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脳裏に浮かぶゼロの仮面、ゼロの姿が歪んで捻れて消えていった‥‥。
後に残ったのはゼロの声だけ。
ッ‥‥‥‥何故気付かなかったのだ、わたしは。
このような姿になる前に、あれほどの無礼を重ねる前に。
もう遅いだろうか?手遅れだろうか?もしもまだ間に合うのならば‥‥‥‥わたしは。
いや!例え手遅れだったとしても、会いに行こう、ゼロに、‥‥あの方に!
『おはようございました』
何処だ?何処におられる?‥‥外野が煩い、何を言ってる?
‥‥わたしの邪魔をするな。
わたしの口が身体がわたしの意志の通りに動かない。
なんだ?その目茶苦茶な文法は。
これではあの方への言葉が伝わらないではないかッ。
忠誠もッ!敬愛もッ!謝罪でさえもッ!
‥‥‥‥待て!わたしにはもはやゼロに仇をなすつもりは毛頭ないんだぞ!
ゼロが騎乗すると言う黒い機体を目の前にして、わたしの口は勝手に高笑いを上げている。
‥‥ヨセッ!ヤメロッ!あの方を傷付けるなッ!
ガウェインの中で、急に現れた「オレンジ君」が乗る機体に、渋面を作りながら、ゼロはC.C.に指示を出す。
「C.C.。‥‥あれには構うなッ、神根島を目指せッ」
「無理だぞ、その前に追い付かれる」
ガウェインよりも性能が良いのは先刻承知だろう?とC.C.は不機嫌を隠さずに言うのだが、ゼロは頷きつつも撤回はしなかった。
「‥‥良い、とにかく少しでも島に急いでくれ」
「‥‥ならば、追い付かれた時はお前が何とかしろよ」
言い出したら聞かない性格なのはわかりきっているので、諦めの入った声で、C.C.はそう言って先を目指す。
「わかってる」
ゼロは気負うでもなく、ただ肯定しただけだった。
衝撃が来て攻撃を受けたガウェインは神根島の浜辺に叩き落とされた。
「くっ‥‥。おい、どうするつもりだ?」
先程言った通り、お前がどうにかしろとC.C.はゼロに指示を仰ぐ。
ゼロの出した指示は、とんでもないものだった。
「C.C.はおれを降ろした後、ナナリーを助けに向かってくれ」
「待てッ、逆じゃないのか?生身でアレの相手をするつもりか?」
C.C.でさえ驚くような内容に、眼を見開いて訊ねなおした。
「平気だ。殺されたりはしない。だから、ナナリーを。‥‥頼む」
「‥‥わかった。その代わり、約束は守れよ」
ゼロの揺るがない自信に、C.C.はそう言うと、ゼロを降ろして、その場から飛び去って行った。
黒い機体から出て来た人物にわたしは歓喜し、小躍りした。
ゼロだ、あの方だ!
言わなければならない事がたくさんあるのだ、わたしには。
謝らねば、許しを戴ける事はないとわかっていても、とにかく謝らなければ。
黒い機体から出て来た人物にわたしは歓喜し、小躍りした。
間違いない、ゼロだ!
これまでの無念を今こそ晴らすのだッ!
濡れ衣を着せられた無念を、屈辱を、怒りを!
なッ待てそれはダメだ!
待たぬ、このような好機を逃してたまるかッ!
「‥‥‥‥煩いッ、黙れオレンジ!わたしに言いたい事が有るのならば、降りて来て面と向かって言え」
それは張り上げたものではない、ただゼロは怒りを込めて不機嫌に、いつもよりも低い声で言っただけだった。
聞こえてる‥‥のか?今のやり取りが?
「ふッ、当然だろう?」
ゼロは仮面越しながらも、余裕たっぷりに言い切った。
ルルーシュは不機嫌だった。
なんだ?この頭の中に直接聞こえるような言い合いは。
なんだ?支離滅裂な言葉の羅列は?
ある時を境にして聞こえだしたその声に、思考を邪魔されまくっているからである。
一つには思慕、一つには憎悪、一体全体何なんだ?この声は!
目の前に現れた「オレンジ君」を見て、ルルーシュはこの声の主が「オレンジ君」だったのだと気づく。
「ゼロを倒せ」とそう言った端から、「やめろ、手を出すな」と否定する、その言い合いが鬱陶しい。
「オレンジ君」は一体何がやりたいんだ?
