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夕刻。
舞台が整い、キョウトと黒の騎士団幹部がズラズラと並ぶ中、ゼロが現れる。
ユーフェミアに、ブリタニアに、失望した「日本人」を前にして、ゼロは演説をおこなった。
ゼロは、怪我をしているにしては力強い、物言いと、過剰な身振りで会場を引き込んでいく。
そして、ゼロは「合衆国日本」を宣言したのだった。
「ゼロッ」
舞台から降りたゼロに、後ろから追いついた藤堂が声をかける。
チラと肩越しに振り向いたゼロは、しかしそのまま確かな動きで歩きだす。
「ゼロぉ~。あんたね~。あんなに肩動かして、ど~いうわけ~?無茶ばっかしてると使い物にならなくなるわよ~」
と、今度は「めんどぉ~」と言って舞台には上がらなかったラクシャータがゼロの前に立ちはだかって、彼女にしては珍しく人の心配をしている。
「‥‥藤堂、ラクシャータ。ブリタニアに動きが無いようならば、後で部屋に来てくれ」
ゼロの言葉に、藤堂は少し考えてから「‥‥わかった」と頷いたが、ラクシャータは眉を顰めた。
「後で~?しかも何気にブリタニアが動いたら治療はもっとずっと後回し~みたいな~?」
憤慨気味のラクシャータの声に反応したのは、ゼロではなく様子を見ていた騎士団幹部。
「二人はそのままゼロと行ってくれ。ブリタニアの動きくらいならおれ達にだってちゃんと見れる」
「そうですとも、ゼロ。情報面に関してはわたしが万端にッ」
扇とディートハルトが相次いで申し立てる。
「ヘッ、グズるようなら、この場でひん剥いて傷見たら良いんじゃねーか?」
「玉城ッ、あんた、なんてこと言うのよ」
玉城の言葉に激怒したカレンが拳を見舞う。
床に沈む玉城には目もくれず、「ここは任せて先に治療してきてください、ゼロッ」とカレンは訴える。
この時、四聖剣の千葉と朝比奈が顔を見合わせたが、何も言わなかった。
「‥‥わかった。お前達に任せる。‥‥一緒に来い」
折れたゼロがそう言って歩き出すと、ラクシャータは道を譲ってから藤堂と一緒に後に続いた。
人気のない廊下を歩きながら、藤堂は前を行くゼロに問いかける。
「‥‥声だけ部屋から出していたのか?」
ゼロがピタリと止まる。
「‥‥良く、わかったな。何時気づいた?」
振り返ったゼロの発した声はC.C.のそれで。
「あら~?中身、C.C.だったのぉ~?」
「そうだ。あいつは体力はないがプライドは高いからな。人前で絶対倒れたりしないし?無理をしては悪化させるだけだからな」
「へぇ~。優し~とこあるんだ~?」
そう感心したラクシャータだったが、ふと思い当たる。
「もしかして~。ゼロが後で、とか言ってたのって今仮面つけてないから~?」
「そうだ。それに、動いていないのだから、傷口が開いているでもないしな。ところで藤堂。何時気づいたかまだ聞いていなかったが?」
「‥‥壇上で、動きにおかしなところがなかったから訝しんだ。今のゼロにあの動きは出来ない」
藤堂の回答に、フッと笑声を発したC.C.は再び歩き出した。
扉の前でC.C.は振り返る。
「少し待ってろ。仮面を渡して来るから」
解錠し、扉を開けると、そういって先に中に入った。
念の為にと、ラクシャータは半ば強引に包帯を取り換えた。
「‥‥ちょっ、ゼロあんた、ホントにジッとしてたわけ~?」
傷口を見たラクシャータはかなり憤慨していたが、技術屋らしくその手付きは繊細だった。
なので、手当が終わるとゼロは「すまない。‥‥助かった」と仮面なのにも関わらずソッポを向いて礼を言ったくらいだ。
「‥‥あんたさ~。もしかして仮面の中身、結構若くてハンサムだったりする~?それでもって少々照れ屋かな~?」
ラクシャータはジーっとゼロの仮面を凝視して、そんな感想を述べた。
「ぶっ‥‥」
ゴホゴホとC.C.がむせて咳き込んでいる。
「‥‥どーでもい~けど~。どーして、藤堂まで反応してるのかね~?」
藤堂は胡乱な視線をラクシャータから受けて思わず視線を逸らせてしまう。
「そうイジメるな、ラクシャータ。藤堂はわたしの顔を知っているからな。‥‥それよりC.C.。貴様、そんなに笑うな」
あっさりゼロは藤堂を評し、笑いを堪えているC.C.に声を投げた。
「あっはっは。その仮面のどこをどうみたらそうなるのか、考えると笑わずにはいられるか」
