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生徒会室から出たルルーシュは、時間は早いながらも、いつものルートを通り、アジトへ向かう。
もちろん、途中でゼロになっている。
到着するなり目標を探そうとしたが、見つける前に邪魔が入った。
「ゼロ!よかった。今日は来ないかもとか思ったけど来てくれて」
朝比奈がそう声をかけてきて、そのままゼロの背中を押すようにして案内する。
「‥‥後だ、朝比奈ッ」
身を翻して朝比奈の手からなんとか逃れたゼロがそう言った。
「えぇ!?藤堂さんだって待ってるんですよ、ゼロが来るのを」
断られるとは露とも思っていなかったようで、朝比奈は盛大に驚いてくれる。
「‥‥活動に関係が有る事か?」
ゼロは一瞬考えて、それならば妥協しようかと尋ねたのだ。
「そーじゃありませんけど!」
朝比奈は拗ねたように否定する、って幾つだ貴様。
「なら後にしてくれ。第一今日は随分早いんだ。それを」
「え~‥‥。良いじゃないですか、今日くらい」
「朝比奈。‥‥用事が済めば行く。どこだ?」
ゼロが少し疲れた色を声音に乗せると、朝比奈はやっと渋々引き下がった。
「えっと。それは秘密です。なので用事が済んだら知らせてください。一度藤堂さんに伝えてから戻ってきますし」
「‥‥わかった」
朝比奈の答えに「なんだそれは」と思いながら息を吐いてゼロは頷くと、朝比奈に背を向けて当初の目的を果たしに歩き去った。
「朝比奈、一人かぁ、お前‥‥」
部屋に入るなり、かかる声に、朝比奈は無言で頷いた。
「ゼロ、来たんじゃなかったのか?」
「来た事は来たんですけど~。『活動に関係がない事なら後だ』とか言われました。だから一度藤堂さんに報告に戻って来たんですよね~」
朝比奈は力なくそう言うと、「報告したらまた戻りますよ、だから」と付け加える。
「なんでぇ~。折角早く来たんだから少し付き合うくらいすりゃ良いってのに。ホント付き合い悪い奴だぜ、アイツはよぅ」
「そう思うのならば、戻ればどうだ?玉城」
「杉山、テメッ。おれまで締め出そうってのか?ディートハルトだけじゃなく」
「それはよした方が良いですよ、杉山さん。下手に戻るとディートハルトに感づかれてしまうし」
「まぁ、そんな事になれば、来た途端回れ右しかねないからな。朝比奈、戻るなら」
「判ってます。扇さんでしょ?ちゃんと言っときますから。とりあえず、おれは藤堂さんに報告してきま~す」
ぶんぶんと手を振って朝比奈は奥の部屋に向かった。
「ラクシャータ」
ナイトメアの横で最初の一人を見つけたゼロは、「苦手は先に済ますべき」と内心唱えて声を掛ける。
「ん~?あれまぁ。早いじゃないのさ、ゼロ。何か有ったのぉ?」
「いや。‥‥君に、渡したい物が有っただけだ」
顔だけゼロに向けるラクシャータに、ゼロはそう言った。
立ち上がるラクシャータにゼロはシンプルな小箱とデータチップを一枚差し出す。
「ん~?これはぁ?」
「‥‥いつかの礼と、ナイトメアに関する情報だ」
ゼロの返事に、ラクシャータは「あぁ」と納得顔になってにんまりと笑って受け取った。
「律儀ねぇ。こっちのデータチップだけでも良かったのにぃ。ま、有りがたく受け取っとくわぁ」
「そうか。ではわたしはこれで」
「あ、ゼロ。千葉なら一人ポツンと月下にいるわよぉ?」
背中を向けようとしたゼロを止めてラクシャータは月下の上部を煙管で指示した。
「ん?‥‥まぁ良いか。助かった、ラクシャータ」
何故一人なのか疑問に思って首を傾げたが、とりあえず今は用事が先と思い、ラクシャータに情報提供の礼を言うと、ゼロはタラップを上った。
足音に反応したのか、千葉が月下から顔を覗かせる。
「ゼロか。中佐ならここにはいないが?」
千葉の言葉にゼロは絶句する。
そのまま思い返してみれば、かなりの割合で藤堂に用事だったから仕方がないか、と思い直した。
「あー‥‥、いや、今は千葉、君に渡したい物が有ったんだが」
ゼロがそう言うと、千葉は一瞬目を見開いて、月下から出てきた。
「それは失礼した。‥‥それで?」
前に立った千葉に促されて、ゼロはやはり小箱とデータチップを一枚差し出した。
千葉はそれらに視線を落とし、手を伸ばさずに訝しげにゼロを見る。
「一月前の礼と、おまけ‥‥だが」
千葉は「一月前‥‥?」と呟きつつ眉を寄せていたが、思い当たって、驚いた。
渡しておいてなんだが、千葉はお返しが貰えるとは思ってもいなかったのだ。
「‥‥‥おまけ?」
「あぁ、ナイトメア戦での陣形のわたしなりの考察を纏めてある」
ホワイトデーで、お返しだと言うのに、ゼロに浮いた様子はなく、いつも通りなので千葉は苦笑して手を伸ばした。
「ありがたく頂こう。ありがとう、ゼロ」
「い、いや。では、わたしはこれで」
テレたかのように、そそくさと背を向けるゼロに、千葉はかわいいと思ったが、それは中佐にも他の四聖剣にも黙っておこうと思った。
カレンがアジトに来た時、何故かゼロは既に来ていて、丁度トレーラーに入っていくところだった。
声を掛けるには少し離れていたので、走って追いかける。
トレーラーの入り口に着いた時、中から聞こえたゼロの声に、カレンの足は止まる。
