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夕日に染まる空を見上げながら、カレンはアッシュフォード学園の制服のままかなりの速度で走っていた。
本当はもっと早く学園を出て、今頃は着替えも済ませてアジトについていたはずだったのに、と思うが長居をしたのは去り難かったからだ。
結局途中からリヴァルを手伝って飲み物を取りに立ったルルーシュを追いかけて手紙の用件を聞く事が出来た、けれど。
「ん?あぁ。まだ気付かないのか?会長に頼まれたんだ、カレンが先に帰ってしまわないように招待しておいてくれって」
「‥‥じゃあ、この‥‥為?」
「そうだ。‥‥そうそう、少し忠告しておいてやるよ。猫を被るならもう少し巧く被れ。普通の病弱な少女はシャーリーの走りについていけないしな」
あっさり頷いたルルーシュは、ついでとばかりに一言添える。
言われてみれば確かにそうだ‥‥とカレンは少し反省する、「というか、今日はもしかしてコイツに助けられッぱなしか?わたしは」と気づいて目を見開いた。
「ん?どうした?」
「な、‥‥なんでもない、わ。そ、そうね。気をつけるわ」
「特に生徒会のメンバーはおれの猫に慣れているからな。多少の猫は見破られていると思った方が無難だぞ?じゃあな」
そう言うとルルーシュは飲み物を取りに去って行った。
世の中を斜に構えてただ見てるだけのいけ好かない奴、口は悪いし、厭味だし、みんな外見に騙されてるのよ‥‥とカレンは思っていた。
でも、もしかしたら、それすらも「猫の範疇だったら?」なんてふと思ったら、せっかく用意して招待してくれた席を途中で立つ事が出来なくなったのだ。
なんだかんだ言って、結局のところ、カレンが猫を被っていて本当は病弱じゃない事も、アイツはみんなに告げていないのだから。
お陰でこんな姿で走る羽目になったのだが、いつものような悪態は出て来なかった。
「おっそ~い、ぞ~。カレン。もっと早く来れるんじゃなかったの?」
アジトに文字通り駆け込むなり、井上の苦情がカレンの鼓膜を打った。
カレンは膝に手を付いて息を整えるのに忙しい。
「‥‥てか、大丈夫?カレンがそんなになるまで急ぐなんてねぇ‥‥。ってそれ、制服じゃない?アッシュフォードの。良いのそんな恰好で」
しかしカレンの様子と服装を見た井上は一転気遣わし気に声音を和らげる。
「だッ、大丈夫です、もう。それより、遅くなって済みません。えーっとこれ、です」
カレンはやっとそう言える程回復すると、井上の分の招待状を渡す。
「ありがと、カレン。とりあえずサッとシャワーしてきたら?」
「ですね。あ、じゃあこれ渡して貰えますか?」
「おっけー。って三枚?ラクシャータと千葉さんと‥‥?」
にっこり笑って引き受けた井上は、その枚数に首を傾げる。
「C.C.にも、です‥‥」
「お、おっけー‥‥」
井上は一転今度は顔を引き攣らせながら、それでも引き受けた。
井上から招待状を渡された千葉は、その足で藤堂と残りの四聖剣の元へ向かった。
「中佐。少々よろしいでしょうか?」
改まった千葉の様子に藤堂は首を傾げてから応じる。
「あぁ。どうした?千葉」
その様子を朝比奈はにこやかに、仙波と卜部は顔を見合わせてから訝しげに見た。
「これを‥‥」
「‥‥ってまさかラブレターか!?」
途端に卜部が驚いて見せる。
「違うッ。‥‥ゼロから招待状を戴きました。‥‥条件は同伴者なのですが‥‥わたしは中佐と四聖剣を伴わなければ参加できないそうです」
「は~い。行きます行きま~す」
横から朝比奈が、待ってましたとばかりに声を上げた。
千葉はギッと朝比奈を睨んだが、「まだ貴様にまで聞いてない」等と言えば、改めて言わなければならないのでグッと堪える。
「‥‥おれは構わないが‥‥。千葉、良いのか?」
藤堂は頷いたが、どこか千葉を気遣う風を見せた。
「?わたしは中佐さえ御迷惑でなければ同行して戴きたいと思いますが‥‥何か?」
