(「父の日騒動」続編【8】/藤堂+ゼロ)
「‥‥‥‥やはり、怒っているか?」
ゼロはそれまで藤堂の顔に仮面を向けていたが、ふっと俯いた。
「‥‥ッい、いや。怒っては、‥‥いない。ただ、少し考える事があって、だな」
仮面が逸らされた事で、まるで呪縛が解けたかのように我に返った藤堂が言葉を紡いだ。
「‥‥考える、‥‥事?」
再び藤堂に仮面を向けたゼロは、こてんと仮面を傾けて問う。
「ゼロ。君は、ルルーシュ君、だな?」
藤堂の言葉に、ゼロは一瞬息を呑み、それから詰めていた息を吐き出すと肩を竦めた。
「やはり、気付いてしまいましたか」
そう言って苦笑したゼロは、続ける。
「‥‥先程は、考えに没頭していた為に、言葉選びを間違えました」
「その。‥‥顔を、見せてくれないか?」
藤堂が願う。
ゼロはあっさりと首肯すると仮面を外した。
7年前の面影を残した少年が、色彩もそのままに現れた。
「あぁ、無事で良かった。‥‥綺麗に、なったな、ルルーシュ君」
安堵の色が籠った声音で無事を喜ばれ、ルルーシュの思いもよらぬ言葉を藤堂は続け。
今度はルルーシュが顔を朱に染めて固まった。
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2008.08.06作成
2008.08.08-2008.08.19up
2008.09.05再録
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