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コードギアスの二次創作サイト。 ルルーシュ(ゼロ)至上主義です。 管理人は闇月夜 零です。
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ゼロ(ルル)至上主義です。
騎士団多め。
表現力がなく×ではなく+どまり多数。
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※「七夕と願い事」の続き

七夕であるその日の夜、満天の星空の下、テレビのスクリーンが黒の騎士団によってジャックされた。
『さて。七夕に無粋な事をして申し訳ない』
スクリーンに映ったゼロがそう挨拶した直後だった。
すぐにスクリーンに映らない場所にいるのか女性の声が割って入って来る。
『ブリタニアに告げるわぁ。これから藁を手に入れようと思うのぉ。人形を作る為なんだけどぉ。後五寸釘はちゃぁんと入手したから心配要らないわぁ』
『おい、一体何を言っているんだ?』
『良いから貴方は黙ってなさいなぁ。‥‥聞いてるかねぇ?皇帝に効かない事は過去に実証済みだからぁ。周囲から攻める事にしたわよぉ』
『おい、何を!何故バラす?逃げられるではないか』
『あらぁ?どこに逃げたって効果に変わりなんてないんだから良いじゃないのぉ。ゼロに味方するってぇなら、対象外にするらしいけどねぇ』
ラクシャータがそう言ったところで、スクリーンが二つに割れた。
『それ、本当かぃ、ラクシャータ!?』
現れたのはメガネをかけた銀髪の男で、その白衣の後ろに軍服を着た女性が控えている。
『あんたは別よぉ。プリン伯爵ぅ。なぁんで速効で喰いついてくるのかねぇ』
『だって、君がそう言うからにはゼロってあの方なんだろ?そうじゃないかとも思っていたし、それなら騎士団につこうかなって思ってさー』
『そうですよ、ラクシャータさん。わたしもそちらに行きますね。あ、ランスロットは持参しても良いですよね?』
『あ、デヴァイサーは要らないわよぉ。確かプリンも乗れたはずだしぃ。プリンはなんとか許容してもぉ、パーツまではねぇ?』
『大丈夫ですよ。気付いてませんから。じゃあ、ロイドさんとそちらに向かいますね~』
ブツンと音を立てて黒くなった半分に、分割されていたスクリーンが戻るかと思いきや、すぐさま別の人物が現れる。
『先を越されてしまったけれど、わたしも君につこうと思う。構わないだろう?ゼロ』
代わって現れたのは、神聖ブリタニア帝国宰相である第二皇子シュナイゼル・エル・ブリタニアだった。
『‥‥‥‥宰相閣下自らが、ですか?』
『ぅん?そんなの気にする必要はないよ。わたしにとっては君の方が大事というだけの事』
シュナイゼルがそう言うと、シュナイゼルの姿は4分の1になり、その下に更に見知った顔が現れる。
『義兄上ぇえ!何をお一人で決めているのですかッ!!』
『‥‥コーネリア、かぃ?誘って欲しかったのかな?』
肩を怒らせて抗議する第二皇女に、シュナイゼルは普段通りに問いかける。
『‥‥‥‥‥‥当然です』
コーネリアは不服そうな表情のままでこくりと頷いてみせたのだった。
『ゼロぉ。とりあえず、ここにいる意味はもうないわよねぇ?言うべき事は言ったんだしぃ』
『ぇ?いや、しかしわたしはまだ』
『良いから良いからぁ。ほら、笹のところでみんな待ってますよぉ。今日は晴れてますしぃ、存分に願い事を致しましょうねぇ』
戸惑うゼロに対して、女性はそう言ってゼロの背中を押すようにしてスクリーンから退場していった。

二人の皇族をそのままに、人の映らなくなった半面は、数瞬後ブラックアウトした。
慌てたのは四分割表示から二分割表示に切り替わった二人の皇族だった。
『コーネリア。こうしてはいられないね』
『そうですね。わたしはすぐに動きますので、義兄上もお早く。‥‥ではあちらで』
そんなやり取りを画面越しで交わした二人の姿もまたぶつんとした音と共にブラックアウトして、モニターは暫く黒一色となった。
そんな黒画面を前にして、一番慌てたのは、皇帝の傍近くに仕える者達だった。
ゼロと共に映っていた女性の言葉が正しければ、最初の標的にされる可能性が濃厚だったからだ。
そして、地位が高ければ高い程、昔のとある女性について知る者も多く、恐慌状態に陥る者まで出る始末だ。
宰相である第二皇子と、エリア11の総督である第二皇女がゼロにつくと公表しているのだから、自分がそれに乗っても悪くないだろうと言う心理が働く。
そうして、空前の寝返りがここに起こる事になった。



