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★咲様へのリクエスト作品★
(朝ルル+藤堂+ナナリー/交際許可取り付け/ゼロバレ)
朝比奈はアジトの廊下をこれでもか、という速度で驀進していた。
ぶつからないのは相手が恐れをなして脇に避けるからに他ならない。
藤堂の部屋に到着した朝比奈は、ノックもせずにバタンと扉を壊さん勢いで開いて飛び込んだ。
「藤堂さんはッ!!!」
呼びながら室内を見渡す朝比奈の視界には、仙波と卜部と千葉が唖然とした表情を見せるだけで肝心要の藤堂の姿がなかった。
「藤堂さんどこッ!?知らないッ!?」
「何が有ったんだ?朝比奈。そんなに慌てて‥‥」
仙波がいつになく慌てた様子の朝比奈を宥めようと口を開いたが、卜部が質問に答えてやった。
「藤堂中佐なら、さっき呼ばれてゼロの部屋に向かったけど?」
「えぇえッ!?遅かったかッ!?」
驚いた朝比奈はそのまま踵を返して扉から出て行こうとするのを、千葉がバタンと扉を閉めて足止めする。
「事情を説明するべきだと思わないのか?朝比奈。一体中佐にどんな迷惑をかけた?」
閉めた扉の前に陣取った千葉は、厳しい目を朝比奈に向けたのだった。
藤堂はゼロの呼び出しに応じてゼロの自室に赴き、今は招じ入れられてソファに座っていた。
向かいに座るゼロの雰囲気は何故か普段より穏やかに感じられ、急な呼び出しをするようには見えなかった。
藤堂がゼロの言葉を待っていると、くすりと仮面の下で笑う気配がして、藤堂は訝しげに眉を寄せた。
「どうした?」
「いや、今頃慌てているだろうと思ってな。気にするな。‥‥それよりも来て貰った話なんだが‥‥」
ゼロは本題に入ろうとして言葉を切り、藤堂は「それほど言い出し難い話なのか」と驚く。
「本当はわたしが藤堂の部屋に行くべきだったのだろうが、邪魔が入る事は目に見えていたから来て貰ったんだが‥‥」
「それは構わない。が、話の内容と、邪魔というのは気になるな」
どこで話そうが、気にしないと藤堂は先を促した。
「‥‥藤堂。その、朝比奈を貰っても良いだろうか?」
だが、ゼロの言葉に藤堂は一瞬思考を停止させ、次いで渋面を作った。
「‥‥‥‥それは、朝比奈をおれの配下からゼロの配下へと所属を移させたい、と言う事か?」
「ぇ?‥‥違うッ!そんな事は言ってない。四聖剣が藤堂に従っている事はわたしも認めているし離すつもりもない」
藤堂の低い声で紡がれた言葉に、ゼロは「そう言う意味にも取れたか」と慌てて否定した。
「ではどういう意味で言っているのだ?」
それでも藤堂はきつい視線をゼロに向けたまま詰問する。
「‥‥朝比奈に交際を申し込まれた。受けても良いと思っているが、正式ならば許可が必要になる。だから藤堂に許可を求めているのだが」
ゼロはどう言えば良いのか思い悩んだ末に一息に言い立てた。
今度は藤堂が混乱する番だった。
「ちょッ‥‥‥‥と待て、ゼロ。朝比奈がゼロに交際を申し込んだと言ったのか?」
「そうだが?」
「仮面をしたままの君に?それとも素顔を知っているのか?朝比奈は」
「見られた。ちょっとした油断だったが‥‥『一目惚れしたから付き合って下さい』とか迫って来たのでどうでも良くなったというか」
その時を思い出したのか溜息を吐くゼロは「本当ならばタダで済ますつもりはなかったんだが、タダですませてしまった」と苦笑した。
「そ、そうか。それで受けても良いと?‥‥朝比奈にほだされたのか?」
「そうとも言うな。あまりにしつこく言い寄って来るから、いないと物足りなくなったとも言うが」
「‥‥それで何故おれに?」
「本来は親、‥‥家族に言うべきなのだろう?だが朝比奈は『それなら藤堂さんかなぁ?』と言ったからだ」