訝しげに藤堂を見る千葉を置き去りに、朝比奈は仙波と卜部に話しかける。
「藤堂さんがおっけーって事はおれもおっけーだし、仙波さんと卜部さんは?」
「勿論、お呼ばれしますって。なぁ仙波さん」
「そうだな」
「じゃ、千葉さんは参加だって井上さんに言ってきますね~」
話を速攻でまとめた朝比奈は、千葉に口を挟む隙さえ与えずに、そう言って出て行ってしまった。
「‥‥中佐。何故報告先が井上なのですか?扇さんならわかりますが」
「千葉。‥‥その招待状、ちゃんと見たのか?」
藤堂に言われて千葉は改めて招待状の中身を見直した。
「‥‥‥‥‥‥‥‥なッ‥‥」
一言言ったっきり、千葉はその場で固まった。
「‥‥やはりか」
ポツリと呟いた藤堂と、訳がわからず顔を見合わせた仙波と卜部。
しかし朝比奈が既に出て言った以上、変更が叶うはずがない事はその場の全員がわかっていた。
その様子をラクシャータだけはのんびりと見ていた。
「大変ね~。日本の女性ってぇ?」
などとソファに横になりながら気楽に言う。
「それにしても大人しいわね、カレン。もっとごねると思ってたんだけど?」
「‥‥今日が何の日か、思いだしたんですよね。それで、今日くらいは良いかなって」
「何の日って‥‥あ。‥‥もしかして、この招待状って?」
「かも知れないかなって、今日ここに来る前に思ったんですよね」
「あー‥‥。確かに途中を見ても楽しいわけないハズよね~それじゃあ‥‥。もしかして軽くホラーだったのかしら?」
カレンと井上が納得したように頷き合った。
「ん?何か思い当たったのぉ?第二についてぇ?」
ラクシャータは一人、訳がわからないとばかりに問いかけた。
「判らないなら、見た時のお楽しみに取っとく方が楽しいですよ、きっと」
カレンは楽しそうにそう言った。
準備のいらなかったラクシャータは元より、カレンの、千葉の、そして井上の準備が終わるのを待っていたかのように、内部放送がかかる。
『騎士団の諸君。作業を中断し、食堂に集合の事。但し、事前に通告している者は除く。以上』
ゼロの声が唐突に聞こえ、そして放送は終わる。
女性陣は思わずスピーカーに視線を向けて沈黙する。
そこに扉をノックする音が聞こえた。
「千葉さ~ん。準備終わりました~?みんなが食堂に移動したらおれ達は第二に移動で~す」
「朝比奈?第二って‥‥。それにゼロは何時来たんだ?」
「女性陣解禁で~す。今は招待者以外が入れなくなってま~す。後、ゼロが来たのは日没頃でしたっけ?そろそろ二時間くらいになりますよ~」
扉越しに交わされる千葉と朝比奈の言葉を、残りの女性陣が見守る。
「‥‥食堂で何があるんだ?」
「多分食事会、ですかね。昨日から朝にかけてと、さっきまでゼロが作ってましたから」
朝比奈が自信なさ気に告げる。
「‥‥あらぁ?そっちの方が良かったかしらぁ?」
「それは違いますってラクシャータ。食堂でやる食事会より、第二の方が絶対楽しいです。食事も(食堂のより)豪勢なのが出ますから」
「朝比奈。団員の食堂への移動が終わったぞ」
仙波の声が聞こえ、時間が来た事を女性陣は悟る。
「て事ですんで、千葉さん。それに紅月さんと井上さんとラクシャータ。出てきてください」
「どーでも良いけどぉ?どーしてわたしだけ呼び捨てなのかしらねぇ?」
「‥‥なんとなく、ですね~」
扉越しの会話はここまでだった。
扉が開いた途端、朝比奈は絶句して固まった。
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作成 2008.02.28
アップ 2008.03.03
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ひな祭り 【9】当日。騎士団にて(女性陣、藤堂、四聖剣)
なんか、カレ-->ルル?いや、見直しただけか?
すこ~し丸くなったかも知れないですね~。
後、千葉はある意味嵌められています(汗