ブリタニア本国、謁見の間にて、ブリタニア皇帝シャルル・ジ・ブリタニアは、玉座に座っていた、何時も通りに。
しかし、謁見の間には他に人の姿はない。
謁見の時間になってから随分と経つのだから、何時もならば引きも切らない長蛇の列の謁見を望む者を相手にしている時間のはず。
しかし、取り次ぐ者もいなければ、取次ぎを待つ者もいない。
護衛の兵も姿を見せず、だだっ広いだけに謁見の間は薄ら寒く感じられ、皇帝は一人首を傾げて人の来るのを待っていた。





一方エリア11政庁では。
黒の騎士団へ寝返る者達が長蛇の列を作っていた。
エリア11総督コーネリア・リ・ブリタニアが、黒の騎士団に政庁を無血で明け渡したからだ。
これまでコーネリアが座っていた椅子に、戸惑いを隠せないらしい仮面をしたままのゼロが座り、寝返る者のリストを手に首を傾げていた。
傍には藤堂とラクシャータ、シュナイゼルとコーネリアにロイドが立ち並び。
壁際には四聖剣と扇、カレンの他、ギルフォードにダールトンにセシル、その他付き従う騎士達が並び立つ。

吐息を漏らしたゼロに視線が集中した。
「‥‥どうした?ゼロ。‥‥疲れたのならば少し休むか?」
尋ねたのは藤堂で、ゼロは首を振ってから藤堂を見上げた。
「いや。‥‥ただ、晴れた日の七夕の威力がいかに凄いかを身をもって実感している」
心底感心したように言うゼロに、「いや、それは違うから」とそれぞれが内心でツッコミを入れる。
結局、ゼロの誤解を解く事が、出来なかったのだ。
そして今回のラクシャータ発案の作戦のせいで、ゼロの誤解に拍車がかかっていて、最早多分その誤解を解くには手遅れである。
何故なら、裏切って長蛇の列を作るブリタニア軍人達の手には折鶴があったりする。
更には列の最後尾辺りには座り込んで鶴を折る者や折り方を教わる者、教えてくれと頼む者がひしめき合っていたりする。
七夕の効果を実感したゼロが、今度は千羽鶴の効果を検証したいと思ったらしく、折鶴持参を条件にした為だった。
そうして受付を済ませた者の書類がゼロの手元にやってきているのだが。
「えーっとぉ。ゼロぉ。千羽鶴幾つ用意するのぉ?てか何祈るのぉ?」
ラクシャータが既に千枚をゆうに越している経歴書に視線を向けながら、尋ねた。
「決まっている。千羽鶴に祈るのは『優しい世界になりますように』だ」
きっぱりと言い切ったゼロに、一同揃って溜息を吐いていた。



───────────
作成 2008.08.06
アップ 2008.08.07
 

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(「災厄は突然に」設定/藤ル.ル)


ふとルルーシュ君が時計に視線を向けたのに気付いた。


同じように視線を向けると夕方になっている。

今日は色々と有って、結局四聖剣の誰にも会わずじまいだった。

所謂所在不明で心配しているだろうか、と今更ながらに思う。


それからハッとしてルルーシュ君を見る。


「表に、連絡をしなくても良かったのか?確か昼には表に戻ると昨日‥‥」

本当に色々と有って忘れていた。

「メールは入れておいた。流石に藤堂の声で連絡を入れるわけにはいかないだろう?」

「おれが‥‥」

「いや。目が見えない分、鋭いからな。多分バレる」

「なら、周囲の人にでも‥‥」

「それもダメだな。揃って聡い連中ばかりだからやっぱりバレそうで」


おれの提案に、ルルーシュ君はことごとく首を振り続け、結局連絡はなされなかった。


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2008.07.22作成
2008.07.24-2008.07.28up
2008.08.17再録
 

