティに賛成したのって送別会の意味も込めて、なんだよな」
リヴァルが言い、ルルーシュとニーナが頷いた。
「これからは、ユーフェミア様の傍であの方を守ってくださるのでしょう?だからわたしは‥‥」
ニーナはそう言って俯いた。
「‥‥で、でも、ユーフェミア様が学校に行って来いって‥‥」
「それで、ほいほいと主の傍離れてやって来るわけだ?スザクさんは。へぇ?‥‥なぁ、カレンさんならどうする?たとえば誰かの騎士になったとしたら?」
リヴァルはふむふむと頷いた後、話をカレンに振った。
「‥‥‥‥。わたしなら、断るわ。騎士になったのなら、全ては主の為に、でしょう?それなのに離れて学校へ、だなんて、その間に主に何か有ったら大変だもの」
「さっすが、シュタットフェルト家の御令嬢、よっくわかってらっしゃる。‥‥てかおれもそうだけど。ミレイ会長は?」
「そーねぇ~。主の傍が一番!かしら?少なくとも他に現を抜かしたりなんて事はしないかしらねぇ?」
「‥‥でもそれって、命令無視って事じゃないですか?学校へ、そう仰ったのはユーフェミア様だし‥‥」
「ふ~ん?じゃあさぁ。スザクは主のユーフェミア様が『死ね』って言っても黙って従うんだ?たとえばここにいる誰かを『殺せ』って言っても?」
リヴァルが試すように問いかける。
「‥‥‥‥‥‥。ユーフェミア様は、そんな事仰ったりしないから」
「あら、それはわからないわよ~。皇族ってぇ、どんなシガラミ持ってるかわからないじゃない?」
スザクの言葉に、ミレイはチラとルルーシュを見てから言った。
「‥‥でもッ。ユーフェミア様はお優しいからそんな事を仰る方じゃないよ」
「なら、そのお優しい皇女様はご自分の命を狙う相手が目の前にいても、その相手を『倒せ』とは仰らないって事かしら?」
「それは‥‥別だよ?ユーフェミア様を守るのが騎士の役目なんだから。ぼくがその相手を倒すよ」
「それにしては今この時、その『相手』とやらが皇女様の前に現れているかもとは考えないんだな、お前。ここに来るって事はそう言う事だぜ?」
「‥‥‥‥だけど、ユーフェミア様は安全な政庁にいるわけだし、『学校へ行ってらっしゃい』と仰ったのは彼女だし‥‥」
「ま、いっけどさー、おれは。ユーフェミア様とは面識もないしぃ?」
リヴァルはそういうと、「シャーリー、一人じゃ大変だろうから、手伝ってくらぁ」と言って出て行ってしまった。
「ユーフェミア様をそんな風に使うなんて、‥‥スザク君酷い‥‥」
「‥‥どのみち、学園に来れる時間は少なくなるだろうな。だから、さよならなんだよ、スザク」
ルルーシュもそれだけ言うとリヴァルに続いて立ち尽くすニーナを連れて生徒会室から出て行った。
追いかけようとしたスザクをカレンとミレイが留める。
「あのさ。ルルーシュもあぁ言ってる事だし、とりあえず休学って事にでもしとく?当分忙しいのは確かでしょう?」
「そうね。わたしが言うのもなんだけれど、出席日数が不足すると留年するわよ?」
「騎士様が留年なんて主に恥をかかせるような事はしない方が良くてよ?」
二人はそう言うと、肯き合ってスザクを残して部屋を出て行った。
一人残ったスザクは、「何故みんな、ぼくを追い出したがるんだ?ルルーシュまで‥‥」と首を傾げていた。
中編に続く。
───────────
作成 2008.04.14
アップ 2008.04.15
PR