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扇とカレンは後ろ髪引かれる思いで、ゼロと藤堂、四聖剣の二人を残して騎士団の本陣まで下がっていた。
「おいッ、扇、カレン。ゼロや藤堂達はどうしたッ」
玉城が二人に苛立たし気に声を掛ける。
四聖剣の仙波と卜部や他の団員達もその答えを固唾を呑んで待っている。
「‥‥まだ残っている。‥‥シュナイゼルと会談中だ」
扇はカレンと視線を合わせてから、そう言った。
とりあえずはゼロの素性と、枢機卿については黙っているように言われているからだ。
言ったところで混乱を招くだけ、と言われては従うより他にないし、うまく説明できる自身もなかったからだ。
「‥‥じゃあ、扇さん。わたしは行きますね」
カレンは扇に一言声を掛けると、紅蓮弐式に向かう。
「って、何所行く気だ?カレン」
「任務、よ。‥‥ゼロに頼まれた事があるの。あ、仙波さん、卜部さん。ついて来て下さい。藤堂さんから許可は貰ってますから」
仙波と卜部は顔を見合わせ、一度政庁に視線を向けてから頷いた。
「「承知」」
カレンは紅蓮弐式に騎乗し、月下に乗った二人を従えてその場を去って行った。
「‥‥で?おれ達はここでボケーッとしてろってのか?」
「えっと‥‥。ラクシャータ、ディートハルト。被害状況はどんな感じだ?」
「ナイトメアはぁ~。パイロットがいるモノのぉ、損害率30%ってところねぇ。今修理中だけどぉ。全く動かないのはないわよぉ」
「団員の死亡者が32名。重傷を負って戦線離脱の者87名。軽傷多数、といったところですな」
ラクシャータがナイトメアフレームの事だけを説明し、後にディートハルトが人的損害だけを告げた。
「32、‥‥120‥‥か。とにかく交替で食事と仮眠を。話し合いの結果次第ではもう一戦有るかも知れない」
扇は溜息を吐くと、団員に指示を出した。
「ってシュナイゼルを捕まえたんじゃなかったのか?‥‥さっきの停戦の指示だって‥‥」
玉城が呆れたような声を出す。
「とりあえず、一旦停戦、と言うだけだ。今おこなわれている会談がどうなるのかはおれだって知らない」
扇は政庁に目を向け、眉を寄せながら、そう言った。
「そんな状況なのに、ゼロを残して来るなんて、ゼロに危険はないのですか?」
扇の言葉に素早く反応したのはディートハルトだ。
彼に関して言えば、ゼロの安否だけが気がかりなのだろう。
「それは‥‥。藤堂さん達が責任を持って護る、と言っていたから‥‥。ゼロには3人付いているし」
「ゼロには?‥‥シュナイゼル殿下には何人ついているのですか?」
「あー‥‥っと、‥‥1人、だよ。‥‥武装はしてない、と思う」
扇は滑った口を呪いながら、ボソボソと応じていた。
ソファにシュナイゼル、『ルルーシュ』とゼロ、藤堂が向かい合って座り、千葉と朝比奈はゼロと藤堂の後ろに立っていた。
「立っていられると落ち着かないね。‥‥君達も座ったらどうかな?」
シュナイゼルが千葉と朝比奈に声を掛ける。
「座りたくなったら考えますよ。それか藤堂さんに言ってください」
朝比奈はシレっと応じる。
シュナイゼルは、藤堂に視線を向けた。
「ゼロ、気になるなら座らせるが?」
藤堂はシュナイゼルの視線などお構いなしに隣のゼロに聞く。
ゼロは首を傾げた。
「わたしは別に気にならないが?」
「‥‥まぁ君は、そうだろうね、ゼロ」
昔から他人の視線には頓着しない二人の「ルルーシュ」に、双子だと知る者達がどれほど気をもんだ事か。
特に苦労させられたのは、離宮以外で会う事の多かった第二皇子とアッシュフォード家の令嬢だった。
シュナイゼルやミレイが笑顔の下で、他人の視線に敏感になったのは、それが原因なので、物悲しい気分になった。
「義兄上、話を進めましょう」
『ルルーシュ』がやっぱり、シュナイゼルの言った意味を理解しないまま、先を促した。
