04 | 2025/05 | 06 |
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★霧崎睦月様へのリクエスト作品★
(藤ルル/ゼロバレ)
ひらり、と紙片が一枚右に左に揺れながら落ちていくのに、朝比奈が気付いたのは会議が終わっての移動中。
「ゼロッ、何か落としたよ」
言いながら朝比奈は廊下の床に落ちた紙片を拾い上げた。
声を掛けられて立ち止まったゼロは振り返る。
周囲を歩いていた幹部達も足を止め朝比奈に視線を向け、朝比奈が拾った物をゼロに返すのを待つ事にしたのだが。
チラと紙片に目を向けた朝比奈は、ピキリと固まって、一向に紙片をゼロに差し出そうとしなかったのだ。
流石に不審に思った傍にいた藤堂と千葉は朝比奈の手元を覗き込んだ。
「‥‥‥ッ」
千葉が息を呑み固まったのと、藤堂が手を伸ばして朝比奈からその紙片を奪うのが同時。
「‥‥ッちょ‥‥藤堂さん!?」
凝視していた対象が突然奪われた事で我に返った朝比奈が、珍しくも藤堂に抗議した。
だが藤堂は朝比奈の言葉を無視してゼロに近づいた。
「落としたぞ。‥‥だが、何故これを持ってきていたんだ?」
藤堂はゼロに紙片を差し出しながら尋ねた。
「ん?」と首を傾げながらも受け取った紙片に視線を落としたゼロもまた、ピキリと固まった。
「‥‥ゼロ?」
藤堂に名前を呼ばれて我に返ったゼロは、バッと振り返って「C.C.!!」と呼ばわる。
だがしかし、先程までゼロの隣を歩いていた件の少女はその姿を先の角へと隠したところだった。
「藤堂!この場は任せた」
言うなり、紙片を握りつぶしたゼロは、C.C.を追って駆け去っていった。
大変なのは藤堂である。
珍しくも慌てた様子を見せた上、走り去ったゼロを呆然と見送った後、朝比奈と千葉は藤堂に視線を向けた。
紙片を見なかったものの、ゼロの様子が気になったその場に居合わせた幹部達もまた藤堂を見る。
「藤堂さんッ!今の‥‥まさかゼロの彼女ですかッ!?」
朝比奈の問いに、カレンとディートハルトが叫ぶ。
「ちょッ‥‥朝比奈さん!?か、彼女‥‥って、今の写真だったんですかッ!?」
「ゼ!ゼロが!女性の写真を‥‥!?」
他の者は、いきなりの事に驚きすぎて声も出ないで唯藤堂と朝比奈を凝視していた。
藤堂は、予想外の事を言われて、マジマジと朝比奈を見返すのみだった。
「藤堂さん、さっき『何故これを』って言ってましたよね?あれの事、知ってたんですか?誰ですか?どうして知ってるんですか?教えてください!藤堂さんッ」
黙ったままの藤堂に詰め寄る朝比奈の姿は「こいつホントに藤堂の事が第一の四聖剣か?」と首を傾げたくなる程だ。
「落ち着け、朝比奈。そんなに一度に尋ねられては、藤堂中佐も答えられまい」
思わず仙波が間に入って朝比奈を止めると、藤堂に向き直って代わりに質問した。
「藤堂中佐。その写真とやらの存在を知っておられたのですか?」
藤堂は仙波に視線を向け、それからその場に留まったままの幹部達を見渡して言う。
「‥‥お前達、仕事は良いのか?」
「んなの、気になって手につくわけねぇだろうが。仕事させたいなら、さっさと答えろって」
玉城が反論する言葉に、何人かがうんうんと頷いて同意した。
藤堂は溜息を吐いてから「‥‥いや」と言って首を振る。
「では写真に写っていたという人物を知っておられたのですか?」
再び仙波の問い。
「‥‥仙波。あの写真はゼロが持っていたのではなく、C.C.が勝手に忍ばせておいたもののようだ。その内容についてここで語るのはどうかと思うのだが」
藤堂は遠回しに答えるのを拒否してみたのだが、取り様によっては知っていると肯定したようにも取れる。
「て事は愛人のC.C.公認の恋人かよ」
素早くツッコミを入れるのは例によっての玉城である。
しかしどうして玉城はこんなところだけに頭が回るのだろうか?と呆れた視線が幾つか向けられるが玉城はまったく気付かない。
「いや、彼はゼロの恋人では」
藤堂はそこまで言って、朝比奈の驚愕の声に言葉を切った。
「と、藤堂さん!?今、『彼』って‥‥。少年なんですか?あの子‥‥」
言われて藤堂は自分の失言に気付く。
「てか、朝比奈さん、千葉さん。一体どんな人が写ってたんですか?」
カレンが写真の人物に興味を持って尋ねた。
「黒髪で細身で少し首を傾けているポーズが愛らしい学生服を着た美少女、に見えたな。中佐が『彼』と仰るのだから美少年と言うべきだろうが」
千葉の説明に、朝比奈は頷き、藤堂は無表情でカレンとラクシャータの反応をわからないように窺った。
