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──面接「ジェレミア」編──
そこはダールトンが面接を受けたゲットーの廃墟ビルの一室だった。
座っているのはゼロと藤堂で、ロイドはゼロの座るソファの背もたれに肘をついているし、ダールトンとディートハルトは左右に分かれて直立して立っていた。
ちなみにディートハルトは一切記録に残さず外に漏らさないと言う条件付で同席を認められている。
部屋に入ったジェレミア・ゴットバルトはその場にアンドレアス・ダールトンとディートハルト・リートがいる事に度肝を抜かれた。
ロイド・アスプルンドがランスロットのデヴァイサーとして、黒の騎士団に与した事は最早有名な話だったので驚きはしなかったのだが。
ジェレミアの驚きが冷めぬ内に、ゼロが口を開いた。
「まずは聞こうか?『オレンジ君』?‥‥理解した、その内容とやらを」
ゼロの言葉に、「オレンジ」と呼ばれた時のジェレミアの反応を知っているディートハルトとロイド、ダールトンはひやりとして心なしか身構える。
だがそれは肩透かしを喰らってしまった。
「ずっと、考えておりました。あの時の事は、未だに思い出せないのですが、何故わたしはゼロを全力で見逃す気になったのかと言う事を‥‥」
ジェレミアは怒るでもなく、逆上するでもなく、真面目な表情でそう告げる。
ゼロは「そりゃ思い出せないだろうな、なんたってギアスのせいだし」と思いながら、「それで?」と先を促した。
「実際、わたしにはやましい覚えは一つもなく、ゼロに従う必要はなかった。なのに従ったのは、何故なのか。それをやっと思い出しました」
ジェレミアの言葉に、四人はゼロを見た。
しかしゼロの方にこそ、「思い出した」と言う内容に心当たりは当然なく、思わずコテンと首を傾げてしまった。
それから慌てて不思議がってるわけにはいかないんだと思い出し、「思い出した?」と何とか尋ねた。
勿論、納得する者はいない。
「もしかして見当違いな答え持ってきたのかなぁ~?オレンジ卿はぁ~?」
ゼロがとても楽しみにしていた様子を知っている者としては、捨て置けない事だったので、ロイドは眇めた目で見据えて言う。
「貴様にそれで呼ばれる筋合いはないぞ、プリン伯ッ」
ジェレミアはロイドをきつい眼差しで睨み返して怒りをぶつける。
「むッ、ぼくだって、オレンジ卿にその名前で呼ばれたくないんだけどぉ~?」
「それくらいにしておけ、貴様等。場をわきまえよ」
ダールトンが一喝して、二人の不毛な、或いは低次元な言い争いに割って入る。
二人はゼロを見て押し黙った。
「とりあえず、答えを聞いてからでも良いだろう?これ以上騒いでいると、また言われるぞ」
藤堂が、ロイドを見ながらそう言って扉を指差したので、ロイドはぶんぶんと首を振った。
ゼロに「次は追い出す」と言われている以上、次にゼロが言えば、藤堂が容赦なく追い出しに掛かるのが判ったからだ。
「あの時の言葉は‥‥ハッタリ、ですね?何故なら貴方の言った『オレンジ』とはわたしの瞳の色だからだ」
最初こそ恐る恐るだったが、最後はキッパリとジェレミアは言い切った。
「ほぉ?‥‥確かにハッタリだったな。軍等の組織や、派閥を唱えている者はとかく疑惑に弱い。混乱を招くには良い手だっただろう?」
ゼロはあっさりとハッタリだと認め、「ついでに、あのカプセルもハリボテのハッタリだ。わたしはあの時、ハッタリしか用いていない」と言い切った。
「ハリボテ‥‥!?」
ゼロの言葉にジェレミアは驚いて目を見開き、ゼロを凝視する。
「あぁ。お前達軍の者は、クロヴィスからカプセルの中身は毒ガスだと聞いていたのだろう?少々利用させて貰った。あれは単なるスモークだった」
「という事は、シンジュク事変の元凶となったテロリストに盗まれ使用されたという‥‥」
ゼロの言葉に、ディートハルトが思い出しながら言い添える。
