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カレンは不満だった。
最近、ゼロの側には四聖剣の誰かが常にいて、ゼロもそれが当たり前のように思っているみたいだったからだ。
「ゼロが月下(隊長機)に乗るから連携が取れるようにしないとね」との朝比奈の言い分が納得出来てしまえるのも腹立たしいのだ。
「あんた達四聖剣は藤堂さんの部下でしょ!」とカレンは内心で叫んでいた。
ゼロに言うのもはばかられ、藤堂に注意して貰おうとカレンが部屋に向かうと既に先客が扉の前で仙波と睨み合いをしていた。
「む。紅月も来たのか」
ディートハルトの肩越しにカレンを見た仙波がそう呟いて嘆息した。
「藤堂さんは?」
「中におられるが今は会わせられぬ」
相手がディートハルトからカレンに替わっても仙波の言う事は変わらない。
大体、彼らが中に入って目にするのは、ゼロの仕事をゼロ並に処理していく藤堂の姿だ。
間近で見て初めてゼロの殺人的な仕事量を実感した四聖剣は、その姿だけは他人に見せないと決めた。
元に戻った時、「やってたじゃないか」とか「出来るだろ」等と言われて藤堂が過剰な仕事を割り当てられない為にだ。
その言い分はゼロも認め、四聖剣が手伝う事を条件に他人に見られないよう心がけると約束していた。
今、中でゼロ(外見藤堂)の手伝いをしているのは千葉で、ディートハルトが来る前は仙波も共に手伝っていたのだが‥‥。
カチャと音がして扉が内側から開き、千葉が顔を見せた。
「仙波大尉、わたしはこれより月下の整備に参ります。後をお願いしても?」
「うむ、承知した。次は卜部か?朝比奈か?」
「卜部さんです、大尉。この二人はわたしがゼロの元へ連れて行きますので」
仙波と千葉はそう言って頷き合い、仙波は口を挟む事も出来ず見ているだけだった二人を置き去りに部屋に姿を消した。
「さて」
千葉は扉が閉まるのを確認すると、ディートハルトとカレンを振り返り、そう始めた。
「共に来て貰うぞ、二人とも」
「しかしですな」
「‥‥お前達の言いたい事は理解してるつもりだ。ゼロも中佐も他の四聖剣やラクシャータもだ。それでも応じられない事は有る」
諭すようなそれでいて諌めるような千葉の言葉に二人は突入を断念した。
「‥‥ゼロのところに連れて行って、どうするつもり?」
カレンは探るように千葉に尋ねる。
「別になにもしない。まぁ今は、中佐にしろ、ゼロにしろ何かと忙しいのは確かだ。手を貸すのならともかく、邪魔はするなよ」
千葉はそう言うと格納庫に向かって歩きだし、カレンとディートハルトは顔を見合わせてから後を追った。
「と‥‥ゼロ、この動きなんですけど」
普段から藤堂や四聖剣と話す内容なのも相俟って、朝比奈は呼び掛け間違えないようにするのに一苦労していた。
「あぁ、そこは‥‥。慣れないか?」
「今もですけどー、戻った後に間違えそうな程には慣れたくないかなって思いますねー」
朝比奈は曖昧に頷いて答え、「良く平気ですよね」と続けた。
「朝比奈ぁ、そろそろ千葉が交代にやってくる。おれの月下は整備終わったから、後は頼むぜぇ?」
「わっかりましたー、卜部さん」
卜部の声に振り返った朝比奈は「頑張ってくださいー」と卜部を激励した。
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作成 2008.05.18
アップ 2008.08.05
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災厄は突然に【3】嫉妬。仙波:「中におられるが今は会わせられぬ」
長らく放置状態でしたが、続きの続きなら.....とか思っていたんですが。
とりあえず、短くってもいっかぁと少々開き直り気味ですorz。
拍手お礼文による前振りが一息ついたので、少しだけでも先に進めようかと。
なので、少しばかり短いです。
防波堤役をする四聖剣に嫉妬する例の二人がいます。