「あらぁ?それじゃあ、確かにゼロの恋人じゃないかもねぇ」
ラクシャータは楽しそうに言い、逆にカレンは蒼白になった。
「絶対有り得ません!そいつがゼロの恋人だなんて!だって、外見に反して性格すっごく悪いんですよ。ゼロが相手にするはずが無いです!」
「‥‥‥てか、カレン。知ってるのか?てか今の千葉さんの描写だけでわかったのか?それに、ラクシャータも‥‥」
扇が驚きと呆れ混じりに尋ねる。
「えぇ。でもねぇ。わたしは何も言う気はないわよぉ。叱られるのはゴメンだしぃ」
にやにやと笑うラクシャータはいつもの気だるげな様子は見られず、本当に楽しそうに言う。
「黒髪で学生服着て細身で‥‥。で白い肌したブリタニア人ですよね?クラスメイトに一人いますから」
「紅月さん、名前はッ!?」
口の重たい藤堂から、朝比奈はカレンに矛先を変更したようである。
「‥‥ルルーシュ・ランペルージ。生徒会副会長もしてます。頭は良いらしいけど成績はそんなにだし、体力ないし、素行は悪いし、性格も悪いです」
カレンはそう言ってから、「後、シスコンで、男女問わずモテまくって、いつも告白されてます。全部断ってるらしいですけど」と付け加えた。
カレンの説明に千葉は首を傾げて考えた。
頭が良くて体力がなくて‥‥どこかで聞いたフレーズではないか?と。
それから藤堂に向き直って「中佐」と声を掛ける。
「中佐。写真に写っていた少年が、もしやゼロ本人、ですか?」
千葉の言葉は疑問系だったが、どこか確信を持った声音だった。
「ちょッ‥‥有り得ないわそれこそ!アイツは世の中を斜めに見ていて『どうせ世界は変わらない』って何もしない奴なのよ!それに枢木スザクが親友なのよ!」
カレンの反論は途中から恐怖を含んだものになり、必死に否定したがっているように見えた。
それは最後の台詞で否定したいはずだと理解できた。
その『ルルーシュ・ランペルージ』がゼロなのだとしたら、ゼロは親友と戦っている事になるのだから。
「‥‥‥枢木の件は置いておくとして、裏の顔を悟られない為のポーズかも知れない。中佐、どうですか?」
「間違いなく、その子がゼロでしょうねぇ。だって彼にはそれだけの理由があるんですものぉ。藤堂、あんた往生際悪すぎよぉ」
ラクシャータがあっさりと肯定して藤堂に振った。
「‥‥‥。あぁ、そうだな。彼が、ルルーシュ君がゼロだ」
ルルーシュの素性を知っているであろうラクシャータに肯定されたのでこれ以上黙っている事も出来ず、藤堂は認めた。
「‥‥って事はゼロって学生かよ。しかも枢木の親友だと!?」
玉城の反論は既に条件反射としか思えず、卜部はさっさと自分の疑問を口にした。
「中佐ぁ、『ルルーシュ君』って彼の事、ホントに知ってたんだなー。何時?どんな関係?」
「7年前にスザク君が友達だといって紹介してきた。ゼロが彼だと知ったのは、騎士団に合流してすぐだ」
藤堂がそう答えたところで、ゼロが戻ってきた。
後編に続く。
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作成 2008.04.11
アップ 2008.04.12
★レイシア様へのリクエスト作品★
(スザクに厳しい話/ルルの騎士(カレンと藤堂)の話)
「‥‥表で何か有ったのか?」
藤堂がポツリと尋ねた。
「‥‥いつも通りだ。その延長線でしかない。日常とくくられる事だけだ」
「だが、いつも以上に疲弊している。何か有ったのだろう?」
藤堂の声があまりにも優しく聞こえ、カレンは思わず目を見張る。
「ゼロ。何か有ったのなら、話してください。力になれるかも知れないし、話すだけでももしかしたら気が休まるかも知れません」
カレンが負けじと言い募る。
「‥‥藤堂、カレン。お前達は、わたしの素性を知った時、どうするだろうな?」
「ブリタニア人と知っていて従っている。今更君が子供だろうが、君の親が軍人や貴族や皇帝だろうが、離反しようとは思わないな」
藤堂は、噛んで含んだようにゆっくりと言い聞かせる。
「‥‥‥‥わたしも。ゼロが例え誰だって、そんな事はどうでも良いんです。貴方は進むべき道を見失っていたわたし達にそれを示してくれたわ」
藤堂の例えを検討した後で、カレンもそう言い、「だから今度はわたしが、わたし達が貴方について行くんです」と迷いなく付け足した。
ゼロは藤堂の例えに「気付いていたんですね‥‥」と苦笑して仮面を取った。
「やはり君だったか。ルルーシュ君」
