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「ゼッケン‥‥‥ですか?」
ゼロと二人だけになった会議室で、説明を受けていたカレンは、首を傾げた。
「そうだ。最優秀の選定を採点式にしたいが、みな同じ格好で紛らわしいとのクレームが上がったらしい。ゼッケンをつけて見分けると言う案が出ているようだ」
聞いたカレンはニュースソースであろう金髪の女性を思い浮かべ、「そこまで流しますか、ミレイ会長‥‥」とげんなりとした気分になる。
勿論それを有効利用しているゼロを目の当たりにしているし、役に立てている側の者としてはむしろ喜ぶべきなのだろう事は、カレンも承知しているのだが。
どこかしら、割り切れないモノがカレンの中に存在する事もまた事実だったのだ。
「カレンには前日までのなるべく早い時期に、カレン自身と枢木スザクのゼッケン番号を入手して来て貰いたい」
「はい。‥‥えっと‥‥、それは‥‥何に使うのでしょうか?」
「例えば、カレンのゼロを7番、枢木の団員を100番と仮定しよう。『そこの団員100番。このわたし、7番のゼロが命じる』‥」
ゼロの芝居がかった台詞にカレンは目を丸くした。
「あ、あの。‥‥手伝っていただけるのですか?」
「幾つかのパターンを想定して吹き込むくらいは造作ない。‥‥但し、カレンには内容とタイミングを誤らないように覚えてもらう必要があるが‥‥」
「それくらいなら‥‥。ありがとうございます、ゼロ。枢木スザクになんて絶対に負けませんから」
カレンは上気した頬を隠す為にも、勢い良く頭を下げて礼を言った。
「ゼロ。‥‥‥今のこの時期に、この場所を襲撃する意図は何処にある?‥‥まさかイベントに合わせただけではあるまいな?」
ゼロの私室に呼ばれた藤堂と四聖剣は、イベント当日におこなう予定になっている作戦の資料を手渡されたばかりだった。
ざっと眼を通した藤堂が、ゼロが説明を始める前に、そう切り出した。
場所はヨコハマ。
アッシュフォード学園から遠すぎず近すぎない、手頃な位置にある。
「合わせたのは確かだが、元から予定には入っていた。まるっきり無駄な事はしない」
「では、襲撃する理由を聞いても構わないな?」
重ねて尋ねる藤堂に、「もちろん」とゼロは頷いた。
「この襲撃に関しては全権を藤堂に任せるからな。疑問点は少ないに越した事はない。迷えば隙が出来るから気をつけろ」
そう前置きしたゼロに、朝比奈が待ったをかける。
「ちょ、っと待った、ゼロ。藤堂さんに任せるって‥‥ゼロは参加しないんですかー?」
「そうだ。わたしが参加しなくても平気な作戦にしているが、それでも『ゼロ』がいなければと藤堂が判断するのならば、元の日に戻すのは可能だ」
「‥‥ちなみに、元々は何時決行だったんだ?この作戦は」
千葉が軽く手を上げて発言する。
「ハッキリした日程はまだ決めていなかったが中旬には決行予定だった。半月程前倒しになった形、だな」
「‥‥物資の補充は間に合うのか?」
「あぁ、それは。通常ルートの搬入には問題がないし、特殊ルートも明日発注予定だったから今日までならばまだ変更は利く」
「おれ。今すっごく特殊ルートの事が気になるな~。いつもゼロが直接注文出してるんですよね~?どんなのー?」
「‥‥ノーコメントだな。それは知らなくても作戦に支障は出ない。‥‥さて、襲撃する理由だが‥‥」
朝比奈の問いはあっさり切って捨てたゼロは、三つ有った理由を順番に挙げていった。
「‥‥‥襲撃する理由は納得できた。‥‥次はゼロが参加しない理由を聞いても良いだろうか?」
「‥‥‥。表の都合、だ。決行予定が中旬だったのはそれまでわたしの予定が立たなかった為だ。纏まって租界を離れる時間が作れない、というのが理由だ」
ゼロの答えに藤堂はやっと頷いた。
「良いだろう。イベント当日、ゼロ不在の騎士団はおれが預かろう」
「すまないな、藤堂。‥‥では作戦について不明な点が有れば言ってくれ」
こうしていつも以上に詳細な打ち合わせはそれから更に続いたのだった。
特派のトレーラーの中で、セシルの悲鳴が特派一同の鼓膜を響かせた。
「ちょっ、ちょっとなにをやっているんですか、ロイドさんッ」
しかしロイドはセシルの声量に少し眉を顰めただけで、作業の手を止めたりはしなかった。
