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コードギアスの二次創作サイト。 ルルーシュ(ゼロ)至上主義です。 管理人は闇月夜 零です。
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ギ ア スの小説を書いています。
ゼロ(ルル)至上主義です。
騎士団多め。
表現力がなく×ではなく+どまり多数。
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★レイシア様へのリクエスト作品★
(ルルーシュにやさしい話/目指せスザク糾弾皇族批判と言う感じでなおかつルルーシュ(ゼロ)争奪戦in黒の騎士団)

「一体何の真似ですか、藤堂師匠」
スザクは藤堂にそう言ってから、キッとゼロを睨む。
「どう言うつもりだ、ゼロ。ぼくを浚ったからと言って、人質にしようとしているのなら無駄だよ」
「そんな気はない。無駄は嫌いだからな。‥‥みなが言いたい事があるそうだ。そこで、戦場で口論に裂く無駄を省く為に招待したまで。存分に聞いてやれ」
ゼロはスザクの言葉を一蹴し、「済んでまだ無事ならば戻してやるさ」と笑うと、「後は任せた」と入ってきたばかりのC.C.に言ってゼロは部屋を出て行った。
「あんたに聞きたいのよ。うんざりするくらいしつこくゼロのやり方を否定してくれたけど。否定ってのはね、誰にでも出来るのよね。なら正しいやり方って?」
まずはカレンが冷ややかな侮蔑の眼差しでスザクを見下ろして、言う。
スザクはカレンをにらみ返した。
「何と言われようとテロなんて間違っている!警察や軍に入って、内から変えていけば良いのに、それをしないゼロは卑怯だッ!」
「スザク君。君は名誉になり、軍にも入ったのに、知らないのか?警察や軍に入るにはそれなりの審査と言うものが有る。実際、日本にも有った事だが」
藤堂がどこか淋しげに言い返した。
「知ってます。ぼくだって審査を通って軍に入ったんですから」
「知ってる?だって?審査が有るって知っててそんな事を?‥‥君にはテロをしなければならないって事がどういう事なのかわからないんだろうな」
扇もまた一瞬憤った後、悲しげな声音で言ってスザクから視線をそらした。
「ぼくはテロなんて間違ったやり方はしませんから、そんな人達の気持ちがわかるはずないです。だって貴方達は間違っているんだから」
「ぅわ、むっかつくなぁ、こいつー。おい、カレン。お前こんなのずっと聞かされ続けてたってのか?なぁ、口塞いじゃだめか?」
玉城はスザクの言葉に腹を立て、素直にカレンに同情した。
「スザクは手柄欲しさにわたしに騎士団から抜けて欲しかったらしくって。説得の意味も有ったようですよ?知られてから酷くなりましたから」
カレンがしれっと言いきると、スザクは慌てた。
「なッ。ぼくは手柄が欲しかったわけじゃない。カレンさんがゼロに騙されてるなら、早い内に足を洗った方が良いと思っただけだ」
「中佐の弟子にしては、お粗末ですな。正規の手順すら判らずにゼロや我等を間違っているなどと否定する。話を聞く価値もないのでは?」
「それは言えてる。確かゼロの手を拒否して判決の場に戻ったのは、『間違った方法で得た結果に意味がないから』とかだったはず」
「軍にいる以上、上官への報告は義務。テロは発見次第、逮捕か射殺。彼女に対し、そのどちらもおこなった様子はないな」
「それで『カレン』さんを手懐けて、騎士団の情報でも手に入れて、自分の手柄にしようと考えたのか~。やる事酷いね、君」
四聖剣の連続攻撃は口を挟む暇さえない。
「違うッ」
「あんたさぁ。否定する前に、自分のおこない振り返りなぁ?他人にあれこれ言うのはぁ、やる事なす事矛盾だらけの自分の言動直してからにした方がいーわよぉ」
「そうよね。『内から変える』とかって割には、力のないお飾り選んでるし。他の皇族からは相手にされないから手っ取り早いところで手を打ったの?ばっかよね~」
ラクシャータと井上が前後して言葉を放つ。
「違うッ。ユーフェミア様は優しい方だから。日本人の事もちゃんと考えてくれて、ぼくにだって優しくしてくれる。素晴らしい方だ。だからぼくはッ」
「あのさ。あのお飾りが何かをしたって話、全然聞かないんだけど。‥‥日本人の事を考えて、あのお飾りが一体何をしたっていうの?実績は?」
「結果が伴わない事を幾ら言おうがやろうが、意味がないって知ってるか?それくらいちっと頭使えばわかることだろ?」
カレンはユーフェミアをけなし、玉城はスザクを責める。
「だからと言って、間違った方法で得た結果なんて意味があるはずがないッ!」
「面白い事を言うわねぇ。ならあんたはさぁ。事故を起こした少年を助ける為に病院に運ぶ時、法定速度を守って『ごめん間に合わなかった』っていうわけかぁ」
「あ、それ知ってる。医者が言うんだろ?『後少し早くついていれば‥‥』ってさ」
「スザク君。おれは君に、『君の信じる道を行け』と言ったが、それは『約束を破っても良い』事にはならない。流される事が君の道とは思わなかったよ」
「そんなッ。違います。ぼくはッ!」
「スザク君。過程が大事だと君は言うが。では君が騎士になった過程がどうだったのか、ちゃんと確認してみたのか?確認すらしないで引き受けたのか?」
「あんなのッ!お飾り皇女のその場の思い付きでしょッ!どうせ、非難されるだけだったどっかの誰かが可哀想とか思ったのよね」
「あぁ、それまではイレブンが乗ってるなんて知らないブリタニア人が結構白兜の応援してたのに、あの一件でばれて非難浴びてたんだって?」
「なぁんにも出来なくて、肩身の狭い思いを勝手にしてた自分と重なったかなぁ。騎士制度も遊びじゃぁないのにねぇ」
「‥‥。少なくとも騎士は失格ですよ。枢木は。主たるユーフェミアへの暴言を認める発言が有りましたし。『だからと言って』とは肯定の意味です」
それまで大人しかったディートハルトが、冷ややかに言ってのけた。
スザクは蒼白になって俯く。
それを見たC.C.が口を挟んだ。
「‥‥やれやれ。そろそろ終わりかな?ディートハルト。どうせ録音でもしていたのだろう?編集して一緒に送り届ける準備でもして来い」
「わかりました」
「扇、玉城。お前達はそいつを連れて行け。もう十分言っただろう?まだ無事のようだからゼロの言ったように戻してやろう」
扇と玉城は盛大に溜息を吐くと、ディートハルトに続いて、スザクを連れて部屋を出て行った。
引き立てられていくスザクを見たのか、ディートハルト辺りが声を掛けたのか、ゼロが入ってくる。
「終わったのか?」
「あぁ。上位3名が藤堂とカレンとラクシャータ、と言ったところだな」
「‥‥ふむ。ディートハルトの言い分もあながち間違いではなかったんだな。それで?」
「わたしは藤堂を押す。一番ダメージを与えていたように見えたからな」
C.C.はあっさりと勝者を告げ、ゼロもまたさっくりと頷いた。
「そうか。‥‥で、藤堂。本当に、こんな選び方で良いのか?」
「君はおれの事をどう思っている?」
「好きだぞ?お前は昔から強くて優しかったからな。憧れと尊敬と、‥‥あの時は傍にいてくれれば良いのにと言った独占欲も有ったかもしれない」
「そうなのか?‥‥なら、今は?」
藤堂は目を見開いて驚きながらも、また尋ねる。
「今?今は、傍にいるだろう?」
首を傾げるゼロに、藤堂は笑った。
「構わない。おれは君が好きだし、君も嫌がってはいないようだ。必ずおれを好きにさせてみせるから」
「はいはい、勝手にやってろ。‥‥わたしは寝るからな」
早くもバカップルぽくなった出来立てカップルに、ひらひらと手を振ってC.C.は立ち去っていった。
少女を見送った藤堂はゆっくりとゼロを抱きしめる為に腕を回した。


「負けた~~」
「悔しいのぉ?お嬢ちゃん」
「う~ん。かなり。でも、ストレスは発散できたから、今回は譲ります。もし次があるなら絶対負けませんけど」


「殿下いますか~?」
「どうしたんだぃ?ロイド」
「ちょっと落ち込んでまして~。愚痴聞いてください~」
「‥‥そのまま回れ右して帰ってくれるかな?ロイド」
「や~ですよ~。実はですね~。昔の同僚から連絡がありましてー。ちょっとした遊びにデヴァイサー借りましたーって」
「確か、枢木スザク、だったね?それが?」
「なんでも、騎士団内で、『ゼロ争奪戦』をしたとかで、勝者はゼロの恋人になったそうなんですよー」
「なに?まさかゼロに恋人が出来たって言う話なのかい?」
「そーなんですよー。『奇跡の藤堂』が勝者らしくてー。なんとかなりませんかねー、殿下ー」
「‥‥わかった。コーネリアや父上に相談してみよう」
「‥‥‥‥。殿下?もしかして、単に知らせるだけとか言いませんか?ご自分だけ知って悔しい思いをするのが嫌なんですねー?」
「当然だろ、ロイド。君ももっと早く情報を持ってきなさい。そうすれば参加できたのに」
「はぅ‥‥。もー、ぼくは帰りますねー。健闘を祈ってますー」

「スザク、スザク。ここを開けなさい!これは命令ですよ?」
ユーフェミアの言葉にも扉は開かず、中からはすすり泣くスザクの声が聞こえていて、ユーフェミアは途方に暮れていた。



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作成 2008.04.21 
アップ 2008.04.26 
 

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★レイシア様へのリクエスト作品★
(ルルーシュにやさしい話/目指せスザク糾弾皇族批判と言う感じでなおかつルルーシュ(ゼロ)争奪戦in黒の騎士団)