「る‥‥。てか違うはず‥‥。じゃなくて藤堂さんと知り合い?‥‥あ、だったら疲れてるのは枢木スザクのせいね!?」
藤堂はゼロの正体に納得したが、カレンの驚きは尋常ではなく、一体何に驚けば良いのかと言葉が上ずっていた。
「すまない、カレン。あの時はまだバレるわけにはいかず、少し細工をさせて貰った。‥‥おれがゼロだ。嫌いな奴に従うのは嫌だろう?」
「‥‥馬鹿言わないで。ルルーシュ。貴方を嫌っていたのは貴方が批評家ぶって何もしようとしない態度を見たから。でも違うじゃない」
カレンは頭を振って言葉を重ね、「なら嫌う理由なんてないわ。ゼロに従う。これからもずっとよ」と言った時には満面の笑みになっていた。
「‥‥スザク君がルルーシュ君を苦しめているのか?」
藤堂が剣呑な声音で問いかける。
「そうよ。あいつ、あのお飾り皇女の騎士になったくせに、まだ学園にきてルルーシュに言うのよ。『君達を守る』って!」
「‥‥学園は、アッシュフォードがおれ達の為に作った箱庭だった。‥‥安息の場所だったのだがな‥‥」
憤るカレンに、懐かしむような諦めの入ったルルーシュ。
「‥‥不甲斐無い弟子ですまない、ルルーシュ君。おれはスザク君に大切な事を教えそびれてしまったようだ」
「そんなの関係ないわ。あいつ、全然人の話ってモノを聞こうとしないんだもの。だから藤堂さんのせいじゃないわ」
「そうだな。スザクには一番、ヒントを出してきたのに、少しも気付こうとしなかった。挙句がこれだ。あの調子じゃスザクは学園に来続けるだろう」
「会長に言って退学にさせるとか、出来ないかしら?」
「無理だな。スザクを学園に入れたのはユーフェミアだ。皇族のお願いは命令と同じ。スザクの意思で自主退学でもしない限り実現しない」
「だが‥‥。スザク君が学園に通い続けるのならば、そこに留まるのは危険ではないか?」
「そうですね。‥‥ナナリーを安全な場所に移す手はずは既に整えています。‥‥次にスザクが来る前には移動できるでしょう」
話の流れについていけなかったカレンが声を上げる。
「ちょっ‥‥どうして?どうしてルルーシュとナナリーちゃんが学園を出て行くって話にまでなるの?それに安全な所ってナナリーちゃんだけ?貴方は?」
「ナナリーだけだ。おれはゼロだからな。ここを離れるつもりはない。‥‥ゼロを始めた時からいつかはナナリーと離れる時が来る事は想定していた」
「妹君は‥‥キョウトに預けるのか?」
「はい。あそこならば皇と桐原が悪いようにはしないでしょうし」
「待ってルルーシュ。貴方、ナナリーちゃんの為にゼロになったのでしょう?それをスザクのせいで離れ離れなんて‥‥」
カレンが声を荒げて話を留める。
「紅月君。そのくらいにしておけ」
「しないわ。どうして?ナナリーちゃんをここに連れて来るって言わないの?貴方が守りたいと望む存在なのよ?わたしが全力で守るわよ!」
「‥‥‥‥ここは、戦場だからだ」
「勝てば良いんでしょう?負けた時の事まで心配していたら何にも出来ないわよ。ここに連れてくれば、いつだって会えるじゃない」
カレンの言葉に、藤堂は笑う。
「なるほどな。確かにその通りだろう。ルルーシュ君、君には妹君が必要だろう?スザク君のせいで君が全てを我慢する必要はない」
「そうよ。あいつが学園から貴方を追い出す事になった。それだけでも許されない事なのに、その上ナナリーちゃんにまで会えなくなるなんて認めないわ」
「スザク君には、相応の報いを受けて貰おう。さしあたっては、今度の戦場で、白兜を叩ける作戦にしてくれると有り難いな。ルルーシュ君」
「あ、それまさか月下だけでなんて言わないでしょうね。白兜はわたしが倒すんですからね」
「おれはスザク君の師として、彼の行動を許すわけにはいかない。あれほど『ルルーシュはおれが護る』と言っておきながら‥‥」
「今も言ってます。全く他の騎士になってまでそんな事言うなんて、これだから騎士を判っていない名誉はなってないんです。わたしだって許せません」
「騎士がどうとかではないだろう?守ると言った相手とは別の相手を選ぶ事自体が言語道断。更に危険を招き且つそれを判っていないとは‥‥不甲斐無い」
「学園で大過なく過ごせるようになったのも、生徒会に入れたのもルルーシュのお陰だってのに、ちっとも気付いてないんです。当然と思ってるとしか思えないわね」
「ルルーシュ君がゼロだと気付いてないせいだとは言え、何度もルルーシュ君の身を危険に陥れている事も、気に入らない」
「全くです。ゼロッ。是非白兜を罠に嵌めて負かす手を考えてくださいね。全力で叩きますから」