それは、ギリギリの勝利だった。
得るモノは確かに大きかったが、その為に失ったモノもまた、大きかったのだ。

ブリタニアを退け、独立を果たした最大の立役者である黒の騎士団の全員を、リーダーのゼロは大講堂に集めた。
押し合いへし合いしながら、どこか誇らしげに団員は整列する。
報告を受けた重傷をおしてやって来ていた扇が、座ったままゼロに声をかけた。
「ゼロ。来れる者は全員揃ったようだ」
ゼロは扇に視線を向けて頷いてから、幹部達を見渡した。
みな、どこかしら怪我をして包帯が巻かれている。
それは、平の団員にも言える事だった。
幾人か見えない顔があるのは、重傷者か‥‥死者なのだ。
ゼロは壇上に用意されたマイクに向かって優雅に歩いていった。
途端に、少々騒がしかった場内が、水を打ったように鎮まった。
マイクの前で、ゼロは場内を見渡した後、ゆっくりと話し始める。
『騎士団の諸君。良くやった。本日、この地はエリア11ではなくなり、独立国「合衆国日本」となった。もはや、諸君を「イレブン」と呼ぶ者はいない‥‥』
場内を揺るがす程の大音声が、ゼロの語尾を消す勢いで響き渡った。
雄叫びをあげる者、歓喜を叫ぶ者の声が巻き起こったのだ。
ゼロは、それを鎮めようとはせずに、自然に鎮まるのを待った。

『国葬に先んじて、明日、騎士団内の合同葬儀を執りおこなう。全員参加して貰う。黒の騎士団はその後、幹部を残して解散する。以上。解散』
続いたゼロの言葉に、先程とは違う種類のどよめきが起こるが、ゼロは気に留める事なく壇上を降りた。

袖で待っていた幹部の中に、ディートハルトを見つけ声をかける。
「ディートハルト。合同葬儀の手配を頼む。騎士団入団後死亡した者のリストを、わたしにも届けてくれ」
ゼロはそう言ってから、改めて幹部一同を見渡した。
「もちろん、抜けたいと望む者を引き止めるつもりはない。それぞれで選ぶといい」
幹部の中に、動揺が走る。
「ゼロ。君はどうするつもりだ?」
藤堂がみんなの最大の関心事を口にした。
「‥‥わたしは‥‥。‥‥そうだな、明日の合同葬儀の時に発表しよう。みんなもゆっくり考えるといい」
ゼロははっきりとは答えずに答えを先送りにして、歩き出す。
幹部達はそれを不思議に思った。
消えるにしろ残るにしろ、ゼロならとっくに決めていると思っていたからだ。
「今は言えねッてのか?」
いつもの如くに玉城が突っ掛かる。
足を止め、振り返ったゼロは、真っ直ぐ玉城に仮面を向けた。
微かな違和感。
「そうだ。確かに、わたしは既に決めているが、‥‥今は言う気にならないな」
「‥‥何故か、聞いても構わないか?」
再び藤堂が尋ねる。
「お前達の中には、わたしの存在の有無で決めかねない者が少なからず、いそうだからだ」
ゼロは藤堂を中心に、幹部達を見ながら即答する。
ゼロがいるなら参加したい者、ゼロがいなければ参加したい者、またはその逆‥‥‥‥。
それには否定できず、誰もが黙る。
カレンと玉城はその両極端だろうと言われているくらいあからさまだったりもする。
「これからの大事な決断だ。わたしに構う必要はない。己のやりたい事を、自分なりに考えてみる機会だと思えばどうだ?」
「だけど‥‥。君の存在はかなり大きいと思う。君の身の振り方はみんなの最大の関心事でもあるわけで‥‥わからないままだと気になってしまう」
扇が、そう切り出した。
「残るにしろ、去るにしろ、わたしは素性を明かす気はない。‥‥それで桐原公はともかく残りのキョウトや民が同意するかどうかという問題もあるぞ?」
ゼロの言葉は、「残ると決めていたとしても、周囲の反対から残れない事だって有り得る」と言っていた。
「‥‥ゼロ。桐原公はともかく、とは。桐原公が君の素性を隠したままでの参画を認めると?」
「彼はわたしを判っているからな。‥‥認めるだろう?わたしに残る意思があると判れば」
「で?残る意思はあるのか?」
「それは明日だと答えたはずだが?」
ゼロは視線を転じてゾロゾロと引き上げていく平団員の波に逆らうようにしてやってくる老人に気づいた。
それが誰か分かった団員達は行動を邪魔しないように避けるから、余計にわかる。
ほとんど邪魔されなかった老人は、程なく幹部たちの傍へとやってきた。
「合同葬儀をおこなうそうじゃの、ゼロ」
「はい。‥‥騎士団としての締め括りとしては必要かと。この日の為に、頑張ってくれた者達ですし」
「話があるのじゃがな、ゼロ。‥‥独立を果たした以上、可及的速やかに決めねばならぬ案件が山のようにある」
「承知している。軍事、民間レベルでは話をつけているとはいえ、早急に代表を立て各国との調停を結ばねば、第二第三のブリタニアとなりかねない事は」
桐原にとっての最大の懸念事項をサラッと言ってのけたゼロに、桐原は「何故?」と困惑した視線を投げる。
「それが分かっているのならば、黒の騎士団の解散はしばし待たれよ」
ほんの少し硬質化した老人の声に、気付いたのは藤堂と仙波、それにゼロだけだったが、ゼロはフッと笑ってみせた。
「‥‥黒の騎士団の名前で話をつけていたわけではない。わたしが話をつけた時に出した名前は貴方のものだ、桐原公」
「なに‥‥?」
訝しげに桐原は眉をよせてゼロを見る。
「何をどういったところで、黒の騎士団はテロリストに変わりはない。第一、何の為に『合衆国日本』の宣言に、キョウト六家を立ち合わせたと?」
「‥‥見届け人、ではないとでも言う気か?ゼロよ」
「違うな、桐原公。キョウト六家があの場にいた事で、例えわたしが宣言をしたとしても、『合衆国日本』はキョウトを中心に置く事になった」
キッパリと言い切ったゼロの言葉に、騎士団幹部達にも動揺が走った。