その日、ルルーシュはゼロとしていつものようにアジトに行き、いつものように過ごすはずだったのだが。
ゼロは会議室のいつもの席に座り、「何故自分は騎士団の活動をするでもなく、ここに座っているのだろう」と、内心で首を傾げていた。
そう、それが半分以上自分の蒔いた種であったとしても、首を傾げたくなるのは致し方ない。

事の起こりはディートハルトのいつもの一言だった。
「ゼロ、今日もお美しい。いつまでもお慕い申し上げます」
ディートハルトのこの手の発言はいつもの事なので、ゼロはあっさりスルーして書類から目を離さない。
しかし、ディートハルトはゼロの仮面の何を見て「美しい」などとほざいているのかと、ゼロは毎度ながら不思議には思う。
ゼロが無反応だと諦めがつくのか、暫く待った後ディートハルトは下がるのだが、この日は違っていた。
「ゼロ~。おれも君が好きだよ~」
何を思ったのか、朝比奈が参戦してきたのだ。
「むッ。ゼロはわたしが」
「変態カオスは黙ってろ。ゼロに移ったらどうするのさ」
そして、参戦者は朝比奈だけではなかったのだ。
カレンが、藤堂が、千葉が、更にはラクシャータや井上や扇や玉城までもが名乗りを上げるに至って、ゼロはキレた。

「黙れッ。一体なんの冗談だ?」

「冗談なんかじゃない。わたしはゼロが好きなんだ」
千葉が切々と訴える。
「お前等どうかしたのか?素顔も見せない、素性も明かさない謎しかないようなわたしの何処が良いと?」
ゼロは集まってきた幹部達を見渡して尋ねる。
「あらぁ?謎だらけってわけじゃないわよぉ。少なくともぉ、わたしは貴方の事を知ってるしぃ。その上でこうしてるんですものぉ」
ラクシャータはそう言って、「好きですよぉ、とってもぉ」と続ける。
「おれも、君の事を知ってる。君が何故ゼロになったのか、何を望んでいるのかをおれは知っている。だからこそ一番近くで守りたいと思う」
藤堂もまたゼロの言葉を否定して「好きだ」と訴える。
「わたしだって知っているわッ。そりゃ、初めは驚いたけど、今はそんな事はどうだっていいんです。貴方が何の為に戦っているのか判ったから」
カレンもまたそう言って告白を続ける。
「知っている‥‥ですって!?それは重大なフライングではないですか。情報は共有するべきです。是非教えなさい」
ディートハルトは3人に迫り、「プライバシーは何処に行った?これだから報道関係者は!?」的な発言をする。
「言うわけないでしょ。ライバル増やすようなマネ誰がするもんですかッ」
カレンは突っぱね、藤堂とラクシャータは初めから取り合わない。
ゼロは混乱した。
ルルーシュの時にさえ、これだけ多岐に渡った大人数に一度に告白された事はない(大体が一人ずつおこなうものだろう?)からである。
いや、それ以前に、「いつから気付いていたんだ?藤堂にラクシャータにカレンはッ」とも思うわけで。
「この中から誰かを恋人に選んでくださいッ」と口を揃えて言う彼等に、ゼロはうっかり頷いていた。
気付いたのは、頷いたゼロに彼等が歓声を上げた時だった為、取り下げる事は最早不可能だった。
「‥‥ッ言っておくが、わたしの一番は既に決まっている。それを変えるつもりは毛頭ない事は念頭に入れておけ」
と、ゼロは負け惜しみのように言った。
「勿論よ」「無論、承知の上」「当然よねぇ」
ゼロの正体を知るという三人が間髪入れずに首肯したので、他のメンバーもまた頷いた。
その「一番」というのはゼロにとって神聖な者なのだと理解したからである。
「それと、わたしから、誰と付き合うとはすぐには決められない。それでもすぐに決めて欲しいと言うのならば、一つ考えがないでもないが‥‥どうする?」
ゼロのそう続いた言葉に、一斉に頷いた幹部達を見て、ゼロは低く「判った」と告げた。


そして今に至るのだ。
ゼロは会議室に座り、黙って時を待っていた。
同様にして座るのは、ディートハルトとラクシャータ、扇、玉城、井上だった。
ゼロと彼等は、藤堂と四聖剣とカレンが首尾よく事を運んで戻ってくるのを唯待っていたのだ。

バタバタと騒がしい足音を響かせて、次いでバタンと扉を開けて入ってきたのはカレンだった。
「ゼロ!首尾良く作戦終了です。今藤堂さん達も来ます」
「ご苦労。‥‥しかし、今更だが、本当にやるのか?‥‥争奪戦を」
「「「「もっちろん!」」」」
声を揃えて頷く一同に、「性格変わっているだろう、お前等。特に扇。ノリが良過ぎだ」と疲れた思考回路でゼロは思う。
そこへ、藤堂と四聖剣が戦場で捕らえてきた枢木スザクを引っ立ててやってきた。

ゼロの出した条件、その一つ目が「とりあえず枢木スザクを連れて来てから始めよう」だった。
理由を聞いて納得した一同は、ゼロに計画を練って貰って、藤堂と四聖剣、カレンとC.C.とで出かけていって見事に枢木スザクを捕虜として戻ってきたのだ。

ここに、「ゼロ争奪戦in騎士団」の準備は整っていた。

後編に続く。

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作成 2008.04.21 
アップ 2008.04.25 
 

★無焔様へのリクエスト作品★
(ルルーシュにやさしい話/黒の騎士団が戦場でスザクを追い詰め、学園でも生徒会が容赦ない)

スザクは重い身体を無理やり動かして学園を目指していた。
やっと見え始めた学園を見ながらも、深々とした溜息が出る。
そして、スザクは昨日の事を思い返してみた。

例によって黒の騎士団が現れたという情報を受け、特派にも出動要請が有った。
スザクは今度こそゼロを捕まえる気満々でランスロットを発進させ、黒の騎士団が現れた場所へと向かったのだ。

ランスロットが現場に着いた時、その場のブリタニア軍側は既に壊滅状態で、黒の騎士団は撤退しようとしていたところだった。
どうせまたゼロが卑怯な手を使ったのだろうと、苦々しく思いながら、スザクはランスロットを突進させていった。
『スザク君。無理はしないでね』
「はい、わかっています」
セシルからの通信に、そう応じ、見つけた騎士団のナイトメア「無頼」にスラッシュハーケンを発射した。
だが、まるで動きが読まれていたかのように、無頼はその場から動きスラッシュハーケンをかわしたのだ。
スザクは紅蓮弐式や藤堂の乗る月下以外からかわされるとは思ってもいなかったので、目を見張り、慌てて後を追いかけた。
何時しか市街地を抜け、それなりの広さの荒野へと差し掛かったところで、無頼を見失ってしまい、スザクはランスロットを止めた。
『スザク君。‥‥一旦戻った方が‥‥』
控えめに言うセシルに、「大丈夫です」と応じたスザクは、更にランスロットを進ませた。

スザクは学園の門前にたどり着くと再び深~い溜息を吐き、それから目を丸くした。
普段は開いている門が、今日は何故か閉じられていたからである。
「えーと、この場合は確か、学生証を通すんだったよね‥‥?」
カードキーになっている学生証を取り出して、門の横に備え付けられているカードリーダに通したスザクはエラー音に泣きたくなった。
スザクが学園に来た時はいつも開いていた門、その為にスザクはまだカードリーダを使用した事がなかったのだ。
やり方が拙かったのかと思ったスザクは、再び、今度はそっとカードを通すが、やはりエラー音が鳴るだけで、門が開く様子はない。
『警告!警告!不法侵入者は処罰!不法侵入者は処罰!』
更に警告まで鳴り出し、スザクは数歩後退する。
すると、ピタと警告は鳴り止んだ。
スザクは唯でさえ疲労した心と身体に更なるダメージを受けた事を自覚していた。

荒野の中程まで来た時、騎士団の紅蓮弐式が襲い掛かってきて、慌てて跳んで逃げた。
だが、着地地点には、月下が踊りかかってきて、いつかの戦いを髣髴とさせて、スザクは焦る。
前と違う回避行動、前と違う‥‥と言い聞かせながらでは、動きが鈍って当然で、前回は藤堂の月下以外は完璧に避けられていたというのに掠りまくった。
ランスロットのあちこちに傷を作り、動揺したスザクは藤堂の月下の繰り出した三段突きをよけ損なって、ランスロットの首を飛ばされてしまった。
更に背後から襲ってきた四聖剣の攻撃により片手と片足を持っていかれ、脱出装置がつけられていないと散々聞かされていたというのに思わず動かしていた。
だが、何故か脱出機能は作動し、スザクはランスロットを残して脱出する事に成功していた。
もっとも狙い済ましたような大量に繰り出されるスラッシュハーケンの攻撃に晒されたコックピットは、飛来している間にも、衝撃を受け続けていたが。
騎士団のナイトメアが追ってくる様子はなかったが、スザクを乗せて飛んで行ったコックピットはかなりの衝撃を持って地面に激突した。
衝撃に次ぐ衝撃に、スザクはかなりのダメージを受けたのだった。

通信装置はランスロットにしかなく、移動手段は己の足しかないスザクが特派のトレーラーに戻ったのは夜中を過ぎた頃だった。
スザクは心配して迎えてくれると思っていたのだが、誰もが厳しい顔をしてスザクを睨んでいた。
「ぼく、あれ程ランスロットを壊さないでねって言ってたのに、まさか大破された上に、置いて来ちゃうなんてね」
ロイドが冷たく言った。
「わたしは無理をしないようにとも、一度引いた方が良いとも言ったわよね?『大丈夫‥‥』、そう言ったのはスザク君だったのに‥‥」
セシルが悲しそうに言う。
「ランスロットがなくなったら、おれ達失業でしょうか?」
「さぁなぁ。万が一の為に、身の振り方、考えておいた方が良いかも知れないな」
特派のメンバーもまた、口々に暗い未来予想を述べた。
「あー‥‥。とにかく、スザク君。君さ、暫く謹慎だからねー」
ロイドはそう言うと、手を振ってスザクを追い払うような仕草をしてからモニターに向き直った。