藤堂と思う存分スザクをけなしてから、ルルーシュを振り返ったカレンは、茫然と二人を見るルルーシュを発見する。
「どうしたんですか?ゼロ」
尋ねると、一瞬後、ルルーシュは笑いだす。
「まったく、‥‥お前達が居れば良いな。そんな事を言っていると、本当に連れて来るぞ?」
それはカレンをして、久々に見るルルーシュの心からの笑顔だった。
そして、妹を前にしてさえ心から笑えなくなっていたのだと気付いて、「打倒スザク」に意欲を増す。
「あぁ、連れて来い。おれ達は、君と、妹君とを守ってみせよう」
「まるで、騎士みたいな言いようですよ?藤堂さん」
「君が主だというのならば、それも構わない。ゼロ。‥‥ルルーシュ君。君におれの忠誠を」
「わたしも!ゼロに、ルルーシュにわたしの忠誠を捧げるわ。受け取ってくれますか?」
「‥‥裏切りは許さないぞ?」
「「勿論!」」
迷いなく告げられた言葉に、ルルーシュは満面の笑みを浮かべたのだった。
この日。ゼロは二人の騎士を得る。
それは騎士団幹部にだけ知らされ、衝撃を生んだ。
しかしその後、幹部達の間で、「枢木スザク抹殺計画推進会」が発足し、藤堂とカレンが会長と副会長に就任したのは全団員が知るところとなる。
入会者は後を絶たなかったとか。
後に来たゼロの妹だと言う少女が推進会の名誉会長になっている事はトップシークレットとしてゼロには伏せられていたとか。
了
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作成 2008.04.07
アップ 2008.04.10
★レイシア様へのリクエスト作品★
(スザクに厳しい話/ルルの騎士(カレンと藤堂)の話)
「スザク。もうここには来るな」
ルルーシュがそう言ったのは、二人だけの生徒会室でだった。
ユーフェミアの騎士になってさえルルーシュの側にいようとするスザクに、ルルーシュは笑みを向ける事が困難になってきたからだ。
いつ皇族に見つかるか、今まで以上に神経を尖らせて、気の休まる時も無くなっている。
本来ならば、この箱庭ではもっと落ちつけるはずだったと言うのにだ。
「何を言うんだい?ルルーシュ。ぼくは君を、君達を守るって約束しただろう?」
スザクは冗談とでも受け取ったのか笑って応じた。
通じぬ言葉に押し黙るルルーシュに代わって、言い返したのは入って来たばかりのカレンだった。
「あまりふざけた事は言わない方が良いわよ、枢木くん」
「ふざけた事って?ぼくは本気だよ、カレンさん」
「なら余計に悪いわね。皇女とルルーシュと、二心を抱いてるって事じゃない。どちらに対しても失礼だわ」
キッパリとスザクの言葉を切り捨てる。
「そんなつもりはない。ぼくは」
「つもりがなければ何をしても良いの?どんな結果を招いても『そんなつもりじゃ‥‥』と言えば許されるのかしら?」
「む。‥‥第一君には関係ないだろう?カレンさん」
「答えになってないわよ。枢木くん。‥‥忘れるところだったわ。ルルーシュに用事があるの。とりあえず今日のところはお帰りになったら?」
カレンは質問に答えなくなったスザクに「ルルーシュにも言われたんでしょう?」と出口を指して言う。
「‥‥ルルーシュ。また今度話をしよう」
「おれの話は終わっているよ、スザク。お前は聞いていなかったのかも知れないけどな」
ルルーシュは俯いたままスザクを見ようともしないでそう告げた。
スザクは戸惑ったものの、確かに軍に行く時間も迫っていたので、「じゃあ‥‥」と言って部屋を出て行った。
「‥‥平気?ルルーシュ」
カレンがそっと声をかけると、深い溜息を吐いてからルルーシュは顔を上げた。
「あぁ。すまない、カレン。手間をかけた。‥‥助かったよ」
「良いのよ。わたしは貴方よりもスザクが嫌いだし。彼の言い分を聞いているとムカムカしかしないんだもの」
「だが、おれも嫌いなんだろう?」
「それでも、よ。‥‥ユーフェミアの騎士になっておきながらまだ別の人を守るつもりでいるなんて、ホント信じられないわ」
カレンが憤慨しながら言うのを聞いてルルーシュは苦笑した。
「騎士がどういう事なのか、スザクはわかっていないんだよ。それに恐らくユーフェミア皇女も」
「よね。でなければスザクを騎士にしようだなんて思わないでしょうね」
「‥‥それで?用事とは?」
ルルーシュが「思ってたけどな」と内心自嘲しながら尋ねると、カレンはバツの悪い表情を見せた。
「ないの。偽りだから」
「そうか。‥‥なら、会長が来たら、先に戻った、と伝えておいてくれないか?」