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作成 2008.03.01
アップ 2008.08.06
 

(「父の日騒動」続編【1】/ラク+朝)


ゼロの私室の前を離れたラクシャータは階段に差し掛かる前に足を止めた。


「立ち聞きぃ?四聖剣も行儀悪いわねぇ」


廊下の先に投げたラクシャータの声に、角から朝比奈が姿を見せる。

「まぁね。それに聞いてたって言ったって半分だけだよ。ゼロの声は拾えなかったし」

「ふぅん?」

ラクシャータは相槌を打ちながら、何かまずい事を話してないか思い返し、「それでぇ?」と尋ねる。

「藤堂さんにダメージを与えるって言うなら、ゼロでも赦さないかなぁって?」

「あらぁ?ゼロに何かしようって言うならぁ。わたしが容赦しないわよぉ」

二人は暫く睨み合う。


先に攻勢に出たのはラクシャータだった。

「朝比奈、退きなさぁい。でないと月下に悪戯しちゃうわよぉ」

ふふふ~んと鼻で笑ってラクシャータが脅しに掛かった。

「あ、‥‥って、それを言う?別だろ、それは。それに、そんな事して困るのゼロじゃないか」

「ちゃんと言って置くわよぉ?『月下の調子が今ひとつなんですぅ』ってさ」

「むぅ。ならおれだってストライキ起こすよ?」

「良いのぉ?そんな事してぇ?困るのは藤堂とお仲間の四聖剣よねぇ?」

「藤堂さんや仙波さん達には事前に言っておくさ」

「真似しないでくれるぅ?」


険悪な雰囲気で睨み合う二人に気づいて引き離したのは、ゼロに用事が有ってやってきた扇とカレンだった。


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2008.06.17作成
2008.07.13-2008.07.18up
2008.08.13再録
 

カレンは不満だった。
最近、ゼロの側には四聖剣の誰かが常にいて、ゼロもそれが当たり前のように思っているみたいだったからだ。
「ゼロが月下(隊長機)に乗るから連携が取れるようにしないとね」との朝比奈の言い分が納得出来てしまえるのも腹立たしいのだ。
「あんた達四聖剣は藤堂さんの部下でしょ!」とカレンは内心で叫んでいた。


