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ダールトンの身柄を黒の騎士団が抑えたのが良かったのか。
それとも、G1ベースを占拠したのが効いたのか。
アヴァロンが到着し、白兜が出るには出たが、その頃には粗方片付いており、白兜はユーフェミアを回収するだけで引き下がった。
もちろん、他のブリタニア側の兵士やナイトメアフレームも同時に撤退している。
この場の戦いは、黒の騎士団側の勝利、と言えなくもなかった。
G1ベースの格納庫で、ガウェインは降り立ったまま沈黙を守っていて、ゼロとC.C.が降りて来る様子を見せない。
それを心配した幹部達が、集まってガウェインを見上げていた。
ガウェインの中、そんな様子をモニターで見た後、C.C.は溜息を吐いた。
「‥‥仮面、つけれるか?」
C.C.が後ろに座るゼロを振り返って訊ねた。
「‥‥‥‥ぁ」
ゼロは小さく頷くと、仮面を拾って被る。
「動くのも辛そうだな。‥‥少し待ってろ」
言い置くと、C.C.はハッチを開けて外を見た。
「C.C.、ゼロは?」
するとすぐにカレンの声が聞こえて来る。
「‥‥藤堂、手を貸せ。扇、ゼロの部屋を用意しろ。そこまで運んでもらう。‥‥ラクシャータ、治療を頼む」
C.C.はガウェインのコックピットから、矢継ぎ早に指示を出した。
「それ以外の奴等は邪魔だから仕事してろ。‥‥こいつの負担を減らしたいならな」
「治療ね~、良いわよ~」
ラクシャータはゼロの素顔、とまではいかなくても何かしら知る事が出来るだろうと嬉しげである。
藤堂は無言でタラップを昇ってC.C.の元へと上がる。
「扇。部屋は士官ので良いからな。‥‥前の主とは相性が宜しくないだろうし」
C.C.が指示を出そうとしている扇に追加注文を出した。
前の主とはユーフェミアの事で、なるほどゼロを騙して攻撃した相手の部屋を使うのははばかられると納得した。
そこへ、ゼロを抱えた藤堂がコックピットから出て来る。
普段、誰にも頼ろうとせず、他を圧するゼロが、力なく藤堂に身体を預けてる様子に一同絶句する。
この時初めて、ゼロに護られてきていた騎士団は、ゼロをこそ守るべきではないかと言う考えに思い至った。
「ゼロって白い肌してるのね~。キメも細かいし、それに細身だわ~」
などとのんびりな口調で感想を述べながらも、ラクシャータの手付きは的確に素早く傷口を治療していた。
ゼロからの反論がないのは、口を開く気力がないからに過ぎない。
「‥‥しかし、無茶をしたもんね~。あんた、刺さった状態のまんま、暴れたりしたんでしょう。少しは自分も労わりなさい」
手当を終えたラクシャータは銜えていた煙管で最後に傷のある肩を叩こうとして、結局仮面を軽く小突くに留めて離れる。
「言っとくけどぉ、当分は絶対安静よぉ~。無理をしたら、まぁた一からやり直すからね~」
そういうと、ラクシャータは返事も待たずに部屋を後にした。
廊下に出て扉を閉めた途端、ラクシャータはその場に集まっていた幹部から取り巻かれてしまう。
「ゼロの容体は?平気なの?」
カレンが真っ先に尋ね、扇達が固唾を呑んでラクシャータの言葉を待つ。
「べっつに~。命がどうのって話にはならないわよ~。しばらくは安静にしてるしかないだろうけどね~」
それでも口々にゼロの安否を尋ねだす騎士団の中で、朝比奈が別の事を尋ねた。
「‥‥あのー。藤堂さんはまだ中ですよねー。どうしてるんですかぁ?」
問われたラクシャータはチラリと扇を見てから言った。
「あぁ。C.C.がね~。当分は藤堂に任せるからってぇ。ほら、ゼロの言いたい事一番理解するじゃない?あまり話させたくないらしいのよねぇ。‥‥賛成だけど」
確かに、実際の戦闘に関してならば、阿吽の呼吸と言える程の息の合った動きも見せるので、反論はない。