「‥‥良いわ。それくらいなら引き受けてあげるわ。‥‥だけど、今日だけよ?」
カレンの言葉には、苦笑や呆れやらの要素が多分に混じり合っていたが、それでもそう応じていた。
「ありがとう、カレン」
ルルーシュは礼を言うと、足早に部屋を出て行った。
「‥‥ロ。‥‥おぃ、ゼロ聞いてるのか?」
ゼロは唐突に聞こえた声に我に返る。
そっと周囲に視線を向ければ、そこが騎士団のアジトの会議室だとわかった。
どうやら考え事に没頭していたか、意識が飛んでいたようである。
「おい、ゼロッ」
それは先程から聞こえていた玉城の声で、かなり苛立っている事はわかる、まぁ当然だろうが。
「‥‥‥‥。すまない。考え事をしていた」
「‥‥作戦会議中にか?」
藤堂の訝しげな声。
「ああ。‥‥すまない。‥‥ついでに少し休憩を取った後仕切り直したいと思う」
ゼロが素直に非を認め、そう言った事に、驚きの声が上がる。
「‥‥わかった。なら後で改めて、という事だな。1時間か2時間後?それとも日を改める方が良いかな」
扇が頷いてそう尋ねる。
「‥‥‥‥日を改める程ではない」
「わかった。‥‥一旦解散だ。2時間後に改めて集合しよう」
立ちあがった扇が、そう言ってお開きにした。
ガタガタと椅子を立つ音が続き、心配そうにゼロを見ながら一人、また一人と会議室を出て行った。
「藤堂さん?」
「先に行ってろ、朝比奈」
「はい」
戸口で室内を振り返って動かない藤堂に声をかけた朝比奈は、藤堂の返事を聞いて頷いて出て行った。
会議室に残ったのは、ゼロと藤堂、カレンに扇の4人だけとなる。
カレンは立ち上がったものの、ゼロが心配でそれ以上動く事が出来ないでいた。
「‥‥カレン、ここは任せても良いか?」
「わかりました。扇さん」
扇は残りたいとも思ったが、普段会議室から出た後は色々と指示を出していたので、多分待っている団員が多いだろうとカレンに託して部屋を出た。
後編に続く。
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作成 2008.04.07
アップ 2008.04.09
★由香様へのリクエスト作品★
(玉城×ルル<--騎士団+a)
そんな彼等を正気づかせたのは、玉城の行動だった。
いつの間にかゼロの背後に回っていた玉城は、後ろからがばぁっとゼロを抱きしめたのだ。
「「「「「「‥‥‥なッ‥‥‥!!!!!」」」」」」
「こいつはおれのだ。手前等にはやらん。手を出すな」
「‥‥‥耳元で喚くな。わたしの鼓膜を破る気か?」
何とか正気に戻ったゼロが、氷点下の声で玉城に注意した。
いや、ゼロ。耳元で喚いた事だけですか?抱きついている事も注意して引き剥がさないんですか?
言いたいのに言えない言葉と言うのは、確かに存在するのだと、この時初めて気付いた者もいただろう。
「‥‥ならゼロは手を出されても良いってのか?」
「誰がそんな事を言った?わたしは煩いのは嫌いだと言っている。もっと判りやすく言う必要があるか?」
「‥‥‥‥‥‥ない。この体勢で喚かなければ良いんだろ」
「まだ煩いな。もっと声を落とすか離れるかどちらかにしろ」
「‥‥お前さ、ゼロ。もちっと愛想良くならねーか?」
極力声量を抑えた玉城が、呆れ口調で抗議する。
「この場所で?みんなが唖然として見ているのに?」
「あ、やっぱ良いや。愛想の良いゼロをこいつらに見せるのもやだしな」
「る‥‥じゃなくて、ゼロ。聞きたい事が有ります!」
ゼロと玉城の密着した状態での会話に、カレンが勢い良く割り込んだ。
「‥‥なんだ?カレン」
「‥‥‥‥玉城は、る‥‥じゃなくてゼロの表での名前を知っているの?」
カレンの口調は既にルルーシュに対するそれになっていて、幹部達が奇異の目をカレンに向ける。
「‥‥わたしが、教えると思うのか?」
ゼロが訊ね返し、カレンはホッとしながら、ぶんぶんと首を横に振った。
「ならば当然玉城は素性も知らないのだな?」
次にそう尋ねたのは藤堂だった。
「あらぁ?そういうカレンは名前を、藤堂は素性を知っているのかしらぁ?」
面白そうな口調と態度のまま、ラクシャータが混ぜっ返す。
「‥‥そうだな。表の名前を知っているのはカレンだけで、素性を知っているのは桐原公を除けば、藤堂とラクシャータだけだな」
「って、おれだって知らないってのに、なんだって奴等が知ってるんだよッ」
「喚くな、と言ったはずだぞ、玉城。‥‥離れろ。‥‥それとも」
ゼロが不機嫌そうにそこまで言うと、玉城は「悪かったッ」と言ってパッと離れる。
