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★臣近様へのリクエスト作品★
(ルル(ゼロ)を愛し守ることを誓う騎士団と生徒会)
カレンはルルーシュがやっと動いて息を吐き出すのを見た。
「‥‥‥る、るるーしゅ?」
カレンの躊躇いがちな声に、視線が集まる。
「まさか、受け入れられるとは思わなかったな」
「お兄様は考えすぎなのです。みなさん良い方達ばかりなのでしょう?信じて差し上げたら宜しいのではありませんか?」
自嘲気味に呟くルルーシュを、優しく諭すような声をかけるナナリー。
「ナナちゃん。急には無理よ~。あ~んな事仕出かしてくれちゃった人がいたんだしぃ?」
「まぁ疑心暗鬼にもなるよなぁ。おれだったらグレてるぜぇ~。なぁ?」
「リヴァル。貴方それ以上どうやってグレるつもりなのぉ?いっつも脱走とかしてるのにぃ」
「シャーリー。リヴァルはグレてないつもりなのよ。じゃないと副会長を誘ったりしないと思う」
「あぁ、そう言う事なの~?」
生徒会のメンバーが口々に言い始めた言葉は、藤堂の「ルルーシュ君」と言う呼びかけによって収束する。
「信じてくれないか?みんな、君達を。君を裏切らない。裏切ったりはしないだろう」
藤堂の言葉に、ルルーシュがまっすぐに藤堂を見、そしてその紫の双眸が驚きに見開かれる。
「‥‥気づいた、と言うのか?」
「あぁ。何故こんな手段を取ったのかも理解した。同じ目的を持っているか改めて確認したかったのだろう?」
「‥‥そうだな。騎士団の目的は『弱者を虐げない優しい世界』その為の『正義の味方』だと言う事だったからな」
「あぁ、そぉいうことぉ?ってぇ、なぁんだぁ。結局信じてるから来たんでしょぉ」
ラクシャータが納得の色を声音に乗せて嬉しそうに言い切った。
「そうですわね。信じてらっしゃらなかったら、初めからキョウトに向かっていたでしょうね、ルルーシュ様ならば」
咲世子がにっこりと笑って肯定した。
「‥‥つまり君はこの騎士団をそれなりに気に入ってくれていたわけだな?‥‥自惚れて構わないだろうか?」
藤堂の言い回しはまるでルルーシュが騎士団に来た事があるかのようで、それに「自惚れる」って?と団員達は混乱する。
と、朝比奈がぽんと手を打った。
「藤堂さん。もしかしなくても、その『ルルーシュ君』がゼロなんですか~?」
朝比奈のある程度の確信を持った言葉に、驚いた幹部達は数瞬後、一斉に汗を噴き出させた。
「受け入れない」と答えていた場合、幹部達自らがリーダーであるゼロを切り捨てていた事になるのだから。
「自惚れて良いぞ、藤堂。でなければ、そいつが大事な大事な妹を連れてくるはずがないし?」
黙ったままのルルーシュに代わって答えたC.C.の言葉に、「あ、なるほど」と納得したのは藤堂とラクシャータ、それにカレンと生徒会メンバー。
「悪かった!ゼロ!」
玉城が真っ先に声を上げた。
驚いた視線が集まる。
「お前が若いってのは気づいてたし、正直意地になってたところは有るけど、今まで悪かった」
「‥‥どうしたんだ、玉城。お前が謝るなんて雪でも降らすつもりか?」
ルルーシュはまだ驚いたまま呆然と言い返す。
玉城の名前を知っていた事で、幹部達は彼がゼロだと納得した。
「若いと思ってたけど成人はしてると思ってたんだ。だから甘えてた。まさかこんな子供に頼ってばっかだったなんて‥‥恥ずかしいと思う。すまなかった」
玉城の言い分に幹部達は確かにと納得し、同様に今までゼロに強いてきた無理を思う。
ゼロは完璧でだから少しくらい頼ったって良いだろうと思っていた節は大なり小なり確かにあるのだ。
それに思い至った幹部達は一斉に居住まいを正して頭を下げた。
