04 | 2025/05 | 06 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | ||||
4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 |
18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 |
25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 |
ルルーシュは、それを見て完全無欠に固まっていた‥‥。
その日、バイトがあるからと生徒会室にさえ顔を出さず教室から直接出かけて行ったリヴァル。
その結果、ルルーシュは一人租界に出てきていた、──買い出しの為に‥‥。
しかし、大通りに出た時、ふと視線が合ってしまったのがまずかったと言うのだろうか。
相手もまた、車に乗るところだったその動きを止めてしまい、供の者達の不審を買っていた。
一つ息を吐いたその人物は、片手で何でもないと示し、一行を乗せた黒塗りの高級車はそのまま滑り出して走って行ってしまった。
視界からその人物と車とが消えてから、ルルーシュはやっと息を吐く。
‥‥‥‥な、何故、こんなところにいたんだ‥‥、桐原‥‥。
車が消えた先を見やりながら、ルルーシュは呆然と思うわけで。
大体キョウトからも何も言って来ていないのに‥‥とゼロ思考で考えて深々と溜息を吐いた。
今日は生徒会が終わった後、ゼロがアジトに行く予定だったけれど変更だな‥‥と今後のスケジュールを考える。
五日後はどうしてもしなければならない事があるから絶対にアジトに行かなければならないが、今日はその下準備だけだったはず。
シワ寄せは何処だ?と脳内で調整しながら、ルルーシュは先程までよりも遥かに足早になってその場所を後にした。
買い出しが終わった後、一度部屋に戻ったルルーシュは、携帯を取り出して扇をコールする。
「扇か?わたしだ」
『ゼロ‥‥?‥‥どうしたんだ?』
珍しく連絡を入れたゼロに、驚いたのか扇は訝しげな声を返す。
「今日は急な予定が入ってそちらへは行けなくなった」
『え!?‥‥珍しいな』
誰にだって急用が入る事くらいあるだろうに、扇は派手に驚いてから、ボソリと呟いた。
「すまない。騎士団で次回までに急ぎしなければならない処理はなかったはずだから、構わないな?」
押しの弱い扇を説き伏せるには、有無を言わさぬ勢いとそれらしく思わせる言い回しで事足りるので、案外楽だったりする。
『えーっと‥‥あ、あぁ。‥‥なら次は‥‥』
一応考えているらしい扇だが、本当に予定が思い当たったのかも怪しいモノだとルルーシュは思っているが今は放っておく。
「何もなければ予定通り五日後だ」
『あ、あぁ。‥‥もし、何か有ったら‥‥』
「‥‥今日の夜七時から十二時‥‥の間で、手が空いていれば応じる。それ以外は掛けて来るな」
それはルルーシュがゼロとなってアジトにいる予定にしていた時間帯である。
それ以外はプライベートだとルルーシュは割り切っていた。
『わ、かった』
肯定する扇に、ルルーシュは一番聞きたいと思っていた事をついでのように訊ねる事にする。
「‥‥ところで、扇。キョウトから何か言って来てるか?」
『え‥‥いや、聞いてない』
「そうか‥‥。では後は頼む」
さっさと暇の挨拶をしたルルーシュは、そのまま通話を切って電源をオフにした。
この携帯はゼロ用のモノだから不要な時にはいつも切っている。
「‥‥やはり無断、か‥‥。全く、厄介な‥‥」
低く呟いたルルーシュは、気持ちを切り替えると生徒会室へと取って返した。
生徒会が終わった後、ルルーシュは一旦部屋に戻って内容は異なったけれど、出かける準備をする。
予定通り「帰りは遅くなるから」とナナリーに告げて、クラブハウスを出るとアッシュフォードの秘密の抜け道に向かった。
ここのロックは定期的にパスワードが変更されるが、その都度ミレイから新しいパスワードが知らされてくる。
ゼロになった今は勿論の事、ゼロになる前から、かなりの頻度でルルーシュが使っているお忍び用通り道であった。
途中にある幾つかの隠し部屋の一つで、ルルーシュは変装した後、外へ向かって歩いて行った。
桐原の滞在地へ向かうと、すぐさま部屋に通された。
その際の桐原の供が放つ不躾な視線には目をつむる。
桐原の部屋には、豪華な調度品、ばかりで構成されているような応接室が有った。
一人掛けソファに座って両手を杖の上で組んでいる桐原の正面に立ったルルーシュは不機嫌な顔で桐原を見据える。
「良く来たな‥‥。あれだけで良くわかったものよ」
視線が合ったあの時、桐原はルルーシュに向けて会いに来いと合図を寄越していたのだ。
「‥‥‥‥何の用ですか?桐原公。‥‥用件は手短にお願いします」
黒い髪はセミロング程の長さになり、紫の双眸を隠す為か薄い色のついたサングラスをかけている。
それだけで紫は黒か茶かに見えてしまうのが不思議なのだが、少しは気が紛れる。
服装も普段とは違い、少し明るめの色を使用したモノを選んでみた。
「まぁそう慌てず、掛けるが良い。‥‥そう、怒るモノでもないぞ」
笑いを含んだ桐原の声音に、ほんの少し怒気を上げればすぐに気づいたので、ルルーシュは息を吐いて桐原の向かいに座った。
桐原が背後に立つ護衛に合図を送ると、全員が一礼の後退室していった。
「無断で降りて来た事は詫びよう。じゃがな。わしにも付き合いというものがある」
二人きりになった部屋で、桐原の第一声は詫びと言い訳だった。
「‥‥わたしは呼びつけられた事に対してのみ、憤っておりますが?」
ルルーシュは少々見当違いをしている桐原に対して低い声で応じる。
「すぐに来ると思うておったが‥‥。随分とゆっくりしていたものよな?」
苦笑とともに、当てが外れたとでも言いたげな桐原に、ルルーシュは眉を顰めた。
「‥‥いくらわたしでも、そうそうすぐには動けないのですよ、桐原公」
まったく、怒っていると言った傍から、更に怒らせるような事を言ってどうする気なのかと、ルルーシュは半ば呆れる。
「ゆっくり、腹を割って話したかったのだが‥‥。その姿は?」
と、ここでやっとルルーシュの姿について言及した桐原は、外見を気にしないのか、それとも鷹揚なのか。
「念の為、というものです。‥‥それで?」
「‥‥この後、客が来る。‥‥同席するなら止めぬぞ?」
キョウトの重鎮に会いに来る客との会見に同席を許すとは、不思議な事もあるというか‥‥、ルルーシュは嫌な予感を覚える。
こう言う話の流れ方では、客がルルーシュの知り合いという事も有り得そうだ。
「客とは何者です?」
「藤堂と‥‥四聖剣の仙波、じゃな」
すんなり答えた桐原に、ルルーシュは内心で、ピキリと青筋を十本くらい立ててみた。
桐原にしろ藤堂にしろ、ゼロに無断で動くとは‥‥。
「興味はありますね。‥‥わたしの事は?」
「そうじゃな。わしの縁‥‥としても良い。呼び方に気をつけよ。‥‥わしはなんと?」
「‥‥エル、で宜しいですわ。‥‥おじい様」
悠然と、エルは微笑んで見せた。
───────────
作成 2008.02.08
アップ 2008.03.28
───────────
Ⅳ.ばったり遭遇「桐原+α」編 【1】桐原お忍び移動中、ルルーシュは買い出し中。
今回の遭遇は視線が合った....ですかね、バチッと。
そのままアイコンタクトで次回の逢瀬まで決めてしまいましたよ....(汗
先約(ゼロとしてアジト)もキャンセルだし、変装バッチリ....まるで逢引!?w