「井上?一人か?」
「あら、ゼロ。早いのね。さっきまで扇さんがいたわよ。他の幹部を誰も見かけないから探してくるって出てったところ」
「一人なら丁度良い。井上に渡したい物があるんだが」
「渡したい物?‥‥って仕事かしら?」
「いや‥‥これだ」
気になったカレンはそっと覗き、ゼロが小箱と袋を差し出しているのを見てしまった。
それ以上話を聞いていられなくなったカレンは、そろそろと後退り、トレーラーを離れた。
ラクシャータは嬉々としてデータチップの検証をおこなっている時に物凄い勢いでタラップを駆け上がる音を聞く。
千葉は焦るように紅蓮弐式のコックピットの中に飛び込んでハッチを閉めるのを見た。
余計なお世話かとも思ったが、思いがけず良いものを貰ったばかりの二人は、ゼロが向かったと思われるトレーラーに足を向けた。
ゼロは自室ではなく、トレーラーの一階にいた。
ここにいたはずの井上の姿は見えない。
「ゼロぉ?あんた、お嬢ちゃんが来たの知ってるぅ?」
ラクシャータの声にゼロは顔(仮面)を上げる。
「‥‥来たのか?随分と早かったな」
と応じたゼロが立ち上がろうとするのを見て、ラクシャータと千葉は顔を見合わせた。
「あー‥‥、もしかしてぇ。やっぱり、気付いてなかったのかねぇ?多分、井上に渡そうとしてるところ、見られてるわよぉ、お嬢ちゃんに」
ラクシャータが忠告めいた言葉を紡いだのだが、ゼロは「ん?それが?」と首を傾げただけだった。
「あの様子では、誤解したかと思うが。今、紅蓮に閉じ篭っている」
千葉が続ける。
「‥‥‥誤解?」
「鈍いねぇ。つまりぃ、一人ずつにプレゼントを渡して回ってるって、その場を見たら結構コクッてるようにも見えるわけよぉ」
「‥‥‥‥‥‥‥‥。わたしが?」
「紅月がそう受け取ったようだ、と言っている」
恐らく目が点になっているか、呆然としているだろうと仮面の下を想像しながら、千葉は言葉を足した。
「‥‥‥流石に、仮面をつけたまま告白しよう等と、誠意に欠ける事をする気にはならないが」
「ゼロ。この場合、ゼロがどう考えているかではなく、紅月がどう受け取ったかというのが、問題だと思うが」
ゼロの言い分に好感を持ちながらも、千葉は的外れな事を言うゼロを諭す。
「‥そ、そうだったな。紅蓮だな?行ってみよう。‥‥助かった、ラクシャータ、千葉」
ゼロは二人に礼を言うと、二人の間を抜けてトレーラーから出て行った。
紅蓮の傍に立ったゼロは、そのままで声を出す。
「カレン。聞こえているのならば、話がある」
張り上げるでもないいつもの声で、ゼロは語った。
『す、すみません、ゼロ。い、今は‥‥』
オープンチャンネルでも無いようなのに、声が聞こえて、振り返ったゼロは、集音器を手にしたラクシャータを発見した。
「‥‥カレン。君に渡したい物があるのだが、受け取って貰えないのか?」
『えッ‥‥あいたッ‥‥。それって‥』
驚いたのか慌てたのか、カレンはそんな事を言った後、ハッチを開いた。
ゼロの手にある小箱に見覚えがあり、カレンは慌ててコックピットから降りた。
「あ、あのあの、ゼロ。一つだけ先に聞いても良いですか?さっき井上さんに渡していたのも‥‥」
「あぁ。一月前の件のお返しだ。カレンにはこれからも零番隊で頑張ってもらわなければならないし。‥‥受け取ってもらえるか?」
「はいッ!喜んで!!‥‥‥あの、これは?」
小箱と一緒に受け取ったデータチップが気になって尋ねた中には、「井上さんに渡していたのは袋だったのに」と言う思いもあった。
「表との二重生活も大変だろうから、それで少しでも軽減になればと思ってな。後でゆっくり見てくれれば良い」
ゼロは気負うでもなく答える。
カレンがわからないなりにももう一度礼を言うと、ゼロは、「ではわたしはこれで」と言って背を向ける。
「ん~?ゼロぉ?あんたもしかして、これをわたしらに渡す為だけに来たわけぇ?」
ラクシャータがそう尋ねたのは、何となくゼロがかわいく見えたから。
「「‥‥い、いや。別に。‥‥そういうわけでは(ッ)」ないんだが‥‥。当たったようだな、ゼロ」
ゼロと千葉の言葉が重なり、ゼロは驚いて途中で言葉を区切り、千葉はくすっと笑ってゼロを見た。
「ッ‥‥‥。失礼するッ」
恐らく真っ赤になってるんじゃないだろうか、なんて三人は思いながら、ラクシャータと千葉は「少しからかい過ぎたか‥‥」と反省した。
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作成 2008.03.11
アップ 2008.03.14
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ホワイトデー 【中編】騎士団編。ラクシャータ、千葉、井上、カレン。
そして分割すればどんどんと長くなって行くものなのさ....(汗
せめて前後編にまとめようとか思ってたのに、どんどこ長くなって行く.....
そりゃ?諦めたとは言ったけど?やっぱり無謀でしたねぇ.....(汗
話の中でも素直な進行できないし。
.....あ。あとがきじゃなくて愚痴になってる。orz
え、えーと、次、次で終わる....はず?