「あれー?騎士様じゃね?‥‥何してるんだ?こんなところで?」
不意に聞こえたリヴァルの声に、スザクはホッと顔を綻ばせて振り返った。
「あ、うん。校門が閉まっててどうしようかと。学生証通してもエラーになってしまって‥‥」
「なんだ、連絡回ってなかったのか?まぁ、騎士様だしなぁ、スザクは。今学園休みだぜ?寮生以外は入れない事になってる。お前通いだろ?」
リヴァルはあっさりと答えると自分の学生証をカードリーダに通して門を開ける。
サイドカーを押して門を潜るリヴァルに続いて入ろうとするスザクに、リヴァルが声を掛けた。
「おいおい、聞いてなかったのか?寮生以外は立ち入り禁止だって言ったばっかだろ、おれ。門潜ると警備来るぞ?」
リヴァルの言葉にスザクの動きが止まる。
「あ、‥‥そうか。‥‥なら、ルルーシュを呼んで来て欲しいんだけど」
「そいつも無理。あいつ今いないし。出かけるとか言って、おれまでおいてったから、戻ったらとっちめてやるけど。じゃあな、騎士様。お仕事頑張れよ」
リヴァルがそう言うと門は再び閉ざされ、リヴァルはサイドカーに乗って後ろも見ずに遠ざかっていった。
取り残されたスザクは、「なんで!?」と首を傾げつつ、行くあてもないのにとぼとぼと来た道を戻っていった。



ルルーシュは騎士団幹部の前で宣言した。
「今度という今度は、スザクを許さない」
ゼロの格好すらしていない、制服姿のまま、やって来て早々のルルーシュの宣言に、幹部達は「「「そうこなくっちゃ」」」と賛同する。
「「「なんっでも言ってくれッ!!!」」」
そう口を揃える幹部達に頷いたルルーシュだが、まずした事はどこかへ連絡を入れる事だった。
「おれだ。‥‥‥ああ、今度という今度はおれもキレた。‥‥そうだな、それはラクシャータに。あぁ、それについてはおれが検討する。後は任せた」
短いやり取りの後、通話を切ったルルーシュはまっすぐに朝比奈を見た。
「今回は無頼に乗って貰うぞ、朝比奈。囮役だ。白兜を誘い込む」
「まっかせて~。白兜の攻撃なんて全部避けてあげるから♪」
「藤堂。朝比奈の月下にはC.C.を乗せるが、連携に問題はないか?」
問われた藤堂は四聖剣に視線を向けると、それぞれ頷くので「大丈夫だ」と応じる。
「ラクシャータ。白兜のデータをロイドから受け取れ。今回スザクが乗る白兜は似せた別の機体にするそうだ。徹底的に叩いても問題ないとも言われた」
「って、プリン伯爵まで巻き込むんですかぁ?徹底してますねぇ。一応敵ですよぉ、彼」
「当たり前だ。それに奴もかなり腹に据えかねているようだから渡りに船だとも言われた」
呆れるラクシャータに、ルルーシュは平然としたものである。
「良いデータは欲しいが、スザクの言い分にはうんざりする、といったところらしいぞ」とルルーシュが言えば、ラクシャータは渋々頷いた。
ルルーシュはそこでふと思いついた表情を見せ、再び携帯を取って何処かへ連絡を入れた。
「あ、会長。おれです」
というルルーシュに、相手がミレイだと気付いた。
「少しお願いが。‥‥えぇ、その件です。良くわかりましたね。‥‥明日から数日学園を休みに‥‥。話が早い。その通りです。では任せます、会長」
話が纏まったのか、携帯を切ったルルーシュは今度はカレンを見た。
「と、言う事なので、カレンには悪いが数日登校は控えてくれ。明日から数日、寮生以外の出入りが出来なくなるからな」
ルルーシュの言葉を聞いた幹部一同は、ルルーシュの怒りの深さを思い知り、全力でスザクを懲らしめ、苦しめる事を誓うのだった。



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作成 2008.04.16 
アップ 2008.04.24 
 

★臣近様へのリクエスト作品★
(朝ルル/ゼロ&皇族バレ/白主従糾弾)

「義兄上。このような場所まで呼び出して、一体何の御用でしょうか」
神根島のかつてはガウェインが有った場所で、ギルフォードとダールトンを連れたコーネリアはシュナイゼルに尋ねる。
コーネリアに対し、供にその二人を指名したのはシュナイゼルで、ダールトンは特区設立準備によって増えた激務の合間を縫って同行していた。
「わたしもまだ詳しくは聞いていないのだけどね、コーネリア。ガウェインについての情報が有れば、ゼロに対して幾許か有利になるかと思ってね」
シュナイゼルの言葉に、三人はなるほどと納得して先を歩き出したシュナイゼルの後に続いたのだった。


黒の騎士団襲撃の報に、ユーフェミアは困惑した。
今は総督のコーネリアも自分の補佐についていたダールトンも不在だったからで、どうすれば良いのかわからなかったからだ。
当然、コーネリアにしろ、ダールトンにしろ、留守中の指揮の在り処は明確にしていた。
平時の際はユーフェミアに、だが、有事の際には軍のそれぞれの隊長にゆだね、報告を密に、と厳命してあった。
実際には、神根島周辺にはシュナイゼルによる妨害電波が流されていて音信不通だったのだが。
軍の事も、軍人の事も、ほとんど知らないユーフェミアは、唯一とでも言うべき知っている軍人と軍内の組織に連絡を入れる。
そうして特派に連れられてユーフェミアもまた戦場へと向かったのだった。

「ゼロぉ。貴方の読み通りだそうよぉ。今プリンから連絡が有ったわぁ。後30分くらいで現着するってぇ」
ラクシャータの報告を受けて、ゼロは藤堂を振り返った。
藤堂以外の対白兜要員は既にナイトメアの中で待機していてこの場にはいない。
「そちらは任せた。‥‥まぁ、言いたい事が有れば、好きに言って構わないが、朝比奈が暴走しないようにだけ気をつけてくれ」
「わかった。‥‥だが、それが一番難しい。おれで止めきれない場合は、よろしく頼む」
「手が空いていればな」
ゼロは軽く応じて藤堂を送り出した。

ゼロの作戦、藤堂の指示により、白兜から適度に距離を取り、月下と紅蓮二式は白兜の攻撃をかわしまくる。
かわしながら、彼等はオープンチャンネルのままのスザクがある言葉を言うのを、「本当は言わせたくないけれど」と思いながらも待っていた。
そう、待っていたのだ、ゼロが「スザクならば、必ず言うだろう。その意味すら考えずに」と言ったから。
「今回、わたしは参加しなくて良いんだろう?」と言って、ナイトメアにすら乗らず後方でその戦闘を見ていたゼロが「そろそろか‥‥」と呟いた数瞬後。
『──ゼロは間違っているのにッ!』
スザクのそのいつもの言葉が白兜より発せられたのだった。
『あんたは騎士失格よッ!枢木スザクッ!!』
紅蓮弐式からカレンの断罪の声が叫ばれた。
『なんだって!?』
『それからお飾りのユーフェミア!あんたもあんたよね。自分の騎士の言動くらい気を配ったらどうなの?呆れた主従よねあんた達はッ!』
そんな出だしから始まったカレンの言葉に、何のことかわからず、首を傾げるユーフェミアとスザクだが、自分達が非難されていることだけはわかって気分を害した。
『一体何の事を仰っているのですか?呆れられるような事はしていないはずですわ。第一それは皇族批判ですよ』
G1ベースから、ユーフェミアがオープンチャンネルを開いて反論してきたその言葉に、騎士団達は一層呆れる。
『じゃあ聞くけど、お飾り皇女。「特区」に参加するようにってゼロに呼びかけたよね。公共の場で、ゼロに事前に許可を求めもしないで』
朝比奈が冷ややかな声音で確認するかのように尋ねた。
『えぇ。そうですわ。「優しい世界」という共通の目的があるのでしたら、手を組めば、諍いをする必要がなくなるではありませんか』
ユーフェミアは悪びれる事無く、しっかりと頷いて応じる。
『けど、今のあんたの騎士の言葉によると、ゼロは間違っているらしいじゃないか。間違った相手と手を組めるなんて凄いよね、君』
『というより、主が手を組もうとしている相手を「間違っている」という騎士などありえないと思うぞ、わたしは』
朝比奈がユーフェミアを非難すれば、千葉はその騎士のスザクを非難する。
『厚顔無恥というのであったか?ゼロの意向を聞きもせず、宣言をするだけして、そして相手の足場を崩すだけ。「特区」とやらにそれ程の価値があるとでも?』
卜部も参加する。
『価値ならあるではありませんか。堂々と「日本人」を名乗る事が出来るようになるのですよ?』
ユーフェミアの言葉の後、戦場に静寂が訪れる。
後方でその様子を見ていたゼロが、言葉を続ける様子のないユーフェミアに失望した。
「‥‥まさかとは思っていたが、ここまでとはな。ディートハルト、ラクシャータ。我々は『特区』には参加しない。これにはまったく先がないからだ」
ゼロは戦場には出ず傍にいた二人に、そう宣言し、二人は「まったくもってその通り」と頷いた。
名前だけで実が伴わない「日本」に、何の価値があるというのか。
『政務はお遊びで動かしてよいものではないという事すら弁えておらぬとはッ!』
仙波が呆れを通り越して憤りすら滲ませて罵る。
『それの何処が「日本」だと言うのだ!「日本」を!「日本人」を愚弄するのも大概にするが良い!!』
藤堂が怒気も露わに言い捨てた。
白主従からの反論は既にない。
『‥‥って終わりかよ、おい。こっちは準備に手間取ってまだ何にも言ってねってのに!』
どこからか玉城の声が割って入る。
『言いたいことがあるなら、この際だから遠慮なんかしないで全部言ってしまったら良いんじゃないですか?』
朝比奈がさっくりと言い切った。
そして、扇グループをメインにした糾弾をBGMにした白兜対月下+紅蓮弐式の戦闘が再開されたのだった。


