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藤堂が終わりを知らせると、ゼロは礼を言って衣装を元通りに着直した。
「しっかし、君って色白いねー」
朝比奈が感心したように今は衣装の下に隠れてしまった肌を評した。
「‥‥日焼けしていないだけだ」
むすッとした声音でゼロは応じた。
「酷くぶつけているところもある。熱を持つかも知れないぞ」
藤堂が忠告するとゼロは当然だといった様子で「だろうな」と同意した。
「冷やせる物は持っている。他の物を持ち出す余裕はなかったがな」
「って、なんだって冷やすもんだけ?普通もっと別なの持ち出さないか?」
「‥‥違う。携帯していただけだ。あの時は、外していた仮面を被る時間しかなかったと言う意味だ」
卜部の疑問にゼロは「殊更冷やす物を掴んだ訳じゃない」と言い直す。
「あれ?じゃあ君ってナイトメアの中だと仮面外してるんだね」朝比奈が驚いた声をあげた。
「‥‥悪いか?」
「え?全然。通信とかはするだろうから、声はそんなに変えてないんだなぁって思っただけ」
「‥‥そう思うか?」
意味深に問い返されて朝比奈は言葉に詰まる。
それ以上質問がないようだと朝比奈から仮面を巡らせたゼロは藤堂に向き直る。
「‥‥ところで、ここはどの辺りになる?」
「まだナリタの中腹だ。‥‥君の仲間はどうしている?」
「それならばとっくに離脱している。‥‥‥逃げ遅れたのは、わたしだけのはずだ‥‥」
苦々しい口調の中に自嘲気味な気配が混じったなんとも言えない声が仮面から響く。
白兜に追い詰められたのが余程悔しいのだと言う事が声だけで察せられる。
「ってゼロ見捨てて逃げたの?みんな?」
残ったのがゼロだけだと聞いて、朝比奈はそれにも驚く。
確かに上官が部下を見捨てて逃げるのならば論外だけど、上官を守らず先に逃げる部下もありえないように思ったからだ。
「違うな。わたしが指示を出した。‥‥想定外だったのは白兜の執念深さだ。‥‥計算ではわたしも逃げ切れていたはずだっただけだ」
しかしゼロは、騎士団が先に戦場を離れた事に関しては特に何も思っていないのか、あっさりそう答える。
「‥‥何もかも一人で背負うつもりなのか?君は‥‥」
曖昧な藤堂の問いに、ゼロは仮面を傾ける。
「何が言いたい?藤堂。一人では無理だと判ったから騎士団を作った。‥‥確かに元は一人でやるつもりだったがな」
「って一人でブリタニア相手に!?それは無謀でしょ?‥‥まぁ、君は枢木スザクを救ってみせたけどさぁ」
「だから騎士団作ったって今言ったばっかりじゃねぇか。お前ちっと黙ってろよ」
驚く朝比奈に卜部が注意する。
「組織を作ったところで、今のままでは君一人がいなくなるだけで、烏合の衆となる脆さがある。つまり君にだけ負荷が掛かっているという事だ」
「なるほど。ゼロの指示がなければ的確に動けぬのでは、そう言わざるを得ませぬが‥‥」
仙波が藤堂の言い分に同意する。
「仕方がない。作ったばかりの組織だ。使える人材はこれから集めるさ。言っただろう?初めは一人でやるつもりだったと。組織作りは想定外だったんだ」
再びむすっとした声音で返すゼロに、四聖剣は顔を見合わせた。
どうやらこちらの意図した事とは違う意味で捉えたらしい事が察せられたからだ。
「短期間でこれだけの組織にした君の力量は認める。だが、騎士団の団員達が君に頼りすぎているのではないか、と言っている」
「‥‥‥頼る?リーダーに指示を仰ぐのは当然の事だろう?でなければそれこそ烏合の衆だ」
「まぁ、そうなんだけどさー。なら、あれだ。お前以外、考えてなないんだか考えるのを放棄してるかだな。それと想像力なさ過ぎだ」
「ぅわ、卜部さん、はっきり言いますね。おれも同意見ですけど」
仮面を傾けるゼロに、卜部はきっぱりと言い、そんな卜部に呆れながらも朝比奈も同意する。
ゼロが何かを言いかけた時、カランと小石が落ちる音がして、一瞬にしてその場に緊張が走った。
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作成 2008.07.29
アップ 2008.09.30
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ナリタ捏造「藤堂+四聖剣とゼロ」【3】認識。 卜部:「──それと想像力なさ過ぎだ」
なんかまだまだ続きそうです。
ゼロ治療後一息ついて.........って感じです。