★nao様へのリクエスト作品★
(シュナ+ネリ+騎.士達+ユフィ/騎.士団合流/ス.ザク切捨て)
「お姉様ッ!お力を貸して下さいッ!」
バタンと扉を開け放つなり、少しもしとやかでない仕種でユーフェミアは執務中でギルフォードとダールトンと話をしていたコーネリアに泣き付いた。
そうなると仕事は終わりだと悟っている二人は片付けに入る。
勿論この日も仕事はそれ以上進まなかったが。
「義兄上ッ!お話がありますッ!」
バタンと扉を開け放つなり、全くしとやかでない仕種でコーネリアは執務中のシュナイゼルに言いたてた。
シュナイゼルはその後ろに続く三人がコーネリアの言動をやめさせる為に追い掛けて来たわけではないと気付いて筆を止めた。
枢木スザクは途方にくれていた。
それはもう直立したままカチコチに。
呼び出しを受け、ユーフェミアの執務室に向かうとそこにいたのは部屋の主だけではなかったからだ。
ユーフェミアの姉コーネリアがいて、ダールトンとギルフォードがいて、更にはシュナイゼルがいる。
(‥‥なんだ?この華やかさは?どうしてこんな状況でぼくが呼ばれるんだ?)
「枢木スザク。以前より聞きたいと思っていたのだけど、答えてくれるかな?」
ここは、ユーフェミアの執務室だと言うのに。
だけど、座っているのはシュナイゼルで、その右にコーネリアが立ち、コーネリアの背後にはギルフォードが寄り添っている。
左にはユーフェミアが立っていて、その後ろ、本来ならばスザク自身が立つはずの場所にはダールトンがいた。
そんな中、シュナイゼルの問いに、スザクは反射的に「イエス、ユア、ハイネス」と答える。
「君はユーフェミアから騎士として指名されたわけだけど、何故受けたのかな?」
シュナイゼルの問いに、スザクは首を傾げる。
何故も何も皇族の指名で、スザクの意思などどこ吹く風の勢いだったようにスザクは思っているからだ。
一応、ユーフェミアの考えに賛同し、力になりたいと思った事もあるし、尊敬しているし守りたいとも思うのだけど。
どういって良いのか判らず、スザクは「えーっと」といったまま沈黙した。
しかしそれでも長く沈黙なんてしていられず、「自分は」と言ってから、一度ごくりと喉を鳴らして先を続けた。
「ユーフェミア様を守り助けたいと思い、お受けいたしました」
それが、スザクの出した答えだった。
これまでスザクがそう言うと、嬉しそうににこにこと笑顔を浮かべていたユーフェミアは、しかしこの時、表情を曇らせる。
スザクは「何か失敗しただろうか?」と内心で焦っていた。
「枢木。偽りを述べるのは感心しない。騎士がそのようではコーネリア殿下も安心してユーフェミア殿下を任せて置けないと嘆いておられる」
ギルフォードが鋭い眼差しをスザクに向けて言う。
「偽りなんてッ!自分はッ!」
「ユフィが憤って泣き付いて来た。『自分は蔑ろにされている』のだとな」
コーネリアの瞳にも、怒りがありありと浮かんでいる。
スザクは気圧されそうになりながらも反論を試みる。
「自分はッ!蔑ろになどッ‥‥」
しかしギロと睨まれて途中で言葉が途切れる。
「しかし、ユフィの前で上の空の事が多いそうではないか?一体何を考えているのやら」
コーネリアが侮蔑するかのように吐き捨てる。
「報告書を読みました。スザク貴方は別の人を守りたいから騎士の話を受け、騎士になったのだそうですね?」
ユーフェミアが悲しそうな表情でそう言い、「そんな事、わたくしはスザク自身から一言も伺っていませんわ」と涙を零す。
「騎士が主に隠し事をするなどと、‥‥有るまじき行為ですな」
「まったく、嘆かわしい限り。ユーフェミア皇女殿下を蔑ろにするにも程があります」
涙を零すユーフェミアを元気付けるようにシュナイゼルがその手をぽんぽんと優しく叩く。
ギルフォードとダールトンが、同じ騎士として許せないおこないをする枢木スザクを睨みながら非難する。
「‥‥‥報告、書?」
聞きなれない単語にスザクは首を傾げる。
それがその場にいる者の怒りを更に煽る行為だと、スザクは気付かない。
「知らぬとは言わさぬ。皇族の選任騎士になる者には、それなりの人物でなければならず本人、周囲に関して調査がおこなわれる」
コーネリアの宣言に近い言葉は、スザクの顔色を蒼白にさせた。
「‥‥どうやら、君は我々に、というよりはユフィに言わなければならない事があるようだね?」
シュナイゼルがそんなスザクを観察しながら、やんわりと問いかけた。
しかし、シュナイゼルは皇族であり、宰相閣下でもあるのだから、その問いかけは絶対のものだ。
「‥‥‥‥‥。それは‥‥」
けれど、スザクは躊躇いを見せて押し黙った。
自分の行動がルルーシュとナナリーを危険な立場に追いやったかもしれないと今更ながらに気付いた結果だったが。
「ユフィの言葉通りのようだな。貴様にユフィを託すのは間違っているようだ」
「ユーフェミア様。今からでも遅くありません。イレブンだからと言うのではなく、この男自身にユーフェミア様の騎士になる資格などありません」
「そのようですな。解任する事をお勧めいたす」
コーネリア、ギルフォード、ダールトンのスザクへの評価は右肩下がりに下がりまくる。
「枢木スザク。名誉とはいえ、ブリタニア人なのだから、宰相でもあるわたしの問いには答えなくてはならないのだよ?」
シュナイゼルはそう言って「さあ」と促す。
「‥‥‥」
「枢木スザク。命令である。誰を守りたいが為に騎士になったのか、今すぐに言いたまえ」
黙るスザクにシュナイゼルは、一転して高圧的に命じた。
はっとしてシュナイゼルを見返したスザクは、その表情に怒りが浮いているのを察して、慌てた。
「じ、自分、は‥‥る、ルルーシュとナナリーを守りたい、と‥‥」
がたんッと音がして、スザクは言葉を切る。
誰かが身動いでどこかにぶつけたのか音を境に室内の空気が重くなったとスザクは感じた。
シュナイゼルが、コーネリアが、ユーフェミアが、ダールトンが、ギルフォードが、スザクを凝視していた。
「ほぉ?これは面白い事を言う。『ルルーシュ』、『ナナリー』とはこの地で亡くなったとされる皇族の兄妹の名前。今、出てくるべきではない名前だね?」
「枢木。いつから二人の生存を知っていた?」
押し殺したようなコーネリアの声音で告げられた問いに、スザクはやはり言い淀む。
「それは‥‥」
「答えなさい、スザク」
キッと眦釣り上げて、ユーフェミアがスザクに尋ねた。
「‥‥‥‥。が、学園に入った時に、‥‥再会、しました」
スザクは俯いて、拳を握りながらも、とうとうそう報告していた。
「枢木スザク。君には失望したよ。再会した時には、名誉ブリタニア人であり、ブリタニア軍人で有ったにも関わらず、報告の義務を怠っていたとは」
シュナイゼルはそう言うと、立ち上がた。
後編に続く
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作成 2008.08.12
アップ 2008.08.12
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