戦闘とも言えない作戦が終わってアジトに戻ってきた後、朝比奈はゼロを抱きしめながら、言うのだった。
「まだ気がすまない。ゼロ。無い方が良いに決まってますけど、あいつ等にまた何か言われたらすぐ言ってくださいね。きっちり報復しますから」
「当分は再起不能だろう?ユーフェミアはコーネリアにすら会わないで閉じ籠っているらしいからな」
「ふ~ん?『特区』はどうしたんです?」
「一度皇族として宣言した以上、運営はしなければ体裁が整わないからな。ダールトンが泣く泣く準備をしているらしい」
黒の騎士団は参加しないし、その事を納得させもしたから関係ないのだが、「土台も無きに等しいからダールトンも気の毒だな」とゼロは同情している。
「じゃあ、どこぞのバカは?」
「あの戦闘の後、慰められにやってきてナナリーに撃退されていた。当分来ないだろう」
淡々としたゼロの言葉に、朝比奈は笑い、ゼロもまた仮面の下で笑みを見せた。



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作成 2008.04.18 
アップ 2008.04.22 
 

★臣近様へのリクエスト作品★
(朝ルル/ゼロ&皇族バレ/白主従糾弾)

幹部一同がゼロの言葉に頷いたのは、朝比奈の「従わないならおれの敵。絶対容赦しないから」視線を向けられたためである。
但し、扇がなんとか交換条件を提示する事に成功していた。
曰く、「幾つか質問に答えて欲しい。わからないままだとみんな納得し辛い」というもので、ゼロは朝比奈と藤堂、ラクシャータを見てから頷いていた。
「‥‥ゼロ‥‥。あの。ゼロと、朝比奈さんの関係は?」
まず尋ねたのはカレンだった。
「ゼロはおれの恋人ですッ!ゼロを傷つける奴は、それが誰だっておれが黙っていないからそのつもりで!」
キッパリと朝比奈は言い切り、格納庫内に悲鳴が響き渡った。
「待て、朝比奈。何時恋人になった?」
「えぇッ!?おれプロポーズしたでしょ」
「受けた覚えはない」
「ゼロ。それに朝比奈。プロポーズは結婚の申し込みだ。恋人になる前に受けるのは告白だぞ」
千葉が訂正を入れる。
「告白にも応じた覚えはないぞ、朝比奈。貴様の頭は鳥頭か」
ゼロは否定するのだが、抱きしめられたままだと言うのに、気にもせずに否定したところで説得力はない。
「えぇ!?おれが『好きです、ゼロ。ゼロが何者だろうと構いません。おれと付き合ってください』って言ったらOKしてくれたじゃないですか」
「『知らない内から言われても、説得力などあるものか。そんな言葉は、わたしの素性を知った後でもう一度言え』と言っただけだ。勝手に捏造するな」
「だから君がルルーシュ君だって知った後にも同じ事を言っ──」
「朝比奈ッ!!」
朝比奈の言葉を、藤堂が慌てて遮ったが、既にその場にいる者の耳にそれは届いていた。
ラクシャータは「あー‥‥」と無意味に唸り、藤堂は朝比奈を睨んだ後、気遣わしげな視線をゼロに向ける。
ゼロは深々と溜息を吐き、朝比奈はそろっとゼロから身を離した。
「ルルーシュですってぇ!?」
カレンがゼロと朝比奈と、口を挟んだ藤堂とを見ながら声を上げる。
「本ッ気でルルーシュなの?ルルーシュ・ランペルージ。アッシュフォード学園の生徒会副会長の、わたしや枢木スザクとクラスメイトの!?」
確認の為のカレンの言葉に、幹部達は瞠目する。
「その通りだ。‥‥間違いなくそのルルーシュ・ランペルージがゼロだ。黙っていてすまなかったな、カレン」
ゼロは落ち着いた声音で、肯定し、カレンに詫びた。
「まったくだわ。傍にいたのに今まで何のフォローも出来なかったじゃないッ!わたしでさえ何度もキレかかってたのにッ!知ってたら幾らだって中断させたのにッ!」
カレンは憤って声を荒げ、ポロリと涙を零した。
カレンの涙に、旧扇グループだった者達が慌てだす。
「なッ‥‥カレン!?‥‥ゼロ。一体学園で何が‥‥?」
扇の問いかけに、ゼロは肩を竦めた。
「別に。‥‥スザクはいつでもあの調子だからな。学園でもゼロ批判が凄いというだけだ。知らないスザク相手に怒るわけには行かず、といったところだな」
手の早いカレンが、手出しできない針のむしろ状態に置かれていた事に同情し、ゼロ本人が、ゼロ批判を直接言われていた事に気付いた。
「ゼロ!‥‥じゃなくてルルーシュ君。おれは君が好きです。だから付き合ってください!」
正体もバレた事だしと、自分が原因だったというのに、朝比奈はまたもやアタックしはじめた。
藤堂とラクシャータはそれを見て「また断られるな」と、少しだけ朝比奈を不憫に思った。
二人の予想通り、ゼロは朝比奈の告白にそっぽを向いて拒絶を示してから、再び朝比奈を見る。
「朝比奈。一つ確認するが、とっちめる相手は誰だ?」
ゼロが尋ねると、朝比奈は断られたにも関わらず、気落ちする事無く即答する。
「ゼロを苦しめるあの主従。どっちもに決まってるじゃないですか」
「やれやれ。‥‥まぁ、黒の騎士団が出向いた場所に、誘き寄せるのはそう苦ではないが‥‥。二言はないだろうな?」
ゼロは再度念を押す。
「くどいよ、ルルーシュ君。誰にも拒否なんてさせないから」
「強制してどうする。策を練らなければ、お前が特攻するというから考えるが、それを嫌がる者にまで押し付けるな」
ぴしゃりとゼロは言い、朝比奈が不満そうな表情を見せて俯いたが、扇が口を挟んだ。
「大丈夫だ、ゼロ。嫌々じゃない。カレンを泣かせ、君を苦しめ非難する枢木を許せないのは、みんな同じなようだし。どんな作戦でも苦情は言わないから」
「‥‥あー‥‥。おれ様だって、奴は嫌いだし、今回だけはきっちり従ってやらぁ」
みんなの視線を受けた玉城が、そう続けた。
「そうか。‥‥ラクシャータ」
「なぁにぃ?‥‥ていうかぁ。もしかしなくてもプリン、よねぇ?」
場違いな単語に、玉城が思わず声を上げそうになったのを慌てた杉山と南が押さえつけた。
「そうだ、頼んだ。‥‥朝比奈、もう一つ確認するが、とっちめる方法は?口か?手か?」
「「「「口で言い負かした上、白兜をやっつける!!!」」」」
朝比奈の答えに重なるように、何人かが声を揃えた。
「作戦は練るから、白兜は月下と紅蓮弐式で仕留めろよ。指揮は藤堂に任せる」
「わかった」「「「「承知ッ!!」」」」「任せてください、ゼロッ」とそれぞれが応じる。
その良いお返事に、ゼロは頷くと、携帯を取り出して何の説明もなくコールを掛ける。
「あぁ、お久しぶりですね、わたしですよ、義兄上。実は少しばかりお願いしたい事がありまして‥‥」
繋がったらしい早々、ゼロの発した言葉に、藤堂とラクシャータは視線を交わし、他は目を見開き、だけど咄嗟に自分の口を塞いで声を出すのを堪える。
「‥‥‥良くわかりましたね。その通りですが。えぇ、今回、義姉上は邪魔ですので、その騎士ともども足止めをお願いしたいかと」
ディートハルトは、無言でメモ帳を取り出し、新たに知った事実、名前や学生である事、兄がいる事、姉がいる事などをかなりの速度で書き綴っていた。
だが、『姉に騎士がいる』と書いたところで、ペンを動かす手が止まり、ゼロを凝視した。
「騎士を持てる者など、皇族以外に誰がいるというのだろうか?」とディートハルトはゼロを、そして藤堂を見る。
「‥‥‥今、ですか?‥‥仕方がありませんね。一度しか言いませんよ?ではよろしくお願いします、シュナイゼル義兄さま」
爆弾発言をしておいて通話を切ったゼロに、藤堂が声を掛ける。
「‥‥この場で良かったのか?」
「あぁ。わたしの表の事もバレてしまったしな。ディートハルトがいる以上、名前から繋げられる可能性も高い」
ゼロは頷いて、「ならば先にバラしてしまった方が無難だろう」と淋しげな声で言ってから唖然としている幹部達を見渡した。
「表の名と経歴は、カレンが言った事に間違いはない。ただ、素性を隠して学生生活を送っていたに過ぎず、表の名も偽名だ」
「ゼロの素性と本名はぁ。神聖ブリタニア帝国第11皇子ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア。第17皇位継承者だったお方よぉ」
ゼロが前置きのようにそういって言葉を切ると、すかさずラクシャータがバラしてしまった。
「だが、彼は敵ではない。我々以上にブリタニアを憎んでいる。皇位継承権も剥奪され、亡き者とされていたはず。‥‥何故シュナイゼルに?」
藤堂がフォローを入れつつも疑問点を尋ねた。
「義兄上はわたしの死を信じないと思っていた。ならばわたしがゼロであると結びつけるのは容易。案の定、ご存知だったよ」
ゼロは肩を竦めて藤堂の問いに答えた。
玉城が黙っていられたのはここまでだった。
「やいゼロッ!」
そう始まった言葉に、扇を筆頭とした幹部達が肝を冷やし、朝比奈は玉城を睨み据える。
「何故、ラクシャータと藤堂が既にゼロの素性を知っていやがるんだ?説明しろ説明!」
玉城の怒鳴り声に、幹部達は首を傾げ、「「「ツッコミどころはそこなのか!??」」」と悩んだが、朝比奈は「問題なし」と玉城を睨むのをやめた。
「簡単よぉ。ゼロとは昔面識が有ったしぃ。生存を信じていれば、繋げるのは容易だって、今ゼロも言ったばかりよねぇ」
ラクシャータが言い、藤堂も「その通りだ」と頷いた。
「ゼロ!素性もわかったし、それでもおれは君が好きだから、付き合ってください!!」
再び朝比奈がアタックを敢行した。
「‥‥‥。返事をするのと、作戦を説明するのと。どちらが良い?」
ゼロの問いかけに、果敢だった朝比奈が一瞬押し黙る。
「‥‥‥両方だよ。ルルーシュ君。おれは君を諦めないし、だからといってあいつ等をとっちめないと気が治まらないし。第一報復は必須でしょう。だから両方」
そうして発せられた朝比奈の揺ぎ無い言葉に、藤堂とラクシャータはゼロを思って安堵する。
どちらか片方を選んでいたら、ゼロが朝比奈の想いを受ける事がないと知っていたからである。
「朝比奈、今一度問う。‥‥わたしの一番は別にいるし変える気もない。そして裏切りは認めない。それでもそう言うのか?」
「勿論!君が一番だと言うあの子ごと、君を守りたいんだ。おれは絶対裏切ったりなんてしないから、安心してよ」
にこにこと満面の笑みで朝比奈が応えると、ゼロはフッと俯いてから、話題を変えた。
「作戦についてだが‥‥ッ」
にこにこ笑顔のままの朝比奈が、再びゼロに抱きついて、驚いたゼロが言葉を切った。
ゼロが朝比奈を引き剥がすのに時間を取られ、説明が始まった時には二時間が経過していた。

