(「災厄は突然に」設定/藤ル.ル)
藤堂は感心する。
「人前に出てバレない程度の演技は必要だ。要はなりきれば良いのだが‥‥」
ルルーシュはそう言って、「おかしいところが有れば言ってくれ、藤堂」と言った後、藤堂になりきったルルーシュ。
外見は藤堂なのだから、なりきると確かに「藤堂鏡志朗」にしか見えない。
見えないのだが、問題はやはり有るもので。
「‥‥何も無いところで転ぶのはやめてくれないだろうか‥‥‥」
「す、‥‥すまない。間合いは把握したのだが‥‥気をつける」
ルルーシュはそう言うしかない。
いつも通りではダメなのだと再度己に言い聞かせた後、今度は藤堂の演技を見ることになった。
なった、のだが。
ゼロは普段は大人しいが演説をするとなると弁が立つ、それはもう恐ろしい程。
逆に藤堂は普段大人しいというか無口で、そこは同じだが、話すとしても弁が立つと言う訳ではない。
となるとゼロのような弁論をしなければならない藤堂の負担たるやかなりなものになる。
「‥‥藤堂。とりあえず不機嫌オーラ出しておけ。そうすればそんなに話す必要はなくなる」
ルルーシュからの助言で、藤堂はそう言えば確かにと思い出す。
不機嫌オーラ全開のゼロにあえて近付こうとする者は少数だ。
仮面を向けるだけで固まる者がほとんどで、「なるほど良い手だ」と頷いた。
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2008.07.01作成
2008.07.20-2008.07.24up
2008.08.11再録
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