04 | 2025/05 | 06 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | ||||
4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 |
18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 |
25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 |
※「心の叫び」の続きです。
メカオレンジを引き続きC.C.に委ね、残りは部屋を出た。
一応反省したらしいC.C.は、当面「オレンジ」とは言わないだろうと思われたからだ。
「あれ?卜部さん、どうしてここにいるんですか?」
とカレンが首を傾げたのは廊下に出てすぐだった。
「どうした?カレン」
足を止めたゼロはカレンに声を掛ける。
「え?‥‥だって、卜部さんにはあいつ頼んだはずなんですよね。どうしたんです?」
その言葉に、一同の視線は卜部に集まった。
「簀巻き状態だったし、部屋に閉じ込めて来たんだが‥‥?」
卜部の回答に、ゼロは深々と溜息を吐いた。
「‥‥ならば枢木のところへ向かうのが先か。カレン。扇達への説明は任せる。卜部、閉じ込めたという部屋はどこだ?」
「なッ‥‥わたしも行くわよ。てかあいつの方こそ誰かに任せるべきよ」
ゼロの指示に卜部が踵を返そうとしたところへ、カレンの反論が入って動きが止まる。
「ダメだな。カレンとC.C.の話通りならば、枢木はわたしの素性を知っている事になる」
「‥‥あれ?紅月さん、いつからゼロとタメ口だったっけ?」
「紅月が枢木を『即効落とせ』と言ったのはそのせいだったのか?」
朝比奈と千葉がそれぞれ疑問を口にする。
そしてゼロは再び溜息を吐いた。
「カレンと藤堂にもわたしの正体はバレている。後はC.C.と桐原公。‥‥それにジェレミア卿だな」
「「「‥‥は?」」」
「だから、ジェレミアにもバレていると言ったのだ。流石にそうでもなければ、説得など出来るものか」
「えっと‥‥藤堂さんにはいつ?」
「さっき、だ。藤堂とも昔、会った事があるのでな。それに枢木の師匠だったし?当然同行するよな?」
「あぁ。‥‥卜部と朝比奈はおれと。仙波と千葉は紅月と」
「「「「承知ッ!」」」」
「カレン、頼む」
「‥‥‥わかったわよ。確かに貴方が直接話してると、収拾つかなくなりそうだし、事前説明くらいしてくるわよ」
カレンは渋々折れて頷いた後、「理由は、『大切』にしとく?『最愛』にしとく?」と尋ねた。
「任せる。‥‥だが」
「それはわかってるわよ。そんな事は言わせないから心配しないで。それよりもあいつには気をつけてね」
「わかっている」
ゼロとカレンは頷き合うと、それぞれ目的の場所へと歩き出し、藤堂と四聖剣が従った。
仙波と千葉を従えて戻ってきたカレンに、幹部達は気付くなり、周囲に集まった。
いないのはゼロの傍にいる三人と、ディートハルトくらいだ。
「やっと説明する暇が出来たのか?カレン」
杉山が尋ねる。
「えぇ、そうね。‥‥それで、何が知りたいの?」
「大事な局面でいなくなったわけが知りたい」
「何がおれのせいだってんだ?」
杉山の抑えた声と、苛立つ玉城の声が前後する。
「学園を放棄した玉城のせいよ。‥‥何故ゼロが学園を拠点にしようとしたのか、説明しなかったところはゼロの落ち度かもしれないけどね」
鋭い眼差しで玉城を見据えた後、カレンはそう言って溜息を吐いた。
「白兜を捕まえる為、‥‥じゃなかったのか?学園の生徒だから誘き寄せやすいって言う‥‥」
「あいつはどこにだって来るわよ。‥‥何の説明もなかったから察しろッて言う方がきついのかも知れないけどね」
「なら‥‥」
「知ってるでしょ?あの学園はわたしも通っていたわ。だから知り合いも多いし、仲良くなった子もいたのよね。ブリタニア人だったけど、子ども、よね?学生だもの」
カレンはそう言って、「つまるところ、ブリタニア人とはいってもゼロの言うところの弱者に入るんじゃない?」と問いかける。
「‥‥まさか、学園の生徒を守る為、だなんて言わないだろうな?」
「なッ、ふざけんなよ、カレン。おれ達は日本の為にだな」
「ふざけてるのはあんたの方よ、玉城。『合衆国日本は人種を問わない』って言ったゼロの言葉、忘れたの?」
「‥‥待て、カレン。つまり、ゼロが学園にこだわったのはカレンの為、か?」
「と言いたい所だけど違うわ。学園に有ったのよ。ゼロが、ゼロになった理由が。『合衆国日本』を求めた理由が、ね」
カレンは首を振ってからそう答え、「でも玉城が学園を放棄してしまった。コーネリアと対峙してる時にその連絡を受けたらしいわ、ゼロは」と続ける。
幹部達は息苦しさを覚えて押し黙る。
「学園にいたはずの、ゼロの大切な人が浚われたって連絡を、ね。ゼロにとって、その人は世界よりも大切な人だったのよ」
カレンの静かな声は、静かになった空間に染み渡る。
「あっさり騎士団を捨てた、なんて言わないでよね?その人がいなければ、ゼロ自身がいないも同じ、ゼロがゼロである為には、その人が必要だったの」
「その人って言うのはぁ、藤堂が抱えて降りて、車椅子に乗ってった子ぉ?」
唐突にラクシャータが言葉を挟んだ。
「‥‥え、えぇ、そうよ」
「あー‥‥。まぁ、そーかもぉ?確かに世界よりも大切よねぇ」
「‥‥ってラクシャータ?」
「わたしぃ、ゼロとゼロの大切な人ってぇ知ってるかもぉ。なぁるほどぉねぇ。大納得だわぁ」
ラクシャータの言葉を聞いた仙波と千葉は揃って小さく「「またか」」と呟いた。
それはカレンにのみ聞こえて、「顔が広いにも程がある」とか「というより世の中狭いというのか?」と続く呟きも聞いてもっともだと納得した。
「と、とにかく。浚われたその人を助ける為にゼロは戦場を離れる事になったのよ。その時のゼロの最大の誤算は、扇さんが負傷してた事ね」
「「誤算?」」
尋ねたのは仙波と千葉だった。
「それでなくても焦って気が動転してたゼロは、扇さんが負傷してるって聞いてパニックになったらしいわよ。想定外が重なりすぎたとも言うけど」
カレンがそう言うと、「あぁ、ゼロってそう言えば、想定外の事には結構弱かったよな」とあちこちで頷くのが見えた。
「本当は指示したかった作戦とか有ったけど、ファイルは扇さんに預けていたし、一から説明する心のゆとりもないから、前線の藤堂さんに任せたって」
カレンの説明を聞いて、「それは確かに誤算としか言い様がないなぁ」と幹部達は納得した。
ゼロが離れた場合を想定した作戦を用意していて、副指令に預けていたにも関わらず、それが使えなかったのだから大誤算だっただろう。
それまでは確かに有った刺々しいギスギスとした空気が、フッと消えていくのをカレンは感じた。
了
───────────
作成 2008.04.24
アップ 2008.07.14
───────────
説明Ⅰ カレンの説明。カレン+仙波+千葉&幹部。
説明(Var.カレン)です。
時間を置いて書いていると、あれこれと矛盾が生じますね~。
まぁ、「何故カレンがそんな事を知ってる?」的な個所は「移動中+スザク失神中に聞いた」と言う事で^-^;;
「想定外に弱いゼロならそれもありかなぁ」的な感じで納得してくれれば良いかなぁなんて。