後編に続く。

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作成 2008.04.18 
アップ 2008.04.21 
 

★臣近様へのリクエスト作品★
(朝ルル/ゼロ&皇族バレ/白主従糾弾)

ずんずんと肩を怒らせて近づいてきたカレンを見たとき、その場にいた四聖剣の三人はげんなりとした表情を浮かべた。
カレンは四聖剣の傍で立ち止まると、ビシィッとトレーラーを指して言った。
「同じ四聖剣として、あの人を何とかしてくださいッ!」
「「「無理だから諦めろ、紅月」」」
仙波、卜部、千葉は声を揃えてそれこそ間髪入れずに即答した。
あまりの速さと息の合った返答に、思わずカレンは絶句する。
「‥‥じ、状況も聞かないで、無理って即答なんですかッ!?」
「何とかできるくらいなら、今頃は奴もここでメンテナンスをしている。無理だったからさっき追い出したところだ」
気力を奮い起こして再度尋ねるカレンに、千葉がトレーラーを見ながら応じて溜息を吐いた。
「ッなら、部屋に戻るように言ってくださいよ。人が来るところであんな落ち込まれ方したら周りがすっごく迷惑しますッ!」
「悪いな、紅月。それも言ったんだが、無理だったんだ。諦めてくれ」
カレンはめげずに代案を提示するが、それもまた卜部によって一蹴されてしまった。
「と、とにかく何とかしてくださいよー」
カレンの声に泣きが入る。
「‥‥そんなに酷いのか?朝比奈の奴は」
仙波が流石に悪いと思って声を掛けた。
「最悪です。落ち込んでいるのはわかるのに、ずっと入り口付近を睨んでて、どんどん殺気が増していくんです。もう誰も近寄れません」
三人は顔を見合わせてから、「そこまでか‥‥」と思って少し離れた位置でやりとりを見守っていた藤堂を振り返った。
三人の目には縋るような色合いが浮かんでいて、藤堂に要求している事柄は明白だった。
藤堂はラクシャータと視線を見交わし、二人して溜息を吐いた。
「わたしはぁ。何も言わないわよぉ。‥‥ここまで来れば反対もしないけどぉ。だけど藤堂、覚えておきなさいねぇ」
「わかっている。そんな事にはならないから心配するな」
ラクシャータの言葉に、藤堂は真剣な表情で頷くと、携帯を取り出した。
短縮と思われるボタン操作の後、携帯を耳に当てる事かなりして、藤堂は少し表情を動かしてから話し始めた。
「‥‥おれだ。すまないな、こんな時に‥‥」
相手の声は届かず、藤堂が耳を傾ける姿だけをただジッと見る。
「‥‥あぁ。変わりは‥‥一点だけだ。朝比奈が殺気を振りまいて手をつけられない状況になっているようだ」
言いながら藤堂はカレンに視線を向け、視線を感じたカレンはキッパリと頷く。
「‥‥それは。今おれが顔を見せると、悪化しそうなのでな。あぁ、それも同じだろう?」
その言葉に「うむ」と頷いたのは四聖剣の面々だった。
「あぁ。無理でないのならば、頼む」
藤堂はその言葉を最後に、相手が先だったのかもしれないが通話を切った。
藤堂が携帯をしまうのを待って、カレンが尋ねる。
「藤堂さん?『悪化する』って!?それに今のってもしかしてゼロですか?」
「‥‥現状の朝比奈がおれを見ると火に油状態になりかねなくてな。仙波達にさえ無理だというのならば、後はゼロに頼むしかない」
藤堂の言葉にカレンは訝しげな表情を向けた。
「何故ゼロなんですか?そりゃあ、ゼロは騎士団のリーダーですけど、四聖剣は藤堂さんの言う事しか聞かないって‥‥」
「紅月、勘違いするな。別に中佐以外の指示にまったく従わないというわけではない」
カレンの思い違いを千葉が指摘したが、カレンの疑問ははれなかった。

ゼロがアジトにやって来た時、扇と藤堂の指示で、平団員達はトレーラー付近からは退けられていて、幹部だけがトレーラーの周囲でゼロを待っていた。
「藤堂」
ゼロはそんな幹部を見渡してから、藤堂を呼ばわる。
「すまない、ゼロ。‥‥平気か?」
「わたしは‥‥平気だ。それで?」
何の説明もされていない扇達は藤堂とゼロの会話を唯黙って聞いているしかない。
もっとも、事情を知っているラクシャータやある程度は知っている四聖剣にしてもそれは同じだったが。
藤堂が「朝比奈は」と言いかけたところで、トレーラーからバタバタと音がして朝比奈が顔を見せた。
入り口のわりと近くにいた幹部達は、ズザザザザと後退った。
未だに殺気を振りまいたままの朝比奈に、ゼロは仮面の下で眉を寄せ、冷ややかな声を出す。
「‥‥朝比奈」
途端に、朝比奈の殺気が萎れ、「ぅわ、ゼロのが怖ぇ‥‥」と思う者が数名。
完全に殺気が消えた朝比奈は、俯き加減にずんずんとゼロに向かって歩いてくると、止まりもせずにゼロを抱きしめた。
「‥‥ッてゼロに何してるんですかッ!朝比奈さん!?」
ゼロの傍にいたカレンが当然ながら叫ぶ。
「我慢出来ないッ」
朝比奈はカレンの叫びを無視して、唸るように言い、その体勢からR指定方面に思った者が慌てる。
「「「「‥‥ッちょっと待てぇ~~~!!!」」」」
ディートハルトとカレンと井上と玉城の声が重なった。
「‥‥何もお前がそんなに憤る事はないだろう?朝比奈。しかも仕事に影響が出ているそうだな」
「こんな時に仕事なんて出来ないですよ、おれは。戦場でなら200%くらいは発揮できる自信はありますけど」
待てと言われても待つ様子はなく、ゼロと朝比奈の会話は始まる。
「それは近々発揮してもらうが。‥‥」
「どうして止めるんですか。ゼロの事でしょ?あいつ等がゼロを苦しめているのは、おれにだってわかるってのにッ!」
朝比奈はゼロを抱きしめる腕に少しだけ力を込め、キッと藤堂とラクシャータを見た。
「おれ、間違ってますか?藤堂さんッ!あいつ等が考えなしでお気楽で無計画に発言だけでゼロを苦しめているって事にまったく気付いてないんでしょう!?」
「あぁ、まぁそんな感じかもぉ。二言目には『君の為』らしいしぃ。その相手の事をまぁったく見てないものねぇ、二人とも。似た者同士気が合うのかしらねぇ」
憤る朝比奈に、黙る藤堂に代わってラクシャータが応じた。
「『君の為』ぇ!?どの面下げて?ゼロッ!やっぱりおれ、とっちめないと気がすまないです。策練らないって言うなら、これから特攻しますからね?」
朝比奈が言い、「さぁどうする!?」と腕の中のゼロに問う。
「‥‥ラクシャータ」
ゼロが疲れた口調でラクシャータを責めるが、「言っちゃったものは仕方ないでしょぉ。諦めてねぇ」とラクシャータは悪びれなかった。
「‥‥‥朝比奈。特攻はするな」
「なら作戦」
譲らない朝比奈に、とうとうゼロは、「どんな作戦だろうが誰も苦情を言わないのならば練ってやろう」と折れたのだった。

中編に続く。

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作成 2008.04.18 
アップ 2008.04.20 
 

★零夜様へのリクエスト作品★
(ルルーシュ騎士(カレン、藤堂)話でスザク糾弾?)

