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騎士団幹部達は、格納庫で作業をこなしつつ、消えたゼロと藤堂、四聖剣とラクシャータが戻ってくるのを待っていた。
どのくらい経った頃か、戻ってきたのはラクシャータとゼロ、それに四聖剣の内の千葉と朝比奈だった。
声を掛ける事も出来ずに幹部達が凝視する中、あっさりと素通りした一行は、月下隊長機の傍で立ち止まる。
それはすなわち月下隊長機をゼロに合わせて調整するという事に他ならず‥‥。
「なッ‥‥ゼロ乗せたら月下まで壊されちまうってのに良いのかよ、おい」
思わず玉城が叫んだのも無理からぬ事だと、事情を知らされていない一同は思う。
千葉と朝比奈は顔を見合わせ、玉城の声など気にせずに早速作業を始めたラクシャータとゼロ(中身藤堂)を見てから、玉城の方へと近寄ってきた。
「な、なんだよ」
玉城は思わず及び腰になりながらも突っかかる。
「あのさ。今度の一件については藤堂さんもおれ達もラクシャータも納得した事だから、暫く黙って見ててくれないかな?」
「暫くだけだ。その内、また中佐が乗る事になる。それまでは‥‥口出しは無用に願う」
朝比奈と千葉が立て続けに説明し、「口出し無用」と言い切った。
「ちょっと待ってくれ。なら藤堂さんがゼロの無頼に乗るのか?」
扇が慌てて声を掛ける。
「‥‥いや。中佐は暫く戦場には出ない」
本当は今日のように、ゼロ(外見藤堂)は無頼に乗って戦場に出る気だったのだが、四聖剣が一致団結して却下したのだ。
今日のように「無頼を壊して、万が一にでも怪我をしたら大変だ!気になって戦闘に集中できないから、出てくれるな」と誠心誠意説得したのだ。
藤堂の身体を理由にされては、ゼロとて強硬に出るわけにはいかず、押し切られる形で折れたのだった。
「怪我!?」
驚く扇の疑問形の叫びに千葉と朝比奈は揃って首を横に振って否定した。
「そうではないが‥‥。ゼロは中佐が復帰するまでの間、月下に乗る事になったのだ。説明は以上。ではな」
千葉は話を強引に終わらせると踵を返して月下に向かっていった。
朝比奈もそのまま後を追い、腑に落ちない顔の他の幹部が残されたのだった。
一方、ゼロ(外見藤堂)は仙波、卜部とゼロの自室にいた。
流石に藤堂の姿で頻繁にここに来る訳には行かないので、必要な物を取りに来たのだ。
「なあ、一つ聞いて良いか?中佐はいつゼロの事知ったんだ?今回の件でか?」
卜部が藤堂(中身ゼロ)から受け取った書物や書類を仙波に渡しながら尋ねる。
「‥‥いや。藤堂を助けて、騎士団に入って、わりとすぐだったな」
ゼロ(外見藤堂)は四聖剣の前では取りつくろおうとする事すらやめたようで、藤堂の姿のままで平然と「藤堂」と呼び話題にする。
「へ?‥‥会って早々?何故なんだ?元からいた幹部達にだって教えてねぇんだろ?」
「‥‥藤堂は顔を隠したままの相手と手を組む事に納得しないだろう?」
卜部から受け取った書物をテーブルに乗せようとしていた手を止めて仙波は藤堂(中身ゼロ)を見た。
「確かにその通りだとわしも思いますが、‥‥藤堂中佐の事を良くわかっているようですな、ゼロ」
「‥‥確か、武士の鑑と言ったか?‥‥武人だったかな?」
そう答えて藤堂(中身ゼロ)は首を傾げて見せた。
ある意味視界の暴力に仙波と卜部は揃って視線をそらせていた。
プルル‥‥と着信音が響いたのは、そんななんとも言えない空間にだった。
「すまない、わたしだ」
そういってゼロ(外見藤堂)は携帯を取り出し相手を確認する。
藤堂(中身ゼロ)の表情が困惑に彩られて、仙波と卜部は戸惑った。
「どうしたんだ?中佐‥‥じゃなくてゼロ」
卜部が尋ねるがゼロ(外見藤堂)はそれには答えず携帯を耳にあてた。
留守メッセージが流れた後、ミレイの声がゼロの耳に入って来た。
『また留守電~?全然捕まらないんだから~。あんまり休んでばっかだと留年しちゃうわよー』
明るい声での前置きの後、本題に入るのがミレイのいつものやり方だ。
『‥‥ナナちゃんとの約束、破ったんですって?心配してるわよ?何かあるなら力になるし‥‥連絡待ってるわねー』
そう言うと、通話は切れた。
「携帯は交換してるんだな?声違うと取れないんじゃないか?今みたいに」
「藤堂中佐にはあまりかかって来る事は有りませんが‥‥ゼロは表の付き合いも有りますからな」
「メールを入れておくさ。不可抗力とは言え、約束を破ってしまったからな」
「ゼロ!落ち込み中すまぬが、藤堂中佐にそのような表情をさせるのは、どうかやめていただきたい」
「てか中佐の表情ってちゃんと動くんだなー。ゼロ、とにかくさ。辛いなら辛い、心配なら心配だって口に出して言いな。聞いてやるからよ」
仙波、卜部の言葉に藤堂(中身ゼロ)の顔からすっと表情が消えた。
普段の藤堂がまだ表情豊かに見える程完璧な藤堂(中身ゼロ)の無表情振りに、二人は慌てた。
「ゼロ違うッ!隠せっとも消せっとも言ってねぇ。あんな表情になる原因をさくっと解決しろって言ってるんだ。その為の相談には乗るからって」
「すまぬゼロ。わしの言い方が悪かったようだ。押し隠した表情を知っていては、その無表情を見る方が辛い」
慌てて対応策を述べる卜部に、平謝る仙波を見たゼロ(外見藤堂)は、無表情はやめて苦笑を浮かべたが、それでもクレームは飛んできた。
「‥‥それって、作り笑いって言わねぇか?ゼロ。無理に笑えっとも言ってねぇからな」
「藤堂中佐は普段あまり笑う事をなさらないから、その不自然さは余計に目に付くのだ」
「そんなにおかしいか?‥‥まぁ、表に戻れないのが少々痛いと思っているだけだから、あまり気にするな」
ゼロ(外見藤堂)は書類の選定に戻り、仙波と卜部の心配そうな視線に気付かない振りをした。
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作成 2008.04.24
アップ 2008.06.12
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災厄は突然に【2】驚愕。卜部:「なあ、一つ聞いて良いか?」
これ、いつ終わるのかなぁ~。全然終わりが見えません。
少々思うところがあり、続きが未完なのにアップに踏み切ってみました。
きっと、C.C.の気が向くまで終わらないんでしょうね。
.....それか、元に戻らず話だけ終わらせるという手もありますねぇ。