(「父の日騒動」続編【4】/ゼロ+四)
ゼロは月下の側で四聖剣に足止めされていた。
「藤堂さん、追い返したのにまだ何か用?」
朝比奈が刺々しく尋ねる。
「朝比奈、もうちょっと穏便に話せって」
「無理ですッ!卜部さんは黙っててください」
「お前が黙れ、朝比奈。これ以上話をややこしくするな」
宥める卜部に反論する朝比奈を千葉が抑え、ついでとばかりに頭に拳を振り下ろした。
「ぃったぁ~千葉さん酷いじゃないですか」
頭を押さえて抗議する朝比奈を、しかし見ている者はいなかったので朝比奈は拗ねた。
「ゼロ。藤堂中佐は隊長機の中におられる。‥‥が、その、」
仙波がゼロに藤堂の居場所を教え、それから何と言ったものかと言いよどむ。
「諍いに来たわけではない。‥‥渡したい物が有って、だな」
ゼロの言葉に、四聖剣は脇に退き、月下隊長機までの道が開いた。
「足止めしてすまなかった、ゼロ。通ってくれ」
千葉の言葉に、ゆっくりと頷いたゼロは隊長機へと歩いていった。
「お前さ、朝比奈。追い返す気ないのに意地悪するのやめろって」
ゼロの背中を見ながら、小声で卜部が注意する。
「少しくらいなら良いじゃないですか。藤堂さんにダメージ与えたのは事実なんですから」
「おれは知らねぇぞ」
朝比奈の言葉に、卜部がボソリと呟いた言葉は、小さすぎて誰の耳にも届かなかった。
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2008.07.08作成
2008.07.28-2008.07.31up
2008.08.24再録
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