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黒の騎士団が攻め上がった政庁の一室で。
ゼロが己の持つ銃を突きつけた相手。
神聖ブリタニア帝国、第二皇子にして宰相の任にあるシュナイゼル・エル・ブリタニアは悠然と座ったまま優雅な笑みを浮かべていた。
ゼロの後ろには騎士団幹部である藤堂、扇、カレン、朝比奈に千葉がやはり銃を手に控えていると言うのに、である。
ちなみに残りの四聖剣の仙波と卜部や、他の幹部達は各所で騎士団を率いてブリタニア軍を牽制、或いは戦闘中である。
「‥‥これで、チェックメイトのつもりかい?ゼロ。‥‥それとも名前を呼んだ方が良いかな?」
シュナイゼルの言葉に、藤堂はシュナイゼルを凝視し、残りはゼロを凝視する。
「いいえ、結構。わたしはゼロですから」
ゼロはその素性がバレているかも知れないと言うのに、平然と応じる。
「そうだろうね。‥‥そうそう、君に一人紹介したい者がいてね?」
シュナイゼルはそう言うと、背後の扉に視線を向けた。
「お入りください。‥‥枢機卿猊下」
次期皇帝に一番近いとされているシュナイゼルが敬語を用いて声をかけた事に、騎士団の幹部達は興味を覚えて視線が扉に向かう。
注目を浴びる中、開いた扉から男が一人、悠然と入って来た。
漆黒の髪、白い肌、そして紫の双眸。
ゼロが、藤堂が、そしてカレンが驚いた。
「‥‥‥‥ル、‥‥ルルー、シュ?」
新たに現れた、その少年とも呼べそうな若い男は、あまりにも知っている人物に似ていたのだ。
カレンは驚きの表情のまま、ポツリと呟いた。
藤堂はハッとしてゼロを顧みる。
扇と朝比奈、千葉はカレンを見た。
「‥‥知り合いなのか?」
しかし扇の言葉はカレンの耳には届いていない。
「‥‥どうやら、人違いをしているようだね」
優しげな笑みを浮かべて枢機卿と呼ばれた少年は言いさした。
「わたしは神聖ブリタニア帝国、第十一皇子、第十皇位継承者ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア。現在は枢機卿の任を授かる者‥‥」
人違いと言いながら、それでもカレンの呟いた「ルルーシュ」を名に持つ少年は、動じる様子を見せない。
相手の名乗りに対し、藤堂が何かを言いかけるのをゼロが制し、口を開いた。
「継承順位が随分と上がっているではありませんか?‥‥殿下。以前は確か十七位だったはずですが?」
「クロヴィス義兄上を筆頭に高位の継承者の方が幾人か退いたし?‥‥ねぇ、ゼロ」
親しげに話をするゼロと枢機卿の『ルルーシュ』に騎士団達は戸惑うばかり。
「‥‥ゼロ‥‥」
「‥‥あの時、皇女のみを狙った理由は、返り咲きを目論んでいた為ですか?」
「気づいていたのか?‥‥まぁ、だからこそ身を隠した。そしてゼロになったのだろうけど?」
「そちらこそ、気付いていたのですね、‥‥やはり」
誰かの呟くような呼びかけを無視して、続いていく会話に、カレンが耐えきれなくなって混乱しながら口を挟んだ。
「ゼロッ‥‥。あの、‥‥どういうことですか?」
ゼロは溜息を吐いただけで答えず、スッと仮面に手を掛け、そして外した。
中から現れたのは「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア」と名乗った枢機卿と同じ顔、但しこちらは片方に眼帯が掛けられていたが。
元から素顔を知っていたシュナイゼルと『ルルーシュ』、それに藤堂は驚かなかったが、他はそうはいかない。
いや、シュナイゼルと『ルルーシュ』は、その顔を飾る眼帯に視線を向けて一瞬表情らしきものを浮かべはしたけれど。
「‥‥なッ、同じ顔?」「え?‥‥ル、ルルーシュ?」
そして、藤堂もまた、わからない事が有って、口を開く。
「説明して貰えるのか?‥‥ルルーシュ君」
