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握手した手を離した後、ユフィはくすりと笑った。
「でも、わたしって信用ないのね。脅されたからって、わたしがルルーシュを撃つと思ったの?」
そう言ったユフィは下から問いかけるようにルルーシュの顔を見上げた。
ゼロの仮面を小脇に抱えていたルルーシュは、一瞬きょとんとした表情を見せた後、「あぁ」と納得した様子を見せた。
「あぁ、違うんだよ。おれが本気で命令したら誰だって逆らえないんだ。おれを撃て、スザクを解任しろ‥‥。どんな命令でも」
ユフィの身体がビクンと跳ね、膝が抜けるように床に座り込んだ。
ルルーシュはその状況に驚く。
「まさか‥‥。ユフィ、今の命令は忘れるんだッ」
ルルーシュは、左目を左手で覆う。
ギアスのオンオフが出来ない?まさかッ‥‥。
「‥‥。そうね、スザクは名誉ブリタニア人だし、やっぱりわたしの騎士には無理なのよね、きっと」
ユフィはそう呟くとにっこり笑って立ち上がる。
「ねー、ルルーシュ?貴方もそう思うでしょう?そうとなれば、すぐに宣言して来なくっちゃ」
「あッ、ちょっ、待て、ユフィ」
ルルーシュは左目に走る鈍い痛みに気を取られながらも呼びかけるが、ユーフェミアは止まらず走り去る。
「‥‥‥‥チッ、このタイミングでは、‥‥最悪だ。しかも『行政特区日本』まで絡む‥‥。マズいな。間に合うか」
ルルーシュはゼロの仮面を被るなり駆け出した。
倒れているC.C.とスザク、それに数人の護衛官達。
ゼロはまずC.C.の傍らに膝を付いた。
「大丈夫か?C.C.」
「あ、あぁ。‥‥そっちはどうなった?」
眼を開けたC.C.は何もなかったように上体を起こすと状況を尋ねる。
「‥‥かなりまずい状況だ。‥‥ユフィを止めなくてはならない。‥‥スザクと、こいつらは?」
「あぁ、気を失っているだけだ。大したことじゃない」
ゼロは頷くと踵を返してガウェインに搭乗し、C.C.がそれに続く。
密室となったコックピットの中で、ゼロは仮面を無造作に剥いで、脇に置いた。
C.C.はその時見えた赤い色に、眼を伏せて「そうか」と小さく呟いていた。
「それで?一体どうかかったのだ?」
「‥‥『スザクを解任しろ』だな。このタイミングでは最悪だ。特にユフィは『行政特区』と同時に宣言するつもりのようだしな‥‥」
ゼロは遣る瀬無い溜息を吐いてから続ける。
「‥‥おれは、ユフィの『行政特区』を生かす形で策を練ると、言ったばかりだったのに‥‥」
「後悔しているのか?」
「‥‥違う。ただ、想定外だったんだ。‥‥そう、多少修正が必要になっただけだ。‥‥とにかく、余計な口は挟むなよ、C.C.」
ユフィがマイクの前に立つ姿が見える。
『わたくし、ユーフェミア・リ・ブリタニアの名の下に、「行政特区日本」成立を宣言いたします。そして、』
ゼロはオープンチャンネルにしたガウェインの中で、声を出したのだった。
「待っていただこうか、ユーフェミア皇女殿下。お話の途中で立ち去られてはこちらも困るのですが」
『ゼロ?‥‥そういえば、お話、途中でしたっけ?でも、貴方も賛成してくださいましたよね?』
「『行政特区日本』、まだ少々甘いところのある話ですが、それに参加する事自体は確かに認めました。だが、後がいけない」
『後?一体、何の事ですか?』
「今、貴方はわたしの到着を待たずして、勝手に個人のお名前で宣言したと言う事が一つ。これではわたしは拒絶されたと受け取るしかないでしょう?」
『だって、わたくし、急いでおりましたもの。わかってくださると思っていましたのに‥‥』
「何も語らずして、わかれ、と言う方が間違っていると思いますが?貴女の周りには、余程先んじて貴女の意を汲む者しか傍にいなかったようですね?」
『‥‥‥‥。そんな事ありませんわ。‥‥わたくし、ユーフェミア・リ・ブリタニアの名の下に、』
「今。それをこの場で宣言すれば、『行政特区』の破局だと言う事にすら気付かない。いや、気付こうとしないと言うべきか?」
『ゼロッ。何故わたくしの邪魔をするのですか?』
「わたしは弱者の味方ですから。折角の『行政特区』を皇女殿下の気まぐれの言葉一つで台無しにするのは余りにも忍びないと思うまで」
『ユーフェミア皇女殿下。少しお静まりを。ゼロ。言いたい事が有るのならば、この場に出てきて言うのが筋ではないか?』
ダールトンがユーフェミアを遮り、話に割って入る。
「筋、か‥‥。先にその筋を無視したのはユーフェミアの方だぞ?」
『わたくし、ユーフェミア・リ・ブリタニアの名の下に、宣言させていただきます』
「よせッ」
『わたくしは、枢木スザクをわたくしの騎士より解任いたします』
『ッな‥‥姫様。一体どういうおつもりですか?貴女は「行政特区日本」を御作りになると言うのにそのような事を申されては』
『どうしてゼロもダールトンも反対するのですか?彼は名誉ブリタニア人で、イレブンでも日本人でもないではありませんか』
ユーフェミアとダールトンの言い合う姿がモニターから窺える。
その後ろでこの場に参加する日本人の一人が立ち上がり、何かを投げ捨て、立ち去ろうとしている。
何かを言ったかも知れないその行動は周囲を巻き込み、やがてぞろぞろと動き出す。
「‥‥。ユーフェミア皇女殿下。貴女の穿った穴はそれなりに立派だった船を沈めるまでになってしまった。最早わたしの手をもってしても修復は不可能」
ガウェインが会場の上空に飛びあがる。
「ご自分が任じた騎士すら、簡単に解任するような相手とは‥‥。全く無駄骨を踏んだようですね。失礼します、皇女殿下」
ゼロはオープンチャンネルを閉じ、待機中の騎士団に繋げる。
「聞いた通りだ。ここまで来させてすまないがE-3を使い順次撤退してくれ」
『‥‥宜しいのですか?』
「仕方がない。まさかユーフェミアがここまで愚かだったとは‥‥。枢木も詰らない主を選んだものだ」
『ゼロが気にする事じゃありません。そんなの、枢木スザクの自業自得です』
それに同意する声が幾つか上がる中、ゼロは通信を閉じ、深く溜息を吐いた。
「‥‥こちらの『日本』についても、かなりの変更が必要になったか」
こちらも自業自得とは言え、ゼロにとっても手痛い結末であった。
了
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作成 2008.01.21
アップ 2008.01.22
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「スザクを解任しろ」
く....暗い。何故ここまで暗くなるんだ?
「おれを撃て」【3】を変えただけなのに....(汗
この後、純血による名誉への圧制が強まりそう....。
それとイレブンからもイジメ受けそうだなぁ~。
「合衆国日本」も宣言されませんでした。
後になればなる程厄介になるのに。共倒れ?