「まずお尋ねしても?‥‥何度ありますか?シュナイゼル義兄上」
ゼロが尋ねる。
「やれやれ。二人ともせっかちだねぇ。‥‥クロヴィスが亡くなる前までで32回‥‥だったかな?」
シュナイゼルの回答に、ゼロだけでなく、『ルルーシュ』もまた驚いていた。
「良くそれで、未だに宰相なんてやれてますね‥‥」
「と言うか、それだけ失敗してるんですか?‥‥わたしは人選を誤ったのかも知れませんね」
二人してそっくり同じ呆れ顔をシュナイゼルに向けて言い、一拍置いて続けた。
「「‥‥と言う事は、まさか他の者も?」」
声を揃える双子に視線を向けたシュナイゼルは苦笑する。
「ゼロが知らないのは判るとして、猊下もご存知ではなかったとはね」
「仕方がないでしょう、シュナイゼル義兄上。足場固めに忙しかったのですから」
どこか拗ねたように『ルルーシュ』が言い訳を口にする。
「と言う事は、兄上はゼロですか?」
「‥‥‥数回クロヴィス義兄上を嗾けた事はあるよ」
「クロヴィス義兄上がエリア11に飛ばされたのはそのせいですね‥‥。気の毒に」
確かに気の毒とは思う。
本国で第十一皇子の口車に乗ったせいでこの地に飛ばされ、飛んだ先で第十一皇子に暗殺された事になるのだから。
「ゼロ。それは何の回数ですか?」
千葉が口を挟む。
「‥‥知りたいのか?」
「はい。教えて頂けるのでしたら」
首を傾げて訝しげに問うゼロに、千葉は頷いた。
ゼロは、「そうか‥‥」と呟いた後、シュナイゼルと『ルルーシュ』に視線を向けた。
「「皇帝暗殺‥‥失敗の回数と言うのが正しい(でしょう)ね」」
千葉の問いに、二人の「ルルーシュ」が同時に答える。
「確かに失敗しているけどね、初めから失敗を前提にしているわけじゃないのだし、一言余計だよ、二人とも」
「「事実は認めた方が宜しいですよ、シュナイゼル義兄上」」
苦笑しながらやんわりとシュナイゼルは訂正を求めるが、二人に軽く一蹴されてしまった。
「「‥‥‥‥皇帝暗殺!?」」
やっと言葉が脳に浸透した千葉と朝比奈が、揃って驚きの声を上げる。
「弱肉強食が国是だからね。皇帝から苦情は出ないんだよ。だからまぁ、この件に関して皇族なら咎められる事もない」
シュナイゼルが笑みを浮かべたまま応じる。
「それにしても、その回数は頑張り過ぎでは?」
「単純計算で年5回以上ですね」
二人はやはり呆れた口調のままである。
「‥‥‥‥曲がりなりにも貴方達の父親の事だろう?ゼロも」
千葉が呆れ混じりの口調で皇族達に意見する。
「「‥‥‥‥‥‥‥‥」」
双子は、顔を見合わせて沈黙する。
「‥‥‥‥あの男が父親である事を喜んでいる兄弟の方が少ないのだよ」
苦笑して応じるシュナイゼルの声音には明らかな怒りが混じっていた。
「えーっと。それって皇子皇女のほとんどが主義者‥‥って事なのかな?」
混乱した朝比奈が、そろっと尋ねてみる。
「「「‥‥‥‥‥‥」」」
皇族の三人は、沈黙したまま顔を見合わせた。
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作成 2008.02.29
アップ 2008.08.02
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双子設定「ゼロ&枢機卿」 【3】後退した騎士団と政庁での首脳(?)会談。
長々と放置しまくっておりました。
結構、この続きを悩みに悩んでいたんですが..........
悩んでいても何が変わるわけでもないなぁという事に思い至りました。
ので、アップ。
どうやらわたしはカレンによる「お迎え」が好きな模様。
あちこちにそんなシーンが登場しますねぇ。
そして、藤堂やら千葉、朝比奈を脇に置いての皇族達の話し合い....
これも方向性が激しく思っていたのと変わっております。
おかしい。絶対におかしい。orz