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★hidori様へのリクエスト作品★
(朝.ゼロ/ブラコン皇.族兄弟(シュナ、ネリ、アラン?)/騎.士団押し掛け話)
沈黙。
「‥‥‥そうかぃ」
ゆぅらり、とシュナイゼルが前に出ながら呟いた声は、そこはかとなく低かった。
「きさま‥‥か」
一瞬で殺気を放出し始めたコーネリアもまた前に出る。
「ぜっ‥‥‥たいに認めないから、今すぐ離れろッ!」
アランもまた前に進みゼロの腕を掴んで朝比奈の腕から解放しようと引っ張り始める。
「‥‥えーっと。朝比奈さんと皇族三人組で、ゼロの取り合いしてる、の?」
いけ好かないクラスメートそっくりの皇族がぎゃいぎゃい騒いでいるのを呆然と見ながらカレンが呟いた。
そっくりだけど、そいつなら絶対見せない姿に激しいギャップを感じながら。
「ゼロぉ。この調子だとバレるの時間の問題だから、先に団員達に説明しといた方が良いわよぉ」
ラクシャータの忠告が飛ぶ。
ゼロはラクシャータの言葉に、またもや深々と溜息を吐いた。
「‥‥今すぐ離さないと嫌いになるぞ」
小さく呟かれたゼロの言葉に、朝比奈とアランが同時にゼロを離し、ゼロはその反動で数歩たたらを踏むも何とか堪える。
「まぁ、確かに。ラクシャータの言う通りだな。しかし、お前はそれで良いのか?ラクシャータ」
身軽になったゼロが頷いて問い返せば、ラクシャータはこの上なく素晴らしい笑顔を返した。
「喜びこそすれ非難なんて致しませんわぁ」
ゼロは次に、藤堂に仮面を向ける。
「藤堂。お前は?」
「問題はない。‥‥これまで以上に力になろう」
重々しく頷いた藤堂は、そう言ってからやはり優しい笑みを見せる。
その事に朝比奈を含めた四聖剣は驚いた。
ゼロは更にカレンへと仮面の向きを移動させる。
「‥‥カレン。その‥‥‥‥‥君は?」
「‥‥ッへ!?‥‥て事はまさか‥‥‥。そ、そうね。後で一度だけ苦情を聞いてくれるなら以降は従うわ。良いわよね?そのくらいは」
尋ねられるとは思っていなかったカレンは、驚くも、何故尋ねられたのかを察して、ゼロを窺いつつそう言った。
ゼロ至上のカレンらしくない頷き方に驚く幹部達を尻目に、ゼロはあっさりとそれを容認した。
「あぁ、妥当だな。認めよう。‥‥朝比奈」
そして、更には騒動の渦中とも言える朝比奈へと問いかけは移る。
「一体何の基準だ!?」とは問われていない幹部達の共通する思いだったりする。
「むー。この三人受け入れないってなら文句なしに賛同するんだけど。すっごく邪魔だし」
問われた朝比奈はむくれて皇族の三人を睨みながら言う。
「何を言うか。貴様のような悪い虫をいつまでも可愛いゼロの側にのさばらせておく気はないわ」
即座に反論するコーネリアに、ゼロは仮面の上から頭を押さえた。
幹部達の混乱はいや増す。
「悪い虫‥‥ってあれの事か?」とか「朝比奈が悪い虫って‥‥」とか「可愛いゼロだってぇ~~え!?」とか。
囁き合っていたり、絶叫していたりと幹部達は忙しい。
しかし、「わかった」と言ったゼロが両手を仮面に持っていったのを見て、しーんと静まった。
小さな機械音の後、そっと仮面を外すゼロに、幹部と皇族と‥‥その場にいる全ての者の視線が注がれる。
さらりと黒い髪が揺れる。
仮面を片手に持ち直し、空いた手でマスクを下げる。
白い肌に赤い唇に、そして強い意志を窺わせる紫の瞳。
ゼロの仮面の下から現れたのは、────。
「同じ、‥‥顔!?」
アランと言った第十皇子とそっくり同じ顔が有った。
「わたしは。神聖ブリタニア帝国の第十一皇子ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア‥‥アランの同腹の弟、だな」
「素直に双子だって言いなさい、ルルーシュ。わたしがどれだけ君に会いたいと思っていたと思ってる?」
少し怒ったような表情でそれでも仮面を外した「弟」を嬉しそうにアランは見る。
「さて。既に廃嫡されているはずですし、皇位継承権も手放した身ですよ?」
しれっとルルーシュは言うが、皇族三人組に揃って首を振られて「ん?」と首を傾げる事になる。
「残念だけどね、ルルーシュ。君達の廃嫡は無効になったし、死亡報告も握り潰したから鬼籍に載ってもいないよ?」
「わたし達がお前達の死亡報告とやらをそのまま鵜呑みにすると思っていたのか?」
「そうそう。片割れの喪失に何も感じないなんてあるはずないからね。ちゃんとあの男を脅してそんな書類全部抹消しておいたよ」
にこにことルルーシュの顔を嬉しそうに見る三人の皇族に、ゼロの素性を知ったばかりの幹部達はどこに驚くべきだろうかと悩む。
