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「‥‥それで?三人を呼んだ件はわかりましたが、ゼロ。藤堂中佐とわし等四聖剣を呼んだ訳は一体‥‥?」
ロイドとラクシャータの舌戦の余韻が冷めた頃、仙波がゼロに尋ねた。
「キョウトまでの護衛を四聖剣に任せたい。返答は?」
ゼロの言葉に、四聖剣だけでなく護衛される側もまた驚く。
「ちょっ、‥‥ちょっと待ってゼロ。それは承服出来ないわ」
まっ先に口に出して異を唱えたのは、護衛される側のミレイだった。
「‥‥。理由を聞かせて貰っても良いか?納得出来れば変更も検討しよう」
「‥‥‥‥。何故ここにいるのかは知らないけど、元々は日本解放戦線にいた人達でしょう?その人達は」
ミレイがチラと四聖剣に視線を向けた後、躊躇いがちに告げる。
カレンが「あっ」と小さな呟きを上げた。
「んー?何か心当たりでもあるのかな?‥‥"カレンさん"?」
その呟きを聞きつけた朝比奈が、問いかける。
「‥‥あの、ミレイ会長は、解放戦線による河口湖のホテルジャック事件の時に‥‥人質の中にいたんです。それでだと‥‥」
カレンは朝比奈が今までの「紅月さん」ではなく「カレンさん」と呼んだ事に内心感謝しながらも控え目に応じた。
藤堂と四聖剣は、黒の騎士団に所属しながら、騎士団の制服ではなく、前から来ていた軍服を着用している為、区別がついたのだろう。
藤堂はチラとミレイに視線を向けただけで何も言わなかった。
四聖剣はバツが悪そうに互いに視線を見かわし、それでも拒絶された事に納得した。
五人とも、全くタッチしていなかったが、客分としてだとしても同じ組織にいたのは事実だからと、負の感情を向けられる事を甘んじて受け入れたのだ。
「なるほど、あの場所にいたのか。‥‥ならばわかるだろう?わたしが、あの連中と同じ者を招き入れるはずがない、と」
ゼロはミレイの言葉に納得したが、まるで藤堂と四聖剣を庇うかのような言い方をした。
ミレイは藤堂と四聖剣に向き直り、それからチラとロイドに視線を向けた。
「別にいーんじゃないかなぁ?護衛して貰う立場としては贅沢は言えないしぃ?無事に辿り着けるならぼくは全然構わないよ~」
ミレイの視線を受けたロイドは「あは~」と笑って応じた。
聞き様によっては、誰が護衛に着こうが変わりはないと、相手の腕を軽んじているようでもある。
「あのーゼロ。昨日今日入ったばかりのおれ達に対してそこまで言う、その根拠は何?以前からおれ達の事、知ってたんですか?」
朝比奈が過大評価気味のゼロの言葉に驚きながら訊ねる。
「『奇跡の藤堂』と四聖剣は有名だからな。ある程度の情報は自ずと入ってくるというもの。桐原公の信頼も篤いようだしな」
「‥‥もしかしておれ達に護衛の話が来たのも、桐原公からの‥‥ですか?」
「そうだ。桐原公が護衛には藤堂か四聖剣、或いは紅蓮弐式のパイロットと指名してきた。わたしは四聖剣が妥当と判断した。返答をまだ聞いていないが?」
「紅蓮弐式?‥‥もしかして、それ『赤いの』かな~?輻射波動を使うぅ?ラクシャータ」
聞きなれないナイトメアフレームの名前にロイドが首を傾げてラクシャータに問う。
「煩いわよ、少しは黙ってられないの~?プリン伯爵はー?」
ラクシャータがロイドを一蹴する間に、四聖剣は再び視線を交わし合った。
「わかりました。お引受け致しましょう。我等四聖剣、必ずやお客人を無事にキョウトまでお連れ致す」
仙波が代表で応じ、残る三人が頷いた。
「‥‥良いだろう。任せよう。‥‥構わないかな?ミレイ・アッシュフォード」
四聖剣に頷いたゼロは、ミレイに最終確認を取る。
「‥‥‥‥。はい、よろしくお願いします」
息を吐き出したミレイは、気持ちを切り替えると深々と頭を下げた。
