(「入.団試.験」設定/過去捏造/皇子i.n本.国/セ.シルi.n離宮厨房)
セシルは高い踏み台を持ち込んで手伝いを始めた皇子の料理の腕に感服した。
そして厨房には皇子専用の調理器具が用意されている事に驚いた。
この離宮では料理も皇族の嗜みのようであるのだと少々不思議に思いながら、皇子に見惚れる。
そして自分の料理を思い浮かべて穴があったら入りたくなった。
この皇子の腕の前では、何を出しても納得されないに違いないと、セシルは落ち込んだ。
「‥‥?どぅしたせしるつくらないのか?」
セシルを向いて問いかける皇子の手は休む事無く小さな手で小さな包丁を動かし続けている。
「殿下ッ余所見をしながらでは危ないですわ」
「へぃきだだけどありがとぅせしる。それでつくらなぃのか?」
「あの‥‥実はあまり上手ではないので‥‥」
「ん?ははうぇがいってぃたぞ?」
消え入りそうに俯くセシルを不思議そうに見上げた皇子が首を傾げて言う。
「だれかのためにつくるのがいちばんおぃしぃって。せしるがぼくにつくってくれるといぅからぼくはななりーとせしるにつくるんだ」
にっこりと微笑まれて、セシルは心を込めて一生懸命作る事に決めた。
そしてその日、セシルは皇子から「ふしぎなあじだけどおぃしぃなせしる」とのお言葉を賜ったのだった。
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2008.06.14作成
2008.06.29-2008.07.06up
2008.07.31再録
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