「「「「すまなかった、ゼロ!!」」」」
「あぁ、なんだ。みんな結構無茶を強いるなぁって思ってたらまだ子供だって事に気づいてなかったんだねー」
あはあはと朝比奈が笑い、「そこは笑うところじゃないだろう?」と千葉に咎められていた。
一斉に頭を下げられたルルーシュは唖然とした後、ふいと顔を背けた。
「‥‥別に。おれが隠していたからそれは仕方がない事だ。気にしていない」
そう言うルルーシュの頬は誰の目にも明らかに朱に染まっていた。
「あっらぁ~。テレてるのねぇ、ルルちゃん。かっわいぃ~」
ミレイがからかうような声を上げる。
「ッ‥‥からかうな、ミレイッ!」
ますます赤くなるルルーシュに見慣れていない幹部達は呆然と見惚れた。
C.C.は「落ちたな‥‥」と呟き、それを聞いていたラクシャータは「そりゃぁそぉでしょぉ」と笑う。
「まぁこれで団員達があいつを裏切る事はなくなったな」
「そうでしょぉねぇ。‥‥ねぇ、あんた達ぃ。ゼロを裏切ったりはしないわよねぇ?」
ラクシャータは呆然と見惚れたままの幹部達に声を掛けて正気に戻す。
「あぁ‥‥まさかあんなに可愛いとは‥‥」
「てかうっかり守りたくなるわよねぇ」
「目的が『弱者を虐げない優しい世界』だって言うんだから、彼を守るのに何も問題はないよ」
「問題がないどころか、彼がいないと進めないだろおれ達」
そうした呟きが口々に零れ出し、そうして思いは一つになった。
「「「「ゼロ!!いや、ルルーシュ君。おれ達は君についていく。一緒に『弱者を虐げない優しい世界』を作ろう!!」」」」
唐突に唱和された言葉に、ルルーシュは再び幹部達を見て目を見開く。
「「「「だから、もう無理はせずに、おれ(わたし)達に頼ってください。君を守るし裏切らないと誓うから!!」」」」
「良かったですね、お兄様」
ナナリーが声もなく驚くルルーシュに声を掛けその手に触れると、ルルーシュの頬に涙が伝った。
「‥‥ここにいる者達は、君が選んだ。君の名付けたとおり、君の騎士団になる。ここが君の新しい居場所だよ、ルルーシュ君」
「ちょっ‥‥藤堂さんッ!ゼロの騎士はわたしですからね!!」
「紅月。抜け駆けは禁止だ。みんな騎士団に入っている以上、リーダーであるゼロの騎士には違いないはず」
「ぅ‥‥あ、でも零番隊はゼロの親衛隊だわ」
「カレン、てめやっぱり抜け駆けする気だな!?」
「ゼロ、写真を」
「「ゼロに近付くな変態!!」」
賑やかに騒ぐ幹部達を、生徒会メンバーは楽しそうに見る。
ルルーシュに近付いた藤堂はそっとルルーシュの涙を拭ってやった。
「良かったな、ルルーシュ君」
「‥‥ノリで騒いでいるだけじゃないのかって思うのは気のせいですか?」
「そうかもしれないが、みんな君を裏切る事はない。信じてやってくれ」
「そうそう。裏切ったりしたらわたし達がちゃぁ~んととっちめてあげるから、ね?」
「「「「あー。藤堂(さん/中佐)抜け駆け禁止です!!!」」」」
「‥‥なんか、裏切りそうにないんだけども?ルルーシュ」
「‥‥‥。あぁ、おれもそんな気がしてきた」
黒の騎士団、『正義の味方』を唱えるエリア11最大のテロリストグループ。
しかし、そのアジト総本部は、今日も平和です。
了
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作成 2008.06.06
アップ 2008.06.19
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臣近様へ。
お気に召していただけましたでしょうか?
リクエスト内容に合致しているかはいまいち不明ですが、
どうぞ、お受け取りください。