ゼロに言うのもはばかられ、藤堂に注意して貰おうとカレンが部屋に向かうと既に先客が扉の前で仙波と睨み合いをしていた。
「む。紅月も来たのか」
ディートハルトの肩越しにカレンを見た仙波がそう呟いて嘆息した。
「藤堂さんは?」
「中におられるが今は会わせられぬ」
相手がディートハルトからカレンに替わっても仙波の言う事は変わらない。
大体、彼らが中に入って目にするのは、ゼロの仕事をゼロ並に処理していく藤堂の姿だ。
間近で見て初めてゼロの殺人的な仕事量を実感した四聖剣は、その姿だけは他人に見せないと決めた。
元に戻った時、「やってたじゃないか」とか「出来るだろ」等と言われて藤堂が過剰な仕事を割り当てられない為にだ。
その言い分はゼロも認め、四聖剣が手伝う事を条件に他人に見られないよう心がけると約束していた。
今、中でゼロ(外見藤堂)の手伝いをしているのは千葉で、ディートハルトが来る前は仙波も共に手伝っていたのだが‥‥。

カチャと音がして扉が内側から開き、千葉が顔を見せた。
「仙波大尉、わたしはこれより月下の整備に参ります。後をお願いしても?」
「うむ、承知した。次は卜部か?朝比奈か?」
「卜部さんです、大尉。この二人はわたしがゼロの元へ連れて行きますので」
仙波と千葉はそう言って頷き合い、仙波は口を挟む事も出来ず見ているだけだった二人を置き去りに部屋に姿を消した。


「さて」
千葉は扉が閉まるのを確認すると、ディートハルトとカレンを振り返り、そう始めた。
「共に来て貰うぞ、二人とも」
「しかしですな」
「‥‥お前達の言いたい事は理解してるつもりだ。ゼロも中佐も他の四聖剣やラクシャータもだ。それでも応じられない事は有る」
諭すようなそれでいて諌めるような千葉の言葉に二人は突入を断念した。
「‥‥ゼロのところに連れて行って、どうするつもり?」
カレンは探るように千葉に尋ねる。
「別になにもしない。まぁ今は、中佐にしろ、ゼロにしろ何かと忙しいのは確かだ。手を貸すのならともかく、邪魔はするなよ」
千葉はそう言うと格納庫に向かって歩きだし、カレンとディートハルトは顔を見合わせてから後を追った。


「と‥‥ゼロ、この動きなんですけど」
普段から藤堂や四聖剣と話す内容なのも相俟って、朝比奈は呼び掛け間違えないようにするのに一苦労していた。
「あぁ、そこは‥‥。慣れないか?」
「今もですけどー、戻った後に間違えそうな程には慣れたくないかなって思いますねー」
朝比奈は曖昧に頷いて答え、「良く平気ですよね」と続けた。
「朝比奈ぁ、そろそろ千葉が交代にやってくる。おれの月下は整備終わったから、後は頼むぜぇ?」
「わっかりましたー、卜部さん」
卜部の声に振り返った朝比奈は「頑張ってくださいー」と卜部を激励した。

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作成 2008.05.18
アップ 2008.08.05
 

(「災厄は突然に」設定/藤ル.ル)


藤堂は感心する。


「人前に出てバレない程度の演技は必要だ。要はなりきれば良いのだが‥‥」

ルルーシュはそう言って、「おかしいところが有れば言ってくれ、藤堂」と言った後、藤堂になりきったルルーシュ。

外見は藤堂なのだから、なりきると確かに「藤堂鏡志朗」にしか見えない。

見えないのだが、問題はやはり有るもので。


「‥‥何も無いところで転ぶのはやめてくれないだろうか‥‥‥」


「す、‥‥すまない。間合いは把握したのだが‥‥気をつける」

ルルーシュはそう言うしかない。

いつも通りではダメなのだと再度己に言い聞かせた後、今度は藤堂の演技を見ることになった。


なった、のだが。


ゼロは普段は大人しいが演説をするとなると弁が立つ、それはもう恐ろしい程。

逆に藤堂は普段大人しいというか無口で、そこは同じだが、話すとしても弁が立つと言う訳ではない。

となるとゼロのような弁論をしなければならない藤堂の負担たるやかなりなものになる。


「‥‥藤堂。とりあえず不機嫌オーラ出しておけ。そうすればそんなに話す必要はなくなる」


ルルーシュからの助言で、藤堂はそう言えば確かにと思い出す。

不機嫌オーラ全開のゼロにあえて近付こうとする者は少数だ。


仮面を向けるだけで固まる者がほとんどで、「なるほど良い手だ」と頷いた。


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2008.07.01作成
2008.07.20-2008.07.24up
2008.08.11再録
 

