(「入団試験」設定/過去捏造/皇子+ロイ)
気づけばぼくは空を仰いでいた。
えーっと、空を仰ぐ趣味はないんだけどもー?
そう思ってからなにやらあちこちが痛いなーと思う。
更には胸の上に乗っかる何かを抱き込んでいるような?と首が動かないから内心で傾げてみる。
「ろいどおぃろいどしっかりしろもうへいきだからてをはなせきずをみせろろいど」
愛しの皇子の声が聞こえて、あぁと思う。
2階からナナリー殿下を庇って落ちるルルーシュ様を咄嗟に受け止めたのだ。
ハッとしてぼくは痛いのも顧みず起き上がった。
「ルルーシュ様お怪我は!?」
「けがをしているのはおまえだばかものろいど。ぼくはおまえがたすけてくれたからどこもけがなんてしてない」
しっかりした返事を聞いてぼくは深々と息を吐き出した。
良かったお守り出来たーとぼくは喜ぶ。
「‥‥おぃろいどおまえけがしてるのになぜわらう?ぼくがかなしいのにそうかおまえはそういうやつなんだな?」
非難がましい皇子の言葉に、ぼくを心配している様子がありありとわかって一層嬉しくなる。
「ろいどつぎにぼくをかばっておまえがけがをしたときはゆるさないからそのつもりでいろよ」
「えッちょっと待ってくださいルルーシュ様」
段々と脅し文句になってきた皇子の言葉にぼくは慌てる。
「ぼくをまもっただれかがけがをするのはいやだ。ぼくをまもってもけがをしないつよいやつにならまもられてやってもいい」
皇子の言葉にぼくは更に慌てた。
それはつまり怪我をしてしまったぼくには守らせないと言っているようなもので。
「ルルーシュ様。ぼくはもっと鍛えて強くなりますから守らせていただけますか?」
「その前に怪我を手当てしたまえ。ルルーシュを守った事は褒めるけどね、ロイド。泣かせた事は許し難いな」
「ちょッ‥‥殿下までそんな事言うんですかー?ちゃんと鍛えますから」
「むだぐちをたたくまえにさっさとちりょうしてもらってへやにもどってねろ」
「あぁあ。ルルーシュが完全に怒ってるよ、ロイド。君はルルーシュの機嫌が直るまで自室で謹慎してなさい」
「えぇ!?そんな、あんまりですよ~」
「にぃさまぼくのきげんはろいどがなおるまでなおらないからしっかりみはっていてください」
皇子の言葉はぼくの見張りをシュナイゼル殿下に頼むもので、つまり殿下も一緒になって皇子に会えない事を意味する。
「えッ!?ちょっと待ってくれ、ルルーシュ」
慌てた殿下が引き止めるが、しかし皇子は殿下の声にも振り返らずに館に引き返していってしまった。
怪我よりも殿下の視線が痛いんですけどーとぼくは涙に暮れる。
完治するまでの間、針のむしろ状態を味わったぼくが、その後今まで以上に鍛えた事は言うまでもないよねー?
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2008.06.10作成
2008.06.12-2008.06.19up
2008.07.16再録
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