「桐原公が受入準備に少し時間を貰いたいと言っていた。こちらも準備が必要の為、出発は三日後になるだろう。そのつもりでいてくれ」
話がまとまると、ゼロは日程を告げる。
「あのー。三日後って、それまでここに軟禁状態ですか~?ぼくは仕事抜けてきている状態だから三日も戻らないと怒られるんだけども~?」
「仕事って、プリン伯爵ぅ?‥‥黒の騎士団に協力を要請しておいて、自分は白兜の整備に行くつもりなわけぇ?」
ロイドが外出を希望すると、ラクシャータが不機嫌そうに眉を寄せる。
「‥‥って、白兜の整備担当者なのか?」
当然驚き、扇が声を上げた。
「ロイド・アスプルンド。伯爵。特別派遣嚮導技術部、通称特派の主任で少佐。特派は白兜‥‥ランスロットの設計と開発を担当。枢木スザクの上司」
手帳を繰りながらデータを読み上げたのはディートハルトだ。
「「「‥‥‥‥。って、なんだって~ッ」」」
扇と朝比奈、卜部の声が見事にハモる。
当然だ、ディートハルトの言葉通りならば、白兜に枢木スザクと地雷だらけの経歴なのだから。
「それと、これは公式ではありませんが、第二皇子シュナイゼル殿下の友人だとか」
ディートハルトが付け加え、一同は最早驚きすぎて、言葉もないようだった。
「出入りは自由だ。‥‥この場所が漏れなければ好きにすれば良い。ゲットーではブリタニア人が目立つ事は念頭に置いていた方が良いぞ」
しかしゼロはあっさりと許可を出してしまう。
「‥‥良いんですか?ゼロ」
カレンが訝しげに訊ねる。
「あぁ。部屋を用意してやれ。‥‥それと、戻る前には連絡を入れるように。間違えて撃たれても知らないぞ。‥‥藤堂、この後話が有る」
ゼロはそう言うと、踵を返す。
「ぼくが軍に知らせる~とか、思わないのかな~、君は?」
「思わないな。‥‥守りたいと思っている者がいる場所に危険を及ぼそうとする事はないと見たが?」
ロイドが口にする興味本位のような言葉に、しかしゼロは冷静に応じる。
「ならキョウトに出立した後に通報~とかは考えないのかなー?」
「ちょ‥‥ロイドさん。いい加減にしてください。黒の騎士団の手の内で敵に回すようなこと言うのやめてくださいね」
ミレイが慌てて止めに入る。
「‥‥わたしを怒らせてその反応を見るつもりか?少しでも疑っているのならば、まずは武装解除くらいさせている。ここは任せる。行くぞ、藤堂」
溜息を吐いた後、ゼロは扇とカレンを見てこの場を任せると、藤堂を連れて部屋を出て行ってしまった。
結局、藤堂は一言も口を利かず仕舞いだったのを、四聖剣はこの時思い当って当惑した。
「‥‥武装解除くらいって‥‥武器持ってるんですか?ミレイ会長‥‥それに」
カレンは唖然として「そういえば、確認してなかった‥‥」と眉を寄せて思いながら、ミレイとロイドと咲世子を順に見た。
「‥‥‥‥。そりゃぁねぇ。‥‥一応持ってるわよ。すぐに取り上げられると思っていたから護身銃一つだけど‥‥」
「あぁ、ぼくも一応軍属だし、銃の一つとか持ってるね~。あはー。もっと気をつけないとダメだよ~。ゼロが気づいてたみたいだから良ーんだろうけど~」
「申し訳ございません。わたくしも、一応所持しております」
三人三様に頷いた後、ミレイはバツの悪そうな表情で、「‥‥いる?」とカレンを見る。
ロイドと咲世子は表情を変える事はなく、相手の出方を待っているようであった。
「良ーんじゃないか?ゼロも取り上げろとは言わなかったし‥‥。あれだけ言われて滅多な事はしないと思うけど」
と、扇は曖昧に応じた。
武器を持っている事がバレたのに、何もしようとしない三人にそのままで良いかもと思ったせいもある。
「‥‥扇さん、部屋、どこにしますか?」
「あ、あぁ。‥‥Dエリアに空き室が固まっていたからそこに‥‥。カレン、準備をしてくるからしばらく頼む」
「はい」
扇はカレンに任せると続いて部屋を出て行った。