藤堂の視線は枢機卿ではなく、唯一人ゼロに向いていた。
ゼロはチラと藤堂を見、視線をシュナイゼルと主に『ルルーシュ』に向けて言う。
「皇妃マリアンヌが長子は実は双子だったというのはあまり、いやほとんど知られてはいない」
「そう。かつて『ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア』は二人いて。双子のどちらもが『ルルーシュ』の名を持っていた‥‥」
「七年前、一人は国に戻り、今一人はこの地で亡くなった‥‥」
「ランペルージ‥‥。とかいったね?仮の名前は。今はゼロなのだろうけど?」
ゼロと『ルルーシュ』とが、交互に言葉を紡いでいく。
「‥‥ゼ、ゼロがルルーシュ?‥‥けど、‥‥皇族?」
「そう、かつては、だがな。‥‥なぁ?我が半身、ルルーシュ」
ゼロは『ルルーシュ』にそう呼びかけた。
束の間落ちる沈黙。
それを利用した扇がカレンをせっついた。
「‥‥ゼロは同級生のルルーシュ・ランペルージ‥‥です。‥‥皇族だとは知りませんでしたけど‥‥」
こそこそと扇に囁き返したカレンの言葉は、扇のほかには藤堂と朝比奈、千葉にのみ聞き取れた。
若いとは思っていたけれど高校生、ブリタニア人だとは知っていたけれど皇族だった事に、扇と朝比奈、千葉、そしてカレンも驚きが勝っていて言葉にならない。
「‥‥一つ聞くけど、ゼロ。‥‥それは、どうしたのかい?鏡に映したようにそっくりだったと言うのに、傷でもつくったのかな?」
『ルルーシュ』は憂い顔で半身に対して「ゼロ」と呼び掛け、左目を覆う眼帯を指して尋ねる。
「‥‥‥‥答える必要は感じませんね。まさか出て来るとは思いませんでしたけど‥‥、というか何故?シュナイゼル殿下に丸め込まれましたか?」
「人聞きの悪い事を言わないで貰いたいね、ゼロ」
シュナイゼルは優雅に肩を竦めて否定する。
「別に丸め込まれてはいないよ。‥‥ただ、生きていると聞いたものでね。あの子を迎えに来たまで」
「‥‥今更出てきて、『はいそうですか』と大人しく渡すとでも?」
「まさか。君の妹思いがどれ程のものか、良く承知しているからね。‥‥勿論君を無力化してから、迎えに行くつもりだよ?」
『ルルーシュ』は笑みを浮かべたままそう言い、藤堂はゼロを庇うようにその前に出る。
「‥‥『奇跡の藤堂』だったかな?君は初めから知っていたようだね?ゼロの素性を」
その様子を見たシュナイゼルが面白そうに訊ねる。
「え?そうなんですか?‥‥藤堂さん?」
藤堂はシュナイゼルと朝比奈の問いに答えず、肩越しにゼロを振り返った。
「一つ聞く。おれが七年前に会ったのは、君の方で間違いないな?」
確信を持って問いかける藤堂に、ゼロは目を見開き、驚きを表す。
「‥‥何故、そう思う?」
「わたしも知りたいな?何故それをゼロの方だと思うのか、を」
ゼロが問い、『ルルーシュ』も便乗した‥‥。
朝比奈と千葉はゼロと『ルルーシュ』を見比べてから、心配そうに藤堂に視線を固定した。
扇とカレンは顔を見合せてから、藤堂とゼロとを視界に収めた。
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作成 2008.02.04
アップ 2008.03.08
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双子設定「ゼロ&枢機卿」 【1】政庁にてシュナイゼルを追い詰めたところから。
ナイトメアオブナナリーの漫画に出て来ていた枢機卿が気になって気になって。
.....で思いついた話ですが、枢機卿は登場シーンしか見てません。
その後どんな役になってるとか知らないで書いてます。
.........この双子、なんだか仲悪い?もしかして?(汗
居合わせた人に、ゼロバレ、皇族バレですね。