最後に千葉が一礼をして去って行くのを見届けてから、カレンと藤堂はゼロを振り返り、視線を合わせるためにその前に膝をついた。
「ゼロ。手は痛まないか?かなり派手な音がしていたが」
藤堂が尋ねると、ハッとしたカレンが問題の腕に手を伸ばす。
「平気ですか?ゼロ。‥‥まったくあんの体力バカのせいでッ。次会った時はギッタギタにやっちゃって良いですか?ゼロ」
「カレン。‥‥猫を被っている場所でやるのは難しいだろう?一応病弱設定なんだから大人しくしていろ」
「紅月が病弱設定‥‥ボロ出してないのか?」
そのそぐわない設定に、藤堂は唖然として尋ねる。
「あ、藤堂さんバカにしてるわね?これでも見破られた事は‥‥ゼロにしかないわ」
「いや‥‥。生徒会のメンバーはみんな気付いていると思うぞ?わたしの猫を見慣れているからな。もう少し気をつけて被った方が良い」
「ぅ‥‥そりゃ‥‥貴方には敵わないのは認めるけど‥‥そんなにバレバレでしたか?」
「少なくとも会長とリヴァルにはバレてると思うな」
ミレイとリヴァルの会話を思い出して、「バレているのだが」と思いながらも控え目に言って苦笑した。
「‥‥それでも!それでも良いんです。病弱じゃない事が他のみんなにバレたってそんな事は気にしないわ。スザクは許せないから!」
自分の病弱が偽りだとバレる事と、ルルーシュの現状とを秤にかけたカレンは即座にルルーシュの現状改善を取って言う。
ゼロは仮面の下で目を見開いて固まった。
「ゼロ。スザク君が君を選ばなかったからといって君の存在が否定されたわけではない。スザク君に君という存在を理解する努力が足りなかったからだ」
「藤堂さん。それ、違いますよ。枢木スザクは初めから理解しようとなんてしてないもの。彼の事をきちんと考えようとしていればわかったはずなんだもの」
「‥‥そうか。努力すらしなかったか、スザク君は‥‥。何も見ようとはせず、流されて、惰性で現在に辿り着いたのか‥‥彼は」
そう呟くように言う藤堂の声音には憤りと遣る瀬無さと諦めが混じっているようにゼロには感じられた。
「少しでも考えているのならば、お飾りの騎士にならなかったか、なったらなったでスッパリと学園から身を引くべきだったんです」
カレンは言い切り、「だけどあいつはそんな事考えもしないで残ったんです。絶対に許さないわ!」と声を荒げた。
ゼロはカレンと藤堂が自分の為に憤っているのを感じて、なんだか笑いたくなって仮面の下で少しだけ笑う。
「ゼロ。君は自分を『死せる者』と言った。だが、騎士団は『君と共に生きるか、君と共に死ぬか』なのだろう?おれ達も生きていないと思うか?」
急に変わった話題に、ハッとしてゼロは藤堂に視線を向けた。
「ゼロ。貴方もわたし達騎士団も生きています!貴方が生きているって事を認めない人なんて放っておけば良いんです。そっちが間違っているんだから」
「君は生きている。おれ達も。そしてここでならば君の望むモノは手に入るだろう。おれ達はその為にいる。違うか?」
カレンと藤堂の言葉は、ゆっくりとゼロの、ルルーシュの心に沁みて行く。
「‥‥ち、が‥‥わな、い」
心の中にわだかまっていた何かが溶けて消えて行くような感覚に戸惑いながらも、巧く綴れない言葉をもどかしげにルルーシュは紡ぐ。
「おれには、君が必要だ。君だからこそ必要なんだ」
「藤堂さんッ、そこ、『おれ』じゃなくて『おれ達』って言ってくださいね。わたしにだって、みんなにだって必要なんだから」
「おれの素直な気持ちだ。紅月達にも必要かも知れないが、おれにはゼロもだが彼自身も必要だ」
「だからッ。それはわたしも同じだって言ってるじゃないですかッ。大体さっきは『みな』って言ってたのにどうして?」
何故違うのかがわからないカレンが盛大にハテナマークを飛ばして喚く。
「‥‥今、ここには、わたしの正体を知る者しかいないから、だろう?藤堂」
「そうだ。今まで、気付かなくてすまない。これからは以前の約束通り、君と君の妹君を守ろう」
「‥‥覚えていたのか?7年前の約束まで?」
驚いたゼロの声。
「覚えている。あの時は悔やんだ。君の真意に気付かなかったおれ自身に。だが、こうして再会した今、おれは君を守ろう」
「ゼロッ!藤堂さん?一体どんな約束をしたんですか?」
「‥‥藤堂の言葉を聞いた時、『再び会う事が有れば』と、それを条件にしたのはわたしだった。それが7年前、最後に会った時の言葉だ」
「おれは‥‥『君を。君達を守る。おれに守らせてくれないか?』と言ったんだ。だから今、ここに改めて誓いを」
「なッ‥‥!ゼロの騎士はわたしよ。零番隊隊長のこの紅月カレンよ!?」
藤堂の言葉に、カレンは驚いて反論する。
今までゼロの騎士は自分だけだと自負してきたのだ、おいそれと負けてはいられない。
「喧嘩はするなよ。お前達がわたしの騎士だと認められなくなるだろう?」
からかいの口調でゼロは言うが、その声は晴れ晴れとしていた。
「藤堂鏡志朗、紅月カレン。お前達の存在は、言葉は、おれの心を癒してくれるものらしい。一度しか聞かないぞ?おれの騎士にと望むか?」
ゼロの言葉は、最早一片の疑いもない確信に満ちたものだった。
藤堂とカレンはそれに満足し、一瞬視線を見交わしてからゼロに向きなおり言った。
「「勿論!!」」
ゼロの心から光が消える事がなくなったのは、この瞬間からだった。



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作成 2008.04.14 
アップ 2008.04.17 
 

★零夜様へのリクエスト作品★
(ルルーシュ騎士(カレン、藤堂)話でスザク糾弾?)

ドンッ!
突然の荒い音に、幹部はその発生源に目を向けて、驚く。
それまで大人しく座っていたゼロが、突然拳を机に叩きつけた音だったのだ。
一同が驚きから覚める間もなく再びゼロの手が動き、ドンッと音がする程拳を叩きつける。
「やめろゼロ。‥‥どうした?相談になら乗る。だから自分を傷つけるのはよせ」
藤堂が鋭い声をかけてその動きを制止する。
しかしそれでもゼロは拳を振り上げ、「ダメッ」と叫んで駆け寄ったカレンに止められた。
「‥‥‥‥離せ、カレン」
低い、それは低いゼロの声に、藤堂とカレンを除いた幹部達は固まった。
カレンはそれどころではなく、激しく首を振って反論した。
「ダメです、今は。貴方が何故こんな事をするのか、その理由がわからないから‥‥。だからまだ自分を傷つけようとする以上離せません」
「‥‥わたしは離せ、と言った。聞こえなかったのか?」
「聞こえていました。ですがッ」
「ゼロ。一人で抱え込むのはもうよせ。まるで出口のない迷路にいるようだぞ。自分を傷つける前に、おれ達に相談してみろ。突破口が開けるかも知れん」
想いがこみ上げすぎて言葉にならないカレンに代わって藤堂が静かな声で諭すように言葉を掛ける。
「‥‥‥‥相談する事などない。‥‥唯、単に、再確認しただけの話なのだから」