「藤堂!」
ゼロが藤堂の名を呼びながら近づいて来るのを見て、四聖剣は嫌な予感を覚えた。
藤堂とゼロが藤堂の部屋で待ったり過ごしていたのを目撃してからそう日が経っていなかったからだ。
四人が「まさか‥‥またッ!?」と思ってもそれは不思議ではないだろう。
「どうした?ゼロ」
「‥‥今日は時間が取れるか?」
「って待った、ゼロッ!藤堂さんはおれ達とこの後話があるんだから、時間なんてないよッ」
朝比奈があれはもう見たくないと横から慌てて割って入った。
「そうか、わかった。‥‥ラクシャータ」
ゼロはあっさり引き下がり、背中を見せていたラクシャータに話を振った。
藤堂は口を開こうとしたまま固まっており、朝比奈は千葉から殴られた。
「んー?なぁに?事と次第によっちゃ、時間作ってもいーけどぉ?」
振り返ってそう応じたラクシャータは完全にゼロではなく藤堂を見てにやにや笑っている。
「少し出かけたいところがあるから、それに同行を頼もうと思ったんだが」
「わたしにぃ?それとも藤堂にぃ?」
「‥‥都合がつけば両方に、と思っていたが、藤堂は時間が取れないらしいからな。‥‥ラクシャータはどうだ?」
ゼロの言葉を聞きながら、「それを本人のいる横で言うか?普通‥‥」とラクシャータと四聖剣は頭痛を覚える。
というか、邪魔をした朝比奈さえもが頭に手を置いているのは何も千葉に殴られたせいばかりではないのだ。
「いぃわよぉ。ちょっと煮詰まってたところだしぃ、気分転換も必要よねぇ。だけど、後で相談に乗って貰うわよぉ」
「中佐。話は戻ってからでも構いませんが。今ならまだ間に合うかと」
千葉がこれまたゼロにも聞こえるように声も落とさず藤堂に話しかけ、チラとゼロを見る。
「お、おれも千葉さんに賛成~。千葉さんに殴られた頭が痛くなってきたしぃ‥‥」
「む、それはいかんな。部屋で休んでくるか?朝比奈」
「あ、じゃあおれが運んでやるよ。てことで藤堂中佐。話は夜か明日以降って事で」
反応のないゼロと藤堂に、朝比奈と仙波と卜部が揃って藤堂を後押しした。
「‥‥と、言う事だが。ゼロ」
「そ、そうか。では二人とも一時間後にゲットーR出口で。ラクシャータ、相談は戻ってから聞こう」
そう言ったゼロはそのまま踵を返して去って行った。
「‥‥て、もしかしなくても仮面外すとか?」
ポツリと言った朝比奈の言葉に「あッ‥‥」と言う呟きが重なる。
「R出口と言う事は目的地は海岸方面。浜か港か岬か‥‥沖にまで出るとは思わないけどよ‥‥」
確かにその辺りで仮面したゼロの姿のままでは目立ちまくる事請け合いだ。
何と言っても隠れる場所がないのだから。
「‥‥では余程の用事と言う事か‥‥」
「‥‥‥‥。余程と言うか‥‥」
千葉の言葉に、藤堂は思い当たる節が有って、言いかけて口篭る。
「藤堂中佐?何か心当たりでもお有りなのですか?」
「‥‥今日、団員が少ないわけがわかったというか」
「それなら母の日だから親孝行とか墓参りとか、あ‥‥て事はもしかしてゼロも?」
「ブリタニアは遠いからねぇ。それで海かぁ。お墓がこっちにあるとは思えないしぃ」
「ておい、ラクシャータ。墓限定なのかよ?」
「あらぁ、だって亡くなってるもの、ゼロのお母様」
「ラクシャータ。お主、ゼロの素性を?」
「知ってるわよぉ。だから、わたしに声をかけたのよ、ゼロもぉ。わたしとしてはぁ、藤堂に声をかけた事の方がよっぽど驚いたけどねぇ?」
あっさり首肯するラクシャータに驚き、その言葉に四聖剣の視線が藤堂に流れる。
「おれは知らない。ただ、ゼロは『家族はたった一人しかいない』と言っていたからな‥‥」
「へぇ、ゼロがかぁなり気を許してるなんて、あんたやるわねぇ藤堂。さぁてとぉ。早く行かないと時間までに辿り着けないわねぇ」
ラクシャータは伸びをするとキセルをひらつかせて立ち去って行く。
「どこに寄る気だ?」
「お花屋~。母の日だものぉ。カーネーションくらい有った方が良いでしょー。まぁさか藤堂に買いに行けなんて言うわけにはいかないしねぇ?」


