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カレンは中々戻らないゼロと藤堂と四聖剣に、「まさか厳罰だったのかな‥‥」と心配になって様子を見に来ていた。
扇からも頼まれた結果だったのだが、いざ会議室の前まで来ると、ノックするのに躊躇ってしまったのだ。
そしてその言葉が中から微かに聞こえてきて、カレンは思わず目を見張って扉を凝視していた。
小会議室内では、外にカレンがいるとは思いもせずに、会話は続けられていた。
「ランペルージ?だけ?それって名前?苗字?」
「苗字だろう。わたしも千葉としか名乗っていないから、お互い様だ」
朝比奈の疑問に答える千葉に、ゼロは「いや、名前まで名乗ると、こういった場合に藤堂にバレるからやめたんだが‥‥」と思う。
しかし、「状況は違えど藤堂や四聖剣に話すと想定していたとおりになるとはな」とゼロは気づかれぬようにそっと溜息を吐いた。
「どんな学生だったのだ?女性に追い掛け回されるとは‥‥」
仙波が首を捻る。
「‥‥美人、だったな」
千葉の簡潔な回答に、ゼロは思わずずっこけそうになるのを意志の力で我慢した。
「‥‥待て、千葉。男子学生と言っていなかったか?」
「えぇ、そうです、卜部さん。そこらの女性より余程美しかったので表現は間違っていないはずです」
「千葉さん、千葉さん。細かい描写は?」
「話がズレていないか?朝比奈」
藤堂が苦言を述べるが、朝比奈は千葉に視線を固定していて藤堂の声すら耳に入っていなさそうだ。
ゼロは「詳しい描写まで言われては流石に藤堂に疑問を持たれる」とますます焦るが、何か言う前に千葉の描写説明が始まる。
「ブリタニア人にしては珍しい黒髪と透けるような白い肌と強い意志を窺わせる紫の瞳が印象的な──」
千葉の語尾に扉が勢い良く開かれる音が重なり、千葉は言葉を切った。
藤堂と四聖剣は驚きの表情で反射的に振り返り、一瞬遅れてゼロも仮面を巡らし、そしてゼロは固まった。
「紅月さん?‥‥今会議中なの判らなかった?」
千葉の処遇がどうなるかの大事な時に、と朝比奈は不機嫌な声を投げる。
「千葉さんの事を決めてたんじゃないんですか?どうしてあいつの事なんか‥‥」
固まったゼロには誰も気づかずそのまま置き去りにして、話は進む。
「‥‥紅月、扉を閉めろ」
藤堂が憤り気味に、呆然としたカレンに指示を出した。
それが「出ていろ」という言葉でない事を四聖剣は悟った。
ゼロが何も言わない事を了承と取り、朝比奈が立ち上がってカレンを会議室内に置いたままさっさと扉を閉めた。
「‥‥で?あいつって誰?紅月さんの知ってる人だったの?」
そうして朝比奈はそのまま早速とばかりに問いかける。
カレンは鍵を閉めた扉を背にする朝比奈と椅子に座ったままカレンを見るゼロと藤堂と残りの四聖剣をぐるりと見回す。
ちなみにゼロは扉を振り返った時から固まっているのだが、気づく者はやはりいなかった。
ゼロまで返答を待っていると思ったカレンは渋々と口を開く事にした。
「同じ学園の生徒、なので。あんな外見二人といないから、すぐわかりました。どうしてあいつの話なんかしてたんですか?」
硬い声音で告げるカレンに、「一体学園でどんな仲だ?」と首を傾げたくなる。
「んーとだな。早い話が千葉が惚れてるらしくてさ」
「なッ‥‥。わたしはそんな事言っていませんッ、卜部さんッ!」
「だが、気になっていたのだろう?」
驚いて反論する千葉に、仙波までがそう言うものだから千葉はますます慌てた。
「仙波大尉ッ!からかうのはやめてくださいッ」
「‥‥‥ぇーっと?接点がない気がするんですけど‥‥?」
「てか、紅月さん。その美少年の名前は?それにどんな人?」
戸惑うカレンに、果てしなく脱線する気満々な朝比奈。
いつもの藤堂ならばそろそろ注意しそうなものなのに、何か気を取られている事があるのか、騒動は収まる気配を見せない。
それはゼロにしても同じ事だったが。
反対する者がいなかったので、カレンは(主に)ゼロを気にしながらも朝比奈の問いに答える事にした。
「えっと、クラスメイトです。生徒会でも同じで、彼は副会長をしています。外面はあの通り良いんですが、性格は最悪なのであまり薦めませんよ?」
朝比奈に対して、というよりは千葉に対しての忠告めいているのはカレンなりの親切心からだろう。
「しかし、‥‥彼は道を尋ねても嫌な顔一つせず、少し入り組んでいるからとわざわざ案内までしてくれたが‥‥」
「被ってる猫が凄いだけですッ!学園でもみんな気づいてなくて、だから人気も学園一なんですよね」
カレンはそう言ってから、更に渋面になって「次に人気があるのが枢木スザクだってんだから学園のみんながどうかしてるんです」と言い切った。
「んー?けど枢木ってイレブンってか名誉なのに?」
「そうです、卜部さん。‥‥なんだかんだ言って皇女の騎士ですからね。ミーハーな女生徒にはモテるようですよ」
カレンはきっぱりと「目当ては皇族とお近づきになる事な気もしますけどね」と言ってのけた。
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作成 2008.07.01
アップ 2008.08.14
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Ⅱ.ばったり遭遇「千葉」編 【4】騎士団にてゼロ+藤堂+四聖剣+カレン乱入。
廊下で「ランペルージ」の名前と人物描写を聞きつけたカレン乱入。
ばったり遭遇、カレンが出張りに出張ってますねぇ^-^;
あっちでもこっちでも不満ぶっつけまくってます。