藤堂とカレンは顔を見合わせる。
他の幹部達は、勘気のとばっちりを喰らわないように、いつの間にか少しばかり遠ざかっていたからだ。

「「再認識?」」
期せずして言葉が重なる。

ゼロはカレンに掴まれていない左手を持ち上げ掌を見る。
カレンは思わずそちらの手も押さえようかと思って様子を窺っていたが、叩きつけるのが目的ではないと詰めていた息を吐く。
「‥‥望んだものが手に入らないという事を、だ」
ゼロのその言葉に、藤堂とカレンだけではなく、その場にいた幹部一同がハッとしてゼロの仮面を凝視する。
「‥‥‥良くわからないな。‥‥例えば?」
藤堂が問いかける。
「初めに望んだのは力だった。これ以上奪われない為の。これ以上なくさない為の」
掌を見ながら、ゼロは言葉を紡ぐ。
「‥‥その力は‥‥?」
そっとカレンが尋ね先を促す。
「手に入れた。そしてわたしは計画を前倒しにして事を起こし、『ゼロ』となった。‥‥だが、それでも掌からは変わらず零れ落ちて行く」
「だが、ゼロ。この黒の騎士団も君の望んだものだろう?」
藤堂は周囲を見渡して言う。
「‥‥そうだな。騎士団は目的を達成する為にわたしが作った。だが、それはまだ叶ってはいない」
「ッ何だってんだよ。お前の目的ってのは!?」
玉城が流石に気になったのか、離れた位置から声を投げて来た。
「‥‥ブリタニアの崩壊。それと優しい世界を作る事だ」
ヒュッと息を呑む音が幾つか聞こえたが、反応としてはそれだけだった。
「一つ、言っても良いか?ゼロ。‥‥『計画を前倒しにした』と言ったな?‥‥その事に感謝しよう」
藤堂が、ゼロに向かって言う。
「‥‥どうしたんだ?急に」
「ナリタの一件がなければ、おれは捕まらなかったかも知れない。だが、君が現れたからこそ時は動き出したのだ。だから感謝する」
藤堂の言葉に、ゼロは首を傾げる。
「君が、ゼロが現れるまで、漫然とした日々を送るだけだったこの7年。おれはきっと生きていなかったのだと思う」
藤堂が続けた言葉に、ゼロはハッとする。
「君が計画を前倒しにしなければ、それが動き出すまでの間、おれはずっと生きていなかったのだと思う。君が手を差し伸べた時、初めて生き返ったのだ」
藤堂の言葉に、四聖剣もまたこの7年を振り返った。
くすり、とゼロが笑みを零す。
「おかしなものだ。わたしも思っていたよ。『生きてなどいない』と言われた時から、存在を否定されたわたしは死せる者なのだと」
「ちょっ‥‥。ゼロ!それに藤堂さんも。誰が何と言ったかなんて関係ないです、二人とも生きてるんですから!」
カレンが慌てて割って入る。
「全く。藤堂さんも。それでも7年生きて来たから、ゼロに会えたんじゃないですかッ。ゼロだって!ここには貴方を否定する人なんていないからッ」
チラと一瞬玉城に視線を流したカレンだったが、それでもそう言いきった。
「ゼロ。君の居場所はここにあるようだぞ。‥‥みな、君を必要としている。みな、君を案じている。君の平穏を願っている」
カレンの言葉に頷いて、藤堂が言葉を紡ぐ。
「‥‥それは違うのではないか?ここはレジスタントのアジトで有って、平穏を望むべくもない場所だぞ?」
「そうか?いつもいつも気を張っていたのでは身が持たない。どこかに落ち着ける場所がないのでは、早晩参るぞ?」
「以前は有ったさ。表に、箱庭とも言うべき仮初の平和な場所が。今は崩壊しかけていて最早安息の地足り得なくなっているがな」
自嘲気味に笑うゼロに、カレンは思い当たる節が有って、思わず声を出していた。
「‥‥‥‥それって、枢木スザクのせいですか?あいつがお飾り皇女の騎士になったりしたから?なのにそのままで留まっているから?」
遠巻きで様子を見守っていた幹部達は、そこで何故枢木スザクの名前が出るのか判らずカレンとゼロとを見比べる。
カレンは、初め疑いでも違って気にしなくなったのに、いつの間にかまた疑問に思っていて、違っていますようにと願った事だった為、否定の言葉が欲しかったのだ。
それはゼロがルルーシュだと嫌だからではなく、ルルーシュがゼロなのだとしたらスザクの言葉が行動がどんなに堪えたかと言う事に思い至ったからである。
けれど、ゼロの言う箱庭とは学園の事としか思えず、カレンは黙っている事が出来なくなったのだ。
スザクの名前に、藤堂の視線が一瞬鋭くなり、すぐに優しい眼差しになってゼロに向けられた。
「そうか。‥‥ゼロ。その箱庭とやらが安息の地ではなくなったというのなら、ここに居を移せば良い。‥‥妹君を連れて」
藤堂の言葉に、カレンの時以上の驚愕が巻き起こる。
「‥‥妹ッて‥‥藤堂さん、知って‥‥?」
カレンが上擦った声を上げる。
「昔に会った事があるからな。‥‥ピースが有れば繋げるのは簡単だ。‥‥違っているか?ゼロ」
「‥‥やれやれ。少々失言が過ぎたようだな。‥‥カレン、藤堂。他の者にも、わたしの正体を、素性をバラすか?」
「君が許すならば。だが、嫌がっている間はバラさないと誓おう。そして、おれは君の素性を知った上で君に従う。‥‥今ならば全てが納得できるからな」
「わたしも言いません。それに枢木スザクだって貴方に近づけさせないわ。貴方がゼロだって納得したし、何の為にゼロになったのかも判ったもの」
ゼロと、カレンと、藤堂と。
三人だけで進んでいく話に、外野の幹部達が我に返って声を上げる。
「ちょッ‥‥カレン、それに藤堂も。ゼロの正体わかったんだろ?教えろよ。ずりぃぞ二人だけなんて」
玉城の言葉に、藤堂とカレンはすっくと立ち上がって玉城を振り返った。
「今の、聞いてなかったの?話さない、ってそう言ったばかりよね?次言ったら、容赦なく沈めるからそのつもりで」
カレンの言葉に、玉城はうろたえて視線を藤堂に移す。
「おれも話す気はない。それに今はゼロのケアを優先するべきときだ。少し席を外してもらえればありがたいが?」
藤堂は玉城を見据えてそう応じ、チラと四聖剣に視線を向けた。
当然ながら乗り出す四聖剣。
「てことで、今日はここまでで~す。みなさん行きましょ~。ホラ、ホラ急いで」
朝比奈が軽いノリで幹部達を促し、他の三人が鋭い視線で幹部達を見据えるので、扇を初めとする幹部達は押されるままにその場から追い出されていった。

後編に続く。

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作成 2008.04.14 
アップ 2008.04.16 
 

★零夜様へのリクエスト作品★
(ルルーシュ騎士(カレン、藤堂)話でスザク糾弾?)

「おめでとう、スザク」
ナナリー主催の騎士就任パーティの会場で、ルルーシュはスザクにそう言った。
「ありがとう、ルルーシュ」
スザクははにかみながら嬉しそうに応じた。

「‥‥これからは会えなくなるだろうけど、頑張れよ、スザク」
しかし、続けられたルルーシュのその言葉に、スザクの表情が笑顔のままで固まる。
「‥‥‥‥‥‥‥‥え?」
何故そんな事を言われるのか判らないと言った様子で訊ね返したスザクに、近くにいた生徒会メンバーが呆れた。
「『え?』じゃないだろー?スザクさんよぉ」
リヴァルが呆れ口調のままで言うが、スザクはやっぱりわかっていない様子で戸惑いを見せている。
「あー、リヴァル。そんな事をここで言うもんじゃないわよ。他の目も有る事だし?場所変えてからにしなさいね」
ミレイが人の目を憚ってこっそりと注意し、生徒会メンバーはそれに頷いた。

それでもやっぱり戸惑ったままのスザクにルルーシュは軽く溜息をついてから、身振りで移動するようにと伝え先に立って歩き出した。
ルルーシュに続き、スザクが、そしてリヴァルとカレンとニーナが続く。
近くにいなかったシャーリーを探し出したミレイは「シャーリー、ちょっとここ頼むわね~」と声をかけてから後を追った。

「さてっと、スザク。本当にわからないのか?おれの言った事」
結局会場を離れ、生徒会室に戻って来てから、ルルーシュはスザクにそう尋ねた。
「う、うん。どうしてもう会えないなんて‥‥」
「だってスザク君、ユーフェミア様の騎士になったのでしょう?」
戸惑いつつも頷くスザクに、ニーナが言う。
「うん、そうだよ」
「お前さ?それがどういう事なのか、わかってるよな?勿論」
今度はキッパリとスザクは頷くがそれに呆れたリヴァルが確認を入れる。
「うん、わかってるよ」
「悪いけど、わたしにはそうは思えないわ。本当に分かっているのなら、ルルーシュの言った事がわからないなんてはずないもの」
決意を込めて頷くスザクに、カレンは侮蔑の眼差しを向けつつも病弱設定の声音で評価した。
カレンはスザクの覚悟と自覚の無さを軽蔑し、親友との別れを覚悟するルルーシュの気持ちをわからないスザクに呆れたのだ。
皇族付きともなれば、一般人とそうそう会えないという事を、一般人のルルーシュが理解し、騎士になる当のスザクが理解していない事にみな呆れるのだ。
「あのさ。ナナちゃんがどういうつもりだったのかは置いとくとして、おれがこのパーティに賛成したのって送別会の意味も込めて、なんだよな」
リヴァルが言い、ルルーシュとニーナが頷いた。
「これからは、ユーフェミア様の傍であの方を守ってくださるのでしょう?だからわたしは‥‥」
ニーナはそう言って俯いた。

「‥‥で、でも、ユーフェミア様が学校に行って来いって‥‥」
「それで、ほいほいと主の傍離れてやって来るわけだ?スザクさんは。へぇ?‥‥なぁ、カレンさんならどうする?たとえば誰かの騎士になったとしたら?」
リヴァルはふむふむと頷いた後、話をカレンに振った。
「‥‥‥‥。わたしなら、断るわ。騎士になったのなら、全ては主の為に、でしょう?それなのに離れて学校へ、だなんて、その間に主に何か有ったら大変だもの」
「さっすが、シュタットフェルト家の御令嬢、よっくわかってらっしゃる。‥‥てかおれもそうだけど。ミレイ会長は?」
「そーねぇ~。主の傍が一番!かしら?少なくとも他に現を抜かしたりなんて事はしないかしらねぇ?」
「‥‥でもそれって、命令無視って事じゃないですか?学校へ、そう仰ったのはユーフェミア様だし‥‥」
「ふ~ん?じゃあさぁ。スザクは主のユーフェミア様が『死ね』って言っても黙って従うんだ?たとえばここにいる誰かを『殺せ』って言っても?」
リヴァルが試すように問いかける。
「‥‥‥‥‥‥。ユーフェミア様は、そんな事仰ったりしないから」
「あら、それはわからないわよ~。皇族ってぇ、どんなシガラミ持ってるかわからないじゃない?」
スザクの言葉に、ミレイはチラとルルーシュを見てから言った。
「‥‥でもッ。ユーフェミア様はお優しいからそんな事を仰る方じゃないよ」
「なら、そのお優しい皇女様はご自分の命を狙う相手が目の前にいても、その相手を『倒せ』とは仰らないって事かしら?」
「それは‥‥別だよ?ユーフェミア様を守るのが騎士の役目なんだから。ぼくがその相手を倒すよ」
「それにしては今この時、その『相手』とやらが皇女様の前に現れているかもとは考えないんだな、お前。ここに来るって事はそう言う事だぜ?」
「‥‥‥‥だけど、ユーフェミア様は安全な政庁にいるわけだし、『学校へ行ってらっしゃい』と仰ったのは彼女だし‥‥」
「ま、いっけどさー、おれは。ユーフェミア様とは面識もないしぃ?」
リヴァルはそういうと、「シャーリー、一人じゃ大変だろうから、手伝ってくらぁ」と言って出て行ってしまった。
「ユーフェミア様をそんな風に使うなんて、‥‥スザク君酷い‥‥」
「‥‥どのみち、学園に来れる時間は少なくなるだろうな。だから、さよならなんだよ、スザク」
ルルーシュもそれだけ言うとリヴァルに続いて立ち尽くすニーナを連れて生徒会室から出て行った。
追いかけようとしたスザクをカレンとミレイが留める。
「あのさ。ルルーシュもあぁ言ってる事だし、とりあえず休学って事にでもしとく?当分忙しいのは確かでしょう?」
「そうね。わたしが言うのもなんだけれど、出席日数が不足すると留年するわよ?」
「騎士様が留年なんて主に恥をかかせるような事はしない方が良くてよ?」
二人はそう言うと、肯き合ってスザクを残して部屋を出て行った。