ゼロが皇族だったという事よりも、これまで敵対していたはずの皇族がこの場にいる事の方に驚きの比重があるように思うからだ。
いや、それよりも。
「ルルーシュ君。おれ、君に双子の兄弟がいるなんて全然聞いてなかったんだけど」
「言ってなかったからな。第一おれは既に廃嫡されていると思っていたし‥‥」
ルルーシュに対して抗議の声を上げる朝比奈と、それに応じるルルーシュに、「あれ?」と思う。
「あの男の戯言なんぞ、気にするな。酷い事を言ったと聞いたからな。きっちり一万倍返しにしておいたぞ?」
「あぁ、わたしも三千回程暗殺者を送り込んでおいたのだけどね。しぶといのだけが取り柄のあの男には効果が見られなかったようで残念だよ」
「あの男の通る床にワックスや油を流したり、バナナの皮を置いたりと嫌がらせはたっぷりしておいたからね」
三人の言う「あの男」が誰だか判ったのはラクシャータと藤堂、それに朝比奈とゼロの四人だけ。
「あの男って誰だ?」
「い、一万倍返しって‥‥普通は倍返しか、多くても十倍返しだよな?」
「三千回も暗殺者送り込んでるのに無事って何もんだ?」
と、怖くて声高に尋ねられない内容に、幹部達はひそひそと囁き合う。
「‥‥なるほどな、アランのせいか。あの男の視線が時々足元に向けられたり、恐る恐る歩く時が有ったのは」
「あ、気づいてくれてたんだね、ルルーシュ。だって、すっ転ぶ度に衣装を汚すし、流石に放送中にそんな無様な姿をさらせないから、必死だよね」
「だぁ。そうやってルルーシュ君の気を引こうとするのやめなよ」
「うるさいな、お前には関係ないだろ。わたしはルルーシュの双子の兄なんだ。一緒にいるのが当たり前なんだからね。君のが邪魔」
「むー。何言ってるのさ。ルルーシュ君はおれの恋人なんだから、兄弟だからって割り込まないでよね」
喧々囂々とヒートアップした二人の言い合い、その内容に、幹部達は今度こそ絶叫していた。
ルルーシュは耳を塞いで音を遮ると、少し下がって藤堂の横に並ぶ。
「えーっと。‥‥朝比奈と付き合っているというのは本当なのか?ルルーシュ君」
朝比奈とアランの言い合いに、シュナイゼルとコーネリアが参戦するのを見ながら、藤堂はそっとルルーシュに尋ねる。
「‥‥はい、一応。あれ、収まるまでここにいて良いですか?二人まで参加してしまったので止められません」
頬を染めてテレながらも頷いたルルーシュもまた、四人の言い合いを見つめていた。
「それは良いが。‥‥止めて欲しいのなら割り込むぞ?」
「無理無理ぃ。やめときなさぁい、藤堂。あぁなったら殿下方はやめないしぃ、それなら朝比奈だってやめるわけにはいかなさそうだしねぇ」
ラクシャータが近づいてきて藤堂の提案を却下してのけた。
「扇。すまないが、ゼロがわたしである事に異論がないようならば通常作業に戻ってくれないか?」
「‥‥‥‥。わ、わかった。異論はない、し‥‥。ここは任せる、よ」
扇は頷き、その他の見ているしか出来なかった者達を促して作業に戻らせた。
ドモッていたのは単に急な展開についていけなかっただけにすぎない。
そう、思いはまさに、カレンの述べた事、「朝比奈さんと皇族三人組で、ゼロの取り合いしてる」事に驚いているというやつである。
そうして大半の者が通常作業に戻っても、朝比奈とシュナイゼル、コーネリア、アランの言い争いは続いていた。
ルルーシュには止める意思はないらしく、ラクシャータは楽しそうにその様子を見ている。
藤堂と残りの四聖剣は、呆れたような、諦めたような溜息を吐きつつ、朝比奈に視線を向けるのみ。
いつ終わるとも知れない舌戦の攻防を始まりとして、騎士団が新たに認識した事。
それは朝比奈とゼロが付き合っているという衝撃的事実と。
皇族の三人が新たに騎士団に入団したという事。
そしてゼロに不用意に近づけば争いに巻き込まれるという事だった。
了
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作成 2008.07.26
アップ 2008.07.28
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hidori様へ。
お気に召していただけましたでしょうか?
リクエスト内容に合致しているかはいまいち不明ですが、
どうぞ、お受け取りください。
............あれ?朝ゼロ!?朝ゼロ!????
攻防に気を取られ過ぎたのか、朝ゼロ描写が果てしなく少ない、てかマジ朝ゼロ?
更には「アラン」が出張り過ぎてシュナ様とネリ様の出番が少なかった気がしますorz
後半というか、終りに近づくにつれおかしな方向へと進むのはやはり仕様なのかも知れません。