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黒の騎士団曰くの白兜、ランスロットによって連れ戻されたユーフェミアは、周囲の説得にも応じずどこで拾ったのかマシンガンを頑として手放そうとしなかった。
「皇女殿下、それはとても危険ですから‥‥」
セシルが穏便に説得しても。
「ユフィ。とにかくそれを離して。ゼロならぼくがちゃんと‥‥」
スザクが宥めても賺しても。
「あら、ゼロはうたなくてはいけないのですわ。あの時もっとうっておけば良かったのかしら」
「だからと言って、本人が撃つ必要はないよね~。騎士であるスザク君に頼めば良い事なんじゃないの~?」
「あは~」と笑いながら、ロイドも参戦する。
「‥‥そうかしら?‥‥でも、持っていないといざと言う時、うてませんし‥‥」
一瞬説得成功か?と喜んだのも束の間、考える時にマシンガンを見る為に少し離したユーフェミアは、再びそれを抱え込んでしまった。
「‥‥あー、そうですわ。お疲れじゃありませんか?皇女殿下。お部屋にご案内いたしますから、少し休まれては如何でしょうか?」
「あーそれが良いね、セシル君。じゃあ案内よろしくね。スザク君もお姫様の騎士なんだから一緒に行くようにぃ」
うんうんと一人頷いたロイドの言葉に、セシルを筆頭にしてスザクに促されたユーフェミアが移動していった。
「あー、やれやれ。全く、危なっかしいお姫様だなぁ、もー」
一人になったロイドが呟いていると、ロイドが使用する端末に通信が入った。
ロイドがすぐさま回線を繋ぐと、モニターに現れたのは第二皇子シュナイゼルだ。
『ロイド‥‥、ユフィ、は?』
ロイドはこれまでこれ程蒼白になったシュナイゼルを一度しか見た事がなかった。
「お元気ですよぉ、とってもー。どーしてもゼロを倒すんだーってマシンガン抱えてますけど~」
そんなシュナイゼルに対しても、ロイドは普段と全く変わりなく応じる。
『一体、何が有ったんだい?』
「それをぼくに言われましても~。傍にいたわけじゃないですしぃ。補佐していたダールトン将軍は行方不明ですし」
『ユフィの騎士になった枢木はなんといっているんだ?』
「あー、彼も要領を得なくてねー。皇女殿下がゼロと二人で話をして、戻ってきたらアレですしぃ?‥‥ところで殿下」
普段通りにシュナイゼルの問いに答えていたロイドが、シュナイゼルが黙った隙をついて質問に出る。
「ゼロの言った事は本当ですか?皇女殿下が『名前を返上した』っていうア、レ」
するとシュナイゼルが整った顔を顰めた。
『本当らしい。‥‥父上に確認を取ったらそのように仰られていた』
「もしかして、殿下にも言っておられなかったんですか?彼女。‥‥じゃー、コーネリア皇女殿下にも?」
『確認していないが、そうだろう。‥‥彼女が知っていれば、止めていたはずだからね』
沈痛な面持ちのシュナイゼルを見ていたロイドは、嫌な予感を感じて頭痛を覚える。
「あー、殿下?もしかして、この通信。ユーフェミア様に対しての沙汰つきですかぁ?」
「ぼくから伝えるのはいやだな~」とロイドは続けてぼやく。
『その通りだよ、ロイド。‥‥とにかく、ユフィには詳しい事を聞かなければならないからね‥‥』
「聞きたくないんですけど~、事情聴取は誰がするんですか?」
『今、コーネリアがそっちに向かっているのだけど、聞けるところは先に聞いておいてくれても良いよ』
「それはコーネリア殿下がお越しになる前に、聞ける範囲は聞いておけって事ですか~?」
『‥‥話が早くて助かるよ、ロイド。‥‥とにかく、今は出ずに事態の収拾に当たってくれ。後の事は、コーネリアの指示に』
「わかりましたよ、殿下。殿下も少しお休みになった方が宜しいですよ~」
『そうだね。‥‥また連絡する』
通信が切れると、ロイドは深々と溜息を吐く。
「‥‥彼が怒るのは無理もない、かなぁ~、これは」
ロイドは呟くと、休憩していると思われる部屋に向かって歩き出した。
セシルが隣同士にソファに座ったユーフェミアとその騎士枢木スザクにお茶と茶菓子を出したのは、部屋に通されて暫く経ってからの事だった。
出されたお茶菓子は、セシルの手作りらしく、手に取るのが怖いのでは?とスザクに思わせる代物だ。
セシルはそのまま向かいのソファに座る。
ユーフェミアがマシンガンから手を外し、カップに伸ばされるその一瞬で、隣に座っていたスザクがマシンガンを取り上げてセシルに手渡した。
