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三月に入り、ひな祭りも無事に済むと、ルルーシュはいつもの如くミレイにお願いをする。
ミレイは、それを苦笑混じりに聞いて引き受けるのだ。
「ルルちゃんも大変ねぇ~」
というミレイの表情には、いつもの面白がる様子とは別に、同情まで浮かんでいる。
「そう思うのならもう少し何とかなりませんか?」
「ならないわねぇ、こればかりは」
ミレイに即答されて、ルルーシュは溜息をついた。
「とにかく、ここの事は任せましたよ、会長」
「わかってるって。でも、生徒会のみんなには自分で対処しなさいよ」
「わかってますよそれは」
応じてルルーシュは片手を振りながら生徒会室を後にした。
妹は勿論、生徒会も人数が少ないので何とかなるから今までも頼んだ事無いでしょう?との言葉はわかりきった事なので言わないでおいた。
それはきっと、ミレイにもわかってるのだろうけど言わずにいられなかったと言うところだろう。
最近、忙し過ぎたからな、と反省した。
後は‥‥騎士団か‥‥と内心で思う。
一番厄介なのがカレンだ。
生徒会と騎士団と、意味合いが多少違うだろうし、まさか似たような物を渡す訳にもいかないからだ。
バレンタインも厄介だがホワイトデーも厄介だなと、ルルーシュは一人溜息をついたのだった。
当日。
「ナナリー。これ、バレンタインのお返し。受け取ってくれるかい?」
ルルーシュはバレンタインの当日に自分が雲隠れするのでホワイトデーに受け取って貰えなくても仕方がないと思っている。
だから、そんな言い方をする。
「まあ当然ですわ。ありがとうございます、お兄様」
にっこり笑ってそう答えた妹にルルーシュは贈り物を手渡し、そっと髪を撫でる。
「これは、咲世子さんに」
「まあ、ありがとうございます、ルルーシュ様」
咲世子は礼儀正しく頭を下げて受け取った。
「ルルーシュ様?もうお出かけになるのですか?」
渡したすぐ後に鞄を肩にかけたルルーシュに咲世子が訝しげに問い掛ける。
「あぁ。少し用事が有ってね。始業前に生徒会に顔を出しておく事にしたんだ」
ルルーシュはキッパリと授業をサボると言ってみせた。
第一、その為にミレイに生徒会の女子全員に集合をかけて貰っているのだ。
「じゃあナナリー。行ってくるね」
「行ってらっしゃいませ、お兄様」
クラブハウスを出たルルーシュは、生徒会室に向かう。
既に全員揃っていた。
「おはよう、ルルちゃん。時間通りね」
ミレイが笑顔で手を振って挨拶した。
「おはようございます、会長。シャーリーもニーナも‥‥カレンも、朝早くからすまなかったな」
「えーっ。呼びだしたのって会長じゃなくてルルだったの?てかそれで一番最後って‥‥」
シャーリーが驚いて叫ぶ。
「悪いな。こちらの都合で朝早くから集まって貰って」
「‥‥それで。用事って何かしら?」
カレンが普段よりも若干低い声で訊ねる。
カレンの猫かぶりを知らないシャーリーとニーナは気づかない程度の、恫喝を含んだ声音。
「渡したいものが有ったんだ。‥‥勿論、受け取るかどうかはそれぞれで決めれば良い事だが」
とルルーシュは前置きをしてから、まずはミレイに奇麗にラッピングした箱を差し出した。
それを見て、それぞれ今日がホワイトデーである事を思い出した。
「も~ちろん♪受け取るわよ~わたしは。ありがとね、ルルちゃん」
ミレイにしては珍しく悪だくみのそれではない満面の笑みを浮かべて箱を受け取った。
「で~?これの意味を聞いて良いのかしら~?」
と、ミレイは一転悪だくみのそれに変わった笑みでそう尋ねた。
「いつもお世話になっていますからね、会長には。‥‥そう、感謝の気持ち、ですか。ダメですか?」
「ノープロブレムよ。ありがたく戴くわ♪」
ルンルンと本当に嬉しそうなミレイから、ルルーシュは隣のシャーリーに視線を移す。
「シャーリー。君にもお世話、というか仲良くして貰ってるしな。受け取って貰えるかい?」
「もっちろんよ。‥‥ありがとう、ルル」
シャーリーは特別な感情じゃないと言われたけれど、それでも嬉しそうに受け取った。
次に視線を移されたニーナは薄く頬を染めて俯いた。
「え~と、迷惑でなければ受け取って貰いたいのだけど?‥‥そう、また色々と教えて貰いたいし、な?」
ルルーシュは少しおどけてそう言うと、顔を上げたニーナは嬉しそうにコクリと肯いて受け取った。
「ありがとう。わたしで役に立てる事ならなんでも教えるわ」
「期待しているよ、ニーナ」
最後にルルーシュの視線はカレンに向けられる。
「‥‥‥‥‥‥」
「‥‥‥‥‥‥」
数瞬、無言で見つめ合い(実際は睨み合い)、ルルーシュは無言のまま箱を差し出してみた。
カレンは視線を箱に移す。
他の三人と同じように奇麗にラッピングされたそれ。
「わたしも、聞いて良いのかしら?これをくれる意味を」
「ん?君のと同じ、と言えば良いのか?‥‥まぁ、わからなければお返し、とでも思っておけば良い」
カレンはそれなら、と渋々手を伸ばして受け取った。
「ルルってばなんでカレンさんにだけそーなわけぇ?」
「‥‥っと、悪いシャーリー。これから少し用事が有って、もう出ないと。会長、後は頼みました」
ルルーシュはシャーリーの苦情に答えず、少し慌てたようにそう言って、さっさと出て行ってしまった。
取り残された女性陣がミレイに問い質し気な視線を向けたのは無理もない事だった。
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作成 2008.03.09
アップ 2008.03.14
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ホワイトデー 【前編】学園編。ナナリー、咲世子、ミレイ、シャーリー、ニーナ、カレン。
今回は短く終わらせよう.....そう思って前置きを短くしたつもりだったのに....(汗
最早諦めました。長いです。分割しました。
「一日遅れのバレンタイン」に対応する「ホワイトデー」です。
藤堂+四聖剣(-1)のみにバレ済み(?)ぽいかなぁ?
ちなみに「ひな祭り」は(ゼロバレしてないので)別物です。
まずは、学園でのお返しをお送りします。