「やっぱりここにいらしたんですねぇ。ルルーシュ様」
花屋から出て来たルルーシュを見つけ、ラクシャータは声をかける。
「‥‥来たのか。藤堂は?」
「別行動。花屋に寄るって言ったからついて来てないはずですよぉ。買いに行かされると困るでしょうしぃ?」
「違いない。すまなかったな、ラクシャータ」
「構いませんよぉ。てより誘って戴けて嬉しかったくらいですしぃ?でも何故藤堂も誘ったんですかぁ?てかわたしより早く声をかけてましたねぇ?」
「‥‥あーその、だな。‥‥‥‥と、とにかく行くぞ。おれが遅れてはまずいだろう」
「そうですねぇ」
くすくすと笑ったラクシャータはルルーシュの後について行った。



───────────
作成 2008.05.11
アップ 2008.08.04
 

(「ナナリーi.n騎.士団」設定/桐原)


これまでとは格段に違う忙しい日々を送る羽目になった桐原は、合間にそっと息を吐き出す。

「あやつめ。確かに『必要な事は手配しよう』とは言うたが、ここぞとばかりに用を言うて来おる」

大抵は「こういう事にしてありますので、口裏合わせをよろしくお願いします」というものだ。

それに紛れて「あれが欲しい」、「それを送れ」と言いおる。


挙句の果てには「出発が数日遅れる事になりました」と来た。

お陰で神楽耶様が不機嫌になって仕方がない。


だが、妹姫の具合が悪くなったというのならばそれも致し方あるまい、と桐原は再び溜息を吐いたのだった。


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2008.06.24作成
2008.07.12-2008.07.17up
2008.08.12再録
 

二人きりになり、桐原が机に向かい筆を走らせるのを見ながら、ルルーシュは高圧的な声を出した。
「どういうつもりだ?桐原公。少々遊びが過ぎてはいないか?」
「黒の騎士団はゼロの軍隊。ゼロがおらぬ間にどうなっているのか、ゼロをどう思っておるのか、一度見ておくのも良いかも知れぬ、と思うての」
「無断で話を進めるのはやめて頂きたかった。騎士団には表のわたしを知る者がいる。バレれば桐原公と知り合いだという件と変装の件、痛い腹を探られる」
少女の姿で渋面を作ってみても、正しい効果は得られず、桐原もまた堪えた様子はかけらもなかった。
「ほぉ。‥‥してその者の名は?」
「‥‥‥。紅月カレン。紅蓮弐式のパイロットだ」
ルルーシュは暫し躊躇った後、その名を告げた。
「あの少女か。‥‥良かろう。エルを騎士団に向かわせている間に、こちらで少々借り受けよう。それならば良いか?」
桐原の言葉に、ルルーシュは折れて頷こうとしたが、その時、扉をノックする音が聞こえて、ルルーシュはエルになりきった。
「どうした?」
桐原が問いかける。
「建物を撮影していた不審なブリタニア人を捕らえました。いかが致しましょうか」
その言葉に、ルルーシュは思い当たる人物がいた為、思わず額に手を当てた。
「‥‥名を」
ごく小さく、桐原にそう告げると、「その者、名はなんと言う?」と質問してくれた。
「持っていた身分証には、『ディートハルト・リート』と有ります。ブリタニアの報道関係者のようですが、‥‥スパイやも知れません」
「‥‥団員です」
桐原は軽く目を見張り、嘆息した。
「別室にて見張りをつけておけ。後で話を聞く。それまではあまり無体な事はするな」
「了解いたしました。失礼致します」
扉の外の気配は、そのまま遠ざかっていった。
「真に騎士団の者なのか?」
「えぇ。情報・広報の責任者にすえた者。‥‥藤堂達を見かけて後をつけてきたのかもしれない」
まさか自分がつけられていたとは思わず、ルルーシュは答える。
「そうか。‥‥ならば藤堂に預ければ良いな?じゃが、そうするとアジトまではエルも共にと言う事になるのか?」
桐原の言葉に、ルルーシュはその光景を想像し、嫌そうに顔を歪めた。
「‥‥仕方ない。あまり近付きたいとは思わないのだが‥‥」
「まぁ、せいぜい藤堂達に守って貰え」
そう言って笑う桐原に、ルルーシュは溜息を吐いたのだった。


