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「‥‥‥‥で?扇さん、ゼロは何て?もう機嫌は直った?」
扇が二階から降りて来るなり、下でずっと今か今かと待っていたと思われるカレンがまず駆け寄って尋ねた。
その後ろで扇とカレンを遠巻きにするように、みんな注目している。
「あー‥‥。一応、直った‥‥、かなぁ?」
扇は少し躊躇った後、曖昧に応じた。
「何よそれ。一応って。かなぁって。扇さんハッキリしてください」
ずずいとカレンが詰め寄り、扇は後退りながら、こくこくと頷く。
「い、いや。うん。‥‥だから、もう‥‥機嫌は悪くない‥‥かな」
しかし出てくる言葉が変わり映えしないのは扇ならではだろうか。
「かな、じゃねぇ!それじゃさっきと同じ答えじゃねぇか。ハッキリキッパリ言えよ、扇」
ハッキリキッパリ過ぎる玉城が、遠い位置から声を投げる。
「だから、機嫌は直ってる、うん」
扇は再度言い直した。
「それで、扇さん。ゼロの相談に乗って上げたんですよね?何が原因で機嫌が悪かったんですかー?」
朝比奈がズバリと扇が聞いて欲しくない事を聞いてきた。
「‥‥‥‥‥‥。も、もうゼロの機嫌は直っているんだから、それは別に言わなくても良いだろう?」
長い沈黙の後、扇は視線を逸らせて逃げの手に出る。
固唾を呑んで待っていた分、団員達はずっこける。
勿論、それですまそうなんて思う者はいない。
全員が扇の押しの弱さを知っているのだ。
ここは押して押して押しまくり、押しの一手で扇の口を割らせようと、元扇グループ+朝比奈は一致した見解に達した。
「扇さん。今はゼロもいませんし、みんな扇さんが話したなんて言いませんから。ね?話してください、扇さん」
「そうよね、カレンの言う通りだわ。だから教えて、扇さん。さっきのゼロ、ホンットに怖かったのよ?逆の立場だったら扇さんだって」
カレンと井上の言葉に、杉山と南と吉田がうんうんと頷く。
「‥‥‥‥い、いや。‥‥し、しかし、だな‥‥」
扇は勢いに押されて後退するが、壁にぶつかり逃げ出せなくなってしまった。
「‥‥何をしている?騒々しい」
その時、いつの間にか部屋から出てきていたゼロが、階段の途中から声を投げて来た。
その声に、先程の凄まじさは込められていない事に、一同ホッとする。
「ゼロッ。‥‥あの、‥‥どうして機嫌が悪かったのか、‥‥き、聞いても良いですか?」
扇に聞いても埒が明かないと、カレンはゼロに直接尋ねていた。
「‥‥なんだ、扇。教えていなかったのか?」
「あ‥‥いや、その‥‥。そう、なんとなく」
やっぱり扇はしどろもどろに意味不明な言葉を連ねた後、コクリと肯いた。
フッとゼロは笑う。
「おかしな奴だな。わたしは別に口止めはしていなかったはずだぞ」
「あ、あぁ。それは、勿論。‥‥だけど、その‥‥」
それでも扇の口からは有益な言葉は出てこない。
「くっくっ‥‥。では扇。今度また、わたしの機嫌が悪くなった時も相談に乗って貰おうか?」
ゼロはそう言うと、茫然とする扇と、唖然とする一同を残して格納庫の方へと歩いて行ったのだった。
部屋に消える前のゼロとは全く違い、笑いながら出て行ったゼロに開いた口が塞がらない。
我に返った扇は、「絶対ゼロの意趣返しだ。おれだってあんな状態のゼロと対面したいはずはないってのに‥‥」と心なしか青くなる。
「流石副司令だけの事はあるんですね~。あの状態のゼロを落ち着かせるどころか、笑わせるなんて」と朝比奈は感心する。
玉城はしつこく相談の内容を知りたがり、再び扇に視線を戻す。
カレンはかなりのダメージを受けたのか、いまだ唖然としたままゼロの消えた方向を見つめていた。
そこへ、千葉が爆弾を落とした。
「なんだか、ゼロと扇さんが付き合ってるように思えてしまったが?」
当然、その直後、その場に絶叫が響き渡ったのは言うまでもない。
その日、騒動は終わらなかった。
了
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作成 2008.02.21
アップ 2008.03.09
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Ⅰ.ばったり遭遇「扇+α」編 【おまけ】多分ギャグ。ゼロの意趣返し?
αだったはずの千草(ヴィレッタ)欠片も出て来ず(汗
ゼロの考えた言い訳を、結局言えなかった扇。
....おかしい。
当初は「表で起きたトラブルって何だよッ」ってところで突っ込まれるハズだったのに....(汗
考えていたよりシャイだったか、扇。
千葉の爆弾発言がお気に入り。