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五機の無頼改が白兜を振り切って、洞窟に身を隠す事に成功した時、藤堂と四聖剣は、安堵から同時に息を吐き出していた。
そして、あの人外魔境としか言いようのない白兜を相手にして藤堂達の元に辿り着いたゼロを称賛する。
彼等とて一対一ならば逃げおおせる事は出来なかったと思うからだ。
仙波、卜部、千葉と相次いで無頼改から降りると、念のためにと銃を手にまだ姿を見せない藤堂の無頼改に近づいた。
朝比奈は無頼改から降りず、周囲の警戒。
何も言わずともそんな役割分担は出来ていた。
万が一傍受される恐れのある通信は使えないので、降りて来るのを待たなくてはならない。
じりじりと焦りながら四聖剣は藤堂が姿を見せるのを待っていた。
無頼改の中でモニターを通して四聖剣の動きを見ながら、藤堂は「さて‥‥」と思う。
腕の中には、気を失ったゼロがいて、今降りて行けば仮面を取ると言う流れになりそうで躊躇われたのだ。
テレビや雑誌で見て思っていたよりも随分と小柄で華奢にさえ思え、軽い身体に、まだ子供なのだと驚きを隠せない。
「ん‥‥ッ」
低く唸る声が藤堂の耳を打ち、ゼロが身じろぎしたのが伝わって来た。
「気がついたようだな。どこか痛むところはないか?」
藤堂の声にゼロはハッとして身を起こし、それから右腕を押さえて呻いた。
「急に動くからだ。今から降りる。下で手当てをしよう」
藤堂はそう言うと、ハッチの開閉スイッチに手を伸ばした。
「待てッ」
ゼロは掠れたものの、鋭い制止を発して左手を重ねた。
振り切る事は簡単だったが、藤堂は実行せずに動きを止めた。
「‥‥何故だ?」
問い掛け。
何についてかの言及はない。
「‥‥‥‥何の事だ?」
藤堂は思い当たる節があったがあえて尋ね返した。
「何故仮面を取らなかった?」
ゼロの再度の問いは藤堂の思った通りのもの。
「傷ついて意識のない者のか?そんな事はしない」
「今なら意識はあるぞ?」
「‥‥取って欲しいのか?」
「まさか」
「敵でもない者に、無理強いしたりはしないさ。‥‥もう降りて良いか?部下が外で心配しているのだが」
藤堂の言葉にゼロはハッとして手を引っ込めた。
「すまないッ」
律義に謝るゼロに藤堂は苦笑を返しながら、ハッチを開いた。
藤堂はひょいと、ゼロを抱き上げると「ぉいッ」と慌てた声を上げたゼロを無視してコックピットから降りて来た。
「無理はするな。千葉、手当てをしてやってくれ」
「‥‥承知」
ゼロを胡散臭く思いながらも藤堂の指示だからと頷き、治療キットを取りに無頼改へ向かおうとする千葉をゼロが止めた。
「手当ては不要だ。裂傷があるわけでもない。ただの打ち身や打撲程度のものだからな」
「それでも、スプレーや湿布をして固定して置いた方が良いだろう?」
藤堂が眉間の皺を深くして諌める。
「ッそれに、‥‥女性の前で服を脱ぐのは失礼だろう?」
藤堂に抱え上げられた状態でフェミニスト発言をするゼロに四聖剣は唖然となって絶句した。
千葉は確かに女性だが並の男よりも漢前なので、余り女性扱いをする者が周りにいないせいもあったが。
「ならおれがしてやる。千葉には他所を向かせておくし、だから大人しく手当てを受けろ」
藤堂が妥協して言う。
「‥‥‥‥‥‥‥‥頼む。済まない」
ゼロは暫く藤堂を見上げた後、ゆっくりと頷いて頭を下げた。
と、そこでまだ抱えられた状態だった事に気付いたのか少し慌てた声を出す。
「ッと、藤堂。とにかく降ろしてくれないか?」
今更と思いながらも藤堂は従おうとして、はたと動きを止めた。
「‥‥‥‥何故おれの名前を知っている?」
まだ名乗ってもいないのにと藤堂は訝しく思い尋ねた。
「‥‥『厳島の奇跡』藤堂鏡志朗は有名だからな。今回、わたしの策を読んでコーネリアの騎士を待ち伏せしたのもお前だろう、藤堂」
「‥‥そうだな」
「こちらの不手際まで察して退いたタイミングも評価に値する。‥‥迷惑をかけた事は詫びる。すまなかった」
藤堂達もまた確実に想定外の要素だっただろうし、示し合わせたわけでもないと言うのに、素直に非を認めて頭を下げるゼロへの評価は上がる。
「‥‥不手際と言うが、あんなのを相手にしては分が悪すぎるだろう」
仙波が慰めの言葉をかける。
「‥‥あぁ、確かにな。だがッ、わたしはいつも奴に‥‥ッ!‥‥すまない。愚痴を聞かせる気はなかったのだが‥‥」
憤りを見せた事が気恥ずかしいのか、ゼロの言葉には勢いが欠けていた。
「中佐、これを。‥‥朝比奈、代わろう」
千葉は治療キットを藤堂の前に置くと、唯一起動中の無頼改を振り返って言葉を投げた。
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作成 2008.04.16
アップ 2008.07.16
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ナリタ捏造「藤堂+四聖剣とゼロ」【2】潜伏。 藤堂:「‥‥‥‥何故おれの名前を知っている?」
なんか続きました。
藤堂+四聖剣によるゼロを連れた逃避行はまずは無事成功した模様?
まだ隠れてるだけですけど。
てか白兜のあの勢いは脅威というか恐怖というか、実体験はしたくないですよねー^-^;;