ゼロはそう言うと仮面に手を掛けて外した。
藤堂はゼロが仮面を外した事に驚き、その下から現れた素顔に誰かが判って更に驚いた。
「君は‥‥‥‥ッ」
「お久しぶりです、と言った方が良いですか?藤堂さん」
「生きていたのか‥‥。良かった、気にしていたんだ、君達の事は」
「何の連絡もせずにすみませんでした」
「いや、無事だっただけで嬉しく思う。‥‥朝比奈は君の事は全て承知しているのか?」
「えぇ‥‥素性は全て教えました。それでもと言うので、ならば正式に付き合うべきだろうと手順を踏む事にしたんですが」
「君の場合は、妹君のところへ?」
「先日連れて行きました。‥‥全く、あいつは。今まで苦労して隠していたというのに、あっさりとおれがゼロだとバラしてくれたんですが」
「それは‥‥‥‥申し訳ない事をした。浮かれると歯止めが利かなくなってしまうのが朝比奈の欠点なんだ‥‥」
「知っていますが。‥‥それで、認めてもらえますか?藤堂さん。おれと朝比奈との仲を」
「君は‥‥、君達はそれで幸せになれるのか?」
「えぇ、勿論、幸せになりますよ?‥‥朝比奈も幸せにしてみせるから、‥‥だから藤堂さん」
「わかった。君のそんな笑顔や必死な顔を見ては反対もできまい。朝比奈を頼む、ルルーシュ君」
「はい。‥‥‥‥それでですね。勝手に妹にバラして泣かせた朝比奈に意趣返しをしたいと思うのですが、手を貸してくれませんか?」
しっかりと肯いたルルーシュは、数瞬後、一転して悪だくみをしてそうな笑みを藤堂に見せてそう誘いかけた。
「何をする気だ?」
「妹にバレてしまったし、表も何かと危なくなってきているので、妹もこちらに移そうかと考えています。なら素顔をバラすのも良いかと思いまして」
「それのどこが意趣返しなんだ?」
「素性は話したのですが、藤堂さんと面識が有った事は伏せているんですよね」
にっこりとルルーシュに笑顔を向けられて藤堂は怯んだ。
「君は‥‥、四聖剣や団員の前で今のをもう一度やれ、と?」
「お願いできますか?藤堂さん。付き合うのは望むところですが、妹を泣かせた罪は重いと思いませんか?」
「わかった。付き合おう。朝比奈にもそれはちゃんと認識させておいた方が良いだろう」
ふっと陰ったルルーシュの表情に、藤堂は先刻までの躊躇いを遠くへ放り捨て頷いていた。
一時間後、素顔を晒したゼロと藤堂との感動の再会が幹部達の目の前でおこなわれ、悲鳴が上がった。
カレンは仮面を外したゼロを震えて指差し、「あ、‥‥あ、‥‥あんたが、ゼロなわけぇ!?」と絶叫していた。
朝比奈は「なッ‥‥‥‥。藤堂さん!?藤堂さんと言えどもゼロは渡しませんからね!!!」とゼロを掠めて逃げ出した。
「中佐。ゼロに何を言われてあのような芝居をおこなったのですか?」
千葉の冷静な言葉に、藤堂は苦笑する。
「朝比奈と付き合う事には同意したが、妹君を泣かせた罪は重いそうだ。彼は『意趣返し』だと言っていたぞ」
「あぁ、まぁ、確かに。てか、ホントに朝比奈さんの事好きなのね。どうでも良い奴が泣かせたりしたら命ないはずだもの」
カレンはどこか遠い目をしてポツリと呟き、それを聞いた幹部達は肝を冷やした。
後日、その恐怖の元が現れるとは、この時は藤堂しか知らなかった。
了
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作成 2008.05.18
アップ 2008.05.31
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咲様へ。
お気に召していただけましたでしょうか?
リクエスト内容に合致しているかはいまいち不明ですが、
どうぞ、お受け取りください。