一人残ったスザクは、「何故みんな、ぼくを追い出したがるんだ?ルルーシュまで‥‥」と首を傾げていた。

中編に続く。

───────────
作成 2008.04.14 
アップ 2008.04.15 
 

★霧崎睦月様へのリクエスト作品★
(藤ルル/ゼロバレ)

「なんだお前達。まだこんなところで止まっていたのか?藤堂、任せておいたはずだが?」
呆れた口調でその場の全員に言った後、ゼロは藤堂に向けて尋ねる。
「あ、あぁ。すまない。それと‥‥‥」
藤堂はまずは謝罪の言葉を口にし、そしてどう話すべきかと悩んで言葉を切った。
「ゼロ!貴方がルルーシュだってホントですか!?」
「なッ‥‥なんだ、いきなり」
カレンの直球に、ゼロは驚いて声を上げたものの、意思の力を総動員して、問い返す。
「藤堂さんが、写真に写っていた『彼が、ルルーシュ君がゼロだ』って言いました。ホントですか?どうして藤堂さんにだけ教えていたんですか?」
ゼロはカレンの言葉に、藤堂を見る。
「‥‥わたしは、教えて良いなんて一言も言った覚えは無いぞ、藤堂」
ゼロのその言葉は遠回しな肯定だった為、あちこちで息を呑む音がした。
「あ、あぁ。すまない。写真の人物描写を千葉が話したらラクシャータと紅月が」
「‥‥なるほどな。二人とも面識があるからわかるだろうな。だが、しらばっくれるくらい出来なかったのか?」
「あぁ、すまない」
謝罪しか口にしない藤堂に、これ以上責めるのも酷だとゼロは溜息を吐いてカレンの問いに答えた。
「説明が面倒だった事もある。藤堂とは面識も有ったし、わたしとスザクの関わりを正確に知っていたからな。顔を見せるだけで事足りたのが理由だ」
「それなら、わたしだって知ってます。わたしだってルルーシュの事知ってました。スザクの事だって」
「お嬢ちゃん。そこまでにしてあげなさぁい。ゼロだってきっと考えた末だったんでしょうしぃ」
カレンの言い募る言葉を止めたラクシャータの瞳には全てを理解した光が浮かんでいた。
「考えた末って?」
「つまりぃ。7年前を知っていた藤堂とぉ、それ以前を知っていたわたし、今を知っていると言うお嬢ちゃんとぉ。誰に話を聞いてもらうのが良いかって事よぉ」
「その通りだ、ラクシャータ。あの時、わたしは動揺していた。まさかスザクが白兜に乗っていたなんて思ってもいなかったからな」
ゼロは自嘲気味な笑声を発し、それがかつて無頼から聞こえてきた笑い声を思い出してカレンは顔を歪ませる。
「わかるわぁ。ナイトメアにナンバーズが乗るなんて今までありえなかったんですものぉ。まぁたくぅ、白兜はハードもデヴァイサーも規格外よねぇ」
「その上、スザクはユーフェミアの騎士になった。‥‥わたしは藤堂の意見が聞きたくなったのだ。7年前のスザクとの関わりを知っていた藤堂に」
ゼロは苦い声でそう言い、「だから藤堂の前で仮面を外したのだ」と締めくくった。
「それは完全に白兜のデヴァイサーが悪いわよぉ。まさかゼロと知り合いで傍にいて、それで第三皇女の騎士に収まるとはねぇ。完全な裏切り行為だわぁ」
ラクシャータがどこか懐かしむような、それでいて呆れた口調で評した。
「あのさ、ゼロッ。もうバレたんですから、仮面外しませんか?」
唐突に、朝比奈が口を挟んだ。
「なんだそれは。バレたのは名前と学生だという事だけだろう?顔を見せる必要はない」
「有りますって。てか隠しているなんて勿体無いです。おれももっと見たいですし」
朝比奈がゼロに詰め寄りながらせがむ。
「ダメです」「ダメよぉ」「ダメだゼロ」
ゼロが考える仕草をした時、カレン、ラクシャータ、藤堂が、一斉に反対した。
「な‥‥藤堂さんまで。どうしてダメなんですか?」
「ダメに決まってるじゃない。見えないの?そこでディートハルトがカメラ準備してるのがッ!」
「あ‥‥。すみませんでした」
ビシッとディートハルトを指してカレンが指摘すると、それを見た朝比奈は即座に謝った。
確かにあの顔をディートハルトに見せたらお終いだった。
どこまででもゼロを追って行きそうで怖いものがある。
「それにぃ。全員、虜にしてしまいかねないしねぇ?お嬢ちゃんが言ったでしょ?『男女問わずモテまくって』って。完全な事実だから、活動に支障がでるわよぉ」
ラクシャータの言葉に、カレンがうんうんと頷いた。
「‥‥‥中佐は何故反対を?」
千葉が藤堂に尋ねる。
「‥‥それはだな。朝比奈、ルルーシュ君に惚れるのは認めないぞ。‥‥おれの、恋人だからな」
藤堂は若干テレながらそう言うと、ゼロを後ろから抱きしめた。
「「「「ッ‥‥なんだってぇ~~~!!!」」」」
「ッ‥‥と、藤堂ッ。何もそこまでバラす必要はなかったのではないかッ?」
ゼロが慌てた声を出したが、それが肯定の言葉である事を、果たしてゼロは自覚しているのかどうか。
「ダメだ。それとも君はおれに嫉妬して欲しいのか?」
「‥‥ふむ。それは良いかも知れないな。藤堂はいつも冷静だし、少しくらい慌てるところを見てみたい気がする」
藤堂の例えに、ゼロは思わず真面目に考え込んで、素でそんな事を返してしまう。
「‥‥慌てるとは限らないだろう?そうなった時、おれは何をするか自分でもわからない。危険だから試さないでくれないか?」
「わかった。とりあえず、今はまだ仮面を外す気はないな。‥‥ラクシャータ。一度だけ尋ねる。離れるか?それともこのまま残るか?」
ゼロは頷くと藤堂の腕の中から逃れないままにラクシャータに尋ねる。
「残るわよぉ。勿論。今まではぁナイトメア弄る為にここにいたけどぉ。これからはぁ貴方についていく為にここに留まるわぁ」
「そうか、助かる。‥‥カレン。君は?」
「従うわ。わたしは零番隊隊長、紅蓮弐式のパイロット、ゼロの騎士だもの。それに、もうスザクにあんな事言わせたままになんてさせないから」
「‥‥‥良いのか?」
何故か念を押すゼロに、カレンは苦笑した。
「良いのよ、もう。というか、これまでの態度、謝るわ。本当にごめんなさい、ルルーシュ」
「いや。おれの方こそ、知っていてからかったりしていたからな」
「ゼロ、一人称」
藤堂が注意を入れるとゼロは「あ。」と言った後押し黙った。
「え!?ゼロって表じゃ一人称『おれ』なんですか?あの姿で『おれ』‥‥なんかすっごくかわ‥‥、すみません、藤堂さん睨まないでください」
「言ったはずだぞ、朝比奈。ゼロは渡さん」
藤堂はゼロを抱きしめる腕に力を込めながら言う。
「藤堂、息苦しいから力を緩めろ。それと苦情は後でC.C.に言っておく事だ。ちゃんと言わないとあいつには通じないからな」
「すまん、ゼロ。‥‥そうだな、そうしよう」
「‥‥扇。お前達はどうだ?離れるか、残るか」
「従うよ。君にリーダーをして欲しいと頼んだのはこちらだ。今更それを撤回するつもりはない。これからもよろしく頼む。‥‥但し」
扇はゼロを受け入れ、頭を下げて今一度頼んだ後、ゼロをヒタと見据えた。
「但し、君が学生だというのならば、まだ睡眠は十分に必要な年頃だという事を念頭に入れておいてくれないか?もっと大人を頼って欲しい」
扇が元教師らしく生活態度を注意した。
「良いかぁ?今度テメェが白兜と直接対決するような作戦練りやがっても従わねぇからそのつもりでいろよ」
玉城は親友だって思ってた相手に直接対決を挑む必要はないと言う。
「つまり、中佐ではなく、扇さん達が中佐に嫉妬しているようですよ?自分達にも頼れ、と」
黙ったままのゼロに、千葉が言う。

「‥‥そ、そうだな。‥‥ありがとう、諸君」
「ゼロ。感動するのは良いが、惚れてくれるなよ」
ゼロが微かに肩を震わせているのが伝わってきて藤堂は、ゼロが受け入れられた事を良かったと思う半面、少し複雑な気分で水を差した。



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作成 2008.04.11 
アップ 2008.04.13 
 

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