★臣近様へのリクエスト作品★
(ルル(ゼロ)を愛し守ることを誓う騎士団と生徒会)
アッシュフォード学園文化祭の最中に突如おこなわれた宣言。
それは何もかもをぶち壊しにしてしまった。
文化祭そのものも。
既に壊れかけていたとは言え、箱庭としての役割も。
アッシュフォード学園の本来の存在意義も。
必死に息を潜め、隠れていた者の居場所も。
そう、何もかも。
そして、宣言をおこなった者はその事にかけらも、本当にひとかけらも気づいてはいなかったのだ。
はぁ~あ。
盛大な溜息が、リヴァルの口から吐いて出る。
ここは生徒会室で、リヴァルの他にはミレイとシャーリーとニーナ、それにカレンがいた。
呼び出したルルーシュはまだ姿を見せていない。
はぁ~あ。
再びリヴァルの溜息。
「リヴァル。それやめてくれない?わたしの気まで余計に滅入るんだけど」
シャーリーが沈んだ声で注意する。
「だぁってさぁ~。何様だよ、あんの主従はぁ。こんな事ならガニメデあいつに任せるんじゃなかったぜ」
しかしリヴァルはそう愚痴った後にまたもや盛大な溜息を吐いてのけた。
カレンは内心「そうそう、しかも失敗してるんじゃないわよッ!白兜に騎乗する騎士様なのにッ!」と憤りながら同意する。
「そーねぇ。ルルちゃんが乗ってなかっただけマシと言えばマシだけど‥‥」
「その点はナナちゃんに感謝ですね。でもこれなら会長がやった方が良かったんじゃないですか?」
本来ルルーシュがガニメデに乗っていたはずのところをナナリーの鶴の一声で乗らない事になった、それはナナリーの手柄だった。
だが、その後を本職だから、とスザクがやった為に、今こんな事になっている。
「そーよねぇ」
「‥‥わたし、‥‥助けていただいた事も有ってユーフェミア様の事、お慕いしていたけれど‥‥でも」
ニーナはぽつりぽつりと俯いたまま言葉を紡ぎだす。
カレンはユーフェミア贔屓だったニーナが否定的な事を言い出すのを不思議な思いで聞いていた。
「副会長とナナリーちゃんを辛い目に合わせるなんて‥‥ユーフェミア様でも赦せません‥‥」
「当然よッ!スザク君なんてルルの親友とか言いながら、ちっともルルの事考えてあげてないしッ!」
「ルルの優しい気持ちに胡坐かきまくってるの見るのすっごく不愉快だよなぁ」
「まぁったくね。ルルちゃんもナナちゃんも人が良いんだから」
カレンは一致団結でルルーシュの肩を持ち、スザクを批判する生徒会一同を呆然と眺めていた。
「んー?まさかカレンさん、スザク君の方が正しいなんて言わないでしょうね?」
「‥‥言わないわ。彼、言ってる事矛盾だらけなんですもの。聞いているだけで凄く腹が立ちます」
「て事はカレンも同士ね。いつもの、行くわよ。『わたし達は!』」
ミレイはカレンににっこりと笑ってから一同を見渡して言う。
「『ルルーシュを愛し!』」
「あ、リヴァルそこわたしが言いたかったのに‥‥。『ナナリーちゃんも愛し!』」
シャーリーがリヴァルに小さく苦情を言ってから、先を続ける。
「『助け、守る事を‥‥』」
ニーナが小さいながらに声を出す。
そして、4人はカレンを見る。
「‥‥‥『誓うもので‥‥ありま、す』?」
カレンは視線の集中砲火に耐え切れなくなって続きそうな言葉を思わず告げていたが、思い返してみてしまったと思うが後の祭りで。
「良く出来ましたー。これでカレンも仲間よね~。一緒にルルちゃんとナナちゃんを守りましょうねー」
ミレイが逃がさないとばかりに詰め寄りながら確認を取ってくるのに、カレンは頷くしか取る術がなかったのだった。
「‥‥ミレイ会長。カレンに何を強制しているんですか?」
扉が開くと同時にルルーシュの呆れた声が響く。
一同が振り返ると、ルルーシュに続いて車椅子に乗ったナナリーとそれを押す咲世子が入ってきていた。
「えぇ~え!?だってカレンもスザクには腹が立つって言うから~」
「あいつに腹が立つ事と、おれ達を守る事は別物ですよ」
「この場合は同じだろー。あの主従がお前苦しめてるのは事実だし。‥‥第一その格好!」
「‥‥出て行くの?」
「言っておくけど、3人だけで出て行くって言うなら認めないわよ?」
「そうよルル。わたし達はルルとナナちゃんの行くところについて行くんだからね?」
「わたしも‥‥」
「‥‥ちょッ、と待って?一体どういう事?」
生徒会メンバーが口々にルルーシュとナナリーが出て行く前提で引き止めているのか付いていこうとしているのかしているのにカレンは混乱した。
「‥‥少し複雑なんだ、カレン。ただ、おれはここを。この箱庭を出て行く。それは確定事項だ」
きっぱりと言い切ったルルーシュに、カレンはナナリーと咲世子を見、ミレイ達を見る。
どの顔も真剣で、冗談を言っているわけではない事が察せられた。
「は~い!わたしも付いていくわよ?拒否は認めません!」
「おれもー。絶対ついてくからな、ルルーシュ」
「はーい。わたしも付いていきま~す」
「わたしも‥‥付いていきたい」
ミレイを筆頭に、次々に手を上げて宣言した。
「‥‥ルルーシュ。ここを出て、どこへ行くの?」
カレンは即答を避け、少し悩んだ後にそう尋ねる。
「お二人には黒の騎士団に身を寄せていただこうかと考えております」
そう応じたのは咲世子で、ルルーシュはカレンの反応が判っているのでそっと俯いた。
「‥‥‥ッ、ききき、騎士団ですってぇ~~ッ!」
病弱設定らしからぬカレンの悲鳴に近い叫びが生徒会室内に響き渡ったのだった。
中編に続く。
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作成 2008.06.02
アップ 2008.06.17
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