C.C.はゼロに向き直ると、堪えるのをやめて盛大に笑い飛ばしてそう応酬する。
「ん~。やっぱりそーなのかぁ。結構告白され慣れてるでしょぉ?でも、照れが出る年頃だから高校生か大学生くらい~」
「なるほど?慣れる程告白されるならハンサムで、高校や大学なら十分若いと言うわけか。当たっているではないか?」
C.C.はにやにやと人の悪い笑みを浮かべてそう応じた。
「C.C.。口が過ぎるぞ、貴様ッ‥‥」
「喚くな。傷に障るぞ?大体、頻繁に告白されているのは事実だろう?貴様の取り得はその顔くらいのものだからなぁ?」
ゼロが低く恫喝すれば、C.C.は人を小馬鹿にしたような口調で応酬する。
「‥‥‥‥ピザの代金は自分で払えよ」
「ほぉ?貴様は自分のしなければならない事も分かっていなかったらしいな?」
だが、ポツリと呟いたゼロの一言が、雰囲気を一変させてしまった。
「少なくとも、貴様のピザの代金を払う事ではない事は確かだ」
「へぇ?つまり『共犯者』のわたしに対し、『出て行け』と言いたいわけだな?」
「何故そうなる。大体出て行ったところで行くあて等ないのだろう?」
「そうだな。そうするとどうなるか分かっているだろう?困るのは貴様、だよなぁ?」
ピザ代からエスカレートした唯の言い合いに、話の核心がわからない藤堂は苛立ちを覚え、思わず止めに入った。
「‥‥おい、いい加減にしておけ。おれ達がいる事を忘れていないか?」
「「‥‥あ」」
ゼロとC.C.は一瞬後同時に呟いて口を閉ざした。
それはつまり、‥‥二人だけの時は、こーいった状態が日常だと暴露しているようなものなのだが。
「あはは~。たのし~ね~。しっかし、ゼロが高校生とはね~。て事は紅蓮のお嬢ちゃんとか白兜のデヴァイサーと同じくらいなのかー」
ラクシャータは3人を傍観して笑い、そう言った。
「‥‥‥‥」
ゼロは無言を通した。
C.C.と藤堂は答えるならゼロが答えるだろうと、黙って見ていた。
「ま、わたしは別に~、ゼロが子供だろうが、女だろうが気にしちゃいないけどね~。じゃ、ホントに安静にしてなさいね~」
ヒラヒラとラクシャータは手を振り、気だるげに部屋を出て行った。
ラクシャータの足音が、完全に聞こえなくなると、C.C.はさっさとゼロの仮面を取り除いてしまう。
「‥‥おい」
声だけの制止しかしなかったゼロは、あっさりと素顔を晒されていた。
「‥‥で?本気でピザ代を払わないつもりか?」
「‥‥‥‥。まずそこなのか?ならば、桐原公にでも交渉してくればどうだ?ピザ代の計上を認めろとでも」
「なるほど?」
再び始まったピザ代議論に、藤堂は良い顔をしていなかったのだが、思わず突っ込みを入れてしまった。
「‥‥おい。キョウトにタカるのか?ピザ代を?」
「おれ個人の懐からそれを出すのはそろそろきつくなっているので。しかし『ゼロ』としてはC.C.が離れるのも確かに痛手」
「つまりわたしの『ピザ代』は必要経費だな」
「‥‥問題は一つ。それをした場合、玉城の無駄遣いを止める事が出来なくなる事だな」
「奴なら、床に沈めておけば良かろう?それよりも今はわたしのピザ代だ」
「‥‥‥‥。おい。二人とも。今の問題は『合衆国日本』とブリタニアだろう?」
真剣にピザ代議論を進める二人に、藤堂は頭痛まで感じ始めていた。
「ふむ。確かにそうだな。『合衆国日本』を軌道に乗せ、ブリタニアや中華連邦、EUへの対策をしっかり練れば、ピザ代の心配もなくなるか」
藤堂の意見に、ゼロは頷き今後の展望を語る。
何故か最後にピザ代が来るのには首を傾げざるを得ないが、藤堂はやっと話題が移った事を少し喜んだ、ホンの一瞬だけ。
「──そして、ゼロも必要なくなる」
ゼロの言葉に固まった室内、藤堂は無表情のルルーシュとC.C.を視界に収めていた。
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作成 2008.01.25
アップ 2008.03.06
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「おれを撃て」【9】「合衆国日本」宣言。ゼロの私室にてラクシャータ+C.C.+藤堂。
折角の「合衆国日本」編だったのに。
‥‥もしかしてギャグ?
しまった~~、書くのが少し空いたせいで、おかしな事にorz....。
どーすんだよ、これで藤堂が離れていったら(汗
そして恐るべしC.C.の....