「あッ、スザク何をするのですか。あれがないと、わたくしがゼロをうつ事が出来なくなってしまうじゃないですか」
一転、スザクの軍服を掴んで、せがむようにユーフェミアが言い募る。
「幾つかお尋ねしたい事があるのですけど、それにお答え頂ければ、お返しさせていただきます」
困りきってセシルに視線を送ったスザクに代わって、セシルはそう言った。
「なんでしょう?」
小首を傾げて、ユーフェミアは問い返した。
「どうしてゼロを撃ったのですか?‥‥ゼロが貴女に何かなさったとか?」
「いいえ。でもゼロはクロヴィス義兄様を殺したのですから、うたなくてはいけなかったのですわ」
「では、‥‥何故、ゼロを招いたのですか?皇女殿下はあんなにも『行政特区日本』を望んでいらっしゃったのに‥‥」
「許せる、と‥‥そう思っていたの。お義兄様の事を抜きにすれば、ゼロも絶対賛成してくれると思ったもの。‥‥でも」
続きそうになるユーフェミアの言葉が、「クロヴィス義兄様を~」とか「ゼロをうたなければ」とかになると思ったセシルは慌てて遮って次の問いを投げる。
「あ、あの。何故、ゼロが賛成すると?」
「それ、ぼくも訊きたいな~」
唐突に扉が開いてロイドが入ってきて、セシルの問いに便乗する。
セシルは慌ててソファの半分を開けてロイドの座る位置を作り、ロイドはそのまま空いたソファに腰をおろした。
「さっきね~、シュナイゼル殿下から連絡が有ったんだよね~。驚いていたよ、殿下。『返上した』事、知らなかったって」
「それは、わたくしから皇帝陛下にお願いしたんです。数日中に発表してくださるって」
はっきりしたユーフェミアの言葉に、ロイドは嘆息し、セシルは驚いた表情を見せてから、ユーフェミアとスザクを見比べる。
「‥‥それ、お姉さんのコーネリア殿下には相談してる?あーんなに、貴女の事を思っておいでのコーネリア殿下にも黙ってたのかな~?」
「だって、お姉さまはお忙しくっていらしたから‥‥。それに会えなくなるわけじゃないですし、お姉さまもきっとわかってくださいます」
何を言いたいのかわからないのか、首を傾げながらも、ユーフェミアは応じる。
「なら、貴女が騎士にした枢木スザク君には?どーかなぁ?スザク君?」
再び嘆息したロイドは、ユーフェミアに尋ね、そのままスザクに視線を移す。
「えッ、‥‥いえ、自分は聞いて、いません‥‥が?‥‥あの?」
スザクはわからないままに問いには素直に答えたものの、何の事なのか尋ねるものの言葉が見つからず短い問いかけに終わる。
「‥‥ひとつ聞いても良いですかぁ?お姫様?」
ロイドはスザクの問いを流して、ユーフェミアに視線を向ける。
「なんでしょう?」
首を傾げるユーフェミアは、笑みさえ浮かべていて、やましい事など一つもないと言わんばかりに堂々としている。
「ゼロの言ってた事だけど、『わたしが示した信頼だけは、裏切らないで頂きたいものだ』と有りましたけど、何の事ですかぁ?」
ロイドの言葉に、ハッとしたのはセシルとスザクで、「えーと‥‥」と考え込むユーフェミアに視線を移した。
「さぁ、特に何もなかったと思いますけど‥‥。さあ、答えたのですから、それを返してください」
結局、わからないと言いたげに首を振って答えたユーフェミアは、セシルに向かってマシンガンを返せと手を差し出した。
「ざぁんねぇんでした~。シュナイゼル殿下から、出撃はしないようにって沙汰が有ったからね。ゼロの件は一時御預け~」
ロイドはやっぱりいつも通りの口調で、言ってのけた。
まぁ、シュナイゼル殿下からのお達しだというのだから、問題にはならないのだろうけど、とセシルとスザクは複雑そうな表情をしていた。
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作成 2008.01.06
アップ 2008.01.23
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「おれを撃て」【5】『アヴァロン』にて特派より。
ユフィ+特派です、後通信だけどシュナイゼルと。
名前返上の余波がここにまで‥‥(汗
変な所に拘ってしまったばっかりに‥‥。
でも、シュナイゼルはともかく、コーネリアと傍についてたダールトンは絶対止めたはず。
‥‥相談されてれば(汗
皇族でなくなったのなら、やっぱり騎士も返上ですよねぇ?
正式発表の前にユフィが殺されたからスザクは騎士のまま??←これも疑問だった(汗
それってスザク、ゼロ様々なんじゃ‥‥とか。
後、ロイドが何気にゼロ寄りかな?w