「てかカレン。ゼロを知っているのか?」
「藤堂さん。どうしてゼロの素性を知っているんですか?いつ知ったんですか?」
「ラクシャータ。ゼロの素性をわたしにも教えてください」
扇と朝比奈とディートハルトが一斉に尋ねる。
「わたしが教えるわけないでしょぉ。貴方がゼロだって言うのなら、わたしはずっと貴方の味方でいてあげるわぁ。昔から気に入っていたものぉ」
「昔、会った事が有る。気付いたのは顔を見た時だ。‥‥だが、ゼロ。相手はもう少しちゃんと選んだ方が良いとおれは思うぞ?」
「‥‥どうして玉城?そりゃ、あいつよりは断然マシだけど、どうして?てかあいつにしろこいつにしろ本気で趣味悪くない?」
ラクシャータと藤堂は辛うじて質問に答えているが、カレンに至っては答えにならない声をあげている。
「‥‥別に良いだろう?第一カレンは、表でのわたしを嫌っているじゃないか」
「はぁ?めちゃくちゃベタ惚れのカレンがお前の事を嫌ってるってかぁ?」
「それはッ。誤解してたのよ。‥‥もう、誤解も解けたわ。だから‥‥嫌う理由はなくなったの。ゼロをあいつからだって守って上げるわ」
「わたしがゼロで、構わないと?」
「そう言ってるの。ただし、玉城と付き合うなんて事だけは断固阻止するけどね。それ以外なら全面的に守るわ」
「阻止するな。ゼロはおれのだ。誰にも渡さねぇからな」
「紅月さん。協力するから一緒に玉城の魔の手からゼロを守ろう」
「‥‥‥‥。ゼロ。一つ聞いても宜しいか?」
「ん?なんだ?仙波」
「いつ、玉城に素顔を?」
「あぁ、それか。『使い込みはもうしない。その代わりに素顔が見たい』と言われたのでな。条件を幾つか出した上で仮面を取った」
ゼロの返答に、玉城は一斉にその場の幹部達から鋭い視線を受けてたじろいだ。
「ゼロ。素性を知らせない気なのか?後で知られた時の事は考えているのか?」
「素性を知っているお前はどうだ?離れるか?それともいっそ、わたしを殺してみるか?」
物騒なゼロの問いかけに、ざわつく幹部達の中で、玉城がゼロと藤堂の間に入った。
「なんだそれ。お前の素性って、藤堂にとって拙いモノなのか?だからって差し出す気はねぇぞ」
「お前を含んだ全てにとって拙いと言うべきだぞ?」
「あらぁ?わたしの言葉聞いてなかったのぉ?ず~っと味方でいてあげるって言ったはずよぉ」
ラクシャータがゼロの言葉に抗議する。
「おれも。殺める気はない。それどころか、君がゼロである事に納得したし、桐原公に言われるまでもなく手を貸す気にもなる」
「だからぁ。貴方が思っているよりもぉ。貴方の事を思っている人は多いって事よぉ」
「そうだな。君の一番は何時も唯一人だけで、他に目を向ける余裕がなかったのだから仕方がないだろうが」
ラクシャータと藤堂の肯定の言葉に、カレンが入る。
「一番って‥‥あの子でしょ?‥‥間違ってもあいつなんかじゃないわよね?」
「あぁ。今もそうだろう?」
「勿論よ。傍で見ていたって判るわよ。相思相愛だもの」
わざとその単語を使ったカレンは、慌てる玉城を見てしてやったりと笑う。
「なッ。ゼロ、お前、好きな奴がいるってのか?しかも相思相愛だとッ。んな話聞いてないぞ」
「身内の話を何故しなければならない?そんな条件はなかったはずだが?」
「へっ?‥‥‥‥まさか結婚してるのか?」
「ばかか、貴様は。何故そうなる?」
「藤堂さん、誰の事ですか?あの子って。まさかC.C.なんて事は‥‥」
「妹よ、妹。あんなピザ女じゃないわよ‥‥。あ」
思わずツッコミついでにばらしてしまったカレンは声をあげて黙りこむが、勿論みんなしっかり聞いている。
「ゼロッ。玉城やめておれにしませんか?おれと付き合ってよ」
「あ、抜駆けはダメです、朝比奈さん。ねぇ、わたしと付き合いましょう。一番長く一緒にいられるわよ」
「だぁ~~。朝比奈、それにカレン。言ったはずだぞ、ゼロは渡さねぇって。散れ!」
「あんたになんて聞いてないわ。ゼロ。答えてください」
「あー‥‥悪いな、カレン。それに朝比奈。‥‥まぁ、玉城が約束を反故にするまでは切る気はないんだ。‥‥今のところはな」
「「気が変わるまで、待ちます。てか変えてみせますッ」」
気を変える気のない二人に、玉城が切れた。
「ほぅわっ。‥‥てか何をする玉城」
いきなり抱きあげられたゼロは、奇怪な声を上げた後、玉城に抗議するも、玉城は無言でその場から逃げを打った。
「あっ、待ちなさい玉城ッ。ゼロを離せッ!!」
「そうです。わたしのゼロをッ」
「ってあんたも便乗するのやめなさいな。ディートハルト」
