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★霧崎睦月様へのリクエスト作品★
(藤.ル.ル/幼.少時/捏造)
「おかえりなさい、お母様」
マリアンヌの帰宅にナナリーは嬉しそうに駆け寄って抱きつきながら挨拶をする。
「ただいま、ナナリー。元気にしていたようね。ルルーシュと藤堂さんは?」
「雨に濡れたからお風呂で温まって、今はお兄様のお部屋」
マリアンヌは挨拶を返した後、出迎えに出てこない二人の事を尋ね、ナナリーの答えにスッと目を細めた。
「そう。じゃあ、少し様子を見てくるから、ナナリーはここで待っていてくれるかしら?」
「はい、お母様」
ナナリーから離れたマリアンヌはその足でルルーシュの部屋へと向かい、そして仲良く手を繋いで眠るルルーシュと藤堂を発見した。
マリアンヌは完全に気配を断っていたので藤堂が目覚める事はなかった。
マリアンヌはその様子を見るとにっこりと笑い、そして静かに立ち去った。
次の日、藤堂が目を覚まして見たものは、隣ですやすやと眠るルルーシュと、にっこりと微笑んで座るマリアンヌの姿。
「少し、お話があるのですけど、後でお時間を頂いても宜しいかしら?藤堂中佐?」
普段、「藤堂さん」とルルーシュ達に合わせて呼んでいたマリアンヌの違う呼びかけに、藤堂は背中に冷たいものを感じながらも頷いた。
後でというのは、いまだ眠るルルーシュの手が藤堂の手を離していないからだろう。
「ありがとうございます、藤堂中佐。では後程」
マリアンヌは笑顔のままでそう言うと、やはり気配も音もなく立ち上がって立ち去って行った。
その後起きたルルーシュはまだ藤堂と手を繋いでいた事に驚いた。
「‥‥すみませんッ!もしかしてずっとついていてくださったのですか!?」
一晩中傍にいたのかと思うと、ルルーシュは恥ずかしいやら嬉しいやら、どうして良いのか判らずうろたえた。
「いや、おれも眠ってしまっていたようでな。だから気にする事はない」
藤堂は離れた手に寂しさを感じてしまいながらもそう言って宥めた。
ルルーシュもまた藤堂と繋いでいた手を見てから、藤堂に視線を移した。
「‥‥あの。‥‥ありがとうございました、藤堂さん」
はにかむような笑顔で礼を言うルルーシュに、藤堂も笑みを見せた。
「いや、役に立てたのなら嬉しく思う」
そう言ってから立ち上がった。
「先に行っている。平気そうなら着替えると良い」
藤堂はそう声をかけ、ルルーシュが頷くのを待って部屋を後にした。
藤堂はその足でマリアンヌの元を訪れた。
「藤堂中佐?責任は取って頂けるのでしょうね?」
マリアンヌの言葉に、藤堂は目を点にした。
「責任ってなんだ?」というのが正直な思いだ。
「待って頂きたい。おれは別に」
「何か仰って?聞こえなかったのですけど。わたくし、今、『はい』と言う言葉しか耳に入らないみたいですわ」
藤堂の反論を遮ってマリアンヌは笑顔のままにそう言った。
あまりな言いように、藤堂は頭痛を覚える。
それはつまり、「責任を取る」という選択肢しか藤堂には与えられていないという事だ。
「‥‥お返事頂けないのかしら?‥‥それとも藤堂中佐はルルーシュの事がお嫌いなのかしら?」
マリアンヌの言葉を聞きながら、「これでは護衛を引き受けざるを得なかった時と同じだな」と思いながらも藤堂は厭っていないと気付いていた。
「‥‥‥嫌いではない」
どこか憮然としながらも藤堂はそう答えていた。
「それは良かったわ。ではお返事は頂けるのでしょうね?」
マリアンヌははやっぱりにっこりと微笑みながらも再三の問いを投げる。
「‥‥‥‥‥‥。どういう意味で仰っているのか、確認しても良いでしょうか?」
「あら。お分かりになりません?勿論、責任を取ってあの子を幸せにして頂けるのでしょう?という意味ですわ」
「‥‥同性で、しかも随分と年上だ。ルルーシュ君がそれを良しとするとは思えないのだが‥‥」
「あら、そんな事ありませんわ。ねえ?ルルーシュ」
やっぱり笑顔のままでマリアンヌはそう言って藤堂の後ろに視線と言葉を投げ、藤堂は驚いて振り返る。
戸口にルルーシュが立っていて、藤堂は固まった。
「ルルーシュ。貴方は藤堂さんをどう思っているの?」
「好きです、母上。藤堂さんは強くて、優しくて、それに暖かい人ですから」
マリアンヌの問いに、ルルーシュはあっさりとそう応じた。
「と、言う事ですの」
当人にまでそう言われてしまえば、藤堂は自分の心に向き合わねばならなくなった。
藤堂を前にしたルルーシュの言葉はいうなれば告白であり、藤堂はそれに何らかの返事を出す必要が生じたのだ。
そうして藤堂が思い出すのは、昨夜の事だ。
ルルーシュの笑顔に、寝顔に見惚れていた自分、そして手が離れた時に感じた寂しさ。
「‥‥おれもルルーシュ君が好きらしい」
ルルーシュに向かってそう言えば、ルルーシュはぼんっと再び顔を朱に染めた。
そこで初めて、昨日の事が熱のせいではないと気付き、藤堂は「いい加減おれも鈍いな」と自覚した。
「そうですか。では認めて差し上げますわ。ルルーシュを不幸にしたら当然赦しませんけど、宜しいですわよね?藤堂中佐?」
マリアンヌの宣言に、藤堂は意を決したように頷いた。
こうして藤堂はルルーシュとの交際を母マリアンヌに認められたのだった。
「‥‥おれで良かったのか?ルルーシュ君」
「貴方が良いんです、藤堂さん。ぼく、貴方が一番好きですから」
「おれも、君が一番好きだよ、ルルーシュ君」
周囲から見れば微笑ましいカップルが誕生した。
その後、勃発したブリタニアとの戦争。
圧倒的な軍事力の差は、日本の敗北を示唆していたが、結果は大きく予想を外れる事になる。
「閃光」の異名を持つ女性と、新たに「奇跡」の異名を手にした軍人によってブリタニアの撤退で幕を閉じたのだ。
ブリタニアは今後一切「日本」に手を出す事はしない、との条約に同意した為、日本はブリタニアの脅威から開放されたのだった。
その日本の片隅で、「奇跡」の異名を手に入れた藤堂鏡志朗は、一人の恋人と幸せに暮らしているという。
了
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作成 2008.09.02
アップ 2008.09.08
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霧崎睦月様へ。
お気に召していただけましたでしょうか?
リクエスト内容に合致しているかはいまいち不明ですが、
どうぞ、お受け取りください。
マリ様は子煩悩です^-^;;
皇帝は毛嫌いしていて、ルルとナナを溺愛しています。
二人の子供の為ならば何でもする素敵な母親という事で........。
こ、こんな感じで宜しかったでしょうか?