「あっと。‥‥えっとプリン伯爵、だっけ?戻るのなら出口まで誰かつけるけど‥‥?」
「ロイドです、ロイド・アスプルンド。君まで変な名前で呼ばないでくれるかな?」
カレンがロイドに言うと、不機嫌な顔で訂正されてしまった。
カレンは思わずムッとする。
「‥‥名前はどうでも良い。それで?」
「えーと。ミレイくん。頼んでも平気かな~?当座の仕事片付けて、明日の昼には戻れると思うんだけど~?あー、出動がなければぁ?」
ロイドはミレイに訊ね、しかし最後にチラと騎士団のメンツを流し見た。
その目は「黒の騎士団が余計な騒動を起こせば、ランスロットの出動が発生して、自分も出動しないといけないんだけどー」と言っている。
入ったばかりの四聖剣はまだ黒の騎士団の予定はわからないから他の三人を見る。
「知らないわよ。わたしはぁ。興味あるのはナイトメアフレームだけだしぃ?」
「わたしの知るところは情報面だけですが、特に事件らしい事件は起こっていませんね」
ラクシャータとディートハルトはさっさと無関係だと言いきってしまう。
「‥‥。わたしも聞いてないわ。今日あるはずだった会議も闖入者のせいで随分とずれこんでしまってるし」
「わかりました。‥‥わたしは祖父の用事で数日留守にすると言ってあるし‥‥。早目に戻ってくださいね、『イエス』なら」
ミレイは暫く考えた後頷いた。
「わ、わかってますよ~。少し遅くなったからと言って、勝手に『ノー』に変換しないでくださいね~」
ロイドは、焦りながらもそう言うとカレンに向きなおった。
「ラクシャータ。四聖剣の二人程連れて出口までお願いできますか?他の団員の牽制の為にも。後、ゼロに報告を」
「しょーがないわねぇ。行くわよ、プリン伯爵。と四聖剣二人」
ラクシャータが言うと、ロイドが歩き出し、四聖剣の中から卜部と千葉が動いた。
「ではわたしがゼロに」と言ってディートハルトも一緒に出て行く。
扉が閉まってから、ミレイがカレンに訊ねる。
「‥‥それで、何か聞きたい事でも?」
残った仙波と朝比奈を気にしながら、それでも気になったと言ったところか。
「‥‥‥‥‥‥。あいつ、どうしたの?」
しかしカレンがそう尋ねた時、電話のベルが鳴り出した。
ミレイが携帯を取り出す。
「‥‥出ても良いかしら?相手はリヴァルみたいだけど?」
「‥‥‥‥。スピーカーでなら‥‥どうぞ」
カレンは仙波と朝比奈を見てから、そう許可を出した。
ミレイは腕を伸ばして出来るだけ離して机に置いてから、通話ボタンを押すとすぐさま両手で両耳を塞いだ。
その動きを察した咲世子はナナリーの耳元で囁き、二人揃って耳を塞ぐ仕草をした。
『ミレイ会長~~。今どこですかぁ~~。この大変な時に~~』
リヴァルの大声が室内に響いた。
重要な会議もおこなわれるこの部屋が防音に優れていなければ、基地中に響いていたのではと思われる音量で有る。
当然、予期していなかったカレンと仙波、朝比奈は顔を顰めて遅まきながら耳を押さえていた。
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作成 2008.01.14
アップ 2008.02.21
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ナナリーin騎士団【3】御一行、騎士団に居候決定?
解放戦線に人質にされた事のあるミレイは元解放戦線にも思うところ有りなはず....。
ロイドは自分で守る気満々なので、騎士団に来たのは主に指示されたから以上の事はなさそう。
ランスロットを「白兜」と言う騎士団と紅蓮弐式を「赤いの」呼ばわりするロイド、どっちもどっち?
武装解除云々は後付け。
これでナナリーまで何か武器持ってたら怖いな~とかちょっと思ったけどその予定は(とりあえず)なし、かな?
最後、リヴァルからの電話でとりあえず切りました。