「そうだ。結局、中身は毒ガス等ではなく、‥‥いや、クロヴィスにとってはそれ以上に危険なモノだったが‥‥。まぁ、中身を知る者はほとんどいなかったからな」
「そうですね。クロヴィス殿下お亡くなりの後、バトレー将軍も更迭されましたし‥‥」
とディートハルトは更迭した張本人であるジェレミアに視線を向けて言う。
「‥‥ゼロ。ならば中身は何だったのだ?」
藤堂が尋ねる。
「‥‥‥‥‥。知りたいか?」
少しの沈黙の後、尋ねたゼロに、一同揃って頷いた。
「‥‥‥‥。言われずとも承知しているだろうが、念を押しておく。外で、これに関する発言及び行動は一切認めない。‥‥そう、表情に出す事も」
またも少し間を空けて厳命したゼロは、「それでも聞きたいか?」と尋ねた。
「クロヴィスにとっては毒ガス以上に危険なモノ」とゼロは言ったが、それはゼロにとっても似たようなモノなのだと気を引き締めた。
けれども、好奇心には勝てずに、またはゼロの事なら何でも知りたいという思いから、それぞれ頷いていた。
「‥‥‥あれに入っていたのは。一人の少女だ。拘束服で拘束されていた‥‥」
沈黙。
藤堂の脳裏にゼロの周辺に出没する少女が浮かぶ。
ディートハルトの脳裏にゼロの愛人ではないかと噂される少女が浮かぶ。
ロイドの脳裏に主の傍で偉そうにピザを頬張る少女が浮かぶ。
ダールトンの脳裏に恐れ気もなく自分を見返し、鼻で笑った少女が浮かぶ。
「‥‥‥‥少女?それが何故危険で、拘束服でカプセルなどに?」
一人心当たりのないジェレミアが首を傾げてゼロに尋ねた。
「さて。その辺りまではクロヴィスに聞くのを忘れていたから、わたしも知らないな。だが危険だったのは確かだぞ」
ゼロはジェレミアにそう答え、新参であるが故に少女と付き合いの浅いロイドとダールトンが目を細めた。
「どぅ危険だったのか、聞いても良いですか~?」
「クロヴィスはあれを人の目に触れさせない内に始末をつけたかったらしいな。人目についたと知った途端、壊滅作戦に移行している」
「少しお待ちください。貴方はシンジュク事変の時にゲットーにいらっしゃったのですか?」
ダールトンが険しい表情で尋ねる。
「あぁ、巻き込まれた挙句にカプセルの中身まで見る羽目になった。お陰で危うく親衛隊に殺されるところだったが」
「なッ‥‥。では、親衛隊全員を返り討ちにしたのはッ」
「返り討ち?‥‥まぁ、名を明かしたら、銃を向けた非礼を詫びるといって止めるまもなく自殺したから、返り討ちといえばそうか?」
「ってクロヴィス殿下の親衛隊と親交ありましたっけぇ~?」
「いや?初めて見る顔だったし、名前も知らないな。その時わたしを庇った少女は、気付いたら何故か傍に‥‥。話がズレてるな」
ゼロはハタとそこで一度言葉を切って、咳払いをしてから話題を変えたというか戻した。
「‥‥ハッタリである以上、名称は何でも良かったから、特に決めていたわけではない。目の前にいて丁度目を合わせていたことだし、良いかと思ったのは確かだな」
「へぇ~?じゃあジェレミア卿の推測って大当たりだったんですねぇ~」
ロイドは感心したように暢気な声を出したが、藤堂は「当たり」と聞いて、またもや「おかしなブリタニア人が増えるのか?」とげんなりとしていた。
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作成 2008.03.13
アップ 2008.04.01
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黒の騎士団入団試験 【6】3人目面接編 ゼロ:「‥‥‥‥‥。知りたいか?」
面接編は話がそれまくるのでしょうか.....(汗
2人目の面接ではクロヴィスが出張り、今度は.....orz
ギアスを隠すとこんな感じに落ち着くのかなぁとか、ですね。