「んー?おしごと~」
のほほんとそんな回答を返すロイドに、セシルはプッツンとどこかをぶち切った。
「今そんな事をやったら、今日中にランスロットを起動できるまでに持って行けないじゃないですか。どうするんですか、ロイドさんッ」
ロイドの胸倉を掴まんばかりに迫るセシルに、ロイドはやっぱりのらくらへらりと笑みを見せた。
「だってね~、セシルくん。パーツが学業でランスロットをほったらかしにしてるんだよ?別に構わないんじゃないかなー?」
「学業、じゃなくて、ロイドさんの趣味、の為じゃないですか、アレはッ。それなのにあなたって人はッ」
「まぁまぁ、そんなに怒らないで。ねーセシルくん。君も手伝えば、それだけ早く元に戻るんだしー?」
「だからって、明日も出動かかっているんですよ?こんな状態のランスロットかかえてどうしようって言うんですか」
「んー。だってね~。パーツはたぶん戻ってこないだろうし?明日のイベントが終わるくらいまでに戻しておけば良いんだから~?」
言い訳しながら、「まったく君のせいでとんだとばっちりだね、ラクシャータ」とロイドは口の中で呟いてみる。
これでラクシャータが「知っている」のなら、くやしーやらかなしーやらと、涙にくれるのだろうとロイドはそうも思う。
「‥‥‥‥次、こんな事をしたら、承知しませんからね、ロイドさん?」
「わ、‥‥わかりましたよ。セシルくん。気をつけるから、‥‥ね?」
ロイドは及び腰になりながらもコクコクと肯いたのだった。
藤堂は己の月下の中で瞑想に耽るかのように両目を閉じていた。
その耳に届くのは、騎士団の通信でも、四聖剣の会話でもない──そのどちらも、今は回線が切れている。
モニターに映るのは、外の景色ではなく、別の場所、そう、某学園の門前だったりする。
門前には、歩哨か門番よろしくブリタニア兵が二人立っていて、学園内から走り来る人がいる度に、その数を数えていた。
『八回‥‥本気で十回やる気かよ、こいつは』
いささか辟易しながら藤堂はそれを聞くともなく聞いていた。
本気で実行に移したのか、ゼロ、それに紅月‥‥と思う反面、ホントに指示に従っているスザクにゼロの読み通りかと感心もする。
いや、藤堂自身、あの時ゼロと話した事に偽りはないのだから、非難しようとは一欠けらも思ってはいないのだが。
「もう少し、疑問を持ったらどうだ、スザク君‥‥」と、かつての弟子に言いたくなってくるのがいただけないだけだ。
『──枢木が十回目の合図を送ったら、作戦開始だ』
ゼロの言葉が藤堂の頭に蘇る。
離れたところでおこなわれているイベントの進行も作戦に組み込む事に、藤堂は難を示していたのだが。
話を聞いて納得はしたし、支障が出る場合は、連絡を寄越すと言うので、藤堂もその作戦を受け入れたのだった。
枢木スザクがモニターに姿を見せる事九回目、モニターから流れる音量を消した藤堂は、従う騎士団への通信を繋げた。
「各位、突入準備。まもなく作戦を実行に移す」
四聖剣からは「承知」、他の団員からは「わかった」や「はい」などの返事が返る。
藤堂が何でタイミングを計っているか知っている四聖剣の返事には、少々勢いが欠けていたが、無理はないだろう。
それでも余計な事は何も言わなかったのは、ゼロの説明を一緒に聞いていたせいだろうが。
藤堂は四聖剣の心中を思って、十回目の姿を見るまでの間、苦い笑みを浮かべたのだった。
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作成 2008.02.03
アップ 2008.03.10
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学園イベント「黒の騎士団」【7】イベント前の回想。騎士団作戦開始前。
イベント前に有った場面の補足(タネ明かし?)in騎士団かな?
ラクシャータとの約束を嫌々守ろうとするロイド。
ロイドがセシルを怖がるのは演技ッポイなぁとか?
イベントに参加するかつての弟子を複雑に見つめる藤堂....。
決別したはずの相手を思わず心配してしまいたくなるのが厭そうだね....(汗
(注:実際に横浜がゲットーかどうかは知りません。
しかも距離感ないから......近過ぎ?もしかして?捏造大爆裂(他もだけど...)と言う事で(汗 )