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二人きりになり、桐原が机に向かい筆を走らせるのを見ながら、ルルーシュは高圧的な声を出した。
「どういうつもりだ?桐原公。少々遊びが過ぎてはいないか?」
「黒の騎士団はゼロの軍隊。ゼロがおらぬ間にどうなっているのか、ゼロをどう思っておるのか、一度見ておくのも良いかも知れぬ、と思うての」
「無断で話を進めるのはやめて頂きたかった。騎士団には表のわたしを知る者がいる。バレれば桐原公と知り合いだという件と変装の件、痛い腹を探られる」
少女の姿で渋面を作ってみても、正しい効果は得られず、桐原もまた堪えた様子はかけらもなかった。
「ほぉ。‥‥してその者の名は?」
「‥‥‥。紅月カレン。紅蓮弐式のパイロットだ」
ルルーシュは暫し躊躇った後、その名を告げた。
「あの少女か。‥‥良かろう。エルを騎士団に向かわせている間に、こちらで少々借り受けよう。それならば良いか?」
桐原の言葉に、ルルーシュは折れて頷こうとしたが、その時、扉をノックする音が聞こえて、ルルーシュはエルになりきった。
「どうした?」
桐原が問いかける。
「建物を撮影していた不審なブリタニア人を捕らえました。いかが致しましょうか」
その言葉に、ルルーシュは思い当たる人物がいた為、思わず額に手を当てた。
「‥‥名を」
ごく小さく、桐原にそう告げると、「その者、名はなんと言う?」と質問してくれた。
「持っていた身分証には、『ディートハルト・リート』と有ります。ブリタニアの報道関係者のようですが、‥‥スパイやも知れません」
「‥‥団員です」
桐原は軽く目を見張り、嘆息した。
「別室にて見張りをつけておけ。後で話を聞く。それまではあまり無体な事はするな」
「了解いたしました。失礼致します」
扉の外の気配は、そのまま遠ざかっていった。
「真に騎士団の者なのか?」
「えぇ。情報・広報の責任者にすえた者。‥‥藤堂達を見かけて後をつけてきたのかもしれない」
まさか自分がつけられていたとは思わず、ルルーシュは答える。
「そうか。‥‥ならば藤堂に預ければ良いな?じゃが、そうするとアジトまではエルも共にと言う事になるのか?」
桐原の言葉に、ルルーシュはその光景を想像し、嫌そうに顔を歪めた。
「‥‥仕方ない。あまり近付きたいとは思わないのだが‥‥」
「まぁ、せいぜい藤堂達に守って貰え」
そう言って笑う桐原に、ルルーシュは溜息を吐いたのだった。
戻ってきたのは、桐原一人だった。
「藤堂。この者に心当たりはあるか?」
桐原はそう言って、ディートハルトの身分証を渡す。
身分証が誰の物であるかを見て取った藤堂と仙波は、出来ればアジトに戻るまでくらいは忘れたままでいたかったと渋面を作る。
「‥‥‥‥‥‥。‥‥団員です」
長い沈黙が、答えたくないと言う思いを如実に表しているようで、桐原は苦笑した。
「実は建物の周りをうろついていたので、部下が捕らえて来たのだが‥‥預かると言うのであれば引き渡すぞ?」
藤堂と仙波は反射的に、「いらん」と言いそうになってなんとか堪えた。
確かに能力は高いのだが、いかんせん普段の言動によって相殺どころかマイナス方面へと、その評価は突出してしまっているのだ。
「‥‥後程、団員を寄越すまで預かって頂くわけには?」
それ程までに引き取るのが嫌なのかと、桐原はエルの態度と合わせて、面白いと思った。
「あー‥‥その、ですな。エル殿を同行するならば、一緒、と言うのはどうかと思うわけでして‥‥」
仙波もまた何とか回避する方向へと話を持っていこうと口を挟んでみた。
ここまで毛嫌いされているのに、一部門の責任者という事は、かなり有能なのだろうと、桐原は納得した。
勿論、周囲にこれ程煙たがられる者を配下や身近に欲しいとは断じて思わないのだが。
「ふむ。‥‥ならば、引取り人はこちらで指名させてもらうとしようかの。扇、と言ったな。それと紅蓮弐式のパイロット。その二人で引き取りに来るように伝えよ」
どうしたものかと思い、藤堂と仙波は視線を合わせるが、それも束の間、二人は揃って頷いていた。
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作成 2008.07.03
アップ 2008.08.03
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Ⅳ.ばったり遭遇「桐原+α」編 【4】桐原とエルのシリアス。
乱入者、というか、タライ回し者登場。
色々ありますが、やっとこ場面が変わりそう.........。
ですが、この先は白紙状態、現在一行も書いていない.......。
ので、どうなることやら、とっても不安です。
まぁ、一応、藤堂と仙波に期待、ですね。
お願い二人ともッ、頑張って守ってね、と丸投げしておきましょう。