『ゼロッ、ご無事ですか?‥‥コイツッ』
カレンの声と共に、紅蓮弐式がゼロを庇う位置に割って入る。
「カレンか‥‥。わたしは平気だ。C.C.がガウェインで先行している。白兜も見掛けたから追ってくれ」
『ですが、コイツが‥‥』
おかしな形だが、曲がりなりにもナイトメアフレームであろう機体の前に生身のゼロ一人を残して行けようはずがないとカレンは躊躇する。
「平気だ。C.C.にも言ったが、わたしは殺られたりはしない。だから‥‥行けッ、カレン!」
ゼロのその言葉は、こんな状況だというのに、何故か説得力を持っていて、カレンは頷いていた。
『‥‥わかりました、ゼロッ!ご無事で』
それだけ言うと、カレンは紅蓮弐式を飛び立たせ、ガウェインを見た方向へと進ませていった。
再び一人「オレンジ君」の乗る機体と対峙するゼロは、静かに佇んでいた。
機体はスーッとゼロに近づいて来て、すぐ近くに止まると、中から変わり果てたイメチェン「メカオレンジ君」が現れる。
どうやらゼロがさっき言った「降りて来て面と向かって言え」に従ったらしい。
その手には銃が握られ、銃口はゼロに固定されていたが。
「‥‥で?‥‥ジェレミア・ゴットバルト、‥‥だったな?何の用だ?」
ゼロは敢えて、「オレンジ君」と言う愛称(?多分怒る者約一名)を避け、本名で訊ねていた。
あの状態で、わざわざ降りて来た行動に敬意を表しても良いかと思った為だ。
「貴方様はゼロ?!何たる僥倖!宿命!数奇!」
そうだッ、そのまま謝罪をするのだ。今までの行動を、ゼロに、詫びるのだ。
「‥‥‥‥それで?ハッキリ言え、ジェレミア卿ッ」
「出会イハ幸セ!このジェレミア・ゴットバルトには!!こんな形で機会をイタダキマシタ!!」
やっと貴方にお逢い出来たのだッ、謝罪する絶好のチャンスまで頂いた。
「前置きは良い。お前がジェレミア卿だと言う事も分かっている。その先を言え」
「言い訳ムダ!懺悔は今!!ご無礼が大量!」
わたしは悔やんでいるのです。
ゼロが貴方だと気づかずに、これまでの無礼の数々を、言い訳のしようもない程にッ。
「‥‥‥‥。ん?もう一つの意思はどこに行った?ジェレミア卿。さっきまで葛藤していただろう?わたしへの憎悪と」
ゼロは不意に首を傾げると、普通にジェレミアに話しかけていた。
そう言われてみればいつの間にか抵抗がない。
身体もぎこちないながら、我が意に従い動いてくれている。
わたしはまだ構えたままだった銃を持つ手を下し、銃を手放した。
ボトッと鈍い音がして、砂浜に銃が落ちる。
「なるほど?名前に反応しているのかも知れないな。あの疑惑の名前で呼ぶとわたしを殺そうとするわけか?」
「呼ブハイケナイ!危険が大量!」
再び身体が意に従わなくなれば、わたしは何をするかわからないのだ。
これ以上の無礼を重ねるわけにはいかない!
「‥‥良いだろう、ジェレミア卿。謝罪は受け入れても良いぞ?但し、わたしの素性は黙っていろ」
ゼロの言葉に、わたしは歓喜した。
「何たる僥倖!何たる歓喜!忠誠をイタダキマセ!」
わたしの忠誠を、敬愛をどうかッ!
「‥‥それは保留だな。あの呼び方をされても、わたしを殺そうとしなくなったら、その時には改めて検討してやっても良いが」
ゼロは溜息混じりにそう応じる。
今のジェレミアの忠誠を受けて騎士にしたとして、「オレンジ」の言葉でその騎士に命を狙われる主にはなりたいはずがない。
「あれは違イマシタ。別人!」
「だが、あれでお前を呼ぶ者は多いだろう?今後も。それまで違うとは言いきれないだろう?ジェレミア卿」
ジェレミアの意思とは別のところで、ジェレミアを「オレンジ」「オレンジ卿」「オレンジ君」と呼ぶ者は多いだろうし、今後も恐らく絶えないだろう。
「仕方アリマシタ!命令ハ幸セ!」
「お前はこのまま租界に取って返し、ブリタニア軍を倒してこい。‥‥間違っても騎士団に攻撃は加えるなよ?」
それでも命令をというジェレミアに、租界へ戻るように言ってみる。
これで応じれば儲けモノだ、あの変なナイトメアフレームモドキは強力な戦力になる。
「命令ハ幸セ!」
敬礼をしたジェレミアは、踵を返すとナイトメアフレームモドキに乗り込んで飛び去って行った。
ゼロは騎士団の連中に、「オレンジ」と呼ばないように指示を出さなければ、と思いながらその機影を見つめていた。
了
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作成 2008.02.16
アップ 2008.02.18
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光と闇の想い お目覚めのメカオレンジ~神根島まで。
変な文法で話すメカオレンジと普通に会話するルルーシュ(ゼロ)が書きたかったのだけど...(汗
何故か、ルルーシュにはメカオレンジの内面が聞こえてますね~........(汗
そりゃ少しくらい変な文法でも意味は伝わるか...。
一応「オレンジ君」と返事をしなかったらどうだろう?なんて感じで。
ナナリーのところに行ったのがC.C.とカレンなので、スザクv.sゼロ(ルルーシュ)はないかな?w
色々決意して来てるはずなのに、書かれてないところでスザクに酷いかもw