戻ってきたのは、桐原一人だった。
「藤堂。この者に心当たりはあるか?」
桐原はそう言って、ディートハルトの身分証を渡す。
身分証が誰の物であるかを見て取った藤堂と仙波は、出来ればアジトに戻るまでくらいは忘れたままでいたかったと渋面を作る。
「‥‥‥‥‥‥。‥‥団員です」
長い沈黙が、答えたくないと言う思いを如実に表しているようで、桐原は苦笑した。
「実は建物の周りをうろついていたので、部下が捕らえて来たのだが‥‥預かると言うのであれば引き渡すぞ?」
藤堂と仙波は反射的に、「いらん」と言いそうになってなんとか堪えた。
確かに能力は高いのだが、いかんせん普段の言動によって相殺どころかマイナス方面へと、その評価は突出してしまっているのだ。
「‥‥後程、団員を寄越すまで預かって頂くわけには?」

それ程までに引き取るのが嫌なのかと、桐原はエルの態度と合わせて、面白いと思った。
「あー‥‥その、ですな。エル殿を同行するならば、一緒、と言うのはどうかと思うわけでして‥‥」
仙波もまた何とか回避する方向へと話を持っていこうと口を挟んでみた。
ここまで毛嫌いされているのに、一部門の責任者という事は、かなり有能なのだろうと、桐原は納得した。
勿論、周囲にこれ程煙たがられる者を配下や身近に欲しいとは断じて思わないのだが。
「ふむ。‥‥ならば、引取り人はこちらで指名させてもらうとしようかの。扇、と言ったな。それと紅蓮弐式のパイロット。その二人で引き取りに来るように伝えよ」
どうしたものかと思い、藤堂と仙波は視線を合わせるが、それも束の間、二人は揃って頷いていた。

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作成 2008.07.03
アップ 2008.08.03
 

(「入.団試.験」設定/過去捏造/黒の騎.士団アジト/後日談)


「‥‥ゼロ?」


「あぁ、彼女か」と言ったまま押し黙ったゼロに、心配になった藤堂が声を掛ける。

「いや。確かにそんな覚えはあるな。彼女の料理は良く食べた」

寝返り組とラクシャータがありえないものでも見るかのような視線をゼロに向ける。

藤堂とディートハルトはそれを見て顔を見合わせた。

「‥‥その女性の料理とはどういうモノだ?」

「‥‥独創的ー?」

「ぁあ、それが一番近いですなぁ。しかしゼロ。『良く』とは‥‥どこもなんともかなったのですか?」

ロイドの尋ねるような回答に、ダールトンが同意してからゼロに安否を尋ねる。

「どこも?確かに不思議な味だったが美味しかったぞ?今はどんな料理の研究をしているのか楽しみだな」


「でッ‥‥じゃなくて、我が君!あああああのー、彼女に一体何を仰ったんですかー?」


「ん?あぁ、それか」

ゼロは笑う。

「『誰かの為に作る料理が一番美味しいって母も言ってたぞ』と『不思議な味だけど美味しいな』‥‥だったかな?」




平然と応えたゼロに、ロイドは特派での苦労の大部分がゼロの一言が原因だった事を知ったのだった。


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2008.06.14作成
2008.07.09-2008.07.14up
2008.08.08再録
 

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