「だから、副司令の扇には悪いけどぉ、藤堂から話を聞くように~、らしいわよ~」
ヒラヒラと手を振って、ラクシャータは歩き出す。
悪いけどと言われても、現在扇のする事ははっきりしているし、急を要するのはブリタニアの再攻勢についてだろうから、扇にも否やはなかった。
それぞれゼロの仮の部屋となった扉を振り返ってから、ラクシャータの後に続いた。
「とにかく、藤堂さんが戻るまでは、各自後片付けやナイトメアフレームの整備に当たってくれ」
扇が歩きながらそう指示を出すと、銘々に頷いて、する事のある者は散って行った。
一方、ゼロの部屋では。
「おい、その服は血だらけなんだから、ベッドに上がる前に着換えろよ。‥‥なんなら手伝ってやろうか?」
いまだソファに座ったままのゼロを相手に、C.C.がセクハラ紛いの事を言っていた。
C.C.の言った通り、ゼロの服一式は、マントに至るまで、血がこびりついていて既に使い物にならなくなっている。
ついでにラクシャータによって手当をされる時に、アンダーシャツには鋏が入れられていて、現在上半身は包帯だけと言う有様だった。
その状態でも仮面を被っているので、ハッキリ言っておかしいのだ。
「‥‥ゼロ、‥‥いや、ルルーシュ君」
躊躇いがちに藤堂が呟いた途端、ゼロの肩が揺れ、それが傷を刺激したのか、息を呑む音が響く。
そう、藤堂は既にゼロの正体を知っていると言うのに、ラクシャータが出て行ってからも、仮面を取らない事に訝しんだのだが。
「C.C.。‥‥着替えと、‥‥アレも‥‥頼む」
「良いだろう。‥‥少し待っていろ。‥‥まぁ眠っていても構わないぞ。‥‥藤堂、あまり無理はさせるなよ」
C.C.は溜息を吐くと、鋭い視線を藤堂に残して、部屋を出て行った。
ユーフェミアと二人だけの時、いったい何があったのか、藤堂はそれを尋ねたいと思ったが、今のゼロにそれを問うのは酷だと理解してもいた。
治療の間、ずっと壁に寄り掛かっていた藤堂は、すっと前に出た。
途端に、ゼロの身が強張るのが遠目にも見えて、藤堂は眉を顰める。
周囲全てに、いや、C.C.を除く全てに警戒しているゼロに、藤堂は己の不甲斐無さを感じていた。
それでも、足は止めずにゼロに近づき、そのまま隣に腰かけた。
「‥‥仮面を取るのが不都合だと言うのなら、それでも構わないが‥‥もう少しおれを頼って欲しいな」
自分が軍事の総責任者だと言う事は理解しているし、である以上、さっさと外に出て指揮を執る必要がある事も藤堂には分かっていた。
それでも、この状態のゼロを一人にしておく事は出来ない事もわかっていたのだ。
フッとゼロの緊張が解けた気がしたと藤堂が思った途端、藤堂の肩にゼロの仮面が当たり、寄りかかってくるのがわかった。
「傍にいる。誰がどんな理由で、お前の敵に回ろうと、おれはお前の傍にいよう」
それは今回の発端が何だったのかを知らない藤堂の、この場で言えるただ一つの事だった。
「‥‥‥‥すまない‥‥」
ゼロの呟きは、あまりにも小さく、藤堂がその音を拾い脳に意味を到達させた時には、ゼロは意識を手放していた。
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作成 2008.01.06
アップ 2008.01.22
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「おれを撃て」【4】戦闘終了。
G1ベースにてやっとゼロ治療~。
自力で動けないくらい弱ってて欲しいかなってちょっと暴走しました(汗
そしてギアス暴走のせいで警戒心の塊へ。
既に知ってる藤堂、何時バレてるんだ?
まぁ【3】までの藤堂の心配の仕方もバレ済だったせいかなぁ?