「‥‥‥‥仙波、卜部、千葉。幹部以外に見つからないように手配しろ。それと朝比奈をつれ戻せ」
「「「‥‥承知‥‥」」」
藤堂の指示に、3人は渋々返事をして、行動を開始した。
了
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作成 2008.04.06
アップ 2008.04.07
★由香様へのリクエスト作品★
(玉城×ルル<--騎士団+a)
扇は数枚の紙ペラを手に途方に暮れていた。
ローテーブルを挟んだ先にはゼロが座って書類に目を通している。
声を掛けなければならないのはわかっているのに、扇は二の足を踏んでいた。
「‥‥扇さん?どうしたんですか?」
カレンの訝しげな声にハッとするとゼロもまた扇を見ていた。
「‥‥その紙が何か問題なのか?」
ゼロに問い掛けられ、扇は観念して「その‥‥」と言いながら持っていた紙を差し出した。
受け取ったゼロは紙に目を通し、バサリとローテーブルの上に投げ出した。
次に来る言葉を予測した扇は身構えたが、言葉は降らなかった。
それまで見ていた書類だけを揃え、手にして立ち上がったゼロは、扇が渡した紙には目もくれず逆に扇に懐から取り出した用紙を渡した。
「読んでおけ」そう言い残すと自室に引き上げて行った。
思わず背中を見送った扇は受け取った用紙を見た。
ローテーブルに放置されたままの紙に興味を持ったカレンはそれらを拾いあげた。
「‥‥‥‥‥‥。なッ、ちょっとどういう事よ、この額は!聞いてるの?玉城!あんたに言ってるのよ!」
カレンはそれが何かを悟ると素早い動きで目を通して計算し、青くなって怒鳴った。
井上がカレンの手元を見て絶句した。
「な、なんでぇ。いつもの事じゃねぇかよ」
「いつもの、じゃないわよ。ゼロだって呆れて行っちゃったじゃないの」
カレンと玉城はいつもの如く言い合う。
「‥‥玉城。この額、払えるのはゼロくらいだ。これが最後だとでも泣き付いて払って貰って来い」
扇が言うと旧扇グループ達が口々に同意した。
流石に勢いに押された玉城は、渋々ゼロの部屋に向かった。
カレンはこっそり、扇に声をかけた。
振り返った扇はカレンの手にあるそれに渋面を作った。
「玉城‥‥か?」
「‥‥多分」
カレンの返答に扇は頭を抱えた。
『二度としないならば良し。次はないと思え。注)玉城には黙っていろ』と書かれていたゼロからの手紙が扇の脳裏を駆け巡っていた。
それでも黙っている事も出来ず、扇は玉城の弁護をするつもりで請求書をゼロに見せた。
「‥‥誰のだ?これは」
ゼロが苦い声音で問う。
それを聞いた扇は驚く。
扇が何をゼロに見せたのかを知っている幹部達もまた驚愕した。
無駄遣いなんて犯人は玉城しかいない事を彼等は知っているからだ。
誰かが「玉城が」と呟き、ゼロの耳にも届く。
「違うな。これはあれではない」
しかしゼロはきっぱりと否定した。
「えと、ゼロ。そう言い切る根拠は‥‥?」
扇が遠慮がちに尋ねる。
「本人に聞けばどうだ?‥‥玉城」
ゼロがそう呼び掛け、幹部達は一斉に振り返った。
「おれじゃねぇよ。誰だ?おれ様に罪をなすりつけようとしてる奴はッ」
玉城は憤慨してがなるが、本当に濡れ衣なのだとしたら当然だろう──とてもそうは思えないが。
「自業自得だな。日頃のおこないが悪いからそうなる。‥‥ディートハルト。真犯人を見つけておけ。‥‥それとも既に報告するだけか?」
玉城に一言言ったゼロは、ディートハルトに指示を出す。
「確かにすぐにでもご報告できますが、‥‥。ゼロは何故、玉城ではないと?」
あっさり頷くディートハルトに玉城が沸騰する。
「ッな‥‥ディートハルト、テメッ」
「煩いぞ、玉城。‥‥玉城には既に言ってあるからな。‥‥次はない、と」
吼える玉城を一言で黙らせ、ゼロは説明した。
「‥‥あの、ゼロ。‥‥玉城がそれを守るって信じてるんですか?」
簡潔なゼロの言葉に、カレンが信じられない思いで、恐る恐る尋ねると、ゼロは「勿論」と答えて玉城を見た。
「ふッ‥‥守るだろう?‥‥なぁ?玉城」
「あ、あぁ。勿論だぜ。嘘はつかないって言ったんだから、それはやめろ」
玉城が、焦りながら応え、カレンを始め、その場にいたものは「それ?」と首を傾げた。
いつもの人をバカにしたような笑声に続き、試すような声音になったゼロの問いかけ、ただそれだけのはずなのに、と。
「惚れた一念というのだったか?」
唐突にC.C.の声が聞こえ、幹部達の心臓がドクンと跳ねたが、それよりも、しーつー、今何を仰いました?
