04 | 2025/05 | 06 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | ||||
4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 |
18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 |
25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 |
※「合流」の続きです。
それに気付いたのは朝比奈だった。
「あれ?‥‥藤堂さ~ん。藤堂さんの月下、通信入ってますよ?」
副指令の扇が重傷者リストに載っている事も有って、軍事の責任者である藤堂の負担も増えていた。
この時、藤堂は月下を離れ、団員に幾つか指示を出しているところだった。
月下のハッチを開けて顔を出した状態の朝比奈を藤堂は見上げた後、団員を振り返って、「行け」と言い、立ち去るのを見届けてから自分の月下を見上げた。
朝比奈が月下の手を藤堂に差し出し、藤堂は目で礼を言ってからそれに乗って月下のコックピットまで運んでもらった。
藤堂は上体だけをコックピットに入れて通信をオンにすると、「誰だ?」と尋ねる。
『‥‥わたしだ』
「ゼロか。‥‥どうした?みんな心配している。まだ降りて来れないのか?」
『いや、今から降りる。‥‥が、藤堂。人を一人乗せている。怪我に問題がないのならば、手を貸せ』
ゼロの言葉に、藤堂は顔を顰めた。
「紅月が枢木を連れていた。君は一体誰を連れてきたんだ?」
『‥‥見れば判るだろう?藤堂、お前ならば。今はあまり人目に晒したくない』
「‥‥わかった。今行こう」
『頼む』
短い声と共に、通信は切れた。
藤堂は溜息を吐いてから、スイッチを切って身体を起こした。
朝比奈が月下で藤堂を下に降ろしながら小さく尋ねる。
「藤堂さん。ゼロが乗せてるって誰でしょうね。‥‥てか、その怪我で人一人抱えるの大変でしょ?卜部さんか誰か呼びますか?」
卜部にはあのまま枢木スザクについていてもらっているし、ゼロの言い方が気になっていた事も有って、藤堂は首を振った。
「良い。わざわざ指名してきたのだから、何か意味が有るのかもしれない。無理な時は手伝いを呼ぶ」
藤堂は月下の手のひらから地面に降り立ちながら、そう応じた。
「わかりました。‥‥けど、自分で運ばないって、ゼロも怪我でもしてるんでしょうかね~?」
「それなら紅月がもう少し焦っているだろう」
藤堂はガウェインの足元で、車椅子に手を添えたカレンがガウェインを見上げているのに目をやって言った。
「ですね」
朝比奈はそれもそうだと頷き、「ならなんで?」と首を傾げた。
カレンは遠巻きな物問いた気な視線に内心うんざりしていた。
そこへ近づいてくる気配がして、しつこいと怒鳴ってやるつもりで振り返って、一瞬固まった。
カレンもまさか藤堂が来るとは思わなかったからだが、その雰囲気も何か他の者とは違っていたからでもあった。
「‥‥何か?」
「ゼロに呼ばれた。通るぞ?」
「え?ちょっ‥‥。あ、そうか。でも、なんで、藤堂さん?」
藤堂の言葉に、一瞬驚いたカレンだったが、何かを納得した後、何故藤堂だったのかに首を傾げた。
ピロロ、ピロロと鳴る携帯の着信音に、カレンは会長達か?と思いつつ相手を見て、慌てて繋げた。
「はいッ‥‥‥。あ、そうですね、わかりました」
電話の相手に丁寧に応じながら、カレンは身振りで通って良いと藤堂に伝えた。
そして電話を切るなり、紅蓮に向かって駆け出した。
藤堂は「今の電話の相手もゼロなのか?」と疑問に思いはしたが、通って良いのならとそちらを優先して、ガウェインを上り始めた。
すぐ傍にいるのに、手の込んだ事をするゼロに、藤堂は訝しさを覚えるが、それ以上に心配にもなっていたからだ。
ガウェインの肩まで来ると、ハッチが開き、「入れ」と小さく聞こえたので、C.C.の席に乗り込んだ藤堂を取り込んでハッチは再び閉じた、っておい。
「降りるんじゃなかったのか?」
そう声を掛けながらゼロの席を見上げ、藤堂は固まった。
ゼロと、ゼロの膝に乗る少女がそこにいた。
ピクッと少女は肩を震わせ、ゼロに尋ねる。
「どなたですか?お兄様」
少女の言葉に、藤堂は目を見開いた。
「‥‥君の、‥‥妹なのか?」
藤堂は疑問を口しながらもその答えを自分で導き出していた。
下にある車椅子と、盲目らしき少女、その兄。
「‥‥‥ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアとその妹のナナリー・ヴィ・ブリタニアか‥‥!?」
「当たりだ、藤堂。随分と変わっているだろうに、良くわかったな。‥‥ナナリー。彼は藤堂鏡志朗。昔会った事があるだろう?あの、『奇跡の藤堂』だ」
呆れ口調で藤堂に答えたゼロは、一転優しい声音に変わって少女、妹に藤堂を紹介する。
「はい。覚えています。優しくして頂きましたし」
「藤堂が下まで運んでくれる。藤堂ならナナリーも安心だろう?」
「お兄様も一緒でなければ嫌です」
どうやら、ゼロは妹の説得に手間取っていたらしいと藤堂は察した。
「‥‥一つ尋ねても良いか?他の者に見られる心配のないこの場所で、何故仮面を被ったままだったのか。それとも今被ったのか?」
「違いますわ。お兄様は『自分はゼロだから、仮面は取らない』と仰るのです」
「一体‥‥」
「こんなモノでもないよりマシでな。‥‥藤堂、妹を頼む。それと‥‥」
「素性の事ならおれからは何も言わないと約束しよう」
「お兄様ッ」
「おれもすぐに降りるよ、ナナリー。先に行って待っててくれ。ミレイや、咲世子さんもいるから、一緒に」
「‥‥‥わかりました、お兄様。早く来てくださいね」
渋々折れるナナリーに、ゼロはマントを羽織らせる。
「頼む、藤堂」
「承知した」
ゼロの、ルルーシュの最愛の妹の軽い身体を抱き上げた藤堂は、ゼロが開いたハッチから外へと出て行った。
了
───────────
作成 2008.03.11
アップ 2008.04.02
───────────
一つの解答 藤堂にのみゼロ&皇族バレ。
藤堂メイン?
藤堂にゼロ&皇族バレ。
兄妹はブリタニアに土をつけた『奇跡の藤堂』を尊敬してます。
おかしい。さくっと出て来るはずだったのに、ゼロまだガウェインの中かよ(汗
いつまで引きこもってる気だろう?