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※「光と闇の想い」の続きです。
ゼロは歩いて神根島を移動し、洞窟の前に止まる無人のナイトメアフレームを三機見つける。
言わずと知れたC.C.のガウェインとカレンの紅蓮弐式、それにスザクの白兜である。
洞窟に入る前に、ゼロはまず白兜に近づき、エナジーフィラーを抜いた。
ゴトンと地面に落ちたエナジーフィラーを、ゼロは無感動に眺める。
それからコックピットの中を覗いて予備がないかどうかも確認し、発見したので当然なんとか外に放り出す。
再びゴトンと音がして、エナジーフィラーが地面に落ちる度に結構派手に響かせるのが気がかりなくらいだ。
次いでガウェインに近づきコックピットに入る。
起動キーは抜かれていたが、複座式だからとC.C.と暗号付きの隠し場所を取り決めていた為、今回もそこに置かれていた。
取り出した起動キーを挿し、ガウェインを動かしたゼロは、まずは白兜から取り出したエナジーフィラーを収得する。
これで白兜は援軍が来なければ動けない。
本来なら武装解除くらいしておいた方が良いのだろうが、流石にそんな時間的余裕はなく、ゼロは黒の騎士団に向けて通信を繋げた。
租界。
藤堂は前線で、南は後方本陣で、ディートハルトは広報車で、続々と入る被害報告に苛立ちと焦りを募らせていた。
途中で戦場を放棄して消えた総司令ゼロとC.C.とガウェイン。
その後を追うように扇に指示されてやはり戦場を離れたエースパイロットのカレンと紅蓮弐式。
何故か唐突に負傷して戦線離脱せざるを得なかった副指令の扇。
中枢にいる三人がほぼ同時に戦線離脱した事は、かなりの痛手となった。
そして、最悪の報告がもたらされる。
『大変だッ!ゼロのガウェインを追っていっていたハズのあの怪物が戻ってきたッ』
人形すらしていない、ナイトメアフレームモドキの怪物。
これまで性能の勝っていたガウェインや白兜、紅蓮二式の上を行く化物である。
それだけが戻ってきたと言うのは、どういうことだろうか、考えると怖いものがある。
性能で勝るあの怪物が、追っていったガウェインを見失ったとは思えないから、まさかやられたのか!?と更に不安に思う。
戦場から何の説明もなく消えたゼロを、それでも案じるのは戻ってきて欲しいと願うからだ。
ゼロが消えた途端、戦局は一気に不利になった。
何故か第二皇女は指揮を取っていないようだが、その騎士であるギルフォードの手腕も、それに動かされるブリタニアの大軍も馬鹿にならないのだ。
どんな事情があるかはわからないが、早く戻ってきて指揮を取って欲しいと願わずにはいられないのはその為である。
ゼロさえいれば、戦局が逆転するかも知れない、再び奇跡を起こしてくれるかも知れない、と信仰に近い思いもある。
「くッ‥‥」
その報を受けた藤堂は呻く。
既に性能による彼我の差がハッキリしていて、誰を宛てても「死にに行け」と言うのと同義にしかならない。
例えそれに多数を宛てても勝てる気がしない上に、明らかな穴を作る事になるのだ、判断に迷っても仕方がないだろう。
まだ勝負になるのは騎士団のナイトメアフレームでは、ガウェインと紅蓮弐式を除けば、月下だけだろう。
しかし、藤堂自身や、四聖剣までもが戦列から離れれば、待っているのは確実な敗北なのも判りきっている。
「せめて、弱点なりとも判れば‥‥」
『藤堂中佐。わしと卜部が行きましょう。ここを手薄にしてしまいますが‥‥』
『そうそう。今はなんとしても持たせないと、だしな、中佐』
仙波が月下間のみに通信を繋げ提案し、卜部が同意する。
『抜けた穴はわたしと朝比奈とで全力でカバーします、中佐』
『まっかせてー、藤堂さん』
こんな時でも戦意を失わない四聖剣を、藤堂は誇りに思った。
「仙波、卜部。無理はするな。‥‥戦線を下げて守りに回る。千葉と朝比奈は再度隊列を整えろ」
『『『『承知ッ』』』』
しかし、四聖剣が動き出す前に、通信が飛び込んできた。
『藤堂。聞こえるか?』
藤堂にのみ繋げて来た通信は、月下に乗る四聖剣にも届いた。
それは騎士団の誰もが待ち望んだ声でもある。
「ゼロッ!無事だったのだな。今何処にいる?用事は済んだのか?」
『‥‥‥ッまだだ。だから余り時間がない。急いでいるのだが、そちらにナイトメアフレームモドキが戻ったから知らせようと思った』
「‥‥こちらでも既に確認している」
『そうか、流石に速いな。‥‥藤堂、それには手を出すな。一応、「騎士団に攻撃は加えるな」、とは言ってある』
『‥‥言ってある‥‥って、敵でしょう?』
租界を離れる前のアレに、騎士団が散々な目に遭わされたのは記憶に新しいのだ。
『朝比奈か。今も半分敵だが、半分はまぁ味方だろう。‥‥藤堂、騎士団員に徹底させろ。「オレンジ」と言う単語を耳にすると暴走する。注意しろ』
ゼロの言葉に、藤堂も四聖剣も眉間に皺を作った。
「‥‥‥というと、奴、か?ジェレミア‥‥とか言った‥‥。平気なのか?奴はゼロを」
『地雷を踏まない内は平気だろう。‥‥わたしはもう行かなければ。暫くガウェインを離れる』
「そこは何処だ?C.C.と紅月は?」
『先行している。‥‥白兜もあるから枢木も来ているのだろう。用事が無事に済めば戻る』
『なッ。こっちはもう壊滅寸前なんですよ!』
ドドドドドォ~~ン。
爆撃が巻き起こり、ゼロの声を消し去る。
いつの間にか戦場に到着した怪物がブリタニア軍のナイトメアフレームを破壊した音だった。
「黒の騎士団、全員に告げる。今後『オレンジ』という言葉を禁句にする。‥‥あの怪物を敵に回したくなければ、徹底しろ。態勢を整えるぞッ」
全騎士団員に向けての、藤堂の言葉が響いた。
藤堂の声を聞きながら、団員は敵だったはずの怪物がブリタニア軍に牙を剥いて襲いかかっているのを茫然として見つめていた。
さっきまであんなに絶望的だったというのに、今、戦局は三度変わろうとしているのだ、‥‥たった一機の怪物によって。
『もう一度繰り返す。あれを敵に回したくなければ、禁句は口にするな。‥‥その条件でゼロがあれを説得した』
藤堂の言葉に、騎士団のアチコチから「奇跡だッ」「ゼロがまた奇跡を起こしたッ」と騒ぐ声が聞こえだす。
『隊を編成し直す。この機に乗じて攻めるぞ。浮かれてないで気を引き締めろ』
「「「「「ッわっかりました~~~~~!!!」」」」」
敗戦一色だった騎士団の暗い雰囲気が一掃された。
了
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作成 2008.02.21
アップ 2008.03.12
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反撃の烽火 租界に戻ってきたメカオレンジ。
続き作ってみたら、メカオレンジがほとんど出なかった.......(汗
前半はゼロのスザクイジメ(しかもまた未対面で...)、後半は騎士団メインって....あれ?
メカオレンジ、タイトルの役にしか立ってないかも(汗
コーナーに合ってないなぁ~.......でも続きだしぃ?
メカオレンジ君の活躍を期待していた方には、申し訳ありませんでした<(_ _)>