突然現れたC.C.がにやにやと人の悪い笑みを浮かべながら、そんな爆弾を落とした。
「C.C.。そう言った事を人前で言うのはよせ。混乱を招くだけだ」
ゼロが厭そうな声で「共犯者」に注意すると、それに便乗するかのように玉城も文句を言う。
「テッメェには関係ないだろうが」
「煩いんだ、貴様は。‥‥それにわたしはゼロの『共犯者』だから、関係はあるぞ。まさかここまで趣味が悪いとは思わなかったな」
「ちょ‥‥‥っと待って!C.C.、惚れた‥‥って玉城がゼロに‥って事?それに、‥‥趣味が悪いってまさか‥‥‥ゼ、ゼロも!?」
動揺しまくったカレンが否定して欲しいと願いつつ、確認せずにはいられないといった様子でC.C.に尋ねた。
「ゼロに話すなと言われたので話せないな」
「ピザ5枚!!」
「玉城がゼロの素顔を見て一目惚れしたんだ。惚れた一念で、約束を違える事が出来なくなっているようだな」
「C.C.。いつも言っているだろうが。ピザでわたしを売るのはよせと」
「ッてめ、何あっさり暴露してんだよッ!?」
ピザに釣られてあっさり白状したC.C.にゼロと玉城が抗議するが、幹部達は突破口を見つけてキラリと目を輝かせた。
当然ながらゼロの判断ミスである。
「C.C.2枚進呈しよう。ゼロも玉城の事を?」
「そうだ。かなり気に入っているようだぞ?」
「まさか、付き合ってるの!?‥‥ピザ5枚!」
「てか玉城が一目惚れってゼロの素顔が気になる。C.C.ピザ10枚で」
「ゼロの素顔か‥‥。かなり美人だぞ?男女共に、毎日のように告白しに来ているからな」
更にピザを餌に質問を続ける幹部達だが、ゼロが冷ややかに告げた。
「お前達に、そんなにピザを買う金があるとは知らなかったな」
ピタリ、と沈黙が落ちる。
「‥‥貴様等。今言った枚数は必ず取り立てるからな。それと‥‥これはオマケだ」
静寂になった事に、ゼロはホッとして、一瞬油断していたところを、C.C.に見事につかれた形になった。
素早い動きで仮面の止め具を操作して小さな機械音を立てたかと思うと、C.C.はゼロの仮面をスポンと取り外したのだ。
ゼロは、固まった。
幹部達も固まった。
C.C.は持っていた仮面を再びゼロに被せると、固まったままの一同を残してゼロの部屋に引き上げていった。
そんな、違うはずなのに、どうしてあの顔が、てか彼なら確かに一目惚れってありえるけどでも違うはずで‥‥‥。
ぐるぐると考えが無限ループを起こしているカレン。
面影が残っている‥‥‥確かに彼ならばゼロだったとしても不思議ではないが‥‥しかし、いくらスザク君が敵になっているとはいえ‥‥。
藤堂もまたそう考え、玉城を選んだのだとしたら‥‥とその選択にのみ疑問を持った。
綺麗だったな、ゼロってホントに美人なんだ‥‥、でも玉城が??いや、諦めていたら始まらないよね、それにきっとまだ遅くはないだろうし?
朝比奈もまた一目惚れ状態で今後の計画を練る。
なんて素晴らしい。流石ゼロ。信じてはいたが、まさかここまで整った顔を有していたとは。最早彼以上の被写体など存在しない。一生彼について行こう。
一人でそんな結論をつけたディートハルトは、うっとりと既に仮面をつけた状態になっているゼロを見ていた。
他の幹部達もまた、ゼロの美貌に、陶酔状態で「一生ついていきます!!」と心の中で何度も叫んでいた。
後編に続く。
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作成 2008.04.06
アップ 2008.04.06